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構築-01 [シトワイヤン-04]

国民たちは婚姻を中心とした民法の検討をしている。

「バーチャル王国ならではの意見が沢山出てきたわね、リアルで浮気や離婚に直面してる人もいるのかしら。」
「思ってたより、柔軟な検討が進んでるよな。」
「他人事みたいに話してるが、康太は大丈夫なのか?
元カノの出現と彼女の誤解、隙をついて康太を狙ってる子もいるのだろ?」
「なんか面倒になってさ、しばらく誰とも付き合わないって宣言したのだが、逆効果で女友達の数が増えてしまった感が有る。
なあ、実際の所、愛華と清香は和馬を独占したいとか思わないのか?」
「そうね…、話しても良い? 清香。」
「ええ。」
「私達が出会ったばかりの頃ね、和馬は私達共有のおもちゃにしようって話してたの、男子校出身者の人が新鮮でさ。
でも、一緒に学習したりする内にね、清香と二人でお茶する時の話題が和馬の事ばかりになったわ。」
「そうか…、そういうプロセスを踏むと互いにライバルでは無く仲間ということになるのか。」
「和馬は康太みたいに誰かれ構わず愛想よくしないしね。」
「いや、だから和馬はリアルでも人気度が低いのだよ。」
「それは外見で判断する女子大生目線でしょ、実際はそうでもないのよ、康太の情報源は偏って…、まあ私の情報源が偏って無いとは言い切れないのだけど。
康太みたいに女性関係が面倒な人より、私達にとっての和馬は最高、それだけで充分だわ。」
「この先リアルの民法と向き合う事になってもか?」
「ええ、だから王国内の議論は興味深い、一夫多妻を認めなければ国王の婚姻を認めないことになるでしょ、勿論そうなったら絶対王政の国にするけど。」
「私達の結婚は日常の常識を外れたものとして国民に届きましたが、そこから議論が深まり、五名以上の連名による法案作成に向けた意見が届き公開されています。
この法案作成までのプロセス、やはり市民政党若葉でも取り入れたいです。」
「取り入れるというより、党の柱にして良いだろ、党の方針を市民の意見で形成する、リアル政党にならなくても、党員が増えれば有権者に対して影響力を持てると思う、そんなレベルにはしたいよ。
和馬、ゲーム内での反応を考えたら、多少の初期投資をしてでも進めたいと思うのだが。」
「そうだな、具体的にどれぐらいの費用が掛かるのか、試算して貰うか。」
「初期投資ぐらいは何とかなっても、収入がないと長く続けにくいわね。」

それから、協力を申し出て下さってる方々とも相談した。
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構築-02 [シトワイヤン-04]

党のサイト構築は、バーチャル政党を確立させるということを、知的ゲームと捉えた人達とスタートしたのだが、ゲーム運営チームのメンバーから協力を申し出てくれる人がいたことは心強かった。
だが問題は…。

「システムが完成すれば、人件費はそれほど掛からないという事だけど、運営資金を広告収入だけで賄うことは出来るのかしら。」
「そこは、愛華次第だな。」
「私?」
「愛華がにっこり微笑めばスポンサーが増えるのさ。
次回のパーティーはバーベキューに来てた人が中心だからね、皆さん党員にはなって下さるだろうが、更にスポンサーとなって頂けたら助かるだろ。
初期費用は柚木氏とうちの親父が負担してくれるとしても、大勢の人に支えられる市民政党が理想だよ。」
「そうですね、スタート時点で党員から会費を集める事は出来ません、まだ力の無い市民政党のスポンサーになる、その意味を考えて頂きましょう、和馬、党のサイト構築は進んでいるのですか?」
「ああ、明日にはサンプルを閲覧可能な状態にしてくれるそうだ。
それを確認したら、ベータ版のテストを兼ねて党員募集を始めると同時に、党の方針や党員資格についての議論を始めて貰おう。」
「まずは百人ぐらいかしら、でも、見守るだけの人もいるのよね。」
「すぐに増えます、もし増えなかったら和馬王国の国民に対して、市民政党若葉の党員にならなければ税金を二倍にすると発表します。」
「思いっきり市民政党の発想と矛盾してると思うぞ。」
「ゲーム内のお遊び政党とゲーム外の真面目なバーチャル政党を微妙にリンクさせ、タイミングを見計らってゲーム内の政党名を変更すれば良いでしょう、二つを真逆の方針で進めることが出来れば楽しいです」
「そうだな、皆さん結構理解して下さっているみたいだから、極論をゲーム内で検討して行くという形も有りかもな。」
「極論が実は極論ではなかったりするかも知れないよ、老人福祉にばかり目が行ってた時代には保育の無償化なんて政治家は考えもしなかっただろうって、親父が話してた。」
「でも、無償化ってなんか、もやもやするのよね、予算の問題も有るでしょ?
次回のパーティーで、大人の皆さんの考えを聞いてみようかしら。」
「ああ、そうしよう。」
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構築-03 [シトワイヤン-04]

