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高校生会議2-01 ブログトップ

久兼剛太-01 [高校生会議2-01]

俺は久兼剛太、高校一年生になったばかり。
住んでいるのは柿川市、所謂地方都市だが特殊な状況にある。
人口が減少していた地方都市、そこに十年ほど前から岩崎グループの企業がオフィスや工場、倉庫を移して来た。
地価が安い割に交通の便が良かったからだが、地方分散型の経営による地方の活性化も目的の一つ。
だから若い世代が東京に憧れ過ぎない様に、若者にとっても住み易い町を目指している。
そんな事情が有って人口の五十%ぐらいが岩崎系列会社の社員か家族。
父はその岩崎系企業の重役。
そして姉は…。
高校に入学して改めて姉の人気の高さを思い知らされた。
自分の存在が久兼優子の弟として先輩方の間にすぐ広まり、姉が男子生徒から姉御と呼ばれていると知る。
弟から見ても普通に美形だと思うし、そのさっぱりした性格は、姉弟喧嘩の原因を作って来なかった。
自分が中学に上がる頃には、きちんと俺の人格を認めてくれていて…、そうなると子どもながらに尊敬せざるを得ないと感じていた。
そんな流れが有って…。

「剛太も岩崎高校生会議にスタッフ参加するのか?」
「うん、父さんや姉さんから色々聞かされてきたからね。」
「私の弟という事で注目を浴びちゃっているけど大丈夫?」
「はは、しばらくしたら落ち着くでしょ、中学の時より凄くて圧倒されてるけど。」
「うちのクラスでも剛太のルックスは話題になってるからね、好みじゃないのにしつこいのがいたら報告なさいよ。」
「大丈夫だよ、自分で何とかするから。
それより新人スタッフになったら何を担当するの?」
「私としては新人勧誘を考えているのだけど、どう?」
「勧誘か…、理由は?」
「剛太に誘われれば可愛い女の子がスタッフになってくれる、すると可愛い女の子目当ての男子が入って来るでしょ。」
「そんなに簡単に行くかな。」
「だめもとで良いのよ、明日の会議ではそんな事が議題になるわ。」
「分かった、前向きに考えてみるよ。」
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久兼剛太-02 [高校生会議2-01]

岩崎高校生会議の会合。
先輩方によると、組織の拡大を検討しているという。
今は、親が岩崎関連という生徒だけが参加出来るが、その制約を少しずつ無くして行こうと考えている。
それによって岩崎関連に就職する人の質を上げたいと、サポートスタッフの人達は考えているそうだ。
それにはまず参加者やスタッフを増やす必要が有る。
何だかんだの話し合いの末、姉に言われた通り、新人勧誘を任された。
組織拡大の話はまだ出来る段階ではないので、どんな説明をするかは先輩達と相談。
一人目のターゲットは、美人なだけでなく人間的にも魅力的な人だという、スタッフでなくても参加してくれるだけで高校生会議が活性化されるそうだ。
ホントにそんな人が高一にいるのか疑問に感じたが、会ってみて納得した…。

「君が、清音遥香さん?」
「はい?」
「君のお父さんは岩崎関係の会社で働いてるよね?」
「ええ。」
「岩崎高校生会議の事は知ってる?」
「ええ、父から聞いてるわ。」

何だろう、ただ綺麗なだけではない独特な雰囲気が有る…。
ちっとドキドキしながら説明したら、元から参加の意思が有ったそうで、ホッとした。
もう一つホッとしたのは、彼女の友人、水神茜も参加してくれる事。
美少女と二人だけで話をするのは色々きつい、水神さんは普通の可愛さで然程緊張する事無く話せる。
授業後は三人で近くのファミレスへ。
先輩方と相談した内容で説明はしたが、自分もまだまだ分かっていない。
詳しくはこれから少しずつという事で俺の役目を終えた後は、水神さん中心におばかな話話をして盛り上がった。
取り敢えず、自分の初仕事は無事、楽しく済んだと言えるだろう。
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久兼剛太-03 [高校生会議2-01]

