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化け猫亭-01 ブログトップ

猫田小夜-01 [化け猫亭-01]

「私は猫田小夜、二十歳の大学生。
二十歳になって、お酒を出す店でのバイトを始めたばかり。
店は叔父が経営する化け猫亭。
三十三歳独身の叔父、いたって常識人なのだが、化け猫亭というネーミングセンスにはついて行けない、苗字が猫田だからと言っても…。
どうして化け猫亭にしたのかは教えてくれない。
今まで話す機会が少なく、私にとって謎の多い人でも有る。
バイトを始める事になったのは、二十歳になり、始めて父に連れて行って貰った時、話の流れで家から近いし短時間で良いからと叔父に誘われた。
父は反対するかと思ったら、むしろ勧めてくれた。
私自身活動の幅を広げたいと考えていたし、父が娘を働かせても問題のない店だと判断しているのなら安心だと考え引き受ける事にした。

さて、店では叔父の事をマスターと呼んでいる…。

「マスター、掃除終わりました。」
「うん、そろそろ店の入り口を開店モードにしてくれるか。」
「はい。」
「店の仕事は覚えた?」
「ええ、五月さんに一通り教えて頂いて、店員としてのスキルは実践で磨けとね。」
「基本はファミレスの店員と似た様な事だからな、違いはお客さんとの会話と風営法関連。」
「風営法か、なんかダンスがどうとかニュースになってたわね。」
「ああ、結構面倒なんだ、古い法律がそのまま残っていたりしてね。
うちはいたって健全なのだが…、その辺りの事は理解出来てる?」
「子どもでは無いわよ、適度に性欲を発散させる店は他に有るのでしょ。」
「うちは、そういう店とは客層が完全に違う、それでも風営法は関係する、ダンスの出来る店に関しての話はどの程度理解してる?」
「そうね、昔に作られた法律が時代の変化を無視して残っているという事は考えさせられたわ。」
「法改正は簡単では無いからな、しかも法解釈は利害によって捻じ曲げられかねない。
法律の条文は見た事有るか?」
「ええ、法学部では無いから多くは無いけど。」
「憲法は?」
「一通り読んだわ、マスターは改憲派、護憲派どっち?」
「まあ、改憲派なのだが…、小夜は昨今の改憲論議、どう考えてる?」
「政治家って馬鹿ばかりなのって思う。」
「はは、手厳しいな。」
「だって、対案を出せずに反対反対、官僚や大臣の不祥事ばかりを話題にしている野党、司法に委ねるべき事を立法府でだらだらやってるでしょ。
与党だって、改憲を目指すのなら、はっきりとした条文案を国民に明示すれば良いじゃない。
明確な案を出しもしない見もしないという状況で改憲に賛成だ反対だと騒いでるなんて馬鹿ばっかでしょ。」
「はは、姪がまともに成長していて安心したよ。」
「あっ、お客さんね…。」
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猫田小夜-02 [化け猫亭-01]

「いらっしゃいませ。」
「あっ、新人の女の子? 可愛いね。」
「姪の小夜です。」
「マスターの姪か…、う~ん、そう言われてみると微妙に似てなくも無いな…。」
「似て無いですよ、まずは何になさいますか?」
「はは、注文は大丈夫だよ、マスターが勝手にやってくれるからね。」
「常連さんなのですね、何時も有難う御座います。」
「マスターは小夜さんの事、なんて呼んでるの?」
「小夜ちゃんです。」
「じゃあ、小夜ちゃん、俺の事は福山雅治と呼んでくれな。」
「どこかの有名人と同姓同名なのですか?」
「いかんなぁ~、突っ込みが弱いよ。」
「福山雅治さんの事はあまり知らないのです。」
「そうか…、それではどんな事に興味が有るんだい?」
「そうですね、やはり生活基盤の安定でしょうか、今は学生なので小さくバイトを始めましたが、早く自立した大人になりたいと考えています。」
「就職を真面目に考えているんだね。」
「そうでもないです、金儲けの道筋が見つけられなかったら就職という道を考えますが、選択肢は少なくないと信じています。」
「へ~、マスター、面白い娘だね。」
「普通の女の子ですよ。」
「普通ね、普通の女の子が金儲けの道筋とか言うかな?」
「職業選択の幅は広いです、大学を卒業したら就職という固定概念に囚われていてはだめですね。」
「そうだったな、俺はまだ修業が足りんなぁ~。」
「小夜ちゃん、福山さんは、雅治ではなく大五郎さんなんだけど、真面目な女子大生に興味が有るんだ、少し教えて上げてくれるか。」
「へ~、男の人ってエッチな話にしか興味が無いのかと思っていました。」
「小夜ちゃん、マスターから聞いて無かったの、この店はそういう話禁止だって、勿論セクハラ行為は厳禁だよ。」
「お酒を出すお店なので、覚悟の上でバイトを始める事にしたのですが。」
「化け猫亭は健全過ぎるくらいな健全を売りにしているんだよ、そして知的な話が出来る場として人気が有るんだ。」
「そうでしたか、バイト初日のお客様方が品の有る方ばかりだったのは偶然で無かったのですね。」
「私も大学生がどんな研究をしているのか興味が有る、色々な学部の学生の話を聴くと視野が広がる気がしてね。」
「そうでしたか、私の専門では無いのですが、オナガサイチョウという鳥がいましてね…。」
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猫田小夜-03 [化け猫亭-01]

