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高松加奈-41 [化け猫亭-12]

「杉浦さん、五人の女の子達は如何ですか?」
「真面目に働いてるよ、それで、ご褒美に一つだけ我儘を聞いてあげると話したら、その願いがあまりにもささやかでね、甘えるのは下手みたいだな。
その内の一人は加奈さんの付き人になりたいと話したので、今はトレーニング中だよ。」
「トレーニングが必要なのですか?」
「勿論さ、下手をすれば加奈さんの負担を増やす事になりかねないからね。」
「能力的に問題が?」
「能力というより育って来た環境が違うだろ、基本的マナーから教える必要が有るのさ。
それと、加奈お嬢様がどれだけ努力されているのか理解して貰った上でないと付き人には出来ない。
他の子達にもそれを教えながら、自分に合った作業を探して貰うように指示して有る、研修後しばらくは派遣、合わなかったら別の仕事に、という形で構わないと話して有る。
研修を通して労働に取り組む姿勢を考えて貰ってはいるが、無理に我慢する必要は無いともね。」
「皆、就職して苦労していたのですよね。」
「状況は様々、高卒で就職した子の事例として、化け猫クラブへの報告を作成して貰ってる、社長や重役の知らない世界だからな。
それを見ながら、受け入れ態勢を強化して行くよ。」
「有難う御座います。」
「いや、ホントは君が動く前からすべき事だったんだ、それを怠って来たために社会の歪が放置されて来た。
ハンデを背負った状態で社会に放り出されて挫折、そして犯罪に手を染めると言う例も有るだろ。
大人の責任なんだよ、類として社会を形成し発展して来た人類だが、今の日本は国の将来ではなく、自己の利益しか考えていない、そして貧富の差が、まあ、私もその差を生み出した一員だがね。
でも、私達は、加奈お嬢さまをシンボルにこの地から変えて行きたいと考えているんだよ、少しずつ確実に。」
「私はシンボルなのですか?」
「女神さまだからな、その一点だけ頑張り、後のことを私たちに任せるのが君の役目さ。
真面目な話、全スポンサー企業及び君の僕達はそれを望んでいる、優美で清楚なお嬢さまのままで居て欲しいのだよ、勿論恋愛は自由だ。
社長という道を選んだ君にとって、少し背負うものの質が変わったぐらいに考えてくれないかな。」
「はい、それが社会の役に立てる道なら、私は受け入れるしか有りません。」
「私が見ただけでも寮の中は君の写真だらけ、各自の部屋にも飾って有るそうだ、スポンサー企業の社内も君のポスターがあちこちに張られているそうだよ、勿論我が社でもね。
それは、君が外見だけの人じゃないと皆が知ってるから、君の姿を見て自分達が何をすべきか考えているのではないかな。
その、加奈お嬢さまは、新年度から大学三年生だけど我々が気を付けるべきことは無いのかな?」
「特には無いです、新入生達が私を見つけてどういう反応をするか確認出来るまではガードを強化させて下さいと言われていますが…。」
「それは正解だな、まあ、おかしな奴が入学出来る大学ではないが…、いや、精神を病んでる様な例が実際に有った、そういう申し出は素直に受けて欲しい、君に何か有ってからでは遅い、通学はどうしてる?」
「昨年の冬頃から、学生スタッフが交代で送り迎えなどをしてくれています、お断りしきれなくて…。」
「彼らにとってはお金を払ってでもしたい事だろうから、気にしなくて良いと思うよ。」
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高松加奈-42 [化け猫亭-12]

「杉浦さん、スタッフの転居や子どもの転校はスムーズに行ってますか。」
「ああ、子ども達は新学期が始まらないと何とも言えないが、母親達は報告を見る限り田舎も、市内も大丈夫そうだ、引っ越しはサポートスタッフが手伝って楽しく済ませたみたいだよ。
田舎の合宿所完成までにはまだ時間が掛かるが、親達も合宿所で働き始める前に慣れておいて欲しいと、新学期に合わせて引っ越しを早めて貰った、彼女達には地域の人との交流も仕事の内だと話して有るんだ。
子どもを通せば親同士の繋がりも自然に出来るだろう。
合宿所の業務が始まるまでは通販の作業や、畑の管理を手伝うそうだ。」
「市内はともかく、田舎組は少し心配です。」
「なに、うまく行かなったら交代すれば良いだけさ、それは市内組も同じだよ。」
「そうでした、何度でもやり直せるのですね。」
「後、再婚に向けて寮から出る事を考えてるスタッフがいる。