その日の夕食時。

「姉さん、清音さんはオーケーしてくれたよ、その友達もね。」
「我が弟よ、でかしたぞ、で、どんな子だった?」
「超美少女で緊張した、美少女は姉さんを見慣れているから江田島の話は話半分だと思っていたけど全然。」
「惚れたの?」
「いや、その対象にはなりそうにないよ、レベルが高過ぎてね。
それと、一緒に参加してくれる水神さんが色々教えてくれたけど、休み時間には見物に来る人が結構いるんだってさ。」
「剛太は知らなかったの?」
「まあ…、俺は俺で…、高校生会議の先輩方との交流も多々あったし。」
「で、彼女には、どう活躍して頂けば良いと思う?」
「う~ん…、水神さんは冗談で俺に、遥香さまの僕という地位をくれたけど悪くないかもと思ってる。」
「僕で良いの?」
「と、言うより、例えば皆のプリンセスになって貰って、高校生会議のシンボル的存在をお願いするのも有りじゃないかな。」
「そうね…、シンボルか…、でも頭の良い人なんでしょ、そんな飾り物の様な役割に満足してくれるかしら。」
「雑事を任せず全体を見て貰ってアドバイスして貰えば良いと思う。
一年生にリーダーをお願いするのはやりにくいと思うんだ、でもプリンセスとしてのアドバイスなら悪くないだろ。」
「成程ね、今度の会議までに打ち合わせしておくわ。
次の会議は他校やサポートスタッフと合同だからね。
ねえ、リーダーの話が出たけど、剛太は自分の事、どんなタイプのリーダーだと思ってるの?」
「メインリーダーをサポートかな、重要な役所でしょ、優秀なリーダーがいても一人だけでは大きな仕事は難しい。
でも組織の事はこれからもっと勉強して行かないとね。」
「意外と真面目ね。」
「はは、真面目じゃなかったら入学早々高校生会議にスタッフ参加しないよ。」
「それもそうか、勧誘が済んだら一年生のまとめ役をってのが皆の願いだけど、どう?
幹部のサポートという事で。」
「それは気が早いね、新たなスタッフに良い人材が居るかも知れないだろ。」
「ふふ、剛太は先輩に可愛がられるタイプなのよ。」
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久兼剛太-04 [高校生会議2-01]

ファミレスで話をした翌日から水神さんが教室に来る様になった。
話は高校生会議の事、ただ普通に可愛い水神さんが俺に会いに来るのは、クラスの女子にとっては面白くない事らしい。
だが…。

「久兼くんは水神さんと何話してたのですか~。」
「ああ、岩崎高校生会議の事だよ。」
「なんですか~、それ?」
「あれっ、君のお母さんは、うちの親父の会社で働いてるって言ってなかった?」
「そうよ。」
「なら、案内が送られている筈なんだけど。」
「地味なのは見ないで捨ててるから。」
「はは、そうなんだ…。」
「私は見たわよ、でも進学や就職の事はまだ先だし他は真面目そうで…。
夏休みのイベントには行くかもしれないけど。」
「進学にしても就職にしても早目に取り組んで欲しいというのが、岩崎高校生会議を作った人達の願いなんだよ。」
「私は久兼くんのお嫁さんになろっかな。」
「あ~、恵子ったらどさくさに紛れて。」
「それにはまず俺が魅力的だと感じられる人にならないとね。」
「はい、恵子、ざんね~ん。」
「だいたい真面目な久兼くんと恵子じゃあね。
私は真面目に読んだわよ、親からは高一対象進路関係説明会への参加を勧められているの。
久兼くんが行くのなら喜んで行くわ。」
「ぜひどうぞ。」
「で、水神さんは何しに来てるの?」
「彼女はスタッフになってくれるからその相談だよ。」
「へ~、久兼くんが誘ったの?」
「俺が誘ったのは隣のクラスの清音遥香さん、話の流れで二人揃ってスタッフになってくれる事になったのさ。」
「えっ、遥香さまがスタッフなら私も…、難しい事は出来ないけどお手伝いさせて欲しいかも。」
「うん、私も。」
「そんなに人気者なの?」
「知らないで勧誘したの?
遥香さまが高校生会議に参加されるのなら、うちの中学出身者はみんな参加すると思うわよ。
綺麗なだけで無く成績も抜群、家から近いという理由でここを選んだけど、東大を目指す様な有名進学校にも楽勝で合格出来る実力とか色々な伝説が有るのよ、でも、なんと言っても美しい人が近くにいると幸せな気分になるのよね~。」
「うんうん分かる、でも近過ぎると緊張してしまうのよ。」
「そうなのか…。」