「おお~、これがオナガサイチョウか、独特な鳥だね、他にも色んな生物の写真を保存しているの?」
「ふふ、そうですね、次の機会に少しお見せしますよ。」
「それって、毎日通えという事なのかな?」
「いえ、私は週に何度も入りませんので。
それよりも馴染みのないオナガサイチョウの写真をご覧になられて如何でしたか?」
「生物の多様性か…。」
「もし、鳥達が種類を越えてお付き合い出来るとしたらオナガサイチョウはモテなさそうじゃないですか。」
「そう来たか…、でもそれは彼等には関係ないだろ。」
「でしょうね、私の価値基準に過ぎませんので、ただ私に告白して来る男子は人間界に於けるオナガサイチョウみたいな人ばかりなのですよ。」
「恋愛関係の悩みでも?」
「いえ、悩んでいると言う程の事では有りませんが、お客様との会話に恋愛話はどうかと考えてみまして。」
「はは、小夜ちゃんはホントに個性的なんだね。」
「福山さんのその言葉に、喜べば良いのか傷つけば良いのか分からない自分がいます。」
「個性的は褒め言葉だよ。」
「そうですか、とてつもなく駄目駄目な人を傷つけないためにも同じ表現を使いますよね。」
「いや…、それより個性を大切にって話してる高校生が、みんな同じ様に髪を染めて、似た様な服を着ていた事を思い出したな。」
「あっ、逃げましたね、個性的な私に困っていますか?」
「うっ、参ったな…。」
「と、まあ、人間関係の中で理解しずらい人に出会った時、人はどう反応するのかというのが私の研究テーマの一つです。」
「えっ?」
「演技というのも研究テーマの一つなのですが。」
「そ、そうなのか…。」
「こんな話でも、視野が広がる気がします?」
「あ、ああ、面白い、君は何時もそういった研究テーマを意識しているの?」
「そうでも無いです、福山さんが化け猫亭の常連さんと知りましたので、覚えて頂くために少しインパクトの有る手段を考えてみました。」
「はは、しっかり覚えたよ、これからはお手柔らかに頼むね。」
「はい、宜しくお願いします。」

分かり易い人だから、彼が何を考えているかは大体分かる。
福山さんは少々いやらしい目で私を見ていたので、少しだけ私の怖さを味わって頂いた。
私の特技は人に嫌われる事。
近寄らないで欲しいと思う人にはこんな程度で済まさない、私の事が怖くなるレベルまで…。
でも、好かれたい人は考えが読みにくいだけで無く、すでに彼女がいるというのが現実。
正直、恋愛運の無さを感じながら二十歳になってしまったのだ。
容姿を褒められる事は多いのに…。
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猫田小夜-04 [化け猫亭-01]