我が家でのパーティー、参加の皆さんは党員登録を済ませていてくれた。

「安藤さん、ベータ版に書き込んでみて如何でしたか?」
「そうだな、テーマの希望を出すと、重複していないか検討してからスレッドを立てるというのは良いと思う。
参加者が自由にテーマを作ってしまうと混乱し易いからな。
それでも、参加者が増えたら個人の意見をまとめて行くのが大変そうだね。」
「そこは、自然とグループが形成されて行くことを期待しています、同意者の多い意見を中心に。」
「和馬、同意する、対案を出す若しくは紹介するとして、同意しないという項目が無いのは考えあっての事なのか?」
「他に案も無く同意しないというのは建設的では有りません。
全党員に投票して頂く、区切りの案に対する投票、では賛否を問いますが、対案を出さず否定ばかりの人は党員では有りません。」
「そうだな、単に妨害したいだけかも、なあ、意見が二つに分かれ拮抗した場合はシビアに一つを選ぶのか?」
「正式な政党では有りません、両論併記で構わないと思っています。
どういう論議が交わされた結果なのか明記して、もう一度皆さんに考えて頂きましょう。」
「ああ、国際問題、天変地異、不確定要素が有るから単純ではない、それこそ政治的判断が必要なことも出て来るだろうしな。」
「政治的判断を下した場合の予測をコンピューターを使ってという案も出ていますが、予算的に無理そうです。」
「それは変数が多過ぎるだろ、例え予測を出せたとしても、占いのレベルになるぞ。」
「でしょうね。」
「サイト構成としては、簡潔にまとめた意見、中高生でも理解できる解説、詳しい資料を含めた研究の三段階を想定してる人がいたな。」
「はい、時間は掛かっても、中身の濃いサイトに出来たらと思います。」
「荒らし対策はどうなんだ?」
「禁止している意味のない文字の羅列等が有った場合は、威力業務妨害で訴える事を想定しています、登録時の警告が嘘で無い事を一度示せば、安易な発言は増えないと思いまして。
市民政党の有り方に反対の人でも党員になれますが、投票等の履歴から党の方針に対して明確に反対している人には離党を勧めたり、党員資格剥奪などもイメージしています。
「反対意見を述べずに、反対票ばかり投じる人か…、党費はずっと無料なのか?」
「まだ、それを考えるレベルでは有りません、無料だから安易に登録出来るというのがマイナスになるのなら、党員の方々に検討して頂きましょう。」
「そうだな、党費を集めるのも手間は掛かるが、サイトの運営はどんな形を考えているんだ?」
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構築-04 [シトワイヤン-04]