どうやら俺はとても効果的な人を勧誘したみたいだ。
これなら勧誘担当として想像以上の成果を上げる事が出来そうな気がして来た。
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久兼剛太-05 [高校生会議2-01]

清音遥香さんがプリンセス就任を引き受けてくれた事も有り、スタッフは順調に増えている。
新人スタッフは本人の意向を聞いた上で、先輩と相談しながら役割分担を決めて行く。
一年生スタッフの出番は自分達の学習会と夏のイベントがメイン。
昨年の計画を参考に進めていたのだが、高一対象進路関係説明会でプリンセス遥香を我々の象徴に、と発表してからは大きく盛り上がった。
混乱するかと思ったが、新たなスタッフに優秀な人がいてくれてスムーズに進んでいる。
だが、それには清音さんの存在が関係していると思えてならない。

「姉さん、シンボルとしての遥香さまの存在って、どう見てる…。」
「すごいわよね、美少女だからという次元を超えて、みんなが敬っているというか。」
「利害関係は無いよね。」
「そうね…、自分達の生活を安定させてくれるから敬うという訳でもないし、彼女に対しては純粋なのよね。
ねえ剛太、主君の為なら命さえ投げ出すというのはどう思う?」
「環境と教育の結果かな?」
「遥香さまといるとね、主君の為ならば、という感覚が分かる気がするのよ。」
「姫さまだもんな…、シンボルと言えばさ天皇はどうかな?」
「そうね、難しい立場、自由の少ない立場で国の象徴として大変だと思うわね。」
「血の繋がりが尊重されて…、俺は天皇家に生まれなくて良かったと思う。
でもさ、たまたま今の皇族方は立派な人物ばかりだけど、皇位継承順位一位の人が能力的にすごく劣る人だったらどうするんだろう、国民は国の象徴として敬うのかな?」
「う~ん、摂政の出番になるのかしら。」
「岩崎雄太社長はその実績と人柄で尊敬されている。
天皇や遥香さまを考えると、選挙で選ばれたリーダーという訳でも無くてさ。」
「はは、天皇陛下と遥香さまを同列で扱うのね、そうだ、次の討論会の議題として、今話した事を提案してみようか?」
「そうだね、議題として面白そうだ、英雄とか独裁者とも比較してみるのはどう?」
「検討してみるわ。」

討論会は、高校生会議の活動の一つ、討論会の日時、テーマ、定員などを発表して参加者を募る。
討論はするが答えを出す必要はない、時には自分の考えと真逆の考えを正解として討論に参加する人もいる。
真剣に、異なる意見と向き合う事で物事の理解を深めると考えての事。
討論会には相手の考え方が分かって面白いと姉に誘われ参加したが、更に参加者の性格や力量が見えて来て面白い。
この、討論会初参加の時、先輩から教えられたのは聞く事の重要性。
人の話を分析し、そこから自分の考えを深めて行く。
ここではバランスの取れた討論が大切、相手の話をろくに聞きもしないで、ひたすら相手の揚げ足取りや言葉遊びになり過ぎない様に注意された。
二流の国会議員は参考にしてはいけないとも。
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久兼剛太-06 [高校生会議2-01]

組織固めをして行くプロセスは面白かった。
先輩からの助言は会社の組織運営に基づくものだが、会社と同じにする必要はないと言われた。
それでも、指示系統と言った感覚は中学の生徒会ではあまり考えていなかった事で新鮮だった。
同学年で有っても指示を出す人指示を受ける人が、その立場を明確に理解していないと作業効率は悪くなる。
先輩がトップリーダーをしてくれるが、その下にピラミッド型の組織を形成して行くのは同学年の仲間達。
自分は、夏イベント一年生担当企画、その五つある中から一つのチームのリーダーになった。
チームは個人の負担を減らす為と組織を経験する意味あいが有って多人数で構成されている。
他のチームは人気の有る人達がチームリーダーとして各作業チームをまとめている。
だが、人気が有っても実力が伴わない場合も有る。