「ねえ、小夜ちゃんはどう思う?」
「えっ、伊藤さん、何がです?」
「ほら、塀の無い施設から受刑者が逃走してた事件、多くの人が迷惑しただろ。」
「ええ、知ってます、密かに応援してましたが、色々考えさせられましたね。」
「はは、応援してたんだ。」
「中村さんは応援しなかったのですか?
あのまま捕まらなかったら、かなり高い能力の持ち主、でも最後があれでがっかりしました。
窃盗犯でしたか…、犯罪犯して逃げている時と受刑者として逃げる時とでは勝手が違ったのですかね。」
「最後は疲れていたのかもな、小夜ちゃんは色々考えさせられたと話したけど、どんな事を考えてたの?」
「そうですね、殺人を犯した凶悪犯でもないのに追い詰め過ぎて、かえって危険な状態になる可能性や犯人が自殺する可能性。
受刑者の社会復帰を後押しする取り組みが後退しないかは気になりますね。
それと、有罪になった人にはGPS発信機を体内に埋め込み監視するシステム、一定以上の有罪判決が確定した時点で人権は半減で構わないと思いませんか、刑罰の一つとして。
冤罪は運が無かった事にして、凶悪犯は死刑、その執行までに時間を掛け過ぎないとか…。
でも、その前に犯罪を減らす事を目的として、犯罪を犯して捕まり懲役になったらどんな生活が待ってるのか、死刑制度の有る国ですから、それも含めて子ども達にきちんと教える必要が有りますよね。
それが充分ではないから犯罪が後を絶たない…、まあ頭の悪い子は理解出来なかったり、想像力が足りず教えても無駄なのかも知れません。
刑務所が楽しい場所だった場合も意味が無いですね、私はまだ入った事がないので分かりませんが、規則正しい生活、ダイエットを気にしなくて良い食生活、人間関係にさえ気を付けていれば悪くない環境だと考える人はいるかも知れません。」
「はは、ほんとに色々考えてたんだね。」
「中村さんはどの様に考えておられたのですか?」
「まあ、簡単に逃げられる施設の問題とか…。」
「ですよね、芥川龍之介の蜘蛛の糸と、似た様な構図だと思いませんでしたか?」
「あっ、逃げられる環境を作って人を試すって事か…。」
「う~ん、蜘蛛の糸って、話自体が微妙だよな、釈迦ならカンダタの行動ぐらい予測出来ただろ。
もし、後から登って来た罪人達も救われてしまったら、当初の目的とは違うよな。」
「まあ、お話しの世界だからね、塀の無い施設は、真面目に刑期を終える事を前提に社会復帰を考えていて、取り組み自体は悪くないと思うんだ。」
「いっそ島流しってどうですか?」
「泳いで渡れない島か…、社会復帰に繋がるのかな?」
「服役している人で開拓したり畑を耕したり、店の運営なども服役中の人で行い、一つの共同体を形成するのです、無人島を人が普通に住める状態まで開発して行くなんて楽しそうじゃ無いですか。
私はそんな暮らし、絶対嫌ですが。」
「はは、嫌なんだ。」
「刑務官は大変かも知れないけど、塀に囲まれて暮らすよりはうんとまし、普通の社会を作り出せば、刑期を終えた後の社会復帰も容易です…、どこかに良い無人島、無いかしら。」
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猫田小夜-05 [化け猫亭-01]

「小夜ちゃん、昔の島流しは、無人島では無く普通に島民が暮らしている所へ送られていたんだよ。
色々な事情によって、餓死する人がいれば、島の人と結婚した人や仕送りで生活していた人もいたそうだ。」
「島暮らしが楽し過ぎたら刑罰の意味が無いですね。」
「結局、人それぞれという事じゃないのかな、故郷に帰りたい、家族に会いたいと思っても会えないと大きなストレスを感じていた人が居れば、少数派かもだけど、島暮らしを気に入って馴染む人が居たのかも知れない。
今の刑務所だって、老人ホーム代わりに使ってる人がいると聞いたよ。
喰うに困って窃盗を働いた様な人なら、シャバより楽で楽しい場所なのかもな、刑務所は。」
「そういうレベルの人に過疎地の廃村を復活させる作業をして貰うとかどうでしょう、夢が広がりませんか?」
「ふむ。」
「考えてみれば刑務所の運営って税金で賄われているのですよね、だったら重罪を犯した人は島流し、軽微な人は山奥で、それぞれ働いて税金を納めて貰う、税率は犯罪によって変えても良いですね、殺人とかは税率90%、比較的罪の軽い人は一般人の倍とか。
今現在、刑務所での作業報酬がどうなっているのかは知りませんが。」
「どうなんだろう、ちょっと調べてみるよ、水割り頼むね。」
「俺も。」
「はい、少々お待ちください。」

