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パリ-08 [シトワイヤン-25]

始めの内、奇跡の人を前に緊張していた人達も、万里のオーラに暖められたのか和やかな雰囲気になって行く。
通訳によれば、舞姫さまと同じ場にいるだけで、こんなにも幸せな気分になれるとは思ってもみなかったと話す人がいたり、体がこんなに軽いのは何時以来だろうと語る人がいたそうだ。
舞姫さまと直接話したのは選ばれた人達で、主に英語でのやり取り。
皆さんが跪いているのは身長的な問題も有るだろうが、それだけではないと思う。

質疑応答の時間は終盤に、今日起きた奇跡について急遽依頼され、智里が英語で答えた。
智里は、妹の奇跡的な美しさに痛みすら忘れる人がいたそうでと、事前の打ち合わせ通りに。
この『奇跡的な美しさ』というワードは翌日の新聞見出しとなり、旅行中、事あるごとに、つまり奇跡の様な出来事が起こる度に使われた。
特に奇跡の謎について追及されなかったのは会場の雰囲気によると思う。
誰しもが暖かいオーラを体感していて、今更説明されなくとも目の前にいる不思議な少女が人を超越した存在で有ると理解、会場には俗世と違う空気が流れていた。

翌日以降のスケジュールから観光の部分を削らざるを得なくなったのは安全上の問題だ。
人が集まり過ぎて事故が起きてしまう可能性が有る。
地元当局者は安全に、だがより多くの人が舞姫さまを目にする事の出来る形という事で、空港からの移動時同様、車列を組んでのパレードを提案して来た。
それを断れなかったのは、話し合いの最中もホテルが多くの人に静かに取り囲まれていたからだ。

「和馬さん、今日は苗川の総人口を遥かに超える人達が私に強く注目して下さっていたのですね。」
「やはり何か違ったのか?」
「科学的な根拠は有りませんが、力有るものが弱者を守り救う、地球市民党の理念を体現している気分です。」
「どんな感じなの?」
「力強く私を歓迎して下さった方々のエネルギーが、病弱な方々の力となっています。
皆さんが奇跡と話されてる事は、皆さんの力なのですよ。」
「だとしても、舞姫さまがいらっしゃらなかったら、その現象は起きなかったのだろ。」
「私がいても皆さんが私を歓迎して下さらなかったら同じだと思います。
今もホテルの周りに集まってる方々のエネルギーを感じますし、それはそのまま救いを求めて来られた方の力になっていると。」
「その辺りの事は公表して行くのか?」
「科学的根拠の有る話では無いですが、パリのイベントで地球市民党の理念を確認する時に紹介させて頂きましょう。
力有るものが力なき者を守る、苗川で出来たことが各地に広がったら素敵じゃないですか。」

そう語る、舞姫さまは神々しく、普段通りの自分を装うのが難しかった。
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