So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン
化け猫亭-03 ブログトップ

猫田小夜-21 [化け猫亭-03]

「高川さん、老人介護に関連して高齢者医療の問題も考えてみませんか?」
「あ、ああ。」
「今の日本では、ほとんど死んでいる老人に多額の費用を掛けて生きてるかの様に見せかけてる実態が有りますよね。」
「えっ、命は大切だし、お年寄りには長生きして貰いたいだろ?」
「不幸な状況で若くして介護が必要になってしまった様な、まだ脳の若い人ならいざ知らず、自力で何も出来ず意識も怪しい人を無理やり延命するぐらいなら、その費用は次世代を担う子ども達の為に使うべきでは有りませんか?」
「そうは言っても…。」
「無意味な延命は、本当に人を大切にしてると言えるのでしょうか。
私の祖父や祖母は、それを完全に否定しています。
機械の力で呼吸を続けさせられたり、寝たきりになって思考能力が無くなっても薬の投与が続けられるなんて死んでも嫌だと。
そんな金が有ったらひ孫の為に使って欲しいと話していますよ。」
「そう言われても、ご家族は延命を考えるのではないのかね?」
「うちは世間体を気にしません、生きるという事、死ぬという事と真面目に向かい合っています。
今は趣味が忙しくて充実した日々を送っている祖父母ですが、もし亡くなったら、その体は医学部生の解剖実習に使われます。」
「あっ、献体か…。」
「はい、愛知用水の生みの親が中心になって作られた組織の一員です。
最近は入会者の意識が、純粋なボランティア精神から少し変わってしまったそうですが、それでも家族全員で生と死を考える材料になっています。」
「そうか…、でも、さすがに小夜ちゃんは自分の体を献体とか考えられないだろ?」
「若くして入会してしまうと、長期間に渡って事務費が掛かってしまいますし、今は特に不足して無いそうですので、臓器提供意思登録をしているだけです。」
「どちらにしても死後に自分の体が切り刻まれると考えたら、抵抗が有るな…。」
「死んですぐに焼き尽くされる事に抵抗は無いのですか?」
「う~ん。」
「これは祖父に聞いた話ですが、医学の発展の為に献体登録している人達は無駄な延命を好まない人が多いそうですよ。」
「そういうものなのかな。」
「生きてる間は精一杯楽しんで、次の世代に負担を掛けずに人生を終えるのが理想だそうです。
高川さんは殺されても死なず、醜く生き続けそうですが。」
「え~、何か今日の小夜ちゃんは何時も以上に辛口だね。」
「高川さんの会社、少しブラックな噂が流れていますよ、噂が本当かどうか分かりませんが、本当にクリーンな企業なら、そんな噂が流れる確率は低いです。」
「えっ、そうなのか?」
「相談に乗りましょうか、今ならお安くしておきますよ。」
「そう来たか…、うん、分かった、文書にまとめて請求書と一緒にメールしてくれるか。」
「あっ、高川さんって思ってたより頼もしい方なのですね、それでは早急にメールを送りますが、会社を見学させて頂けませんか?」
「勿論構わないが、何か意図するところが有るのか?」
「ええ、実際の会社がどんな雰囲気なのか味わってみたいですし、ブラックな噂がどうして流れたか知りたいです。」
「社としても早急に手を打つべきだろうか?」
「そうですね…、明日の夕方までには報告書を送りますので、それからで如何でしょうか。」
「見学は何時が良い?」
「早ければ早いほど。」
「大学の講義と調整しないとな。」
「大丈夫です、多少休んでも卒業には影響しませんので。」
「分かった、宜しく頼むよ。」
nice!(4)  コメント(0) 

猫田小夜-22 [化け猫亭-03]