「法務省のサイトによると、受刑者の作業によって得られた収入は国庫に入るみたいだな。
平成27年度の刑務所作業収入は約40億円なんだってさ。」
「その額が多いのか少ないのか良く分からないな。」
「うん…、受刑者には作業報奨金という形で…、えっと…、平成27年度予算における作業報奨金の1人1月当たりの平均計算額は約5,317円…、月額だぞ。」
「懲役だからな。」
「そっか、そうですよね、自分達の食費とかは自分で稼いで貰わないといけませんものね。
でも、約40億円という事は、刑務所全体に掛かる費用の何%ぐらいなのでしょう?」
「え~っと、平成28年3月末日現在、刑務作業は全国77の刑事施設で約48,000人が就業と有るから…、その人数の食費と刑務官の給料とかを考えたら…。」
「良く分からんが、単純に計算して、せいぜい2割か…、いや、それ以下かな。」
「警察、検察、裁判所、刑務所と犯罪者関係で多くの国家予算が使われているよな。」
「そうですよね、そう考えたら40億円なんて微々たる額、無いよりはうんとましだとしても…、それにしても犯罪は減りそうに有りませんね。
犯罪と言っても色々ですが…、社会秩序を乱す行為と捉えれば良いのでしょうか?」
「そうだな、その辺りを法で定め、それに反すると犯罪なのか…。」
「犯罪行為は昔から有って無くならない、という事は人間の本能に犯罪を犯す要素が含まれているという事かしら?」
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猫田小夜-06 [化け猫亭-01]

「そうだな、性犯罪はまさしく本能に正直過ぎる連中が我慢出来なくてというパターンだね。
法に触れるレベルで欲望を満足させている人が少なからず居そうだから、無くなるとは考えにくいかな。」
「殺人になると事情が複雑か…、殺したくなった相手を殺すかどうかは…、カッとなっての犯行は本能的なのかもな。」
「人と人の関係は複雑だから…、計画的殺人は色んな感情が絡み合っていて怖そうですね。」
「確かにドロドロしていそうだ…、そう考えると、楽して金儲けをしたいという感覚は自然だな、俺だってたまに宝くじを買ってしまう、確率の意味はしっかり理解しているのだがね。」
「それを、宝くじでは無く詐欺によって成し遂げようと考えるか、株とか合法的手段によってと考えるかの違いかな。」
「手段を選ぶか選ばないか、という事ですね、法に触れない手段を選ぶ人と、それに拘らない人。
でも、社会規範から逸脱した人でも社会を構成する一員です、一度犯罪を犯したからと言って全員死刑にしていたら人口減少に歯止めが掛からない、再び罪を犯すことなく良い形で社会復帰出来る道筋が出来ればと思うのですが、日本は弱者に厳しい競争社会、色々難しそうですね。」
「そうだな、先日の逃走犯だって模範囚の立場を勝ち取ったから塀の無い施設で残りの刑期を終える筈だった、人間関係が嫌になって逃げたという報道を目にしたが。」
「あっ、再犯関連の記事を目にしたよ、え~と…。
松山刑務所大井造船作業場の脱走事件を受けて、法務省が発表したのだけど、出所後に再び罪を犯して刑務所に戻る率が、全国の刑務所などでは43%なんだってさ、多過ぎるよな。
そして、『塀のない刑務所』と呼ばれる開放的3施設では8~14%となっている。」
「少ないみたいだけど、元々、再び罪を犯さない様な模範囚を対象としているのだから微妙な数字だね、それより43%の方が問題だが。」
「刑務所の居心地が良いのかしら。」
「生活出来なくて仕方なく、という再犯と、そうでは無く…、色々なパターンが想定されて簡単に分析出来ないな。」
「十年ぐらい刑務所内で生活した後、釈放されたとして…。
社会の変化について行けないでしょうし、再就職だってままならない、結局犯罪に手を染めざるを得ないという人は少なく無さそうですね。」
「出所者に仕事を斡旋するにしても、人がやりたがらない様な、きつめの仕事になってしまいそうだな。
小夜ちゃんが受刑者の場として提案した廃村復活とかを出所者の手で出来れば良いのかもしれないが。」
「簡単では無いだろう、基礎教育から始めて…、かなり費用が掛かりそうだし、出所者だって、そんな所で暮らしたくは無いだろう。」
「法務省のサイトでは、刑務作業の目的として、受刑者の矯正及び社会復帰を図ると有ったが…。」
「難しい問題だよな。」
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猫田小夜-07 [化け猫亭-01]