「サイトの運営会社を設立します。」
「そうか、社名は?」
「えっと…、恥ずかしながら、株式会社和馬です、清香嬢の案に反対してくれる人がいなくて…。
その代わり、社長は康太に押し付けました。」
「はは、政党代表が社長を兼務するより良いと思うよ、で、資金は充分なのか?」
「維持して行くだけなら株式会社にする必要もないですが、今後の展開次第では微妙です。
ベータ版システムのテストが進んだ段階で、党員にお願いしSNSでの広報展開、その状況を見ながら、タイミングを計って本格始動とし、ネット上に党員募集の広告を出したいと考えています、問題はその規模ですね。」
「そうだな、中途半端では意味ないが費用を掛け過ぎるのもな、スポンサー企業は募集するのか?」
「はい、市民政党を応援する企業、とスポンサー企業がアピール出来るだけ政党にする事が前提ですが、宣伝広告費は必要だと考えています。」
「運営会社の収入はサイトの広告とスポンサーだろ、それでまともな額になりそうか?」
「まだ分かりません、念のためと言うか、清香はグッズ販売を考えています、デザインが良く、市民政党若葉が広く受け入れられることに成功したら、それなりの利益が出せると人を動かし始めています。」
「はは、お父上に甘えるだけではないのだな。」
「はい、初期投資も自分達の貯金で問題のない金額なのですが、大人を立てることで自分達の本気度が伝わると柚木氏は話して下さいました。
会社の名前をお借りすることで、無名の大学生がお遊びで始めたというイメージが払拭されると思います。」
「確かにその効果は大きいだろう…、リアル政党に献金するよりメリットが有ると企業に思わせることが出来たら成功だな。」
「安藤さん、政治献金って微妙ですよね、献金した企業を優遇しないと言っても、その献金が政治に影響しないかと言えば…、まあ、大きな目で見て何かしらのメリットが有ると考えて献金するのでしょうが。」
「そうだな、公職選挙法や政治資金規正法が有るとは言え、法案の中には関連する団体の利害に係わるものも有る、広く国民の利益を前提としていれば問題ないのだろうが、経営者の利益と労働者の利益は違う、労働者にも選挙権が有る、と言っても今の野党がやってる事を考えたら虚しくなるだろ。
離合集散を繰り返し、国民の為というより自分達の地位を守る事で精一杯。
だからバーチャル政党でもきちんと意見を出して行けば、野党以上の組織になると考えてるんだよ。
和馬、サイトが正式運用に切り代わったら、一気に党員を増やすからな。」
「はい、今は数百人ですが第一目標は一万人です、投票に参加してくれるだけの人も増やして、政治を考える場にしたいです。」
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構築-05 [シトワイヤン-04]

安藤さんとの話に、しばらく話を聞いていた清香が加わった。

「安藤さんは、バーチャル政党の可能性として、政治に関する教育を挙げておられましたね。」
「ああ、選挙権のない中高生だって党員になれるのだろ。」
「ですが真面目な大学生でも難しいと思うことが有ります。」
「その難しさを教えるという一面が有るが、中高生に説明出来る議論で有るべきだと思うんだ、有権者だってその能力は様々だろ、分かり易さは重要だと思わないか?」
「国会中継を見ていても、この人たちは何をしたいのだろうって思うことが有ります。」
「だろうな、だから国会の内容を市民政党で解説しても良いと思うんだ、めちゃくちゃ無意味な駆け引きで無駄に時間を使ってる事をね。」
「それは面白そうです、清香と俺の為にも実現したいですが、国会中継の著作権はNHKに有るのでしょうか。」
「そうだな…、その辺りを完全にクリアするには民放の力を借りるしかないのかな。」
「報道として検証ですか?」
「NHKと交渉するにしても、私には伝手がない、いや、本気で進めるのなら調べてみるかな。」
「安藤さんに負担をお掛けする訳には行きません、和馬と相談してこちらで進めます。」
「清香さんには何か当てがあるの?」
「党の宣伝広告を考えていますが、その一環として学生のチームを立ち上げかけています、その人達に提案してみます。
調べることが好きな人も少なからずいますので、可能性が見えて来たら、安藤さんにも報告させて頂きます。」
「あっ、市民政党はすでに学生の学習や研究に影響を与え始めてるという事なのかな。」
「はい、そちらも党サイトが本格運用開始となったら一気に動き始める、今は静かに準備と言いますか、熱く準備に取りかかってくれています。」
「安藤さん、俺達は着実に仲間を増やしているのです、大学生でも政治に興味のない人ばかりでは無いのですよ。
仲間になってくれた人達は、極左極右ではなく、普通の学生が安心して参加できるバランスのとれた政党の必要性を考えています。」