「小夜ちゃん。」
「あっ、檜田さん、いらしてたのですか、気付かなくて御免なさい。」
「そういう所は素直なんだな。」
「当たり前です、檜田さんは大切なお客様ですよ。」
「はは、即座に謝る姿勢は…、なあ、日大アメリカンフットボール部の記者会見は見たか?」
「見ました、内田前監督と井上コーチ、司会者までもが面白い人達で流行語大賞とか狙ってるのかと思いました。
ドラマの世界に出て来る悪役、そのままでしたね。」
「だよな、あのレベルでもコーチや監督になれる、今まで怒鳴り散らしてきたであろう姿が容易に想像出来たよ。」
「指導者が取るべき姿というのを教えて差し上げたくなったのは私だけかしら。」
「ふむ、小夜ちゃんが教えて上げるとしたら?」
「いくら馬鹿でも反則の映像が広まった段階でまずいと気付きますよね、普通は。」
「普通じゃない感覚をお持ちの様だが…。」
「その段階で御免なさいですよね、普通は。
自分達の指導力が足り無くて選手が誤ったプレーをしてしまいました御免なさいと、怪我をされた選手の方や関係者の方々にしていればここまで大事にならなかったです。
なのに、加害者の学生が潔い会見を開いた後で、ようやく言い訳がましい会見、あの場ででも選手は悪くない、自分達の指導が間違っていましたと言い切れば、まだ救いが有ったのですが、元監督は選手が先輩の姿を見て成長出来てなかったと発言をするし、コーチも保身のつもりなのか見苦しい発言を。
学生を指導する立場なら、学生をとことんかばって悪いのは自分ですと言い切るべきです。
学生が行った会見とそれに対する評価を見ていれば分かりそうなものですが、それが分からない。
そんな低レベルな人達の指導の下で、自分達はアメリカンフットボールをして来たのだと、アメフト部の部員は気付いたかどうかが気になります。」
「だよな、怒鳴られると自分が間違っていなくても委縮してしまう人は少なくないからな。」
「あっ、檜田さんのところには、そうやってのし上がった常務さんがいらっしゃるのでしたね。」
「悲しい事に社内では派閥争いの真っ最中さ。」
「へ~、そういうのはドラマの中だけの出来事だと思っていました。」
「ドラマみたいに派手ではないけどね。」
「その派閥争いが企業にとってプラスになる面は有るのですか?」
「そうだな…、仕事に対する緊張感が高まって業績に良い影響を与えているとは言える、ただ爆弾を抱えているともね。
日大と似た様な状態なのかもしれない、選手にプレッシャーを掛け過ぎた結果、部の存続に係わる様な事件が起きた訳だろ、うちがそうならない様に派閥争いから外れたメンバーで検討会を開いてはいるのだがな。」
「楽しそうですね。」
「いやいや、下の社員達は何も分かっていないから守らないといけない、中間管理職は大変なんだよ。」
「社内の勢力図を書いて、こいつは味方だ、とかやられているのですよね。」
「はは、そんなワクワク感満載の顔で見つめられても詳しくは教えられないぞ。」
「守秘義務ですか…、ここは白状して楽になりましょうよ、かつ丼ぐらい奢りますよ。」
「そうだな…。」
nice!(5)  コメント(0) 

猫田小夜-23 [化け猫亭-03]

