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高校生会議2-09 ブログトップ

神沢祐樹-01 [高校生会議2-09]

「あの、神沢くんはお兄さんもこの高校なのですよね。」
「ああ。」
「それでは入学早々部活関連の時間が結構有りますが、それがどんな内容なのかご存知なのですね。」
「うん、地獄の特訓と試験、その結果でどの部活に所属するか振り分けられるのさ、白川さんは体力に自信有る?」
「え~、嘘ですよね、私は合唱部にしようと思ってましたのに…。」
「冗談だよ。」
「えっ?」
「それでも体育の授業を兼ねているから、文化部志望でも体操服で走ったりするんだよ。」
「良く分かりません。」
「資料は読んでないの?」
「他に気になる事が多過ぎまして…。」
「仕方ないから、説明してあげよう。
明日は科学的トレーニングについての説明とランニング実習。
柿川市内の公立高校はどこも理論に基づいたトレーニングをしているんだ、体育でも部活でもね。
だらだらと何も考えずに長時間練習するより、短時間でも無理なく効率的に練習すれば、成果が上がるだけでなく怪我をしにくいんだよ。
その辺りの説明の後、走り方の説明だね。」
「え~、教えて頂かなくても走る事は出来ますわ。」
「いやいや、間違ったフォームで走っていると体にひずみが出たりして体に良くないんだ、だから文化部希望者も必須、体育の時間に走る事も有るし、健康の為にジョギングをする人もいるだろ。」
「そうなのですか、歌は体が楽器だから関係有りそうですが。」
「余程どんくさくない限り足が速くなると思うよ。」
「うっ、私、どんくさそうに見えますか?」
「いや、お嬢様っぽいから、走るイメージは湧かないかな。」
「そ、そんな…、お嬢様じゃないです。」
「赤くならなくて良いよ、でも中学は私立の女子校だったのだろ。」
「ええ、あ、あの…、神沢くん、私…、変じゃないですか?」
「変って?」
「私、同い年の男の子とこんなに沢山話したの初めてなのです…。」
「えっ、そ、それは…。」
「それは?」
「面白い。」
「あ~ん、勇気を出してお話しましたのに…。」
「はは、ごめんごめん、まあ席が隣になったのも何かの縁、何でも相談してくれ。
ちなみに、君は全然変じゃないぞ。」
「ほんとですか? ではお友達になって下さいますか?」
「もちろんさ。」
「では、私の事は絵美と呼んで下さいね。」
「ああ。」
「で、その…、祐樹って呼んでも良いですか?」
「構わないが、周りから誤解されるかもしれないぞ。」
「誤解ですか?」
「その…、付き合ってるとか。」
「えっ、男女こ…、交際ですね…、でもまだ手紙をお渡ししていませんし、校舎裏での告白もしていません、それなのに、その様な事になってよろしいのでしょうか…。」
「いきなりファーストネームで呼び合っていたら周りの連中が付き合ってると誤解するかもって事だよ。」
「それは祐樹さまにとってご迷惑な事ではないのでしょうか?」
「まあ、面白いから構わないかな。」
「では、宜しくお願い致します。」
「あ、ああ。」
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神沢祐樹-02 [高校生会議2-09]