俺達の学習会は次のステップに移行していた。
学内でも目立つ存在の三人と俺が何をしているのかに興味を持った学生達は、思っていたより真面目に受け止めてくれ、市民政党若葉の党員にもなってくれた。
彼らは選挙権を得たものの、政治とどう向き合えば良いのか、また、良く分からないおじさんおばさんから一人を選ぶ、政党を選ぶと言ったことに馴染めてなかった。
偏差値の高い大学の学生だからと言って、政治について興味が有る訳ではない。
バーチャル政党の可能性は、政治と向き合う切っ掛けだと考えている、そう、その切っ掛け作りに、まだささやかでは有るが、成功しているのだ。
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構築-06 [シトワイヤン-04]

清香が話す大学生達の動きに、周りの大人が興味を示し数人の輪が。
しばらくして話は、国会の内容を市民政党で解説という安藤さんの話に戻った。
面倒なことだが、会議をしている訳でもなく、ある意味自然な流れ。
勿論、単に戻ったのではない。

「国会中継の解説は確かに面白いが、単に時事問題を解説するのなら著作権問題もないだろ。」
ごもっとも。
「問題は短時間で党の考えをまとめ上げ、公開出来るかどうかだな。
政治に係わることを、首相や官房長官が意志表明するぐらいのタイミングまでに公開出来たら面白いだろ。」
「情報量は圧倒的に不利だぞ。」
「そういう事情も明らかにした上で、今、知り得ている情報からの判断として、公開、情報が増えたらそれを精査して、なぜ考えが変わったのかも含めて公開して行く、それなら信用を失うことはないだろう。」
「問題は、それに対応しきれるだけのスタッフを確保出来るかだな。」
「和馬、有る程度党員が増えた段階で構わないから、緊急案件にも対応出来るだけの人材確保を考えてくれよ。」
「問題は人件費ですね。」
「そこはシステムでカバー出来ないか、ホットなニュースに対して自分の考えを表明したい人は少なくないだろ、そして、ベータ版では人の話に聞く耳を持たない様な人物は出て来ていない、一般党員に意見をまとめて貰い、党の案として投票して貰う、その結果を公開して行く事で一般的な人の考えを表明出来ると思うんだ、テスト期間とは言え、これまでの大きく対立する意見は少なかっただろ。
偏ったマスコミより、バランスのとれた考えを表明出来そうな気がするんだ。
短期間で、ということで運営サイドの作業量は増えるだろうが、システムが正常に機能していればすごく大変なことでもないだろ。」
「そうですね、今の内にテストしてみましょう、世の中の出来事に対して党としての見解を、投票結果と共に公開ですね、テーマの発表から投票までの期間は色々試す必要が有りそうです。」
「利害関係が多岐に渡る案件では、色々な項目で投票して貰い、それをまとめて一つの意見にするという手法はどうだ?」
「まとめにくそうですが、それも試しましょう、未完成の市民政党ですが、それでも党としての考えを明確にすることは大切だと思います。」
「まあ、いまの政党だって、理想を追い求めて完成された形とだとは思えないがね。
市民政党としての試練は、党員の意見を二分する様な究極の政治判断を求められる局面、とどう向かい合うかだな。」
「やはり、強いリーダーが欲しいですね、誰もが待ち望んでいる様な英雄が党首になってくれないでしょうか。」
「いや、待っているだけじゃだめだな、指導者を育てるという発想はどうだ?」
「さすがに簡単なことじゃないだろ。」
「党内に教育機関というか研究機関が有っても良いと思う、リアル政党でないのだから大学の研究機関との連携も問題ない、どんなリーダーが理想なのか党員に意見を求めても良い。
なあ、和馬、党員に呼びかけても構わないか?」
「勿論構いません、論理的な呼びかけを否定する人は少ないと思います、先を見据えた考えですし。」
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構築-07 [シトワイヤン-04]