相手の男性を紹介された安川夫妻によると、可もなく不可もなくだそうで、見守るしかないと話してみえた。」
「そうですか…、とりあえず十数室、寮の空きが出来た訳ですが、それで充分かどうかは全く分かりません。」
「やはり、児童養護施設を出る子達が気に掛かるのか?」
「はい、大きなハンデを背負って社会に出て行く訳ですので、限界になる前に頼って欲しいと思いませんか。」
「そうだな、周辺地域の児童養護施設を通して、うちの相談窓口を知らせて貰っているが。
そうそう、男子寮も一棟確保出来そうだよ、檜田さんが少し古い寮を提供すると申し出て下さってね。
どれぐらいの人数が頼って来るのか分からないが、少ないのなら他の養護施設に声を掛けても良いと思う。
多い様なら化け猫クラブが支援してくれるよ。」
「安心しました、テレビ番組でも少しだけ触れるつもりですが、将来的には対象年齢を上げたいのです。」
「そうだな、大学卒業後に苦労してる子が居るかも知れない、保護した後の就職先にはグループ企業も考えているから安心してな。
一旦部族の一員となったら、私達の保護下に入った我々の子として守って行く、サポートメンバーの総意だよ。」
「有難う御座います、甘えさせて頂きます。
スタッフの仕事ぶりは如何ですか?」
「みんな頑張ってるよ、社内組織という概念を社員達が持った事によって、管理者の負担を減らせたと思う。
通販や店は充分な黒字、家政婦部門は顧客に甘えてスタートした割に好評だが大きな利益というのは難しそうだ。」
「はい、数字は見ています、店は三店舗目を意識して構わないと思っています。
家政婦部門は善意に頼ってスタートしましたが、確かに拡大は難しそうですね。」
「人を企業への派遣に振りたいから、積極的に新規顧客開拓はしない方向で良いかな?」
「はい、お客様方にご迷惑をお掛けする事が無ければ構わないです。
人材派遣業の方は如何ですか?」
「彼女たちのスキルを見極めた上での派遣だからね、基本的に正規雇用を意識している。
勿論、正規雇用になっても部族の一員、子育て支援を続ければ仕事に打ち込めそうな人を派遣しているんだ。
それに対して彼女達は金銭面で寮を支えられる様にと頑張っている、今まで無料だった寮費を沢山納めたいとかね。
我が社に来て貰ってる人は、自分のスキルを生かせる職場で嬉しいと話してくれたよ。
仕事ぶりから、近々正社員にと、部下も評価しているからね。」
「子育てがハンディにならない体制ですか?」
「ああ、彼女の仲間が応援しているし、残業は無いからな。」
「子どもは?」
「小学三年生、親が帰ってからも友達と宿題したり遊んだり、一人っ子を五人まとめて面倒を見てくれてるスタッフがいるのさ、親同士も仲が良くてね。
両親共働きの一人っ子より恵まれているかも知れないよ。」
「そういうものですか。」
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高松加奈-43 [化け猫亭-12]

「加奈、相談が有るのだけど。」
「桜さん、どうされました?」
「田舎の方へもう少し人員を回せないかな?」
「希望者はいると思いますが、事業を拡大するのですか?」
「合宿所と一括仕入れにして、店と移動販売を考えてるの、利益より地元の方との交流重視でね。
よそ者が図々しく故郷にしようとしてる訳でしょ、こちらとしても地元に貢献という事を考えるべきなの、近所のお店が廃業を考えているそうでね。」
「採算度外視ですか?」
「店は、ゴルフ場の客もターゲットに考えているわ、まずは仮店舗をオープンさせて動き出したいのよ、さすがに学生では無理でしょ。」
「分かりました。」
「では杉浦さんに企画書を見て頂いて進めるわね。」
「はい、予算規模が、また大きくなるのですね。」
「そうね、利益が出にくい事を考えたら、予算規模は大き過ぎるかも。
でも、化け猫クラブの実験的取り組みなのだから心配しないで、寮に余裕を作って僕を増やしたいでしょ。」
「僕では有りませんよ~、でも、拡大していく方向で進んでいます。
CAT'S TAILも三店舗目の話が進み始めていると聞きましたが。」
「スタッフの卒業が思っていた程の混乱にならなかったの、卒業生達が気を使ってうまくフェイドアウトしてくれたし、就職してからもサポートしたいと話してくれる人が多いのよ。
利益は田舎での事業を通してシングルマザーを支援する資金になると知ってるから、スタッフも張り切ってるわ。」
「あっ、CAT'S TAILの利益も…。」
「勿論よ、CAT'S TAILは加奈お嬢さまを取り巻くチームの一つと一般にも認識されていますからね、その効果で売り上げは好調なのよ。」