「剛太は人気も実力も有って助かるよ、担当チームに問題は無いだろ。」
「はい加藤先輩、夏イベントに向けての担当内容は計画通りに進んでいます。」
「いや、俺の目から見て、色々な意味で予定以上だと思うな。
チームリーダーとして何か気を付けている事は有るのか?」
「そうですね、父からの助言ですが、雑事を自分で持たない様にして、メンバーのトラブルに対処する、高校生の組織なら、そういう存在が効率を上げるのだそうで。」
「さすがだな、雑事は茜に任せているのだろ。
その辺りのバランスが分かっていないチームはなかなか作業が進まなくて、まあトレーニングの一環だから、失敗を通して学習してくれれば良いのだがな。」
「でも、準備が間に合わないというのは問題ですよね、応援に入りましょうか?」
「そこまでの余力が有るのか?」
「チームの皆とは組織作りと運営について話し合っています、人数は元々多目ですから、他のチームの例を研究させて貰う事には賛成してくれると思います。
実を言うと助言を求めて来ているチームリーダーもいまして、一応メインリーダーの加藤先輩に話を通してからと言って有りますが。」
「はは、頼られている上に卒がないね…、うん、では少し相談しよう。」

加藤先輩とは他チームの状況について話し合った。
同学年の事なので、三年生の先輩より沢山見えている部分も有る、加藤先輩は先輩自身のサブになって欲しいと話してくれた。
自分は、他チームの現状も有る程度把握していたので、夏イベント一年生担当企画全般のサブリーダーとして、一年生チーム全体にも気を配る事を承諾した。
先輩が俺をサブとする理由を全員に伝えてくれ、皆が納得してくれた事は正直嬉しかった。
上手く回ってないチームの立て直しはやりがいが有りそうだからだ。
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久兼剛太-07 [高校生会議2-01]

自分のチームには十人のサブリーダーがいる。
加藤先輩のサブとなった時点で彼等と相談した。

「まずは他のチームには俺達がして来た事を説明しようと思うんだ、どう組織を構築して来たかね。」
「そうね、それが一番の早道、上手く行ってないチームは組織についての根本から剛太さんの指導を受けるべきだわ。」
「ただね、俺だけでなく皆にも他チームに係わって欲しいのだけど、どうかな。」
「剛太の説明は分かり易いし説得力が有るから、俺達が出るまでもないと思うが。」
「いや、みんなだって今回はサブだけど普通にチームリーダーに成れる人ばかり、他チームとの交流は互いにプラスに成ると思うんだ。
組織ってやはり人と人だろ、各チームのリーダー、サブリーダーと協力関係を築けたら、今後の高校生会議が楽に運営出来るだけでなく、将来、就職して仕事をする上でもプラスになるかもしれないと思わないか?」
「流石我らがリーダーだわ、そこまで考えているなんてね、で、具体的にはどうするの?」
「基本的な部分は文章を送るけど、文章だけは伝わりにくい部分も有るだろ、そこを手伝って欲しい。
二つのチームは早急に動かないと間に合わなくなるかもしれないんだ。」
「はは、俺達は余裕が有り過ぎて物足りなさを感じてるぐらいなのにな。」
「まあ、人を活かせてない訳さ。
一つのチームはチームリーダーが的確な指示を出せてなくて、自分で色々抱え込んでいるんだよ。」
「剛太さんがポイントに挙げた作業分担が出来て無い訳ね、サブリーダーはどうなの?」
「チームリーダーに対して意見を言うだけの人がいないみたい、ただ力の有る人はいる筈だろ、始めに役割分担の調整をした時、各チーム間のバランスを取った訳だから。」
「トップの差なのね、それならチームリーダーが抱えている仕事を全部サブに振り分ける所から始めれば良いのでしょ。」
「ああ、その作業を俺からの指示という事で進めてくれると助かるのだけど、頼めないかな。」
「ふふ、私が何か言われたら剛太さんからの指示だからと言えば良いのね。」
「ああ、問題点も俺が指摘していたと話せば…、俺が直接話すより受け入れて貰い易いと思うんだ。」
「なるほどね、でも指示系統は構築出来るかしら、そのチームリーダーで…。」
「リーダーの副官として動いてくれる人がいたら実務をその人に任せて、リーダーは飾りにしても良いと思う、人気は有るのだから彼からの指示とした方が効率的かも知れない。
だが、すでにリーダーとしての資質をサブリーダー達が疑って立場が弱くなっているのなら交代という選択肢も有るね。
相談して貰って揉める様なら俺の出番かな。」
「場合によっては私達の中からリーダーを選んでも良いかしら?」
「そうだね、向こうのサブリーダーの事は良く分からないが、状況を改善しようと考える人がいないとか、状況に気付いてないレベルならチームリーダーは任せられないね。
もう一つのチームも同様でいいかな。」
「そっちはどんな感じなんだ?」
「チーム編成時に目立って無かった人が、チームリーダーよりも才能を発揮してしまいギクシャクしているみたい。」
「ギクシャクか…、それじゃあロスも多いだろうな、まずは仲裁に入って調整ってとこか…、剛太、俺達はどう別れる?」
「問題の有るチームに三人ずつ、残りの二チームも三人が担当して、交流を図りたいと思うのだがどうだろう。」
「分かった、なら分担を決めよう。」