パーティーが終わって。

「今日は、サイトで発表することを躊躇っていた様な意見を沢山聞けたわね。」
「ああ、今まで少し遠慮しておられたのだろう、でも、今日の話で複数の同意者を得てからの提案となる、党員もしっかり受け止めてくれると思う、これを切っ掛けに提案が増えるかもな。」
「それを党員たちで処理し切れるかどうかがポイントになりそうです。」
「大丈夫と言うか、党員が増えたら小さな提案はスルーされて構わないと思うんだ。
本当に自分の意見を党の案としたかったら、人を説得するとか、それなりの努力は必要になるだろう。
そして、そのことが自分達で作る市民政党としての根拠にもなる、一部の偉い人達が方針を決める政党とは違うからな。」
「そうですね、私が提案させて頂く時は、スルーされない様に頑張ります。」
「なあ、愛華はスポンサー、見つけられたのか?」
「見つけるというか、皆さん、今は状況を見極めたいという感じだったでしょ、党員数の増加がスポンサーになる条件だと思うわ。
会社のお金を使う訳だから、党員拡大の実績は必要でしょうね。」
「今はゲーム関係者が中心、そこに学生が加わり、今日のメンバーが支えて下さっているという構図ですが、投票だけに参加してくれる党員なら、すぐにでも増やせそうな気がしませんか?」
「投票しても何のメリットも無いぞ。」
「康太、見返りを求める様な人は党員とは言えません、メリットが無くても党費を払ってくれる様な方が本当の党員です。
私達の力で政治を身近に感じて下さる方を増やせると感じているのです。」
「その為には、やらなきゃ行けないことが色々有るよな、清香、グッズ制作はどうなってる?」
「和馬、焦らないで下さい、手伝って下さる予定の方々には、まず党員になって頂いて、私達が何をしようとしてるか知って頂いてる段階です。
単なる商売としてグッズ制作に取り組んで頂くことは考えていません。」
「そうだな、党の宣伝を始めるまでにはまだ時間が掛かる、党員でなくても着たくなるシャツとか、期待して良いのか?」
「党のロゴやマスコットキャラクターに良いものが出来ればと考えています、学生中心の作品に満足できなかったらプロにお願いするつもりです。」
「予算的には大丈夫なのか?」
「党のイメージを左右する重要なものですし、ロゴやマスコットキャラクターの出来によってグッズの売り上げが大きく変わると思います。」
「分かった、重要な先行投資だと認識しておくよ。」
「市民政党自体は営利事業ではないが、ネットの普及によって広告収入が得られる様になった、営利目的の事業でなくても運転資金は必要な訳だ、株式会社和馬にグッズ関連の部門を作る方向で、部長は清香で良いのか?」
「いえ、お任せ出来る人を見つけます、私達は小さい部署の長になるべきではないと考えています。」
「そうか、組織の拡大を考えたら当たり前のことかな。」

社長をお願いした康太には申し訳ないが、清香も愛華も雑用をしない方針、そして動き出した市民政党に対しては俺も含め特別な権限のない形を考えている。
俺達の役割は主に党員拡大へ向けての広報活動だと考えている。
党を縁の下で支える運営は、ひとまず康太に任せたので、俺達はデートの時間を減らす事なく学生生活を楽しんでいる訳だ。
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構築-08 [シトワイヤン-04]