「桜さんのお店なのに…、私抜きでも結果は同じでは無いのですか?」
「それは無いわね、貴方が動画撮影で座った席は順番待ち、そこに座って友達に写して貰う為に来店するお客様が多いの。
さすがにモデルの差が激しいから、盛るのでしょうけど。」
「CAT'S TAILスタッフの方々にはお世話になっていますので、お役に立てたのなら嬉しいです。」
「それより、学生の僕達が貴方に迷惑を掛けてなければ良いのだけど。」
「始めの頃は戸惑いも有りましたが慣れました、恋愛対象の異性とは見て下さらないのが微妙ですが、私が気を遣わなくて済む様に気を遣ってくれてます。」
「一応、彼氏が出来たら邪魔しない約束だけど、加奈お嬢さまの恋愛事情はどう?」
「そうですね、小夜と藤沢さんの様な出会いを待つだけです、化け猫亭で素敵な男性を見慣れている為か…。」
「うん、それは分かるわ、私も男友達から先へ進めないのよ。」
「特に気になる男性とか、いないのですか?」
「マスターぐらいかな…、でも謎が多過ぎて、姪の小夜ですら良く分からないそうだし。」
「マスターにとって化け猫クラブ発足は想定内だったのでしょうか?」
「前に、お客様同士の結びつきをもっと強めたいと話していたわ、小夜が店に来る随分前の話よ。
小夜が来て加奈が来て、一気に店の雰囲気が変わったのは事実ね、田舎の取り組みは半分遊びだけど、加奈お嬢さまの取り組みは、皆さんの会社を巻き込んでの社会事業、さすがにそこまでは想定してなかったと思う。」
「マスターって付き合ってる人いないのですか?」
「そこが一番の謎、居る様な居ない様な、彼のプライベートは誰も知らないのよ、今まで彼にアタックしたスタッフは全員撃沈と聞いてる、女子大生と遊ぶ気は無いみたいね。」
「桜さんは女子大生では無くなるのですから、もしかすると。」
「さすがに気まずくなるリスクは冒したくないわ、歳の差も有るし。
私達は、これからテレビ関係で付き合いの幅が広がる、お互い頑張りましょ、でも、もし、同じ人を好きになってしまったら…、譲ってね。」
「え~、その方が私を選んで下さったら譲れません。」
「ふふ、少し安心したわ、控え目なお嬢さまでは女神さま稼業をこなせないでしょ。」
「そうですね、私がもう少し女神さま扱いに慣れないと事業計画に影響が出ると言われてしまいました。」
「女神さまとして、次の展開は考えてるの?」
「若い社会的弱者を中心に支援を広げていく意味で、藤沢さんの所に障害の有る方を、雇用形態は個別に判断して、調査を始めて貰っています。
在宅で出来る仕事、小夜が営業職の指導をしていますので、人が増えたらそれに見合う仕事量を確保すると話してくれました。」
「もし、仕事を取り過ぎたら学生スタッフに回せば良いわ、うちのスタッフには充分な余裕を持たせて有るからね。」
「はい、助かっています。」
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高松加奈-44 [化け猫亭-12]

「桜さん、他にも我が社で研修、雇用して再生出来そうな若者がいると思うのですが、手助けは難しいでしょうか?」
「う~ん、カウンセリングスタッフなどを増員しないとね。
本人に上昇志向が有れば、研修を通してスキルアップ、関係企業に就職や派遣という事は可能かな。
正規雇用だと、雇用機会均等法が関係して、募集時に年齢制限を掛ける事は出来ないのだけど…、若年層向けの講習という形から始めれば大丈夫だと思う、一応関係機関に確認を取ってからになるけど。
講習開始の時点では雇用関係を成立させず、無料講習という事で良いでしょう。」
「今、生活に困ってるという人は対象に出来ませんか?」
「そこは公的機関にお任せしておいて、実際にスタートしてから色々検討して行けば良いと思うわ。
とりあえず、学生でチームを組んで検討するね、講習を通して就職先を斡旋する体制は小夜と相談してみるわ。」
「は、はい、直ぐに動くという事ですか?」
「人材は不足気味、どの企業も優秀な人を欲しがっているの、ミスマッチで実力を発揮出来なかった人を掘り起こせるかも知れないでしょ、勿論優秀で無い人にも仕事は必要よ。」
「すでに考えていたのですか?」
「加奈の一言で閃いたの、本人次第では有るけど支援の手を差し伸べれば労働力になる人が、そのままなのは残念でしょ。」
「分かりました、予算は取れます。」
「講習に対する投資は、労働力として回収出来るかも知れないと、化け猫クラブのメンバーは考えるでしょう、当分赤字でも心配しないで、杉浦さんには私から話して調整しておくからね。」
