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翌日は本間市長と昼食を共に。

「本間さん、統一地方選挙で落選したのが三名のみというのは大成功ですよね。」
「ああ、落選した所は定数の多い選挙区に複数の候補を立てたところで、作戦ミスだったな。
苗川は、党のアンケート結果から事前に調整して全員当選、最下位当選者の得票数が予想以上に少なかったから、もう一人立てても良かったぐらいさ。」
「さすが、苗川支部に抜かりは有りませんね。」
「支部長は良くやってくれてるよ。
今回の統一地方選挙で党所属の地方議員は一気に増えた、この勢いで参議院選挙でも議席を確保したい所だな。」
「この県の改選は一議席でしたね。」
「ああ、候補者はほぼ固まっていて、地方選の結果を考えると勝てる可能性は高いよ。
ただ、全国でとなると何人の候補者を立てられて、何人当選出来るかは予測できないね。」
「はい、現職の壁が厚い気がします、それでも市民政党若葉は、政府に対して、批判ではなく提案、という姿勢を取ってることが国民に好感を持たれていると聞いています。」
「みたいだな、他党から鞍替えした人達は、政府批判するしか能のない野党に愛想が尽きての決断だったのだろう。」
「全選挙区に候補者を立てたいという党員が多いですが、本間さんはどう思われます?」
「そうだな、多目に候補者を擁立したい、選挙に自分達の党の候補がいないのは寂しいだろ。
まあ、有る程度の得票を得ての落選なら次に繋がると思うんだ、参院選で名を売っておいて、衆議院を目指すのも有りだろ、得票数が少なかったら議員には向かない人だと判断して、次からは他の人を立てるとか判断材料に…、いや、そんな人は立候補させちゃだめだな。」
「参院選で得票数が多ければ、落選しても衆議院や知事、市長への足掛かりになるという事ですね。」
「統一地方選挙の結果は、市民政党があちこちで与党の組織票にダメージを与えている事の証明、勿論、大差での落選はイメージが悪く次に繋がらない、少なくとも善戦出来そうな候補でないとな。
でもまあ、参院選対策本部にお任せで良いだろう。」
「そうですね、これまでの選挙では無党派層だけでなく、与党支持者を取り込むことにも成功。
党員は選挙の度に増えていますので、初の国政選挙で旋風を巻き起こせると信じています。」
「ああ、党員票だけでかなりの得票が見込めるのは、対立候補にとってプレッシャーだろ。
そこで、くじけてくれれば楽勝だが、逆にプレッシャーをばねに頑張る人もいるのかな。」
「与党の組織票はどうでしょうか?」
「利害関係がはっきりしている組織は崩れないだろうが、苗川のビッグプロジェクト見て心が揺らぐ人はいるだろう。
選挙の時、地方の活性化を謳う候補はいても、当選した後、何の結果も見せられない人ばかりさ。」
「具体性に欠ける漠然とした主張をしていても当選してしまうのですね。」
「与党の公認候補というだけで票が入るからな、不祥事を起こす様な人でも当選だ。
まあ、具体的なマニュフェストを掲げて政権を握り、それを殆ど達成出来ず日本を停滞させた政党も有ったんだ、漠然としておけば、やれなくても嘘にはならないと考えてるのかも知れないね。」
「我が党の公約に嘘はないですよね。」
「公約作成に携わっている人は多く質も高い、党のシステム有ってのことだがな。
細部では具体的な案を提示、それぞれに作成担当責任者を明らかにしている。
政権を取れたら、そのまま事業を進められるレベル、勿論政府が案を採用してくれて構わない。」
「あっ、衆議院選挙は何時頃になるのでしょう?」
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衆議院の解散総選挙は総理大臣次第だ。

「およその日程が分かってる参議院選挙を優先してはいるが、衆議院選対策本部も準備を進めているよ。
ただ、どちらもほとんどが新人候補だから準備に時間は欲しいとこだな。」
「いきなり政権を握れるとは思っていませんが、目標ですよね。」