ここまでチームの組織構築をする上で、サブリーダー達は管理職だという意識をチーム全員に持って貰った。
そして、サブリーダーを部長とするならば課長、係長に相当する人も作った。
平社員に相当する人達には、次の機会に希望すれば違った立場を経験する事も可能だが、それには組織について理解を深めて貰う必要が有ると伝えてある。
会社組織を体験する場としての考えを、サブリーダー達が支えてくれた結果、多少の問題が起きても簡単に解決し、俺達のチームは順調に準備作業を進めて来た。
そんな訳でチームにはかなりの余力が有ると言う訳だ。
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久兼剛太-08 [高校生会議2-01]

夏イベント一年生担当企画には市内五つの高校からの参加者が合同で取り組んでいる。
チームは高校毎に分けず、混合編成。
先輩方の方針なのだが、これが組織構築を難しくした事は間違いないだろう。
俺はチームメンバーに対しSNSの有効活用、だがSNSだけに頼る事無く直接会う機会を作るという方針を示した。
SNSは便利だが誤解を生む可能性が有るからだ。
実際トラブルになったのは、連絡時の誤解だった。
その誤解を早く解く事が出来たのは、第三者、主に上司役がそのやりとりを確認していたから。
これが如何に有効だったかは他チームへの支援や交流に入ったサブリーダー達の報告で確認出来た。
他チームでも便利な道具として使ってはいたが、使いこなせていなかった訳だ。