「分かりました。」
「女神さまは、僕達をお守り下さいね。」
「はい?」
「児童養護施設出身の子が養護施設でボランティア活動を始めたと聞いたわ。
勢い良く拡大は出来なくても、女神さまの足元では少しずつ色々な活動が広がってるのよ。
ねえ、いっそ新興宗教を立ち上げたりとかはどう?」
「そんな事は出来ません。」
「良いじゃない、賽銭箱を置いとけば労せずして収入が増えるわ。」
「何のご利益も有りませんよ。」
「それを分かった上で寄付感覚でお賽銭を入れて貰う、う~ん、宗教法人のメリットを研究してみようかしら?」
「ややこしくなり誤解されそうです、私は、あくまでも株式会社として挑戦していきます。」
「まあそうよね、学生からの真面目な提案なのだけど。」
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高松加奈-45 [化け猫亭-12]

「加奈さん、大学の方はどう?」
「特に問題は有りませんが…、杉浦さん、ガードが増えて少し恥ずかしいです。」
「女神さまらしく堂々としててくれよ。」
「はい。
ところでご相談なのですが、今までは社員の福利厚生にまで考えが及んでいませんでした。
父に話したところ、あまり使ってない別荘をスタッフに解放しても良いと、如何でしょうか。」
「寮が充実しているから不満は無いだろうが、スタッフに余裕が出てきて旅行に行く人もいるね。
藤沢くんのおかげで会社に余裕は有るから、場所が遠過ぎなければ良いと思うよ。」
「中津川ですので近すぎるかも知れません。」
「子連れなら調度良いんじゃないか、修繕とかの必要は?」
「古いですが大丈夫です、二十人ぐらいは泊まれます。
曽祖父が多目的な使い方を意識して建てたもので、最近までよく利用されていたのですが、会社が新たな施設を建てて、今は妹が部活の合宿に使うぐらいです、でも、しっかり管理していますので利用に問題は有りません。」
「では担当を決めて相談だな、交代で有給休暇を取って利用と…、私も確認の為に利用してみても良いか?」
「勿論です。」
「妻籠が近いだろ、昼間は観光客ばかりだが、早朝や夕方は本当の宿場町気分を味わえるんだよ、ずっと行く機会が無かったが久しぶりに行ってみたくなった、若い頃は日帰り出来るドライブコースとして、良く行ってたんだ。」
「ふふ、私も好きなエリアです、皆さんに喜んで頂けると嬉しいのですが。」
「もし良かったら化け猫クラブでも利用させて欲しいのだが、合宿所は完成までもう少し時間が掛かるからね、どうかな?」
「勿論大丈夫です、日程を決めて頂ければうちの家政婦に準備して貰います。」
「成程、そういう感じなのか、お願いしたいが話はこちらで通す、担当者を紹介してくれないか。」
「はい、これからの事が有りますものね。」
「化け猫クラブ初合宿開催、定員は二十名か…。」
「料理は近くの店にお願いするか家政婦に任せるかですね。」
「家政婦も二十人に含まれるの?」
「いえ、別棟になります。」
「別棟には何人?」
「狭いですが五人ぐらいは宿泊出来ます。」
「ちょっと、利用させて貰う前に一度見に行きたいな。」
「軽く日帰り出来ます、案内にうちの家政婦を付けましょう。」
「ああ、お願いするよ、私達が利用させて貰う時の使用料も見極めておきたいんだ。
今の所有者は?」
「祖父です。」
「管理をこちらに委託という形にして、お金がうまく回る様に調整してみるよ、君のお爺さまとも相談だね。」
「いっそ会社で買い取るという形にしましょうか、株式を代金代わりにすれば出費は少ないです。
祖父は最近、相続の話をしていまして、妹たちに自分の遺産はすべて私達の会社の株でも良いかと聞いていましたので。」
「妹さん達は?」
「祖父の遺産に頼る様な生き方を否定していますし、彼女たちは私達の取り組みを応援していてくれます。
杉浦さん、妹の話では、社会福祉法人を立ち上げ、祖父の財産をそこに寄付すれば最大限に活用出来るみたいですが、どう思われます?」
「あっ、確かに相続税を考えたら正しい選択かも知れない、う~ん、保育園の運営は非営利、社会福祉法人として認めて貰えれば寄付を受け易くなる、その勢いで認可保育園を増やせば安心だな。
学生スタッフとも相談、高松会長とも交渉してみるよ。」
「お願いします。」
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高松加奈-46 [化け猫亭-12]

「小夜、会社を立ち上げてみてどう?」