「社内でも利害関係が有って、次期社長のグループに入れば昇進や給料に差が付くのですね。
檜田さんは、それには興味が無いのですか?」
「自分としては社内が一枚岩になって欲しいだけだよ、自分の地位や給料に不満はないからね。」
「派閥争いは権力を求めての事なのでしょうか?」
「それは有るね、人より上に立ちたいと本能的に思っている人は世の中少なくないし、それが社会を発展させる一つの原動力だろ。」
「そうですね、でも、日大アメフト部の元監督は威張りたそうな人に見えましたが、社会を正しく発展させる原動力とは思えませんでした。
う~ん…、戦争には科学技術を発展させた一面が有ったり、性的本能がネットの普及に繋がったとか有りましたので物事は単純では無いのでしょうね…。」
「確かに微妙では有るが、人に勝ちたいという意識が日本人の心から薄れてしまったら国際競争力は一気に落ちるだろう、だが、行き過ぎた競争社会の狭間でつらい思いをする人もいる。」
「バランスの取れた社会を形成するのはとても難しいのですね。」
「難しいな、だが、せめて自分の周りだけはと思うのだよ。」
「檜田さんは部下を怒鳴りつけたりされないのですか?」
「しないよ、怒鳴られる様な育てられ方をされなかったから、怒鳴って育てようとは思わないのさ。」
「あっ、聞いた事が有ります、殴られて育った人は殴って育てようとするが、殴られる事なく育った人は人を殴らない、殴れないと。」
「まあ、全員に当てはまるとは言い切れないだろうが、そういう傾向は有るだろうね。
私は人の殴り方すら知らないよ。
ただ、追い込まれ過ぎた時に、力加減が分からず大怪我をさせてしまったりとか、ある意味危険だと言う人もいるけどな。」
「そういう喧嘩の事は分かりませんね、別世界の出来事で…。
檜田さんは、怒鳴られて萎縮する人と、逆に発奮する人がいるとお考えですか?」
「怒鳴られなくては発奮出来ないというのは情けないと思わないか。
そんな人に良い仕事が出来るかな?」
「ですよね…、コーチに指導力が無く…、日大アメフト部はすでに大きな闇を抱えていた、それが、たまたま表に出て…、でもそんな組織は他に幾らでも有るでしょう。
多くの人がコーチングとかを見直す機会となれば、日大アメフト部が大きな社会貢献した事になりますね。」
「はは、小夜ちゃんは綺麗にまとめたと思うだろうが、世の中そんなに甘く無いよ。
でも、そうだな…、ただ、元監督の批判をするだけでなく、自分達の組織を色々な角度から見直すべきだろうね、まあうちはその真っ最中なのだが。」
nice!(4)  コメント(0) 

猫田小夜-24 [化け猫亭-03]

「いらっしゃいませ。」
「こんばんは、小夜ちゃん、今日も綺麗だね。」
「有難う御座います、伊藤さん、ムショ暮らし体験、決心出来ましたか?」
「はは、勘弁してくれよ、それより今度は鑑定留置中の病院から、逃走事件が起きたね。」
「はい、近くの道は何度も通ってますので、びっくりでした。」
「驚いたよな、この前の事件とは違って遠くの出来事では無く…、東尾張病院は叔母がお世話になっていたんだよ。」
「中村さん、叔母様は鑑定留置だったのですか?」
「いや、躁鬱病で入院していたんだ、一度だけ見舞いに行った事が有るが、はっきり言って居心地の良い所ではなかった。」
「でしょうね…。」
「名古屋と言っても本当に外れ、大きめの公園が近くに有るからどうなるかと思ったな、比較的早く見つかったから良かったが、長引いていたらこの前の逃走事件以上に大変な事になっていただろう。」
「鑑定留置について、改めて考えさせられたな。」
「はい、鑑定の結果、責任能力が無いと判断されたら罪に問われないのですよね。」
「罪に問われないと措置入院なのかな。」
「どんな感じなのか…、鑑定留置からの流れは知らないが、そもそも精神科の患者自体が難しいんだ。」
「叔母様は大変だったのですか?」
「ああ、自殺未遂からの入院だった叔母は、落ち着くまで何年掛かったか分からない、歳を重ねる事で落ち着いたみたいだけど、それでも石が動くとか幻覚めいた事を話していた、何度も会っていないので実際の所は良く分からないが、家族は大変な想いをしていた筈、亡くなって、ホッとしたと言うのが本音じゃないのかな。
大体、精神科の治療はきついみたいなんだよ、薬の副作用がね。
アルコール異存で鬱病という人から、薬を飲んだ時に副作用で気が狂うと感じ、諦めて静かにしていると聞いた事が有る、まあ、人それぞれだから…、そういう人もいるという位に受け止めて欲しいが。」
「そうか、悪性腫瘍を切り取る様な治療では無いのだな。
心理カウンセリングとかはどうなんだろう?」
「それで解決する人は極めて症状の軽い人だけだよ、悪化する前に解決出来れば良いのだろうが、単純に成長してからのストレスだけが原因ではない人もいるそうだ、鬱病でも遺伝的要因が絡む事が有るらしい。」
「精神疾患でも、犯罪に繋がる人は多く無いのですよね?」
「ああ、人に危害を加える人は稀で、自死の方が問題じゃないのかな。」
「それでも鑑定留置という制度が有る訳だから…。」
「犯罪を犯す前に止める事が出来れば良いのでしょうが、犯罪を犯しそうだからと言って、簡単に措置入院とは行かないでしょうね。」
「さすがに人権問題となるからな、何事も無ければ普通に生活出来てる人が、何かのきっかけで責任能力を問えない状態になってしまう可能性は有るだろ。」
「う~ん、責任能力が有ると判断された場合、有罪となり刑期を終えて出所した後はどうなのかしら?」
「生活が安定しなければ同じ事の繰り返しか…。」
「責任能力が無いと判断されたら措置入院としても、退院の判断は難しく有りませんか?」
「だよな、はっきりしてる人ならまだしも、ボーダーライン上の人はね。」
「う~ん、伊藤さんは演技に自信は有りますか?」
「えっ、役者じゃないよ。」
「精神科に潜入して実情を探るとか難しいですか、患者として。」
「おいおい、ムショ暮らしの次は精神科かよ、それなら中村でも良いだろ?」
「中村さんにそんな事、お願い出来ません。」
「俺なら良いってか?」
「だって、伊藤さんなら楽しく切り抜けられそうじゃ有りませんか、気付いたら看護師さんと仲良くなっていたりして、入院生活から芽生える恋なんて素敵です。」
「そうか、看護師さんか…、通院している内に…。」
「そんなんじゃ駄目ですよ、入院しなくては距離が縮まりません、でないと潜入調査にならないじゃないですか、難しく無いですよ、酔っぱらった時の状態を昼間も維持出来ればきっと入院出来ます。」
「分かった、頑張るよ…。」
「おい、伊藤、一軒目で飲み過ぎてるとは思ったが、もうやばいのか…?」
「中村さん、ムショ暮らしと精神科入院、伊藤さんにとってどちらが良いと思います?」
「小夜ちゃん、二択なのか?」
「ええ、勿論です。」
nice!(4)  コメント(0) 