「ああ、似た様な顔ぶれが無意味な議論をしている国会を根本から変えて行かないと、日本の老化は進むばかりだろう。」
「政権を握るには党の更なる拡大が必要ですが、支部が無かったり、有っても党員数が少なく勢いのないエリアが結構有りますから、先は遠そうです。」
「それでも、統一地方選挙での躍進を受けて市民政党を紹介する番組が放送されただろ、党のシステムも紹介されて、その影響は大きいと思わないか。」
「はい、他党との違いを強調してくれた『誰でも発言出来る』のパートは特に良かったです。
誰でも発言出来るが、自己中な百人の意見より、冷静且つ理論的に二百人の幸せを考える一人の意見が尊重されるシステム、単なる多数決でないことを上手く紹介してくれました。」
「君達はあの番組には関わっていなかったの?」
「時間的な問題も有りまして学生スタッフにお任せしました。」

そこへ昼食の準備が出来たと愛華が。
昼食は、本間夫人を交え五人で。

「ふふ。」
「奥さん、どうかされましたか?」
「和馬さんは幸せ者ね、愛華さんと清香さんは、調理はまだ慣れてないと言いつつ、和馬は、和馬ならって言いながらの味付けで、私の市長さんを忘れて料理してましたのよ。」
「あっ、失礼しました、二人は本当に初心者なんです。」
「謝ることはないですよ、三人で料理出来て楽しかったです、ちゃんと和馬さん好みに仕上がってますか?」
「はい、美味しいです、本間市長のお口にも合えば良いのですが。」
「はは、料理の素人でも、普段から美味しいものを食べてる人が作ると美味しく仕上がるのだね。
清香さんの会社が近々オープンさせる店への期待感が高まったよ。」
「有難う御座います、苗川でも銀座本店の味を味わえる、というのが売りなのですが、メニューに和馬好みの、と付け加える企画を進めていまして、今日の料理がお口に合いましたなら、試してみて下さい。」
「それは面白い演出だね、和馬くんは拘るタイプなのか?」
「本当に拘ってるのは瀬田のお父さまなのです、そんな事も少しずつ明かしながら、店の売り上げを伸ばして行く作戦を練っています。」
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店は駅前の空き店舗を利用して、ビルが取り壊されるまでの期間限定でオープン、その後、新たな造成地に建てられる店舗へ移動という計画、乾社長が店舗展開に強気なのは現時点でも飲食店が不足気味だからだ。

「清香さんのお蔭で空き店舗が減って嬉しいよ。」
「これから人が増えますので、普通の食事を提供できれば赤字にはならないというのが乾社長の思惑です。」
「本間さん、苗川大改造に着手していなかったら、店を出しても客は来ないでしょうね。」
「多分な、駅の利用者は減り、寂れた駅前、住民が、何もない田舎の町だから、と動かなかった結果のままさ。
魅力的な古い町並みでもないのに新陳代謝をさせられなかったら衰退しかないね。」
「町の新陳代謝が上手く行けば苗川の様な大改造の必要はないのでしょうか?」
「田舎では町の新陳代謝そのものが難しいだろ、大都市圏なら老朽化した建物は倒され新たな建物が建てられるが、新たな建物の需要を生み出せないのが多くの地方都市なのさ、過疎地に至っては言わずもがなだな。」
「本間さん、苗川レベルの大改造はなかなか難しいと思うのです、他の自治体でも出来そうなことは有りませんか。」
「清香さんの気持ちは分かるが人間は欲の塊だからね、住みたくなる街づくりを目指す人が現れても、目先の利益に囚われる人が足を引っ張るんだよ。
苗川は奇跡的にそういう人が少なかったから一歩踏み出せたんだ。」
「住人は変えたいと思っていても動けない、そこに外からの指導者が現れて、規模の大きな提案、それに反論出来るだけの人がいなくて大きく動いた、という感じでしょうか。
旧態依然の市町村では、苗川の様に外からの指導者を受け入れることすら考えられないかも知れませんが。」
「和馬、排他性は自己防衛本能に由来するところも有るから仕方ないかもよ。」