「特に変わりは無いかな、今までの顧客だけで充分な利益を確保出来る見通しは立っているし、個人から株式会社に変えたと言っても、しばらくの間は学生の実務経験の場という意味合いが強いの。
今はグループ以外の新規を考えて無いから、うちのウエブサイトには気合を入れないでとお願いしておいたわ。」
「だから藤沢さんにしては簡単な…、でも、小夜の写真だけで良くない?」
「加奈とは友達だし、我が社も謎のグループの一員となったのよ、その中心は加奈なのだから良い写真でしょ。」
「そのグループ、秘密が暴かれそうな雰囲気になってないかしら。」
「ばれても良いの、化け猫亭に一般客は入れないから、会員に成りたいという人は増えるでしょうが。
マスターは安易にメンバーを増やす事は考えてなくて、今のお客様方が不快になる様な状態にはしたくないと話してた、大丈夫でしょ。
それより、来週の番組だけど。」
「うん、今週の流れは小夜的にどうだったの?」
「良かったと思う、私達の紹介コーナーは局のスタッフが頑張ってくれたし、私の少し過激な発言を起承転結の起としたら、桜さんが承転を受け持ってくれて、加奈は結として上手くまとめてくれた、三人が時間をおいて語る事で視聴者の皆さんに考える時間を生み出す、私はどれだけ叩かれても仕事に影響ないでしょ、それを桜さんと加奈がフォローする、私達の個性を印象付ける事に成功したと思う、うちのスタッフもその辺りの分析が出来てたわ。
そうそう、加奈の登場した水曜日からはサイトの閲覧数がぐっと増えて、藤沢さんは予想以上だと喜んでいたのよ。
CMとかで知名度は高いし、女神さま感が…、加奈は頑張ってると思う。」
「まあね、視聴者の方に与えるイメージを色々考えてはいるの、私の僕を名乗る方々をがっかりさせない様に、でも、少し上から目線になってしまってアンチも増えたでしょうね。」
「そんな連中は気にしなくて良いのよ、加奈のファンは下僕になりたい人がメインなのだから。」
「下僕だなんて…。」
「集団で助け合って生活したい人には寮、集団が苦手だったり家から出られない人には在宅ワーク、良い流れだと思う、今度は安川さんのスタッフを受け入れるのでしょ。」
「ええ、充分更生出来ていると判断した人をうちで引き受ける、それによって安川さんは新たな出所者を引き受ける事が出来る、隣同士の店で顔馴染みだから、うちのスタッフに抵抗はないみたいなの、どんな犯罪を犯したのか早い段階で告白して貰ってた事もあってね。
安川さんが何を目指しているのか、うちのスタッフもしっかり理解してるのよ。」
「住まいは?」
「しばらく安川さんの用意したアパートで暮らして貰いながら寮への引っ越しを検討中、だけど男子寮の寮母という選択肢も有るの。
寮母とならなくても、経験談を語る事で犯罪に対する抑止になると考えている人がいてね。」
「塀の中の生活は私も興味が有るわ、話を聞いてみたいな。」
「そうね、化け猫亭に呼んで体験談を語って貰いましょうか、勿論ギャラが発生しますが。」
「ご本人に抵抗が無いので有れば良い企画ね、番組にも出てくれたら犯罪と出所後のフォローを考えて貰う良い機会になるのだけど。」
「そうよね、再犯に走らせないための取り組み、企業も動いてはいるのだけれど規模が小さくて。
安川さんの所も少しずつ拡大していると言っても、大きい店では無くて大勢は雇えないでしょ。
だから、今度は合宿所関連で出所者とその監督を雇用する場を作りたいと話してみえた。
その所属がうちなら、その方々のモチベーションが上がるだろうともね。」
「そうね女神さまの僕となったら悪いことは出来ないわ。」
「桜さんからも、田舎の合宿所関係で働く人はうちに集約したいと言われていてね、学生は現地で動きにくいし。」
「始めの頃から、大学生は合宿所の利用者と想定していたものね。
加奈、私の方で資金の流れは検討するから、心配しないで現地スタッフを増やして良いわよ。
安川さんとも連絡をとって、桜さんと相談するね。」
「小夜がそう言ってくれると本当に安心出来るわ。」
「すでに行政サイドにも、ささやかな提案をしているの、桜さんと私で市長さんに協力をお願いしに行ってね。」
「ふふ、結果は聞くまでも無いか。」
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高松加奈-47 [化け猫亭-12]

「安川さん、これから、うちのスタッフが増えますので、一度、合宿所周辺の方にご挨拶しておきたいと思うのですが如何でしょうか?」
「加奈さんが訪問してくれたら皆さん大喜びだろう、私達も助かるよ、さすがに出所者を受け入れるという話には諸手を挙げて賛成とは成ってないからね。」