「おう、祐樹、バスケ部へ挨拶に行くか?」
「ああ、挨拶しとかないと兄貴がうるさいからな。」
「一樹さんはキャプテンだもんな、俺の目には頼もしい先輩だが…、お前んちの兄弟関係はどんな感じなんだ?」
「今は至って平和だよ、兄貴が高校生になったぐらいから兄弟げんかもしていない、反抗期は親が受け止めてくれたからね。」
「へ~、俺は大人になり切れてないのかな。」
「その自覚が有れば大丈夫だ、うちには妹がいるだろ、俺は兄として恰好の悪い所を見せたくなかったのさ。」
「あんな可愛い妹ならな、うちの妹なんて、がさつで、いったい誰に似たんだって感じだよ。」
「もちろんお前に似たんだろ、悠斗。」
「へいへい、ど~せ俺は…、そう言えばお前、白川と随分仲良さそうにしてたな。」
「してたな。」
「中学時代は群がる女子を蹴散らかしていたろ、いったいどういう心境の変化なんだ?」
「はは、俺にも良く分からないが、面白くて可愛い子なんだ、外見は美人なんだが。」
「美人だよな~、やはりお嬢様という感じなのか?」
「そこなんだ、頑張って普通の女子高生を目指している様なのだが、気を抜くと話し方が丁寧になるって、どれだけお嬢様なんだって思わないか?」
「いや、その場面を見て無いから何とも言えないが。」
「更にだ、俺が異性のお友達第一号なんだよ。」
「それは普通に羨ましい気がする。」
「だろ、彼女は柿川に越して来て間が無いから、次の土曜日は俺が案内して上げる事にさせられたんだ。」
「おいおい、いきなりデートかよ。」
「仕方ないだろ、お願いされてしまったのだから。」
「ちっきしょー、このもやもやした気分をバスケで発散させたいのに、部活にはまだ参加させて貰えないんだぞ。」
「はは、先輩方に挨拶済ませたら公園へ付き合ってやるよ。」
「ああ…。」
「今日なら女子も来てるんじゃないのか?」
「あっ、綾香が明日の準備とか言ってた、御免、祐樹に伝える様に言われてたのに忘れてたよ、北中バスケ部の同期は男女ともに全員集合なんだ、着替えて来る時間は充分有るからな。」
「どういう事なんだ?」
「北中は部活再生試験校だったろ、だから高校の基礎講習を手伝う事に成ってるんだよ。」
「そうなのか、知らなかった。」
「綾香はお前に交際を断られたからな、察してやれよ。」
「それで悠斗を頼った訳だ、う~ん、それを忘れている様では、綾香の気持ちは掴めないぞ、好きなんだろ。」
「うるさい! 先輩への挨拶をさっさと済ませて、着替えてから公園に集合、いいな!」
「分かったよ。」
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神沢祐樹-03 [高校生会議2-09]

「悠斗、コーチも来てるじゃないか。」
「まあ、そういう集まりなのさ。」

「コーチ、お久しぶりです。」
「おお、祐樹か、お前入学早々彼女が出来たんだって?」
「え~、誰がそんな事?」
「今日、随分親密に話してた美人がいたそうじゃないか、どうなんだ実際の所は?」
「まともに話したのは今日が初めてです、最近越して来た子で色んな事情が分かっていないから教えてあげていただけですよ。」
「だが彼女は頬を赤らめていたのだろ?」
「男女共学が初めてで戸惑っていたのですよ。
それより今から何をするのですか?」
「ああ、高校で運動の基礎講習が有る事は知ってるだろ。」
「はい、でも俺達が中学で経験して来た事なんですよね。」
「ああ、だから、北中の体育系部活出身者には講習を手伝って貰う事になってな、お前は知らなかったのか?」
「はい、数少ない友人は最近物忘れが激しい様で少し心配です。」
「まあ、君の事情は知っているが、高校入学は良い機会だと思うぞ、せめて皆にメアドぐらいは教えてやれよ。」
「ですが…、今日の出来事がコーチの耳にいい加減な形で伝わっている現状を思うと、やはり今のままが良いです。
影で何と言われようが気になりませんから。」
「そうか…、そうだな岩崎高校生会議には参加するんだろ。」
「もちろんです。」
「なら問題ないかな、遥香システムを使う様になれば連絡も取り易くなる、今年度からは部活関連でも使えるようになるんだ、祐樹には真っ先に使いこなして貰わないとな。」
「それは楽しみです、親父が市長室関係のワークシートを見せてくれました。
高校生がトップの組織なのに市政改革の先頭に立っていてすごいです。」
「はは、室長は女子大生になられたがな、まあ、今日集まって貰ったのは高校生会議がらみでも有るからよろしく頼むわ。」
「分かりました。」
「そろそろ時間だな…、お~い、集まってくれるか~、高校毎にまとまってくれ。」