「ここで話していても何も分かりませんね、伊藤さん、ちょっとムショ暮らしを経験して探って来て下さい、現場の生の声を聞きたいなぁ~。」
「ば、馬鹿言うな、妻子有る身なんだぞ。」
「そうですね、私を強姦した事にして有罪まで持ち込む、ムショ暮らしをある程度経験した段階で、冤罪でしたと…。」
「却下だ!」
「真面目な人間には、なかなか経験出来ない事を体験出来るのですよ。」
「そうだな、伊藤なら奥さんに逃げられたとしても社会復帰は出来る、収入は減るだろうが。」
「それで、誰が得するんだ?」
「伊藤さんを囲んで、刑務所内の現状を聞く会を開きます、コソ泥の話なんて誰も聞きたがらないでしょうが、冤罪によって妻子と離れ離れになった悲劇の主人公なら…、そうね本を出しましょう、そこからテレビ局に売り込んで…。」
「はは、どれぐらい真面目に考えてるんだ?」
「えっ、良いストーリーだと思いませんか、そのまま頑張れば色々仕事が舞い込んで来ますよ、そうすれば、奥さんだって考え直してくれますって。」
「そ、そうかな…、じゃ、じゃないだろ、少しすれ違っているだけで、離婚した訳でもないし。」
「伊藤、お前、小夜ちゃんに弄ばれてるみたいだな。」
「だよな…。」
「伊藤さんは、この前いらした時、奥さんと上手く行ってないと話されてたじゃないですか。
一度、刑務所暮らしをイメージして、奥さんやお子さんの事を考えてみては如何です?」
「う~ん、そう言われるとな…。」
「勿論、イメージだけでなく実際に経験して下されば楽しいです、三年ぐらいなら待ちますよ。」
「それは却下だ。」
「え~、高い塀に囲まれた環境で自分と向き合い、ああ、自分は妻や子どもの立場に立って家族の事を考えていたのだろうか…、と呟くドラマの主人公になって下さいよ。」
「そう言えば、伊藤と奥さんとの出会いは、少しドラマチックだったのだろ?」
「ま、まあな…。」
「聞きたいなぁ~。」
「嫌だ!」
「今は仕方ないですか…、でもムショ暮らしの話は考えておいて下さいね、本を出す時は奥さんとのエピソードを入れます、伊藤さんは話をして下さるだけで良いのですよ、文は私が書きますから、こう見えて小学六年生の頃は作文で花丸を貰った事が有るのです。」
「はは、伊藤、夫婦の問題を視点を変えて見て見ろという事だぞ。」
「中村…。」

伊藤さんは頭の悪い人ではない、でも夫婦の問題は難しそうだ。
私には刺激を与えて差し上げるぐらいしか出来ないが、夫婦にとってもお子さんにとっても一番良い結論を見つけて頂けたらと思う。
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猫田小夜-08 [化け猫亭-01]