「やはり難しそうですか?」
「まあ、何をやらかしてどれだけの期間塀の中で規則正しい生活を送って来たとかの情報と共に各自の意気込みを住民に対して公開して行くから、いずれ理解して貰えるとは思う、個人情報の公開に同意し、それなりに覚悟を決めた人を送り込むつもりなんだ。
まあ、シングルマザーに前科者、児童養護施設出身者と共に中小企業の社長や役員などをセットにして彼の地に関わって行く訳だから、普通に戸惑いが有るだろう。
加奈さんには…、そうだな小学校にでも人を集めて貰って、ピアノ演奏とトークで良いかな、テレビ取材付きでどうだ?」
「構いませんが、出所者支援はどの様な形で進んでいるのです?」
「出所後、支援さえ有れば再び罪を犯さないであろう人を見極めながら、受け入れて研修を進めている。
店での仕事だけでは雇える人数に限りがあって、君のとこに受け皿となって貰っているが、これからは田舎で農業にチャレンジとかも考えているんだ。
採れた野菜は君んとこの店でも使って欲しいかな。
合宿所の周辺は果樹や花を中心に野菜畑は別で確保して有って、大学の農学部に協力を要請しているよ。」
「住居は充分に確保出来るのですか?」
「空家の補修が進んでいるが、状況によっては新築のワンルームも考えているよ、土地は安いから、すでにかなりの面積を確保済、区画整理も考えていてそっちの調整は桜さんの会社がやってくれてる。
施設面は桜さん、人に関しては加奈さん、資金の流れは小夜ちゃんにお任せという形で落ち着きそうだな。」
「私は直接関わっていませんので…。」
「それでも君の所の社員達は女神さまに救われたと感じていて、君が心の支えになっているんだ、だから店が増えても大丈夫さ、でも、急に店舗拡大をスピードアップするのは何か訳が有るのか?」
「はい、生活保護家庭の子に対して食事の支援を出来ないかと考えていまして。
今調べて貰っているのですが、一つの店で対応出来る人数は地理的な問題も有って限られます、店を増やす事で活動を広げられないかと。」
「利益を圧迫という事にはならないのか?」
「そこまでの人数にはならないですが、早い段階で私たちの保護下に置く事が出来れば、ささやかながら不幸を軽減出来ると思いません?」
「ああ、そうだな、野菜に関しては産地直送で安く供給出来る様にするよ、でも社員達の反応はどうなんだ?」
「自分も一つ間違っていたら生活保護に頼るしか無かったかも、という人がいまして、せめて子どもだけでも守ってあげたいと。」
「そうか、そうだよな、痛みを知る人達か…。」
「スタッフになった当初は自分の事で精一杯だった人にも、心の余裕が出来たみたいです。」
「今、うちで研修中の男に元料理人がいるんだ、店で働く事を打診しても良いかな?」
「はい、プロのアドバイスはこれからの店舗展開に必要だと思います。」
「では、本人にも話してみるよ。」
「安川さんは、一人一人と向かい合っているのですか?」
「まあな、きちんと向かい合わないと社会復帰の道しるべを示せないだろ。
君の所と違って人数が少ないし、最近は先輩が後輩の面倒を見てくれてるから可能なんだ。」
「それでも…、本業の方は大丈夫なのですか?」
「そっちは、ほかって置いた方が良くてね、今は伸び伸びと業績を伸ばしてくれてるよ、私ら夫婦が安心して社会の落ちこぼれと向き合える様に気を遣ってくれてるんだ。
少なからず女神さまの影響を受けていてね。
保護の対象を広げると知ったら、喜んで売り上げアップを考えてくれるよ、女神さまが労働の意味を高めて下さったと考えているからね。」
「えっ?」
「以前は自社の為自分の為の労働でしか無かったのが、今は、君の活動を通して社会貢献してると力説する奴がいてね、皆を納得させ、労働意欲を引き出してくれたんだ。」
「労働に対する付加価値なのでしょうか…。」
「モチベーションは上がってるよ、皆、女神さまに喜んで頂きたいからね。」
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高松加奈-48 [化け猫亭-12]

「若年層再就職支援プログラム、応募状況はどう?」
「定員十名、すぐに埋まりました。」
「まあ、バックに三人の美女がいるのだから、働く気が無くても応募したくなって当然か。」
「どうでしょう、企業と新入社員のミスマッチが早期退職に繋がったかも知れない、という視点を強調して募集しましたが。
小畑さんの会社では、就職してすぐやめるパターン、有りますか?」
「有ったよ、新人教育に大きな力は掛けられないと考えていたからね。