「コーチ、大体の話は分かっているのですが。」
「そうだったな、まあ確認だけして後は高校毎で相談して貰う事にしよう。
君達が中学で取り組んで来た科学的トレーニングを、各高校の新一年生に説明する時に手伝って欲しい訳だ。
その打ち合わせと、バスケ部部員募集を考えて欲しい。
先輩からの紹介も有るが、新入部員の君達からお誘いするのも有りだろ。」
「あれ? 俺は違うスポーツに挑戦しようと思ってるのだけどな。」
「お前…、綾香は、高校でもバスケをやる人はって、ちゃんと書いてたぞ。」
「いや~、綾香と偶然会った時に、忘れないで来てねと言われちまって、よく読んでなかったわ。」
「なら、帰っていいぞ。」
「え~、仲間外れですか~。」
「高校ではバスケ部の仲間にならないのだろ?」
「そんなぁ~、冷たいな~。」
「バスケ部の宣伝をして置いて他の部に入ったらまずいだろ。」
「俺達の高校はバスケ部希望者多いから大丈夫だ、安心して帰ってくれ。」
「コーチ、みんなひどいっすよね。」
「いや、もう高校生なんだから連絡の文章ぐらい、きちんと読まないとな。
冗談ではなく帰って良い、いや帰るべきだな、部外者なんだから。」
「はぁ~。」
「自分の行動に責任を持てと教えて来たつもりだ、これから同じ部活の仲間として結束して行こうとしている連中の邪魔にしかならないと思わないか。」
「はい…。」
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神沢祐樹-04 [高校生会議2-09]

「絵美、ランニング実習はどうだった?」
「はい、すごく早くなりました、人生初の九秒台ですよ! 
十秒の壁を越えられる日が来るとは思っていませんでした。」
「そ、そりゃあすごい、最初の計測は?」
「十四秒ぐらいです、一生懸命走ったつもりでしたのに。」
「確かにすごいな、素直に指導を受け入れる気持ちがないとそこまで記録は伸びないよ。
でも潜在的に持っていた筋力を活かさない走り方をしていたのだろうな。」
「そういう事なのですね、祐樹さまは如何でしたか?」
「六秒台だ。」
「わぁ、すごい! やはり男の方は違うのですね。」
「でも記録が伸びない寂しさは有る、中学時代から科学的トレーニングをして来た成果なんだ、講義はどうだった?」
「とても楽しかったです、興味深いお話ばかりでしたし、祐樹さまも壇上に上がられていましたから。」
「はは、うちの中学は特別だったからね。
あっ、君は中学が…、どう友達は出来そうか?」
「まだ、分かりません、皆さん同じ中学からのお友達と話しておられる様で、まだコミュニケーションを取るに至っておりません、皆さんと同じ様な話し方を試みたりしているのですが上手に話せなくて…。」
「無理に合わせなくて良いさ、そんなのは自然に染まって行く物なんだ。
まあ、絵美は運が悪かったよ、今は岩崎関連が落ち着いて来て転入者が少ないんだ。
俺が越して来た頃は工場や倉庫の移転が多くて、あちこちから越して来た子ばかりでさ、何言ってるのか分からない様な方言が平気で飛び交っていたんだ。」
「そうでしたか、私の父は岩崎関係と取引の有る会社なのです、先を見越してここに拠点を構える事になり越してまいりました。
ただ父の方針で、比較的若い社員を中心に転勤をお願いした関係で、お子さま方の年齢層が低いのです。」
「なるほどね、取り敢えず友達が出来るまでは俺が…、ただな俺と一緒だと友達が出来にくくなるかもしれないのだが。」
「構わないです、大切な友人は人数では無いと思います、祐樹さまさえお友達でいて下されば絵美は多くを望みません。」
「はは…、まあ、部活とか始まれば自然に友達が増えるさ。」
「はい、来週の部活体験が楽しみです、でもその前に明日は町を案内して下さるのですよね。」
「ああ、何か希望は有るか?」
「特には…、あっ、お洋服はどの様なものをお召でしょう、明日着て行く服が決まらないのです。」
「うっ、その手の事情は分からないが…、俺が遊びに行く時の服を見せれば良いのか?」
「お願いします。」

「最近買ったのはこれなんだけど、隣に写ってる妹の趣味なんだ。」
「妹さん可愛らしいですね、明日はこの服を着て下さるのですか?」
「君が構わなければそうするが。」
「お願いします、これでゆっくり眠れます。」
「えっ? そんなに迷ってたの?」
「女の子にとってはとても重要な事なのですよ。」
「へ~、そういうものなのかね。」
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神沢祐樹-05 [高校生会議2-09]