「幾つかの市で、苗川の取り組みを検証し自分達の町でも可能か検討を始めていますが、やはり一番の問題は初期投資、行政の思惑で市民を動かすことは難しそうです。
本間さんは、市長になられる前に、苗川市民と都市計画を話し合われていたことが良かったと思いませんか?」
「ああ、清香さんの言う通りだ、同じ市民という立場で語り合えていたからね、市長になってから提案してたら全然進まなかったかも知れない。」
「私利私欲が優先、政治の世界はどこも旧態依然のままだと感じています。」
「だよな、国会でも旧態依然のやり取りを見せられ続けて、でも、そこに我々の付け入る隙が有るのですよね、本間さん。」
「ああ、他の政党に対して残念な気持ちが高まっている今は、新しい形の政党ということで多少の違和感を持たれている、市民政党若葉にとってはチャンスだな、一気に政権を取りたいね。」
「次の衆議院選挙が何時になるか分かりませんが、少し気が早くないでしょうか?」
「いやいや、目標は高く掲げて、統一地方選挙の結果に青ざめている与党に対して、参議院選挙でもう一撃食らわせられたら、可能性は高まるよ。」
「勢いだけはどの党より有りますものね、清香、私達も後押ししましょうよ。」
「勿論、お手伝いさせて頂きます、でも…、政権を取るなんておとぎ話みたいで、実感が湧きません。」
「そうだな、国民に夢を見させる市民政党若葉にしようよ。」
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「君達の本、夢を見させるに繋がるかもしれないね、『市民政党若葉はこうして生まれ育った』は実に面白かったよ、統一地方選挙に合わせての発売だったが沢山売れてるのだろ?」
「はい、地方選で勝ちましたので、まだまだ売れていて売り切れ続出、党員の人数を考えたら強気で問題ないだろうと、百万部の増刷が決まりました。」
「印税はかなりな額になりそうだね。」
「現時点で四億ぐらいになりそうです、後、党大会ぐらいまでの話をドラマか映画にという話も出ていますのでもう少し。」
「良い事だね、党のことを多くの人に親しみを持って知って頂ける、続編の予定は?」
「続編の主人公は本間さんになります。」
「清香さん、私では読まれる方ががっかりするぞ。」
「一冊目で本間さんの名前を出さなかったのは、次で本間さんと苗川市をクローズアップしたいと考えてのことです。
私達の目から見た本間さんと苗川市ですが、エピソードに関しては奥様の協力を頂きます。」
「料理を作りながらそんな話もしていたのか。」
「原稿は本間さんにも見て頂きますので、読者が大喜びしそうな、でも本間さんとしてはどうしてもカットしたい部分が有りましたら、遠慮がちにNGを出して下さって構いません。」
「まいったな、何時頃から書き始めるの?」
「下書きは半分ぐらい出来上がっています、昨夜は追加の取材、今日は奥様への取材で、今月中には形にしたいと考えています。」
「しかし、忙しいのに大変だろ?」
「いえ、愛華と私の日記を元にしていますので、一冊目は日記の文章をそのままという部分も少なくなかったのです。」
「日記が記録として役に立ってる訳だ。」
「はい、私達が出会った当初は何の意識も無く書いていましたが、愛華も日記を書いてると知ってから、私達は少し違う視点で残そうと考えました。
書籍化は、二人の日記を見せ合って編集という作業、楽しかったです。」
「だから、佐伯愛華、柚木清香の共著、協力、棚橋康太、瀬田和馬ということなのか。
そんなことも二作目で紹介するのかな。」
「そうですね、冒頭には一冊目の話を少し入れたいです、愛華、どう?」
「読者は私達の裏事情を知りたがってるのだから入れるべきね、少し恥ずかしい話も披露して差し上げましょう。」
「本間さん、一冊目程のインパクトは与えられないと考えているのですが、苗川大改造に注目を集め続けることを考えています。
面白い裏話が有ったら、清香達に教えて頂けないでしょうか。」
「そうだな…、駅前の小さなビルのオーナーは…。」