猫田小夜-25 [化け猫亭-03]

「あらっ、中村さん、今日は伊藤さんとご一緒じゃないのですか?」
「ああ、彼は少し反省中でね、刑務所体験か精神科入院体験、小夜ちゃんは考えが有って二択だと話したのだろ?
本人は覚えて無かったから、素面の時にきちんと話をしたよ。」
「前向きに進みそうですか?」
「うん、まずは酒の量を減らして奥さんとの時間を大切にすると話していた。
仕事上のトラブルも話してくれたから、そちらは私がフォローするよ。
状況が悪化する前に解決策を模索すべき所だったのに、私も軽く考えて酒に付き合っていたから反省してる、有難うね、小夜ちゃん。」
「いえ、仕事上の事までは…、人って…、一つ上手く行かないと連鎖的な悪循環に陥ってしまうものなのでしょうか?」
「それは有るだろうな、逆に上手く行く時は相乗効果で好循環となる。」
「う~ん、悪循環の結果が犯罪なのでしょうか?」
「そうだな…、だが個人的な問題だけでなく社会の綻びが影響する場合も有るだろ。
その綻びが小さい内に何とかなれば良いのだが、問題が大きく成ってから初めて、どうしよう、って事は往々にして有る事だよな。」
「法の隙を突く様なグレーな行為を、法改正でアウトに出来るまで、時間が掛かり過ぎる気がします。」
「だな、だからと言って真っ当な手続きを踏まないで法改正が出来てしまったら、今度は悪法がまかり通ってしまう恐れが有る、私利私欲で形成されているのが現代社会だろ。」
「愛に満ち溢れた独裁者による政治と、私利私欲の民主主義国家、中村さんはどちらを選びます?」
「難しい二択だね、どんな独裁者かにもよるが…。
そもそも、民主主義国でも指導者の権限は大きい、それを暴走させないシステムを各国は作り出しているのだろうが、この瞬間だって、核ミサイル発射を命じる権限を持った人が世界中に何人かいるのが現実だ。」
「飼い猫の死に耐えられなかった指導者が、つい核ミサイル発射を命じるとか有りそうじゃないですか。」
「ブラックだな…、でも絶対に有り得ないとは言い切れないか…、たまたま二国間の緊張が高まっている時、大きな判断を求められストレスがピークに達しているトップリーダー、側近の誰もが気にも掛けず日々のルーティンを繰り返しているだけで孤独を味わっていて…。
タイミング悪く可愛がってた猫が死んだなら、核ミサイルの一発ぐらい発射したくなるかもな。」
「お~、中村さんは作家になれますね、そこから膨らませれば小説が書けそうです。」
「はは、君もな、まあ、国のトップになる様な人は図太い精神をお持ちだろうと信じたいところだが。」
「それ以前に、発射したらどうなるとか想像出来ない人が指導者になってしまったら怖いですね。」
「そうだな…。」
「中村さんは何時も色々想像されているのですか?」
「えっ、微妙な質問だな…。」
「あっ、御免なさい、変な意味では有りません。」
nice!(5)  コメント(0) 