「祐樹さま、お早うございます、お待たせしてしまったかしら?」
「いや、俺も来たばかりだよ。
なるほどね、その洋服は君に似合っているだけでなく、俺と並んでも違和感が無いという事か。」
「うふっ、お友達だとすぐ分かりますでしょ。」
「分かり過ぎるのもどうかと思うが…。」
「何か不都合でも有りまして?」
「いや問題はないが…、車で来るとは思ってなかったよ。」
「あらかじめ予定が決まっていれば普段から外出は車です。」
「う~ん、運転手さん付きだったね、この後路線バスに乗ろうと思っていたのだが抵抗有るかな?」
「いえ、初めての経験ですが祐樹さまとなら安心です。」
「そうか、座れないかもしれないし、お年寄り優先だからな。」
「存じております、新聞記事で目にした事が有りますので。」
「絵美は新聞読むんだ。」
「はい、中学に入学した頃、父に勧められまして。」
「新聞が必ずしも中立の立場で正しい事を書いている訳では無いって知ってた?」
「もちろん理解しています、私は千景さまのファンなのですよ。
千景さまは番組の中で、いい加減な情報の多さを指摘しておられました、歴史ある新聞社の記事で有っても偏りが気になると。
それで、注意して読んでみたら、確かに偏りを感じさせる報道が有りました。
何紙か見比べてみると面白いです。
新聞社によって書き方が違いますから、自社の意に沿わない出来事は取り上げなかったり、小さな記事でしか紹介していない事も有ります。」
「だよな、岩山政権になって、取り敢えず政権批判、という記事は減ったと思うけど、兎に角批判の対象は欲しいのだろうね。
でも絵美が新聞をそこまで読んでいるのは意外だったな。」
「毎日長時間読んでいる訳では有りませんが大切な事だと考えています。」
「ネットのニュースも見るの?」
「いえ、見た事は有りますが、いい加減な記事が多いですし、文章力の無さ過ぎる記事も、その様な話を父にしましたら、ネットでは自分が興味の有る記事に片寄る可能性有ると指摘されましたので、やめにしました。」
「それは賢明だと思うよ…、ここでストップ、このバス停から乗るからね。」
「ここで待っているとバスが来るのですか?」
「ああ、そういうシステムだ、後五分ぐらいで来る。」
「時間通りに?」
「ここは路線の出発点に近いから誤差は少ないんだ。
でも路線バス優先システムが導入されてるから、悪天候だったり特別な行事のある日以外はそれほど大きな遅れは無いんだよ。」
「どんなシステムなのか知りたいです。」
「路線バスの位置情報に合わせて信号が切り替わるんだ、だから路線バスは信号待ちの時間が少なくて済む。」
「そうなのですか、一般のドライバーの方から苦情がありそうですが。」
「特に問題は無いみたい、路線バスに合わせて走ると信号待ちが減るという利点も有るそうだ。
ドライバーの性格も有るから微妙では有るけど、省エネに繋がっている可能性も検証中なんだよ。
少なくともバスにとっては信号待ちの回数を減らす事で確実に燃費は向上したと思うね。」
「システムの初期投資は回収出来るという事ですか。」
「ああ、単純計算は難しいが、公共の路線バスが時間通りに来て、しかもバス亭で止まるハンディを、信号待ちを減らす事でカバーしたから所要時間が短くなった、それでマイカー通勤よりバス通勤を選ぶ人が増えるかもしれない。
そうなれば、単位時間あたりに道路を走る車の数を減らす事に繋がり、色々な無駄が減るみたいなんだ。」
「やはり渋滞とか…、車ばかり使っている私は…。」
「い、いや、絵美は一人でバスに乗っては行けない、今日は特別、これからも社会の為に頼むな。」
「えっ、どういう事でしょうか?」
「世の中には悪意ある連中が少なからずいるという事、今日は絵美の最初で最後の路線バスの旅にしてくれ。」
「良く分かりませんが、分かりました。」
「さあ、バスが来たよ。」
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神沢祐樹-06 [高校生会議2-09]

「絵美、この路線は市内の主な施設を周る様に組まれているんだ、だから少し回り道みたいになってるけど車を持たない人、特にお年寄りには重宝されているんだよ。
そこの岩崎総合病院へ通う人とか、もう直ぐ見えて来る生涯学習センターとかね。」
「生涯学習センターって何ですか?」
「そうだな老若男女入り混じってスポーツしたり、色々なサークルが利用してる、文化系もね。」
「市民サービスの一環でしょうか?」
「市の施設だからね、竹本市長に代わってから随分使い易くなったよ。」
「祐樹さまも利用されているのですか?」
「ああ…、おっとそこが図書館だ、絵美は図書館、利用してた?」
「いいえ、学校の図書室で充分でしたから。」
「う~ん、お嬢様学校の図書室がイメージ出来ないのだが。」
「え~、どこも同じですよ、私達の高校と同じぐらいの規模です。」
「でも、内装が違っていたりして。」
「そうですね…、高校の図書室はまだ一度しか行ってませんが、内装と言うより何となく使い易いのかなと思わせる作りでした。」
「竹本市長になってから学校施設への予算が増えて、図書室は改修したばかりなんだ。
今後、市内の公立学校と市立図書館、岩崎学園大学柿川校の図書館は、システム統合して蔵書の管理をすると聞いている。」
「大学もですか、でも大変そうですね。」
「ああ、問題は色々有って本好きの人達が相談しているそうだ、図書館が充実し過ぎて今以上に本が売れなくなると、それはそれで問題だろ。
紙の本で読む文化を残したいと考えている人は少なくないんだよ。」
「そんな視点で考えた事なかったです、でも、お茶を頂きながら詩集を味わうのはやはりきちんとした装丁の本が一番だと思います。」
「はは、君に似合いそうだ…。」