「小夜ちゃんは、森友、加計の問題、どう思う?」
「谷口さん…、詳しく調べる気にもならないのですが…、森友は籠池容疑者に振り回された人達が迷惑したという単純な事ではないのですか?
司法に任せれば良いのに野党が…、国レベルで考えたら極めて小さい事をだらだらと、マスコミが必要以上に取り上げたから与党に多少のダメージを与えたのかも知れないけど、野党の酷さを改めて国民に知らしめましたよね。」
「だよな、加計学園の問題も似た様な事かな?」
「加計学園問題では、皆さん重要なポイントから目を逸らしていて…。」
「小夜ちゃんが問題視しているのは?」
「獣医師不足です、ペットを対象とした獣医は足りていても、家畜の疾病予防や食肉検査に係わる獣医師不足が指摘されていましたよね。」
「そう言えば、ちらりと耳にした記憶が有る。」
「本当に野党が馬鹿だと思うのは、このアンバランスを解消する案を国民に分かる形で出さない、出せないで、だらだらと加計学園の問題を論じている事です。
大体、あの論調だと、友人が総理大臣になった人は大きな仕事が出来なくなりますね。」
「そうだな…。」
「私だったら、家畜専門の獣医師資格を新設する法案、もしくは家畜に関係する獣医師の待遇改善に関連する法案を提出しますね。
加計学園の問題をだらだらやっているより、うんと建設的だと思いませんか?」
「籠池容疑者が考えた小学校は無くても全く問題無いが、加計学園の獣医学部新設は必要としている人が居るのかな。」
「でも、卒業生が全員ペット向けの動物病院へ流れたら、その存在意義は大きく無いです。
ペットにお金を掛ける人が増えているのなら需要は有るのでしょうが。」
「う~ん、あまり気にしないで官僚の問題ばかりに目が行ってたよ。」
「それも…、官僚は保身が仕事の一つですから、ミスを隠そうとするのは当たり前、でも、一国の大臣が官僚のしている事を全て把握する必要も無ければ、官僚のミスで辞任するする必要も有りませんよ、そんな事を考えていたら組織は成り立ちませんね。」
「小夜ちゃんは与党寄りなんだね。」
「谷口さんは違うのですか?」
「官僚政治に少し疑問を感じているのだが。」
「ふふ、あってはならない事ですが、今の野党が政権を取った状況をイメージ出来ますか?」
「確かにイメージしにくいが…。」
「官僚に頼るしかないのですよ、ほとんど。
民主党政権時代については高校生の頃に調べた事が有ります。
出来もしない公約を掲げて政権を取ったはいいが経済政策に失敗とか、そんな状況下でも官僚は官僚として、天下り先を作ったりしながら働いていたと思いますよ。
馬鹿でも人気が有れば国会議員になれますが、それを支えているのは、ずる賢い官僚ですよね。
しばしばミスがバレて批判の対象になっていますが、今の官僚組織に代わるものを作ろうと思っても、馬鹿が国会議員をやれるこの国で、今以上の組織は無理じゃ無いですか?」
「そう言われてしまうと…。」
「因みに、今の野党党首が間違って総理大臣になってしまったとしたら、外交、経済中心にとてつもなく不安です。
とりあえず安倍首相を退陣に追い込みたいとしか考えてない、日本の事をまともに考えているとは考えられない人達、諸外国から日本が低く見られて、日本は衰退してしまいそうです。」
「う~ん。」
「問題は安倍首相の後継ですね。」
「そうだな…、しばらく前から女性総理の話が出ているが…。」
「怖いのは、能力を無視して、女性だからという理由で選ばれる事です。
国会議員には馬鹿でもなれると証明されています、そのままの流れでとんでもない人が総理大臣になってしまったら…、ずる賢い官僚が頑張っても日本は衰退しますよ。
性別関係なく本当にこの国のリーダーに相応しい人が今の政治家の中に居るのなら、安倍総理の後継候補として紹介して欲しいですね。」
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猫田小夜-09 [化け猫亭-01]

「小夜ちゃんの話には説得力が有るね、政治家向きかもな。」
「政治家なんて嫌です、魅力的な職業では無いから優秀な人が出て来ないのだとは思いませんか?」
「そうなのかな…。」
「有権者に媚びを売らないと当選出来ないのですよ。
ヒステリックで人格を疑う様な人でも当選するのが選挙、知名度が低いと優秀な人でも当選出来ない。
真面目に議員を目指して来た人の前に、政治の事を全く知らない有名人が立ち塞がる構図。
有権者は政策や主張なんて無関係で投票していますよ、組織票みたいに利害関係だけの投票行動も有りますしね。」
「一般の有権者にとって政治の世界は難しいからな。」
「自由平等を謳う民主主義の欠点ですよね、谷口さんを洗脳して、独裁者を目指す私に一票を入れさせるのは簡単そうだもの。」
「えっ、独裁者を目指しているの?」
「冗談ですよ、でも、私が立候補したら一票入れて下さるでしょ。」
「あ、ああ、入れるよ。」
「その一票の理由が私の胸だったりしませんか?」
「い、いや…、そんな事は無い、小夜ちゃんの論理的な話に魅かれたからであって…、君のプロポーションは関係ないよ…。」
「でも、それが投票行動に繋がるのが選挙だと思いませんか?」
「う~ん、容姿だけで人を選びそうな人に…、心当たりは有るな。」
「その辺りが、民主主義の限界で、本当に力の有る天才なら現代社会でもヒトラーになれるのですよ。」
「独裁者って、冗談じゃなかったの?」
「私には、そこまでの能力は有りません、でも、偶像として一人を表に出し、裏で数人の天才が手を組んで操作したら、それ程難しい事ではないと思います。」
「…。」
「弁舌が軽やかで爽やかなイケメンを党首にして、政策立案などを天才レベルの人達で行う政党を作れば面白いと思うのですが、彼等にとってメリットはないでしょう。
真面目にやっていても足を引っ張られる様な政治の世界、魅力ある職場とは言えませんね。」
「地位や名誉を求める人はいないのかな…、確かに高い能力を持っている人から見たら、国会質疑の場なんて時間の無駄でバカバカしく思うだろうが。」
「国の事を考える場では無く、相手の足を引っ張る事しか考えていませんからね。
ところで、山下さんは、森友、加計の問題、どの様に考えていらっしゃるのですか?」
「そうだな…、小夜ちゃんの話を聞いて、もう一度考え直してみたくなったよ、有難うね。」