でも、今年から少し変えたんだ、大人が当然と思っている事を、彼らは当然だと思っていないという前提で接して貰ってる、更に、やめたくなったら他の企業を紹介するからカウンセラーに相談して欲しいと伝えて有る。
それなりに能力が有ると認めて採用した子達だから、せめてグループ内で活躍して欲しいだろ。」
「そんな制度が有るのですか。」
「小夜ちゃんに言われて調整して来たんだ、今は実験的だけど、早期退職者に対する支援は加奈さんの指示で動いていると聞いたがな。
若年層再就職支援プログラムの状況を見て一本化も有りだと聞いてるよ。」
「少し話したことは有りましたが、そこまで動いているとは知りませんでした。」
「雑事で女神さまを煩わせたくないというのが我々の総意だからだろう。
早い段階で正規雇用から外れてしまうと、そのまま低所得で生活していく事になりかねないのだが…、就職する前に会社組織という物をもっと知っておいて欲しいと思うね。
まあCAT'S TAILの取り組みは正しい、もっと広がってくれないかな。」
「テレビ番組でアピール、全国放送でCAT'S TAILを掘り下げる企画が通ったそうです。」
「それは楽しみだね、大学生の頃から会社の事を学び体験する活動が全国に広がったら変わる気がするよ。」
「簡単では無いでしょうが、すでに桜さんの活動を番組で知って問い合わせは来ているそうです。
CAT'S TAILの四店舗目は京都になるかもしれません。」
「予算は大丈夫なのか?」
「私達と繋がりたいという中小企業からの問い合わせも有るのですよ。
テレビ番組はローカルですが、ネットは全国ですので。」
「ならば、加奈お嬢さまの活動も全国で?」
「CMの中には全国ネットで流されているのも有ります、スポンサーと条件が合えばこの地だけに拘る必要は有りません。
合宿所の形が整ったら田舎での取り組みもアピールしていきます。」
「拡大路線なのかな?」
「お金と相談ですよ。」
「ここまで拡大して来て問題は起きてないのか?」
「勿論、沢山起きてます、でもスタッフ一人一人がその問題と向き合う事で成長していると報告を受けています。
私からは子ども達の健やかな成長をお祈りしていますと。」
「う~ん、女神さまはお祈りするものなのか?」
「細かい事を気にされる方は大物になれませんよ。」
「はは、そうだな、だが、これから活動が広がって行くと女神さまとしての時間が長くなると思うが大丈夫か?」
「何とかします。」
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高松加奈-49 [化け猫亭-12]

「加奈、京都からのお客様よ、今日はお願いね。」
「はい、皆さんよろしくお願いします。」
「こちらこそ、私は京都からと言っても愛知出身、友人から君達の活動を聞かされていてね、まずはうちのメンバーを紹介しよう…。」

「…、それでね、ブログを見てると色々な事に挑戦してると感じるのだけど急ぎ過ぎていない?」
「それぞれ、小さく始めて少しずつ拡大を目指しています、若年層再就職支援プログラムは定員十名ですし、生活保護世帯への支援は子どものいる五世帯からです、小さく始めて問題点を探りながら拡大というプロセスを考えています。」
「そうか、試しながらという事なのかな?」
「はい、民間の強みです、公的機関が動こうとすると色々縛られ過ぎますし、資金が天下り理事長の懐に入りかねなくて…。」
「毎月の経理状況を公開しているのは透明性を強調したいからなんだね、でも株式会社なのだからそこまでしなくても良いと思ったのだけど。」
「あれは、大学生の実習なのです、我が社は多くの方の支援によって成り立っている部分が有りますので、どこまでも透明な経理を目指しています。」
「そうでしたか…、加奈お嬢さまは、我々が、その、グループの一員となる事に関してどうお考えなのですか?」
「私達と同じ方向を見て下さっているのなら歓迎します、ですが単に自社の売り上げアップだけを求めての事でしたら、互いにとってマイナスにしかならないと思っています。
グループ各社は我が社の事業を支える事で一つになっているとご理解願います。」
「はい、勿論、しっかり調べさせて頂き、色々検討した結果のお願いです。
京都で別組織としてスタートする事も可能ですが、加奈お嬢さまを女神と崇め共に進めば、他地区からの参加も見込めると考えています。」
「加奈お嬢さまの下に組織を広げて行きましょう。」
「我々も、弱者の為の寮を確保しました、そこが女神さまの保護下に有ると知れば安心感は増すでしょう。」