「町の雰囲気が急に変わりましたね。」
「うん、このエリアは昔から柿川市の中心地、岩崎が周辺地を開発するまでは衰退しつつあったその象徴だね。」
「道幅が狭くなりましたものね。」
「古いと言っても、残しておきたい程の建物は少なくて観光には程遠い、それで市は思い切った再開発を進め始めているんだ。」
「建て替えですか?」
「ああ、スクラップアンドビルドを計画中だけど、費用や住民の暮らしの問題が有るから長期間掛かるだろうね。」
「でも、街並みを見ているとそれが必要な事だと分かる気がします。
都市機能が正常に維持されるには適正な新陳代謝が必要ですが、ここではそれが滞っていると感じます。」
「そういう事だが…、絵美は…、こういう事にも興味は有るの?」
「はい、祐樹さまが話して下さる事なら何でも。」
「お嬢様中学の実情は良く分からないが、友達はみんなそうだったのか?」
「いえ、そうでも有りませんでしたので、引っ越しに抵抗が無かったのです…。」
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神沢祐樹-07 [高校生会議2-09]

「絵美、昼食は何が良い?」
「そうですね、和食でよろしいでしょうか?」
「分かった、予約を入れておくよ。」
「はい。」

「さあ降りるよ、足元に気を付けてね。」
「はい。」
「この辺りが柿川の商業エリアになるんだ、程よく賑わってるだろ。」
「新しいお店が多いのですね。」
「岩崎の集中投資で人口が一気に増え、それに合わせて店が増えたんだ。
その中核があのショッピングモール、高校生が必要とする物は何でも有るから一回りしよう。」
「はい。」

「どう、東京と比べたら見劣りするとは思うけど。」
「そんな事ないです、とても楽しいです。」
「なら良かった、そろそろ食事にする?」
「ええ、程よくお腹がすいてきました。」
「じゃあ店へ行こう。」

「落ち着いた店構えですね。」
「いらっしゃいませ。」
「予約を入れた神沢です。」
「何を改まってるの、席はこっち、オーナーがお待ちかねよ。」
「祐樹さまはこの店のオーナーとお知り合いなのですか?」
「ああ、この店は家族でも来るからね。」
「祐樹くん、悔しいぐらいにお似合いよ、今日はゆっくりして行ってね。」
「はい。」

「ふふ、祐樹さまはエスコートもお上手なのですね。」
「はは、妹のお嬢様ごっこに付き合わされて来たからな。」
「仲がよろしいのですね。」
「まあ、普通に可愛いよ、兄二人の末っ子だから甘やかし過ぎない様に頑張って来た成果が実って性格も悪くないんだよ。」
「羨ましいです、私は一人っ子なので。」
「ご両親はさぞかし…。」
「祐樹、良く来てくれた、あっ、こりゃあ今日は俺のおごりだな、出来れば…。」
「絵美、俺が店の宣伝に使う写真のモデルになる事で今日は食べ放題なのだが、出来れば絵美もモデルにとの事だ、絵美の写真は一枚百万円ぐらいだったか?」
「そこまでは頂いておりませんが、私の一存ではお受けできません。」
「だそうだよ、オーナー。」
「だろうね、後で事務所の連絡先を教えてくれるかな、出来れば祐樹とのツーショットをお願いしたいのだが。」
「それでしたら、お受けさせて頂く方向で話しておきます。
普段は父の知り合いからの依頼に応える程度なのですが、祐樹さまのお知り合いという事ですから大丈夫だと思います。」
「そいつは嬉しい、まあ今日はゆっくりして行ってね、特に食べたいものを注文してくれたら、後は任せてくれな。」
「お願いします。」
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神沢祐樹-08 [高校生会議2-09]