本間さんは土地区画整理組合に関する裏話を教えて下さったが、始めは反対していたのに、愛華に亡き妻の面影を感じ協力的になった老人がいるという、かなり怪しげな話。
だいたい、愛華似の美女なんてざらにはいない。
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「本間さん、そういう話よりもっと市民政党のことを好きになれる話は有りませんか。」
こんな時、愛華は遠慮しない。
「そうだね…、愛華さん達は、本を出版するにあたって何か特別な思いとか有ったの?」
「はい、魅力ある政党を考えた時に市民と政党との関係を考えました。
政党は、政策や議会活動での正しさで評価されるべきだとしても、殆どの市民にとって政党は身近なものでは有りません。
もう少し政党を一般の皆さんに近付ける必要が有ると思うのです、その為には、政党という組織の魅力を政治以外の側面から高めても良いと思ったのです。」
「確かに一冊目はそれに成功したね。
大学生がどんな思いで政党を立ち上げ、それを大人達がどう受け止め拡大して来たかが良く分かった。
市民と政党の関係強化が目的、う~ん、私も市民政党のことを好きになって貰えそうな本のネタ、考えておくよ。」
「お願いします。」
「そう言えば、最近、市民政党の党員だと公言してくれる芸能人が増えたね、あれは和馬くんの差し金なのかな?」
「いえいえ、自分からお願いしたことは有りません。
ですが、彼らの一言は投票行動に影響を与えていると思います。
先日お話させて頂いた俳優は、他党だとイメージが悪くなるが、市民政党なら自分のイメージを損なわず、安心して応援できると話して下さいました。
彼が市民政党から何を感じたのか、ファンの方々も考え市民政党を共に応援する事で、市民政党を彼と共有する、という感覚に至ってくれたら嬉しいですね。」
「うん、このまま応援してくれる芸能人が増えたら、選挙運動はいらなくなりそうだ。」
「はは、そこまでは。」
「幅広い年代にファンを持つ歌手の影響力は大きいぞ、ね、清香さんもそう思うでしょ。」
「はい、大物ほど社会の事や国の事を考えて下さってると感じます。
Citoyenブランドのオーダーメイドを着て下さる方もみえますが、多分意識的にされてると。」
「そう言えば、Citoyenブランドの話は本に出て無かったね、大きな取り組みなのに。」
「儲かってる話は控えめにしようということで、党のサポートに過ぎませんし。」
「康太くんが頑張っているのだろ。」
「ええ、でも実際は愛華の母がデザイン系を取り仕切り、製造は清香父の所の子会社が取り仕切っていてくれてまして。
でなかったら統一地方選特需に対応出来なかったと思います。」
「成程、製造は大量生産なのかな。」
「バリエーションを用意という事も有りますが、Citoyenの製造は幾つもの工場に分散委託しています。
Citoyenスタートから直ぐに、品質重視、労働者の労働条件が悪くないことを前提に生産工場を募集しました。
高級品から普段着として着られるトレーナーまで、選挙特需を見越した契約を製造会社と交わしましたが、大都市圏から外れたところの業者を優先しています。」
「市民政党が躍進すれば地方の会社が潤うという構図なのか。」
「はい、今は参院選に向けて新作の製造に入ってるでしょう。」
「全て定価販売、利益の八割が販売仲介した党支部に入るのは大きいよ、市議会議員選挙でもお金の心配はいらなかったと聞いてる、だが、参議院選挙に向けて、本部の取り分を増やさなくて良いのか?」
「選挙で実際に動くのは地方支部ですし、本部へは本の印税の九割を回します、お金をばら撒く様な選挙をする訳では有りませんので何とかなりますよ。」
「そうだな、そんな事をしたら党の評判はがた落ちだ。」

それから話題は政治家の不祥事に。
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「本間さん、いずれ市民政党からも恥ずかしい議員が出て来るのでしょうか?」
「愛華さん、出て来ておかしくないと思うよ、人間だから。