化け猫亭のお客さんには山下さんの様な質問をする人が少なくない。
真面目な話が息抜きになるという人の存在は、バイトを始めてから知った事だ。
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猫田小夜-10 [化け猫亭-01]

「小夜ちゃんは知的美女揃いの化け猫亭の中でも独特な感性を持っているね。」
「宮田さん、それは、どう受け止めれば良いのですか?」
「ここで働いている女の子達はみんな自分のスキルを上げたくて狭き門であるマスターの面接に合格しているのだろ。」
「えっ、それは聞いていませんでした…、私は縁故採用…、先輩方に嫌われたくは無いのですが…。」
「大丈夫だよ、君は先輩方の邪魔にはならないだろうから。」
「どういう事ですか?」
「化け猫亭の客には大手企業の人事担当も居ると言えば分かってくれるかな。」
「成程、幾つかの謎が解けました。」
「他の子との違いも?」
「ええ、私は社畜を目指してはいませんので。」
「就職は考えていないのか?」
「はい、今は研究…、大学院へ進もうかと考えています、でも、人にこき使われる事無く金儲けが出来る道が見えたら大学中退も有りですね。」
「随分、極端なんだな。」
「まだ進路は固まっていませんので、自分の力を発揮出来る仕事をしたいとは考えていますが。」
「今は就職するにしても人手不足気味だから気楽なんだね、息子の時はひどかったんだよ。」
「若者の非正規雇用が増えた時期ですか?」
「ああ、皮肉な話でね、私は人件費を如何に抑えるか、という問題と向き合っていたんだ。
私みたいな仕事をしている人がどの企業にもいたから、息子の就職が難しくなって当たり前だった訳さ。」
「悪循環だったのですね、企業が人件費を押さえれば消費は伸びにくい、消費が伸びなければ企業の業績は伸びない、宮田さんはそれを考えていたのですか?」
「いや、恥ずかしい話だが、そういう視野で考える事は出来なかった、まあ、考えた所でどうにもならなかったけどね。」
「そう言えば、トヨタ自動車は、2018年3月期連結決算で最終利益が過去最高を更新したにも関わらず、将来への危機感は強いと記事で読みました、宮田さんはどう感じましたか?」
「トヨタは巨大だからね、抱えている従業員の人数も半端ないから油断は出来ないのだろう。」
「それでも、多くの利益を上げているのですから、抱えている末端の企業が少しは潤う事を考えてあげても良いと思いませんか?」
「どうなんだろう?」
「若者の車離れという事が話題になっていましたが、安い給料では車を買おうなんて思いませんよね。」
「だろうな、社会全体で所得の二極化が進んだ結果、内需は伸び悩んでいると思うよ。
それを考えると、人材も…、優秀な人は優良企業に流れる、だからトヨタ系列の仕事をしていても、末端の企業に優秀な人材は行かない。
なのに、トヨタと同じ様なシステムでの改善改革を社員に求める。
まあ、底辺の企業なんて、大きな仕様変更とか有ったら取引終了で切り捨てだから気にもしてないだろうがね。」
「トヨタ関連にお詳しいのですか?」
「そうでもない…、今は改善されているのかも知れないが、以前、力の無い人が改善案を出せなくて苦しんでいたり、中間管理職が精神を壊したりとかトヨタの社員から聞いた事が有るんだ。
巨大組織では歪も…、いや、巨大な組織でなくても歪は有るのだろうな。」
「そうでしょうね、だから社畜にはなりたくないのですよ。」
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