「祐樹さまは私がモデルの仕事をしてるとご存じだったのですか?」
「いや、ただ、しててもおかしくないと思ってね。」
「何か前もって話がまとまっていた様でしたが、私が洋食を選んでいたらオーナー様とお会いする事は有りませんでしたよね?」
「いや、何を選んでも彼の店にするつもりだったんだ。」
「あっ、多角的に事業をされている方なのですか。」
「ああ、しばらく前から新店舗向けポスターのモデルをして欲しいと頼まれていてね、で、今日綺麗な友達を連れて行くなんて話から盛り上がって、本当に綺麗だったら無料で食べ放題となったんだ。
さすがに悪いから、モデルは引き受ける事にしたのさ。」
「ふふ、賭けに勝ったという事ですか?」
「勝って当たり前のね。
ところで、さっきの話で気になったのは、俺の知り合いなら大丈夫だという事なのだが。」
「事務所と言っても、母が便宜上オーナーをしている小さな事務所で、知り合いの娘さん方にモデルの経験をさせて上げる程度なんです。
両親も祐樹さまの事をもっと知りたいと話していましたので問題有りません。」
「俺の事はご両親に話したという事か…、でもまだ大して知らないだろ?」
「申し訳ありません、お気を悪くされるかも知れませんが、お友達が出来たと報告させて頂きましたので、すぐに調査が始まっております、私は白川家の一人娘ですので。」
「でも、友達になってから何日も経ってないぞ。」
「調査能力が無ければ大きな会社は維持出来ません。」
「確かにそうだな、で、どの程度調査が進んでいるの?」
「少なくとも、私が町を案内して頂く方として相応しい方だと、父は申しておりました。
出来ればお会いしたいとも。」
「そうだな、君と色々話してみて、これからも友達として高校生活を送って行きたいと思う、機会が有ったらきちんとご挨拶しておくべきなのだろうな。」
「有難う御座います、ならば今日の夕食はうちで如何でしょう。」
「はは、君の招待を断る訳には行かないか。
この後はゆっくり岩崎学園大学から遥香さまのお城を案内しようと思っていたのだが。」
「わあ、嬉しいです、お城は家から近いのですがまだ行った事が無くて、それでしたらお城から私の家へ向かうという事でよろしいですね。」
「ああ、そこは任せるよ、ただ、君のお父上の仕事など基礎知識は今から教えてくれないか。」
「はい、父は…。」
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神沢祐樹-09 [高校生会議2-09]

「初めまして、神沢祐樹と申します、よろしくお願いします。」
「うん、よく来てくれた、まあ上がって下さい。」
「失礼します。」

「先に謝っておくが君の事は少々調べさせて貰ったんだよ、世間知らずの娘の事、いきなりとんでもない男と付き合う事になっては心配だからな。」
「その気持ちは分かります、自分も妹がいますから。」
「ふむ、少し気になっているのだが、君が娘の隣の席になったのは本当に偶然なのかな。」
「表向きは偶然ですが、教師の策略かも知れません。」
「ほほう、その根拠は?」
「お嬢様学校から進学して来た美人で校内に知り合いはいない、そんなどう接するか苦慮する存在を押し付けるのに、自分なら都合が良いと考えたのかも知れません。
座席のくじは担任なら細工出来るものでしたから。」
「はは、なるほどな、娘から始めて異性のお友達が出来ましたと報告を受けて調査させたら、すぐに色々な噂話が入って来て平凡な男ではないとは思ったのだ。
絵美、彼はとても女生徒に人気があるって知ってたか?」
「その様なお話はまだ、でも素敵な方ですから納得できます。」
「ただあまりにも告白される事が多くて、うんざり、それで自分から告白する人としか付き合わない宣言をしたのは本当なのか?」
「はい、自分はアイドルでは有りませんし、度を越し始めましたので。」
「ところが可愛い女の子と買い物をしているところを目撃されバッシング、その相手が妹だと知れると今度はシスコンとか色々。」
「はは、随分しっかり調べて下さったのですね。」
「でも堂々と中学生生活を送り、学業優秀なだけでなくバスケ部でも活躍、うちは娘が一人だから息子に欲しいぐらいだよ。」
「自分は次男なので養子の話は時々ある様です。」
「色んな人に狙われてる訳だな、それで絵美の事はどう思った?」
「正直言って驚きました、昨日までは適当に友達を作る手助けしたら距離を置こうと思っていたのです。
でも、綺麗なだけでなく社会問題や、同級生たちが興味を持たない様な事にも関心が有って、素敵な女性だと思っています。」
「友達以上の関係は?」
「もちろんその気持ちは有ります、ただ絵美さんは今まで男性と接する事が余り無かったそうですので、自分で良いのかどうか絵美さんがご自身で判断出来る様になるまで時間が必要だと思います。」
「絵美はどうなんだ?」
「先ほどのお話ですと私からお友達以上のお付き合いをお願いする訳には行かない様です…。」
「そんなに悲しそうな顔をしないでよ、まだ出会って間もないだろ、友達では有るのだからさ。」
「祐樹くん、東京では私の両親が近くで暮らしていてね、その事が絵美の世界を狭くしていると感じていたのだよ、女子校も両親の意向だったのだが、少し有ってね。
それで思い切って引っ越す事にしたんだ、まあ、何にしてもこれから仲良くしてやってくれな。」
「はい、もちろんです、そのつもりで今日はお邪魔させて頂きましたので。」
「頼もしいな、私が高一の頃はただのガキだったぞ。」
「でもその頃には社長の跡取りとしての葛藤とか有ったのではないですか?」
「そうだな…。」
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神沢祐樹-10 [高校生会議2-09]