経理面を党で管理していても、私利私欲に走る人は裏をかく、ばれないだろうと思ってね。
失言や不倫も党の力でどうなるものでもないだろう。」
「人数が多いですからね、問題発生時のマニュアルでイメージダウンを最小限に留めるくらいしか手は無いかも知れません。」
「私は、市長に立候補する時、不倫のリスクを教えられた、市長としての心得は定期的に確認して修正点がないか考えているよ。
失言は緊張感の無さか頭の悪さだからな。」
「大臣の失言が話題になりますが、良く調べてみると話した内容全体を見れば何の問題も無いのに、一部を切り取って報道するマスコミに悪意を感じる事が有ります。」
「あるね、うちがターゲットにされたら、党のシステムを使って少なくとも党員には理解して貰いたいものだ。
しかし、失言一つで、本当に必要な橋の建設が遅れるとか有ってはならない、私も言葉は慎重に選んでいる、政治家は言葉が全てだろ。」
「えっ、お金が全てでは無いのですか?」
「はは、昔はそうだったのかも知れないが、少なくとも市民政党は違うだろ、収支チェックも党本部でやってくれてる、統一地方選挙の結果、議員が一気に増えたが、システム的には大丈夫なのか?」
「ええ、各議員サイドが入力したデータを定期的にコンピューターがチェックしています、うちわ、カレンダーと言ったワードが発見された場合はピックアップされますし、ガソリン代が異常に多いといった過去に問題視された項目も自動で確認していますが、人間の目でも確認し、AIの精度を上げています。
定期的にデータを公開して、一般党員にも見て頂いてますからね。
問題が生じるとしたら、入力されない収支が存在するかどうか、これは議員の良心を信じるしかないです。」
「そうだな…。」
「和馬、議員に対して、市民政党を応援して下さってる著名人の名簿を提示し、不祥事を起こしたらこの方々にも多大な迷惑が掛かると示しておくのは如何でしょう。」
「うん、心の縛りとして有効かも知れないね、本間さんはどう思われます?」
「良いと思う、定期的に党員総数とかと共に提示していれば、心の緩みを防げるだろう。」
「では早速…。」

清香は席を外し、党のシステムで提案を公開。
夜には、著名人名簿作成へ向けて動き始めていた。
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苗川から帰りしばらくして、この著名人党員名簿が面白い事になっていた。
始めは、党員で有る事を公言して下さった方のみで始まった名簿作成に対して、今まで沈黙を守っていた方々も公言し始めたのだ。

「清香、ここまで名簿に名前が並ぶとは想定してなかったよな。」
「ええ、著名人かどうか微妙な方もみえますが、意思表示することでご自身の立ち位置を明確にされたかったのかも知れません、参議院選挙に向けての明るい材料になりました。」
「週刊誌が『名簿入手!』という見出しでいい加減なことを書いてくれたが、こちらにとってはプラス材料、統一地方選までは静かなブームだったのが、選挙を経て大きくなり、それを著名人たちが更に拍車を掛けてくれた形だな。」
「市民政党の聖地巡礼も思惑通りに広がり始めました。」
「情報は入ってるの?」
「ええ、苗川の再開発地やログハウス村は勿論ですが、リアル党本部開設時に大きく動いた七つの市でも、地方都市連合の核として、何のご利益も無い女神像を設置したのが党の聖地と認知され、観光客が増えてるそうです。」
「参議院選挙に合わせて俺達が聖地巡礼したら効果的かな?」
「効果は有るでしょうが夏休み前で日程的に難しいです、他の手段を考えませんか?」
「そうだな…、手間が掛からず効果的に…。」
「和馬、党のイメージソングというのは如何です?」
「ああ、う~ん…、悪くないね、イメージソングなら歌詞に市民政党若葉を入れる必要もなく作詞がし易いだろう。
プロアマ問わず広く募集して…、党員にはシンガーソングライターもいる、党のシステムで提案すれば、誰かが上手く進めてくれそうだよな。」
「では、早速…。」