猫田小夜-26 [化け猫亭-03]

「はは、そうだな、女の子に話せない様な想像を無意識に、本能的にしてしまう事が無いとは言えないが…。
自分は必要以上に想像してしまう方かな…、実を言うと高所恐怖症なんだ、そういう場面を目にすると無意識の内に落ちた場合を想像してしまうのか…。」
「えっ、そうなのですか、私は馬鹿なので煙同様、高い所が好きです、怖い所は高いとこって、どんな感覚なのです?」
「幅の広いしっかりした橋からでも下を見ると駄目なのは理解して貰い易いと思うが…、映画でもね、校舎の屋上で普通に生徒が話している場面、話に関係なく、その屋上に柵が無いという映像だけで軽く恐怖心を覚えるよ。」
「高所恐怖症って…。」
「まあ、一つの病気なんだね。
小さな川の小さな橋、その欄干にヒロインが座るというシーンだけでも、そこから落ちるという可能性を感じで、そんなとこに座るなよ、と思ってしまうんだ。」
「ジェットコースターとか楽しいのですが。」
「自分で運転する事が出来ず、ただ振り回されるだけの乗り物なんて、何処が面白いのか全く分からないね、罰を自ら求める人達の気持ちは全く分からない。」
「バンジージャンプは体験したく無いですか?」
「あんなの正気の沙汰じゃないだろ、死んでもやりたくないし見るのも嫌だ。
絶対、体に悪い、落下速度を考え無いのかな、それが零になる瞬間どれだけの衝撃が体に加わるのか考えられない馬鹿のやる事さ。」
「そこまでおっしゃいますか…、バラエティー番組で、高い所が苦手な人に対する罰ゲームとしてバンジージャンプをやらせるという企画が有ったそうで、長時間跳べず、ずっと動かなかったという状況について大学の仲間と討論をした事が有るのです。
みんな、最後まで跳べなかったアイドルに対して批判的だったのですよ、その時のメンバーが遊園地大好き人間ばかりだったからかも知れませんが。」
「私に言わせれば、そのテレビ企画は犯罪、パワハラだね、その人は高い所にずっと立たされただけで心に傷を負ったと思うよ。
あの手の番組はな…、罰ゲームというか、ドッキリ企画でいきなり落とされるというのを目にした事が有るが、脳に損傷を負わせる可能性とか考えないのかと驚いたよ、ああいうのを見て楽しいのかね?」
「そんなのも有るのですか、うちは家族もあまりテレビを見ませんので良く分かりません。」
「そうか、頭の良い人の家庭にはそういう傾向が有るのかな、将棋の藤井聡太はニュース番組と一部の真面目な番組しか見てないと報道されてた、まあ将棋に時間を使いたいのだろうね、中二になった芦田愛菜も読書に時間を掛けてるそうだから、仕事上見る必要の有る番組以外はあまり見ていない可能性が有る。」
「時間は限られますものね。」
「小夜ちゃんも色々忙しいのだろ?」
「ええ、でも、化け猫亭で息抜きをしていますから。」
「はは、息抜きがバイトとは、羨ましすぎるよ。」
nice!(4)  コメント(0) 