「剛太、太一くんが一旦チームリーダーになって様子を見る事になったみたいね。」
「ああ、茜は、あそこのリーダーと太一だったらどっちを選ぶ?」
「もちろん剛太よ。」
「真面目に答えてよ。」
「ふふ、言うまでもないでしょ、太一くんはもう企画の全容を把握して組織の立て直しを進めている。
その手際の良さにファンが増えつつ有るそうよ、チームのサブ達からも反発は受けてないみたい。
ちなみに太一くんは高校入学以来九人の女子から告られたけど本命は別にいるそうよ。」
「はは、そういった情報は何処から入って来るのかな?」
「女の子の娯楽なの。」
「それで、揉めてはいないのか?」
「前任者の人気は落ちてるし、男女問わず太一くんと剛太を認めているみたいよ。」
「そうか、理沙さんの方はどう?」
「リーダーやサブリーダー達の関係修復と組織の再構築を進めているわ。
たとえ仲が悪くても、論理的に考え作業を進める様にお願いし、その作業過程で互いの実力を見極めた上で、誰がリーダーに相応しいか考える様、提案したそうよ。」
「彼等の反応は?」
「理沙から論理的に話されて簡単には反論出来なかったみたい。
理沙を敵に回すなんて、余程のお馬鹿でない限りしないでしょうけど。
彼女からは、剛太の出番を作らずに済みそうと、連絡が有ったわ。」
「他の二チームは?」
「組織改革をする事で効率アップ出来そうだって。
サブリーダー達は、夏イベント一年生担当企画メインスタッフのほとんどを剛太中心に回せる体制にしようと考えているわ。
彼等からの報告をまとめたら、一度、目を通してね。
そこから参加者全員向けの組織構築参考資料と、メインスタッフ向けの資料をまとめるから。」
「ああ、有難うな。
自分を社長として会社組織のシュミレーションという、反発を受けかねない提案をさせて貰ったけど、皆が真剣に受け止めてくれたのは雑用担当のサブリーダーがきっちり仕事をしてくれたからだと思うよ。
ラッキーだったのかな俺は、うちのチームはサブリーダーのレベルが高くてさ。」
「でもね、他のチームだってレベルの高い人は少なくないと報告にあるわ。
私達がラッキーだったのは、持っている力を充分に発揮出来る組織構築を進めた剛太がチームリーダーだった事。
少なくともサブリーダー達は全員同意見、だから剛太中心にしようって考えているのよ。」
「はは、嬉しい様な申し訳ない様な…。」
「社長はゆったりと全体を見ていてくれれば良いのよ。」
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久兼剛太-09 [高校生会議2-01]

しばらくして夏イベント一年生担当企画に取り組んでいるメンバーは一つのチームとなった。
サブリーダー達が相談して五チームを一括管理し始めたのだ。
イベント本番までには時間を考慮し最も効率的な形を考えての事。
期末テストなど高校生にとって大切な行事をおろそかには出来ないという事情も有る。
一つのチームとする事で指示、作業、報告のシステムを一本化。
この作業は自分のチームだった人達が手伝ってくれた。
自分達の準備がほとんど終わっていて、そのまま遅れている部署の手伝いに入ってくれた人も少なくない。
元々人数に余裕は有ったので、組織が完成すると作業は一気に進んだ。
夏休みに入る頃には事前に出来る準備作業を終え、組織論、リーダー論といった内容で討論会を開くだけの余裕が出来た。

「後は前日の準備だな、茜、問題なく行けそうか?」
「ええ、事前確認で三件の連絡ミスが見つかったけど、間に合うそうよ。
他は問題なし、時間が有ったから複数の目でしっかりチェック出来た、会社だったら人件費の無駄ってとこだけど私達は組織だって動くトレーニングを始めたばかりでしょ。」
「ああ、自分も含めて良いトレーニングになっていると思うよ。
回数をこなしながら作業効率と品質アップを考えて行けば良いだろう。
後は終わってから反省会だな。」
「遅れていたチームのスタッフはすでに反省してるから許してあげてね。」
「個人的な事より、高校生会議向けに作った作業システムの問題点を探る事が中心になるよ。
会社だと上司と部下という明確な形が有る所を、上下関係をかなり弱めた、その分、判断に時間が掛かっただろ。
今後、どうして行くかは、みんな次第だね。」
「誰が判断するのか、どの程度までなら自分で判断して、どこからは上司の判断を仰ぐべきかって、サブリーダー達で話し合った事が有るけど、難しいのよね。」
「まあ、難しい事だらけだから、俺達は高一からトレーニングしてる訳だけどな。」
「先輩方はどうなのかしら?」
「三年生が中心になっているチームはかなり会社組織に近いみたいだよ。
姉さんは皆が逆らえない上司かな、遥香さまは別格みたいだけど。」
「高一にして特別専門職コースに合格したと思ったら、すぐ部長研修が始まって、秋にはプリンセス遥香ブランドを展開して行くって、イベントに岩崎雄太社長が来て下さるのも、遥香さまに会いに来るついでという噂が広がっているのよね。」
「それは、間違いじゃないと思う。
姉さんのチームも絡んでいて…、まだ公表できない事は教えて貰ってないけどね。」
「そうなのよね、遥香さまも洋子も口が堅くて、無理に聞き出すなんて真似は出来ないし、イベント当日まで待つしかないのかしら。」
「楽しみが有って良いじゃないか、前日ワクワクし過ぎて眠れ無かった、という事の無いようにな。」
「うっ、自信がない…。」
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久兼剛太-10 [高校生会議2-01]

