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舞姫-05 [シトワイヤン-24]

正直言って俗に不良と呼ばれる人達と話した事はなかった。
そもそも、そういう人はお話上の存在で有り、私にとって現実感は皆無。
私の周りの人達はみんな優しい人ばかりだ。
本間塾長は怒ると怖いそうだが、私は笑顔の本間さんしか見たことがない。
親に強く怒られたこともなく…、まあ、怒られるのは姉の役目なのだが、それも、私の前ではやんわり窘められる程度だった。
至って平和に生きて来たのが、不思議な子と言われる事に関係してると分かるまで随分時間が掛かった。
私にとっての普通は、他の人にとって必ずしも普通ではない。
姉から伝え聞かされて来たヤンキーなる人種も、私にとってはお話の登場人物に過ぎない。
そんなことも有って、私の視野を広げる、という名目で姉が高校生部会スタッフとセッティングしてくれた高校生達との時間は楽しかった、世の中、実に様々な人がいるものだ。
高校生部会は、私と会って話してみたいという人をアンケート付きで募集、アンケート結果から応募者を幾つもの条件によって分類、分類された各個で抽選という、いささか面倒では有るが、確実に私が色々なタイプの高校生と話せる形にしてくれた。
勿論、スタッフ自身の研究目的でも有る。

「万里ちゃん、『舞姫、高校生と語らう』読んだよ、面白かったけど映像でも見たかったな。」
「カメラが入ると緊張する人が多いそうで、和馬さんとは違うのですよ。」
「はは、でも中には目立ちたがりもいたのでは?」
「はい、色々な人と会いましたが、目立ちたがり屋の共通点は周りを白けさせるですね。」
「分かる気がする、文章は高校生部会のスタッフがまとめたのだろ、万里ちゃん自身はどんな感じだったの?」
「そうですね、卒業後の進路を勝手に心配してた『学校の成績が悪くて』みたいな人達が意外と考えていたのは発見です。」
「へ~、そうなんだ。」
「大学進学という選択肢が無い分、職業選択の幅が広くて、そうですね、大卒者が初めからはあまり選ばない職業をイメージしている人が何人もいました。
トラック運転手とか建設作業員とか、仕事の内容は親や親戚から聞いているそうで。
バカでも出来る仕事なのだけど、ホントのバカでは駄目なんだとか、でも高校の授業内容は役に立たないと親に教えられ、高校は卒業出来れば良いから、男は内面を磨けと言われてる人とかいましたよ。」
「内面の恰好良い大人になれということかな?」
「はい、今回お会いした皆さんは、私の卒業した中学出身者を除外してるのですが、苗川市民としての理念は思っていたより広がっているようです。」
「私は知ってたよ、家を出る前に万里ちゃんのポスターを見て、今日も恰好良く有ろうと誓ってる人とかいただろ、結構多いと聞いているのだが。」
「いましたね…、ご家族含め、恥ずかしくなるような…。」
「毎朝、手を合わせて拝んでる人とか、辛いことが有ったら万里ちゃんのDVD見て癒されるとかでしょ。」
「はい、お役に立ててるのなら嬉しいのですが、今回は私のファンから抽選でしたので、多少話が大袈裟になっていたと思います。」
「気になる人とかいなかった?」
「そんなに問題のなさそうな、成績的には中間の人達に、迷ってるとか将来が見えてない人が目立った気がします。
就職をイメージ出来ていない状態で、大学進学をどうするか。
親から勉強しろと言われても出来ないとか。」
「犯罪に手を染めそうな人は?」
「そこまでの人はいませんでした。
スタッフの話では、私のファンにはおバカなことをする人はいても、犯罪に関わりそうな人はいないと、ホントはそういう人とも会わせてみたかったとかで。」
「万里ちゃん的にはどうなの、そういう人とも話してみたい?」
「はい、機会が有れば、どのような人が犯罪を犯すのか知っておきたいです。」
「少年院への慰問とか、どうだろう?」
「少年院ですか…、更生施設ですね…、どのような手続きをすれば良いのか調べてみます。」
「いや、番組の関係で知ってる所が有るんだ、法を犯すとどの様な生活が待ってるのか、子ども達に伝えて行くべきだからね。
もし良かったら調整させるけど。」
「お願いします。」
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