猫田小夜-27 [化け猫亭-03]

「中村さんは小説を書いたりされないのですか?」
「えっ、趣味で馬鹿なお話をゆっくり書いてるよ、小説という程立派なものじゃないけど…。」
「そうでしたか、今度読ませて下さいね。」
「それはちょっと…、顔見知りに読んで貰うのはとてつもなく抵抗が有るんだ、でもどうして小説の話を?」
「作家って想像力や空想力で話を作っているのですよね?」
「う~ん、人によっては取材に沢山の時間を掛けるそうだから、単なる空想だけでは無いと思うが。」
「先日のお話しから、鑑定留置、刑法第39条や躁鬱病とか調べてみたのです。
その過程で、北杜夫という躁鬱病を公言していた作家とも出会いまして、想像力、小説家、精神的な問題と繋げて考えています、自殺した作家もいたではないですか。」
「そうか、確かに三島由紀夫は正常な判断力を失っていたとしか思えないね…。
北杜夫は、私も叔母の事が有ったから何冊か読んだよ、う~ん、作品中に精神を病んだ人を描く作家もいるね…、筒井康隆とかは読んだ事有る?」
「いえ、名前は知っていますが。」
「彼の作品は極端なんだ、若者向けに映画化された作品が有る一方で、子どもに読ませて良いのか、という作品が有ったりしてね、ゲシュタルト崩壊という言葉は彼の作品で知ったよ。」
「ゲシュタルト心理学ですね…、困りました、すでに読みたい本が沢山有るのですが、資格試験を考えていまして。」
「それなら彼の本はお勧めじゃないな、小夜ちゃんが必要としている情報はあまり得られないと思うよ、それで、どんな資格を考えているの?」
「まずは司法試験です。」
「えっ、法学部とかではなかったよね?」
「ええ、まずは来年の予備試験に向けてスケジュールを組んでいます。」
「大変そうだな。」
「合格より知識の蓄積が目的ですので必死になる必要は無いのですが、折角ですからクリアしたいです。」
「なるほど、法律に詳しい経営コンサルタントなら頼もしいか、あっ、精神的ストレスの問題も会社経営では目を逸らす事が出来ないと考えて向き合っているのか?」
「はい、少なくとも会社の業務が原因で精神を病んだり自殺という事は有ってはならないです。」
「そうだよな、じゃあ働き方改革関連法案についてはどう思う?」
「そもそも経営者が社員の事を大切に考えていたら労働関連の法律なんて必要無いと思いません?」
「そう来たか…。」
nice!(4)  コメント(0) 

猫田小夜-28 [化け猫亭-03]