岩崎高校生会議夏祭りは盛り上がった。
チームメンバーは朝の準備を含め、自分の担当する一時間だけ働き、後は客として楽しむ。
高校生だけでなく、サポートスタッフの企画が充実していて飽きる事はない。
この祭りは趣味の発表の場でも有りサポートスタッフの気合いも半端ではない。
原則残業禁止、趣味奨励が岩崎の方針だ。
アマチュアながらも人気の有るバンド演奏があったり、合唱のステージには市内の合唱団が勢揃い。
模擬店も盛況だが、サポートスタッフの中には試作中商品の試食、新商品の試食といった形で仕事をしている人も。
これが毎年盛り上がって、夏まつり発の新製品が出ているそうだ。
普通でも盛り上がる所へ今回は遥香さま関連の発表が有り、遥香さまを一目見ようという人が押しかけてくれた。
最終日の夜、その打ち上げは市内のあちこちで開かれていた。
俺達高校生は高校のグランド、許可をとって中央で焚火。

「太一、お疲れ。」
「おお、剛太社長もな。」
「はは、社員が優秀だったから全然疲れなかったよ、思っていた程出番も無かったし。」
「それでも、バックに剛太がいる安心感は有った、そんな所が社長の役目なのかもな。
まあ、理沙には必要無かったかもしれないが。」
「そんな事無いわよ、剛太の提案した組織システムだったから動き易かった。
スタートから僅かの期間で他チームと差がついたのは剛太の指導力あっての事よ。
ねえ、剛太のお父さまって次期社長候補なんでしょ、やはり管理職の話しをしたりするの?」
「ああ、姉さんも興味が有る分野だからね。」
「家族円満なんだ。」
「まあね、コミュニケーションは取れている方だと思うよ、理沙のところは?」
「そうね、悪くは無いけど管理職の話をする様な環境ではないわ…。
ついでに言うならクラスの人もね。
だから剛太や太一達と一緒に仕事出来てとても楽しかった。」
「だな、違う高校の生徒とも、特にレベルの高い連中と付き合えたのは良かった、剛太とも出会えたし。」
「でも、もう直ぐ終わっちゃうのね、後は報告書をまとめたり、反省会ぐらいでしょ、茜が羨ましすぎるわ。」
「剛太、理沙は君と離れがたいそうだがどうなんだ?」
「これからだって高校生会議の仲間で有る事に変わりはないさ。
今回の企画は先輩から与えられたものだけど、次は自分達から提案して行こうよ。
遊びの企画でも良いからさ。」
「はは、遊びの企画なら色々出てるよ、それに乗っかるのも良いが…。」
そこへサブリーダー達が食べ物や飲み物を手にやって来た。
「差し入れ貰って来たよ。」
「えらく豪勢だな、模擬店の残り物を予想していたのに。」
「はは、模擬店は綺麗に売り切ったみたいだよ、遥香さま効果か予測を上回る来場者だっただろ。
だから大人達も大喜びなのさ。
サポートスタッフの打ち上げやステージに立った人たちの打ち上げが、市内の飲食店にもたらす経済効果はかなりの額になりそうだと聞いたよ。」
「ここは大人達の二次会で使うから、後片付けは任せて良いそうよ、十時以降は酔っ払いが乱入して来るから適当に帰宅するよう言われたわ。」
「予定していた時間だが、後片付けをしなくて良いのなら少しゆっくり出来るな…、ちょっと先輩方に確認を取っておくよ。」

後片付けに予定していた時間が空いたお陰でゆっくり出来る事になった。
念のため朝一で確認しに来る事にはしたが…。
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