党のイメージソング一曲目は提案から三日後のラジオ番組で流された。
正確にはプロがギター一本で曲を完成させる過程の一部をオンエア。
これがニュースになり、他のアーティスト達を刺激、多くの楽曲を生み出すことになる。
党としては、イメージソングとして問題の無い楽曲に対し、タイトルの上に市民政党若葉イメージソングと入れる事を許可するだけだ。
『瀬田和馬が十万円で買った土地』『何の願いも叶えてくれない筈の女神さま』なんてタイトルのコミカルな曲も有ったが、殆どは市民政党若葉イメージソングとしなくても普通に良い曲ばかり。
CD発売は参議院選挙に間に合いそうに無いが、アーティスト達はインパクトの有る演出を色々実践してくれ、市民政党若葉の名を有権者に広く浸透させてくれている。
演歌歌手とロックバンドが党員同士という括りでコラボしてくれたり。
梅子姉さんとの番組にゲストで来て下さった大物シンガーソングライターは…。
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「和馬くん、君と会えて光栄だよ。」
「いえいえ、素敵な曲を党のイメージソングにして下さって有難う御座います、曲作りは大変だと思うのですが。」
「いや、テーマが有ると比較的楽なんだ、私は何もない所からテーマを見つけ出す作業が苦手でね。」
「そいうものですか。」
「今は、コラボや誰の曲が一番売れるのかに注目が集まっているが、まだまだ面白くして行くからな。
曲を発表している連中とは連絡を取り合い、党のイメージソングだけのライブを出来ないかとか相談しているんだよ。
参院選までは日が無くて大きいのは出来ないが、すでに決まってるライブにゲスト出演の形でイメージソングを歌って貰うとかもね、今まで接点の無かった人と党員繋がりで交流して行くのも面白いだろ。」
「そこまで考えていて下さるとは思ってなかったです。」
「我々も、政治に閉塞感を感じ続けて来たんだ、今の野党は問題外だが、与党を全面的に支持出来るかと言われたら、色々引っ掛かるだろ。
市民政党若葉が目立ち始めるまでは諦め気味で政治を見ていたのだが、まあ、党員になって答えを見つけた気がするのさ。
党内の議論は透明、他の野党の様に与党に反対するばかりではない、多くの人が党の原則に従って意見を出し合い、集約し法案を考えている。
苗川の様に党が主導しての再開発事業は他の市へも広がりそうで、内需の拡大に繋がる。
政治判断についてなどの党員教育も進んでいて、これなら政権交代しても安心だと思っているんだ。
で、党員の合言葉は自分に出来る事をする。
音楽やってる人間に出来る事は、音楽で人を動かすこと、連絡を取った若い連中も力になりたいと話してくれたよ、みんな気合の入った曲を出して来ているだろ、俺達は日本を変えたいと思っていたのだが、清香嬢が良い提案をしてくれたおかげで動き始めることが出来たんだよ。」
「自分達は何もしないで最大限の効果が期待出来る、そんな身勝手な提案でしたが。」
「はは、確かにな、それまでも党の応援をしたいとは思っていたが、党のイメージソングを作曲することは思い浮かばなかったんだよ。
これからは、We Are The Worldには遠く及ばなくても、日本のミュージシャンが結集して、例えば貧困問題と向き合うといった企画を十組のアーティストが集まってとかを、市民政党若葉の旗の下にやって行けたら良いと思ってるんだ。」
「今まで日本には無かったことですね。」
「ああ、日本人の意識改革を党でも考えているだろ、テレビ局がやってる怪しげなチャリティー番組を吹き飛ばしたいよ。」
「あっ、聞いた事が有ります、海外のチャリティーとは全く違うとか。」
「市民政党若葉同様、すべての収支をオープンにしたイベントをやってみたいと思っているんだ。
企画がまとまってきたら、和馬くんも見てくれな。」
「はい、慈善団体を装って活動していても、寄付金や助成金が組織の維持費、理事とかの給料に消えて、大した活動をしていない団体が有ると聞いた事が有ります。」