「…、という事なんだ。
あれ、祐樹くんの話を聞く筈が随分自分の事ばかり話してしまった気がするなぁ、君は聞き上手だね。」
「お父さま、気付くのが遅すぎです、でも久しぶりにリラックスしたお父さまを見られた気がします。」
「そうか…、まあ大きめの投資を始めた所だったからな、なあ君は社長に成る気は有るのか?」
「そうですね、普通に岩崎関係に就職して出世して社長を目指すという選択肢は有ります、ただ自分の周りの大人達は色々うるさくて、平社員なんかになるなだとか、ひどいのは脱サラしろとか、サラリーマンにすらなっていないのにですよ。」
「いや分かる気がする、君は器の大きさを感じさせてくれるからな。
うちは岩崎グループでは無いが取引先として協力関係に有る。
私自身、岩崎雄太社長のお考えに共感して社内改革を進めて来たのだ。
ここを拠点にするに当たっては岩崎社長とも話をさせて頂いてね。
岩崎社長は岩崎以外の企業も頑張ってるという所を積極的に見せて行く事で、本当に日本が強くなって行くと話して下さったよ。
今度、うちでも遥香システムを導入するのだが、君には高校生社員になって貰えないだろうか。
勤務時間はうんと短くて構わない。
私達も岩崎高校生会議の一員として学ばせて貰いながら社会貢献を考えているんだ。」
「有難う御座います、でもお会いして間の無い自分でよろしいのですか?」
「大丈夫さ、人を見る目がなかったら人の上には立てないよ。
岩崎から学んだのは高校生を企業内に持つ事のメリットなんだ。
もちろん岩崎高校生会議有っての事では有るが、優秀な人材の力を伸ばしつつ、そうでない子達の底上げを考えているだろ。
おっと、君はまだ高校生会議には参加していなかったのかな。」
「登録は済ませました、来週の新入生向けイベントにも申し込んで有ります。」
「そうか、ならば絵美を一緒に連れて行って貰えないだろうか?」
「はい、喜んで。」
「有難う、それではだな…。」
「あなた、祐樹さんを何時まで独り占めしているのですか。」
「ああ、そうか。」
「お父さま、祐樹さまを私の部屋へお連れしてもよろしいですか?」
「ふむ、仕方ない貸してあげよう。」

「御免なさい、父は普段はあんなに話す人ではないのですが、祐樹さまが来て下さって嬉しかったみたいです。」
「まあ、喜んで頂けたのなら俺も嬉しいし、提案して下さった事は前向きに考えたいと思うよ。」
「え~っと、まずは来週の服装ですね。」
「今日と同じで良いだろ。」
「それはだめです、その様な事がお婆様に知れたら怒られてしまいますし、楽しくないでは有りませんか。」
「分かったよ、それでどうするの?」
「明日、一緒にお買い物というのは如何でしょう?」
「明日は、妹の買い物に付き合う約束をしているのだが。」
「それでは三人でお買い物で良いですよね、妹さんともお話したいですし。」
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