「僕が増えますがよろしくお願いします。」
「そういう事でしたら、私からは何も有りません。」
「加奈、学生達も動き始めてるのよ、まずはCAT'S TAIL四号店オープンに合わせて貴方の会社の京都支社設立でどう?」
「皆さんの支援が有るのなら問題ないですが…。」
「加奈お嬢さま、日本中に広げましょう、世の中、私利私欲の人ばかりではないのですよ。」
「政治家が動くといちいち利権とか怪しげなお金の流れが見え隠れします。
女神さまの下に組織を形成し貧富の差を解消して行く、大きくなれば大資本にも影響を与える事が出来ると思うのです。」
「はは、皆さん、まあ熱くならないで下さい、ねえ加奈、京都の街並みを背景に和服姿を披露してくれると嬉しいのだけど、どう?」
「そうですね、幾つか用意し京都観光を兼ねて参りましょうか。」
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高松加奈-50 [化け猫亭-12]

「加奈さん、私は社長を退いてこっちに専念する事にしたよ。」
「えっ、杉浦さんはそれで宜しいのですか?」
「世代交代を少し早めるだけさ、会長として残るから問題ない、それより、規模拡大のペースが一気に上がりそうだから、今のスタッフだけでは手に負えなくなる、少し外部から管理職を入れるが構わないか?」
「ですね、京都チームの旗揚げに呼応する形で全国から打診が、管理職をお願い出来る方に心当たりは有るのですか?」
「給料はいらないから協力させて欲しいという人がいてな、富裕層の暇つぶしかもしれないが、起業に大きく成功した人で、成金的に消費するより女神さまに捧げたいそうだ。」
「方向性をご理解して頂けているのでしたら問題はないのですが。」
「来週東京から来てくれるが会ってくれるか?」
「はい、勿論です。」
「ではスケジュール調整をして貰っておくよ。
しばらく人と会う仕事が増えると思うが良いかな?」
「CM撮影やテレビ出演依頼も増えつつ有りますので…、でも、今は最大限に動きたいです、留年しても構いません、就職に影響する訳では有りませんので。」
「そうだな…、だが、女神さまを留年させる程に働かせ過ぎたと有っては、それはそれでマイナスになる。
まあ極力回数を減らす様に指示しておくよ、女神さまご降臨の時、一度に跪かせる人数を増やせば良いんだ。
うん、女神さまには簡単に会えない方が良いだろう。」
「大袈裟ですね。」
「いや、来週会って貰う人は一千万の資金援助をするから十分だけでも会わせて欲しいと言ってきたんだ。
まだ若いが自分の力だけで年収十億、年商ではではなく年収、まあ税金を沢山納めている人なんだよ。」
「私と会う事にそれだけの価値は無いと思うのですが…。」
「彼は価値を感じた、加奈さんは彼に正しいお金の使い道を教えてあげれば良いのさ。」
「そうですか…、少し怖いような…。」
「小夜ちゃんの同族だと考えたらどうかな、結構気が会うかもしれないぞ。」
「化け猫亭でお会いする分には何も問題ないですよね、敢えてこれ以上の予備知識を入れないで、お会いする日をドキドキしながら待つ事にします。」
「スポンサーが増えればそれだけ活動の幅を広げられる、生活保護世帯への支援だって二世帯は寮に入って貰った、母親は出来る作業を出来る範囲内で、中高生の娘たちは沢山の弟や妹相手にお姉さん役をしてくれている、それだけでスタッフの負担が減っているんだ。
報告では、大勢のお母さん達が可愛がっていて、病弱な母親になり替わって遊びに連れ出しもしているそうだよ。」
「費用面はどうですか?」
「今は衣食住すべて無料にしても大した額にはならない、服は貰ったりしているし、おっきいお姉さんの登場に子ども達が喜んでいるから、アルバイトとして給料をあげる様に指示もして有る。
後は部族のリーダー達が上手くやってくれるだろう。」
「京都でも部族を名乗る事にしたそうですが、部族同士の関係はどうなるのでしょう?」
「すでに連絡を取り合っているよ、向こうの寮に余裕が有る内に京都観光を兼ねて遊びに行くが、その時の話し合いで、こちらから何人か支援の為に移住する事も視野に入れている、向こうだって先輩が居てくれたら心強いだろ。」
「そうですね、そうなると、こちらも新たに受け入れる余裕が出来ます。
これから広がっていけば、多くの人達と協力し合って世の中の不幸を減らせるのでしょうか。」
「もう、随分減らせてると思うよ、寮は笑顔で溢れているのだから。」
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