「慈善団体だけでなく、官僚主導で作られた団体は官僚の天下り先だったんだ、市民政党若葉が政権を握ったら、国から助成金の出てる所は全部確認して欲しいね。」
「私利私欲が見え隠れ…、ですが、政権を取るまでの道のりは厳しいかと。」
「ひとまず参院選の公示まではひたすら党の宣伝をすれば良いのだろ、立候補者個人の応援はタイミングを間違えるとまずいと聞いたし、知らない個人は応援しにくくも有る。
問題は…、なあ、衆参同日選挙は有ると思うか?」
「ええ…。」

衆参同日選挙の可能性は否定出来ず、党の幹部を悩ませている問題でもある。
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「微妙ですよね、国民の信を問うとして解散するネタは有りますが、市民政党が統一地方選挙で大きく勝利したことを与党がどう受け止めて、そこからどう判断するのかは分かりません。」
「だな、市民政党をどれだけの脅威と考えているのか分からないもんな…、なあ、衆議院が解散した場合の準備を進めていると知らされているが、出馬交渉中に関しては非公開で我々は状況が掴めない、実際のところはどうなんだ?」
「自分も詳しくは分かりませんが、何時解散されるか分からないということで話が進みにくいと聞いています。」
「そうか…、和馬くん、タレント候補には否定的な意見が有るが、市民政党のシステムなら候補者が、そうだな…、党の方針に基づいて自分の言葉で国民に話せる人物で有れば問題ないと思わないか?」
「はい、人間的に問題が無くて、自分のチームをまとめられる人で有れば大丈夫だと思います。
衆参同日選挙になった場合は、参議院比例候補から衆議院の選挙区に回って頂く話も有りまして、そこで空く参議院比例代表に、知名度の有る候者が入れば心強いです。」
「著名人党員名簿を見てると候補は何人もいると思うんだ、他党からの出馬だったら失敗しそうな人でも、市民政党ならしっかりとしたチームを組んでサポートして行けるから大丈夫じゃないのか。」
「そう思います、他党から移籍して下さった議員は、安心出来るサポート体制が出来上がって余裕が出来たと話して下さいました。
タレント候補の話は党の幹部に伝えます、衆参同日選挙になっても、しっかり候補者を立てられたら市民政党にとってチャンスだと思うのです。」
「だよな、資金の方は大丈夫か?」
「はい、Citoyenが売れていますし、本の印税も有ります、同日選挙になったら企業も動いてくれるでしょう、選挙そのものの費用に問題は有りませんが、党組織が大きく変わりますので余裕とは言えません。」
「自分も寄付するし、一般に対して寄付を呼びかけるのなら協力するよ、政権を取りに行くのだろ。」
「ええ、衆議院選挙が確定した段階で、全党員に対して党首からの決意表明と立候補予定者名簿の提示を予定しています。
政権政党を目指すのは、多くの党員が望んでいることですので。」
「生まれて初めて、心の底から一票入れたいと思う政党に投票出来そうだな。
う~ん、自分に出来ることは…、和馬くん私設応援団を著名人党員中心に結成しようか、参院選だけだったとしても確実に議席を確保しておきたいだろ。」
「ですね、よほど上手く行ったとしても、参議院で過半数を取れるのは三年後です、可能な限り議席を確保したいです。」
「総理が解散を考えられなくなるぐらい勝てたら、衆議院選挙の日程はほぼ確定だな。」
「ただ、二年の準備期間が有った方が良いのか、勢いの有る今、衆参同日選挙が良いのか悩ましくないですか?」
「だよな、今でも党員が頑張れば政権を取れそうな気がしているんだ。」

彼は自分のラジオ番組で、市民政党若葉私設応援団の結成を呼び掛けてくれた。
それに呼応したのは様々な年代層様々なジャンルの人達。
すぐに、新しい政党に抵抗感を抱いていそうな人達へも市民政党若葉を広げて行こうと動き始めた。
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「愛華、CitoyenのTシャツ、凄い売り上げだね。」