「小夜ちゃん、来週は法事が有って憂鬱なんだよ。」
「小森さんが参加しないという選択肢は無いのですか?」
「長男だと色々なしがらみが有ってね。
従弟連中は問題無いのだが、叔母とかの話を聞いてると疲れるんだ。」
「でも、美味しいものを頂けるのでは有りませんか?」
「いやいや、法事に出て来る料理はそうでもね…。」
「焼肉食べ放題とかでしょ?」
「もしかして、小夜ちゃん、法事の経験はないのかな?」
「有りません。」
「キリスト教とか?」
「いえ、猫田家の曽祖父が唯物主義の人だった関係で、祖父も父も偶像崇拝に興味は無いのです。」
「へ~、少し冷たい気がするけど。」
「そんな事ないですよ、亡くなった親族に関するエピソードはまとめられていまして、祖父の家に親族が集った時には写真を見ながら偲んでいます。」
「へ~、お経とか線香とかは無しで?」
「ええ、小森さんはお経の意味とか分かるのですか?」
「まさか。」
「お経は、姿勢を正して声を出す事で脳に良い刺激を与える効果が有るかも知れません、でも、それなら姿勢を正して法律の条文を音読しても同じ事では有りませんか、その意味を考えながら。」
「えっ、もしかして実行してる?」
「音読が良いと母から勧められ、今までは詩や短歌を声に出して読んでいましたが、最近は刑法を音読しています。」
「どんな感じなんだ?」
「法律の重さを味わっています、一言一句を先人たちが曲解されない様に気を配りながら条文を考え、国会で可決された文ですので。
それで、小森さんにとってのお経は?」
「ほとんど分からないが、それで亡くなった人の供養になれば良いだろ?」
「供養になりますか、そもそも人間死んだら終わりですよ、お星さまにならない事ぐらい分かりますよね。」
「まあな、でも、しきたりとか…、小夜ちゃんは宗教、必要ないと思ってる?」
「死への不安が解消されるとか、正しく生きる道標とか、信仰心にケチをつける気は有りませんが…。
お寺関係でも金銭トラブルの話がニュースになりますよね。」
「ああ、最近も有ったな、宗教組織内の利害関係か…、その宗教の教えとか、どうなんだろうな。」
「全員がそうでは無いでしょうが、より良い生活を送る為に宗教活動をしている人は少なく無いと思います。
それ自体は決して悪い事では無いですよね、経済活動の活性化に役だっていますし。
ただ、私利私欲に走り過ぎている人は天国も地獄も無いと理解している訳で、そんな人が善い行いをしろとか偉そうな事を言ってたら笑っちゃいますよね。」
「そうだな。」
「そんな人を支えているのは小森さんの様な人じゃ無いのですか?」
「うっ、そう言われると…。」
「所詮、葬式仏教ですよね?」
「う~ん…。」
nice!(4)  コメント(0) 

猫田小夜-29 [化け猫亭-03]

「はは、小森は、今日も小夜ちゃんにやり込められているのか。」
「え~、そう言う早山課長はどうなんです?」
「まあ、宗教関係なく道徳心とかは大切だな、宗教は一つの伝統文化程度に考えているよ、神社のお祭りとか楽しいだろ。
私は今でも実家近くのお祭りを手伝ってるよ、休みを合わせてね。」
「へ~、早山さんは太鼓叩いたり笛を吹いたりするのですか?」
「いや、私が吹くのは、もっぱらホラだな。」
「ふふ、ですよね、センス無さそうですもの。」
「おいおい、それでも祭りの裏方として活躍してるんだぞ。」
「それはホラ話で実際はお酒を飲む担当だったりして。」
「さすが小夜ちゃん、良いとこを突いてるが、裏方の話は本当なんだ、伝統文化として残したいと考えていてね。
でも、子どもの数が減ってしまったし、手伝ってくれる若者も少なくなってしまったんだ。」
「と、すると、子どもの減少はいざ知らず、若者にとって魅力あるイベントでは無いのですね。」
「そう言われてしまうと…、そうなのかな…。」
「それは、組織運営上の失敗ではないですか?
人が集まって盛り上がるって、きっかけは何でも良いのですよ、多分。
問題は、そこに集る事が楽しいかどうか、中高年の人にとって楽しくても、若者にとって楽しく無かったら、昔と違って今は娯楽が多いじゃないですか。
そんな状況でも、祭りを通して男女の出会いが有ればとか考えてみましたか?
お祭りの日には昔のクラスメートと再会出来て、そこから恋が芽生える…、あ~ロマンチックだなぁ~。」
「その線は考えて無かった…。」
「早山さんが祭りの手伝いをしている理由は何ですか?」
「そうだな、昔馴染みとの時間を持てるし、妻との想い出の空間でも有るからかな、高校生時代の。」
「早山課長の奥さんはお綺麗ですよね、高校生の頃からお付き合いされていたのですか?」
「小さい頃から一緒に遊んでいたよ。」
「幼馴染ですか、羨ましいな…。」
「はは、良く言われる、相性が良いから大した問題も無く、子ども達も健やかに成長しているんだ。
「それはホラ話では無いですよね?」
「違うよ、陽気に暮らせているのは家族有っての事、お祭りの組織も家族の延長みたいな所が有る、そうだな、若い世代に対する働きかけはこれから考えてみるよ、夏祭りには小夜ちゃんを招待したいな。」
「え~、熊や猪が出る様な所へは怖くていけません。」
「そんな、凄い山奥みたいに決めつけないでくれよ。」
「な~んだ、ジビエ料理とか出ないのか。」
「どっちなんだよ…。
でも、最近は山の生態系が変わってしまって、猪との遭遇が増えてるそうだ。」
「凄い山奥じゃないですか!」
「いや、海も近いんだ。」
nice!(4)  コメント(0) 