パーティー翌日から安藤さん達が市民政党サイトに上げ始めた提案は党員達を活気づけることとなった。
その結果…。

「可能性は考えていたが、地方自治の問題が出始めたな。」
「大きく地方自治の問題と捉えて、国の課題として扱うのは良いけど…、市民政党若葉所属として町議会議員に立候補の可能性というのには、少しざわついているわね。」
「提案者自身も先の話だとしてるが、議員のなり手がいなくなりつつ有る過疎地の話だろ、若者が移住し立候補したら確実に当選するみたいだな。」
「そうね、康太が過疎地の町長に当選したら、康太目当ての女性が押しかけ町が盛り上がるんじゃない?」
「はは、それはないよ、まだ被選挙権すらないのだからな、でも、お年寄りばかりの地方自治体というのは考えさせられた。」
「都会に住む者が口出しして良いのかしら。」
「過疎の問題は過疎地に住む人には解決出来ないと思うよ、高齢化が進んでいるから限界集落になって廃村、寂しいけど誰も困らないのも事実だろ。」
「えっ、困らないの?」
「人の住まない土地が少し増えるだけさ、出生率が下がっても大都市圏の人口は増えてるだろ。
国のバランスを考えたら、人口減少が進む地方都市の活性化が重要だと思うよ。」
「市民政党を国政政党にするのはハードルが高いですが、地域政党ならそれほどでもなさそうです、政党要件を満たす訳では有りませんので政治団体という扱いになります。」
「ねえ、バーチャル市民政党若葉は政治団体と呼べるの?」
「 政治目的の実現のために結成した組織です、立派な政治団体だと思います。」
「町長選挙に、党として公認候補を出馬させる事は可能だろうか?」
「今は、そのメリットがないですが、市民政党を大きく出来たら、可能性は否定できません。
党として公認を出すのに相応しい人物かどうかは、党員に判断して頂けば良い訳です。」
「費用は?」
「それも党員の判断です、本当に出馬させて当選させたいと言う人なら、党員の皆さんも応援して下さると思います。」
「そうだな、そんな人物が現れたらみんなで応援だ。
国政とはシステム内で分けて進めれば…、これからは検討テーマが恐ろしく増えそうだ、ベータ版のまま拡大を考えた方が良いかもな。」
「ああ、本格運用を謳ってから修正が続いたのでは信頼を失いかねない、これは運営サイドからアナウンスすべきことだと思うね。」
「今の状況、今後の展開をまとめた上で、ベータ版参加党員の拡大を党員にお願いするわ、SNSを利用した党員拡大をお願いし始めても良いのよね。」
「そうだな、地方自治関連をシステムに組み込み、党員が増えても不具合がないと確認出来たら、正式運用に移行して宣伝活動開始としよう。」
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構築-09 [シトワイヤン-04]

党のシステム構築は、見易さや使い勝手を考えながら、ベータ版参加者の意見を取り入れ試行錯誤を繰り返していた。

「県単位の組織が作られ始めたけど、これって複雑よね、市民政党若葉沖縄支部の考えと国政レベルで考えてる沖縄問題とが相反する結論に辿り着く可能性が有るんじゃない?」
「その時は党員同士意見をぶつけ合って党員投票だな、利害関係がどう出るのだろう。」
「党内でぶつかり合うだけの組織にしたいですし、そうなった時皆さんがどう判断されるのかに興味が有ります。」
「沖縄支部のメンバーが八人のままだったら、偏った意見になりかねない、正式な支部として認めるのは問題が有ると思うわ。」
「最低党員数とかの設定を議論して貰うか?」
「そうですね、県人口の何%が党員になったらとかの条件は必要だと思います。」
「県支部にランク付けをしても良いかな、県人口に対する党員の比率を基準にして、高ランクなら県民の意見を反映してると主張し易くなるわ。」
「なあ、県支部登録は一人一つにせず、居住地に関係なく、そうだな…、ざっくり県人口二百万を区切りに、その上下二つの都道府県支部に登録出来るというのはどうだろう?」
「その心は?」
「都市部の人にも地方の事を考えて欲しいと思うんだ。」
「あっ、そうね、今の選挙制度は一票を単純に計算する事が前提、一票の格差と言う議論が有るけど、地方に住む人の権利が守られるのか微妙なのよね。」
「それ以前に国会議員は地域代表という意識を持っては行けないと思う、まあ無理そうだけど。」
「だよな、康太の言う通り国会議員は本来、日本全体の利益を考えるべき人達だが、次の選挙を気にしなくてはならない。
都道府県支部の有り方についても党員に議論を深めて欲しいが、地方議員候補に成るかも知れないリーダーが現れた場合、対応はこちらで担うしかないのかな。」
「その場合は、リアル政党事務所を立ち上げ、株式会社和馬とは違う立場で処理した方が良いのではないですか。」
「そうだな、資金は事務所に対しての寄付という形か、国政だけなら何年も先か、永遠にないかも知れないリアル政党だけど、地方なら…、逆に、市議会議員を立てることで市民政党の宣伝になるのかもな。」
「すぐに党員アンケートを実施できる市議会議員ですね、和馬、その市に住む党員と全党員のアンケート結果を分けて出せますか?」
「可能だと思う、実質的に匿名投票では無いからね、上手く表示出来るか相談してみるよ。」
「党所属の市長が誕生したら面白そうだわ、党員限定の市民アンケート結果を市政に反映させて良いのでしょ、それで実際にどうなるか見てみたい、市長候補現れないかな。」
「無所属候補を、市民政党若葉推薦という形にすればハードルは低い、勿論、こちらが推薦して欲しいと思わせるだけの組織にならないと問題外だがね。」
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構築-10 [シトワイヤン-04]