「ええ、豊富なデザインと、今までCitoyenの商品を持ってなかった人がTシャツならばと買って下さってることも大きいみたい、党員数の倍を超えたのは参院選の影響が有るかもだけど。
党支部からはTシャツの利益だけで参議院選挙の費用を充分賄えるという話が来てるのよ、候補者関連は県連が取り仕切っているという事情は有るのだろうけどね。
参院選で皆さんが着て下さればCitoyenの宣伝にもなりそうだわ。
ねえ和馬、微妙な衆議院選挙の方はどう?」
「衆参同日選挙の可能性が高まったみたいで、何とか候補者を揃える事は出来たと聞いてる。
その場合、学生の応援を要請したいという声が上がっているが試験期間と重なるだろ、本部は大変だよ。」
「可能性が高まったとの情報源が与党から寝返った人って本当かしらね。
しかも寝返った中には党のスタッフや議員秘書もいるという噂でしょ、パソコンをまともに使えない議員の代わりに情報収集、その過程で市民政党に党員登録した人達が、市民政党のレベルの高さを知り政権交代すべきだと感じて同日選を進めてるとか、もっともらしいけど怪しげな話、でも完全には否定出来ないのよね。」
「うん、三流週刊誌の作り話に過ぎないという話も有って、党本部として公開できる情報はないそうだ。
ただ、解散総選挙で市民政党若葉の出鼻を挫くという方向性になってるのは本当みたい、真面目な党員はあちこちにいる訳でね、何時発表が有っておかしくないそうだよ。」
「選挙、勝てるかしら?」
「勝てると信じたいね、市民政党若葉私設応援団が盛り上がり始めているだろ、投票日前日をピークに持って行ければ勝てそうな気がする、なんせ凄い人達が団員に名乗りを上げて下さってるからな。」
「そうね、無党派層はそれで取り込めるとして、後は与党支持者をどれだけ味方に出来るかと言った所かしら。」
「う~んそうだな、組織票が気にはなるが…。」

そこへ、清香が入って来て…。
「衆議院の解散が発表され、衆参同日選挙が確定しました。」
「いよいよか。」
「党首の記者会見は本日二十時からで調整に入ったところです。」
「和馬、顔を出すの?」
「夜なら特別な予定はないか、マネージャー、党本部に連絡して我々が出席するかどうかはお任せすると伝えてくれますか。」
「分かりました、出席の場合は夕食の店を押さえておきましょうか?」
「愛華、気分は?」
「中華でどう、清香?」
「構いませんが、控えめな食事にして下さい。」
「承知致しました、その様に手配しておきます。」
「嬉しそうだね。」
「はい、いよいよじゃないですか、市民政党若葉が政権を握る、国会議員が十二人しかいない政党がいきなりですよ。」
「はは、選挙はそんなに甘くないです。」
「うちの両親は私が市民政党の話をしても全然乗って来なかったのに、市民政党若葉私設応援団に好きな歌手やタレントが参加し始めたら、掌を返した様に市民政党のファンに、Citoyenブランドで身を固め、父は愛華さん派、母は清香さん派なのですよ。
変わり身の早さに驚くばかりですが、候補者の事を詳しく知る事の無い多くの有権者は似た様なものではないでしょうか。」
「そうか、今回の選挙、争点は多くない、イメージ重視にならざるを得ないのかもな。
愛華、今夜出席することになったら衣装はどうする?」
「清香、あれの出番ね。」
「ええ。」
「用意してあるのか?」
「党首が大きな決意表明をする、その場に相応しい私達の衣装を考えていたのよ。」
「へ~。」
「弓道などの道着をベースに日本的な恰好良さをアピールしてみるわ、和馬たちのは適当に指示しておくわね。」
「適当か…。」
「党首の衣装に合わせてね、すでにスタッフが動いてると思うわよ、想定内の出来事なんだから。」

そうだ、愛華の言う通りここまでは想定内だ。
そして、市民政党若葉が政権政党になるという事も俺達は想定していた筈だ。
単に党員が多いだけの政党では無いと思いつつ緊張感が走る。
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