猫田小夜-30 [化け猫亭-03]

「ねえ、小夜ちゃん、この前、早山課長や小森と来た時にさ、君のひいお爺さんが唯物主義の人だとか言ってたよね。」
「ええ。」
「お墓も無いの?」
「いえ、先祖代々の墓地が有ります、曽祖父は無くす事も考えたそうですが、墓地、埋葬等に関する法律や遺骨遺棄罪、刑法190条なども考慮したそうです。」
「じゃあ普通にお墓参りはしているんだね。」
「お墓参りと言う感覚では有りませんが、年に一度親族が集まって野外パーティーを開いています。」
「えっ、そんなに広いお墓なの?」
「曽祖父が所有していた土地にお墓を移し、小さなメモリアルパークとして花好きの伯母が管理しています、親族全員が唯物主義者という訳では無いのですよ。
子どもの頃はそこにテントを張って泊まったりもしていました。
先祖に対する感謝の気持ちは、そんな時に育まれたと思っています。」
「そうなんだ、でも、お墓の敷地でキャンプなんて怖く無かったの?」
「怖い? 幽霊とかの話ですか? 毎回会える事を楽しみにしていたのですが、結局、幽霊には会えませんでした。
平田さんは幽霊に会った事、有ります?」
「い、いや、でもそんなとこで…、暗かったら怖いじゃないか。」
「ですよね、油断してると躓いたりして危険です。」
「そういう問題か…。」
「それで、お墓について何か有ったのですか?」
「ああ、年老いた祖母が俺達に迷惑を掛けたくないから墓仕舞いをと言い始めてね、死後は樹木葬が良いとも。」
「素敵なお婆様ですね。」
「でも、それで良いのか良く分からなくてさ。」
「平田さんには信仰心なんて一欠片も無いのでしょ?」
「そ、それは言い過ぎだよ、欠片ぐらいは有る。」
「大体人間ほど無駄に扱われている死体はないですよね。」
「えっ?」
「豚や牛の死体は平田さんの贅肉になるし、自然界で亡くなった生物は全て自然の摂理に従って、次の命の為に、餌となったりバクテリアに分解されて養分となったり、でも人間の死体は無駄に燃料を使って灰に、全然役に立ってないですよね。」
「う~ん、そう言われてしまうと…。」
「お墓なんて考え方一つですよ、エジプトのピラミッドだって古墳だって、どんなに立派なものを作っても、そこに埋葬されてる人は、自分がそこに埋葬されている事を確認出来る訳では無いのです。
権力の象徴として次世代に利用されただけではないですか。
そうですね、猫田家が選択したのは、平田さんのお婆様が考えておられる、樹木葬と言えるのかも知れません。」
「そうか…。」
「お墓でなくとも、一枚の写真でも、そこから生と死を考え先祖を偲ぶ事が出来れば良いのでは有りませんか、今は形に拘らない人が増えています。
平田さんが、お婆様との想い出を忘れる事がない様な形を考えれば良いのですよ。」
「そうだな…、有難う、考え直してみるよ、やっぱ相談事は小夜ちゃんだな。」
「こらこら、三十過ぎのおっさんが二十歳の女の子に頼ってちゃだめでしょ。」
nice!(6)  コメント(0) 
化け猫亭-03 ブログトップ