システム構築は俺が王となったゲームの運営から多くの協力を得ている。
残念ながら王様の命令だからということではなく、市民政党若葉に興味を持ってくれた人が多かったからだ。
彼らは、遊びとしてではなく研究としてバーチャルコミュニティを作り人間関係などを探る研究者集団、それ故にアドバイスも的確、例えば市民政党の問題点として感情論に流され易いという指摘が有る。

「市民政党の危険性は常に運営サイドで注意喚起して行かないとだめだよな。」
「そうね、マスコミに流されない、主観的では無く客観的な判断とか、指摘されてから気を付けているつもりでも、根拠の薄い偏った考えに同調しかけたことが有るわ。」
「あまり疑い深い人間と言うのも考えものだけどな。」
「大丈夫よ、和馬のことは信じてる。」
「はは、難しい問題は多いよな、防犯カメラが監視カメラ化したら、それでより安全になると考える人と、個人のプライバシーを心配する人に分かれる。
人権問題を絡めプライバシー保護を強調すれば、犯罪者保護だと感じる人がいるだろう。
結局、様々な事が国民全員にとっての正解とはならない中で法整備され、その法が正しく運用されなければならないのだよな。」
「多数決は必ずしも正しい結論に導かないとしても、これから党員が増えた時の対立は議論を尽くして多数決しかないのよね。」
「それでも今の所、バランス感覚を感じさせる意見を中心に党の方向性が見えて来てるのは心強いよな。
現時点での党方針は、それを選択するまでの議論も整理し公開しているが問題を感じない、後はこの方向性に賛成する人をどれだけ集められるかだ。」
「でも、今までは大学関係者が中心だったでしょ、これから色々な人が参加して来て変わらないかしら。」
「ある意味ベータ版の運用で党の核が形作られたと思う、ここに極右極左が入って来ても自主的に離党か強制排除だろう。」
「そうね、少数意見の尊重は考えなくてはいけないのだろうけど、同じ考えとは行かなくても近しい考えを持つ人が集まっての政党ですものね、今の政治を見ていても結局は数の論理でしょ。
市民政党若葉の党員をうんと増やして、与党に圧力を掛ける様な存在にしたいわ。」
「そうだな、議論に参加する人数は限られるだろうが、投票やアンケートで意志表示してくれる人が十万人ぐらいになれば、市民政党の考えに賛同する人の意見という前提は有っても、市民がどう感じているか明確に出来ると思うよ。」
「新聞社とかの世論調査って、サンプル数は決して多くないのよね。」
「統計学的には問題ないと言われていますが、それでも調査に協力しようと思う人達の考えでしか有りませんし、電話調査の場合、知らない番号から掛かって来たら出ない人もいます、私の様に。」
「市民政党もネットに接続出来て、党員登録した人に限るから偏る、それでも人数が増えれば可能性が広がるだろう。
政党のシステムは改善が進んでいるし不具合が出てもすぐに解消して貰ってる、この可能性を最大限に活かして拡大して行かないと、サポートスタッフに申し訳ないぞ。」
「そうね、ベータ版から本格運用に向けて、そろそろ広報活動を本格化する体制を考えないと行けないわね。」

市民政党若葉はネット上のサイトでしかない、俺達が立ち上げた政党と言っても実際には技術スタッフの力なくしては有り得ないもの。
党員はじわじわ増えて二千人を越したが、市民政党として機能する人数とは言い難いのが事実。
それでも、バーチャル政党の可能性を語ってくれる党員は少なくない。
俺の彼女達は、自分達の本当の出番はこれからだと考えている、そう、中途半端な人数では意味がない、党員を増やして行くことこそが俺達の役目なのだ。
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