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万里-09 [シトワイヤン-19]

「名物ってパッケージに苗川名物と印刷するだけなのですよ。
別に、昔から有った物でなくても、名物だと言った者勝ちみたいな、だから名物に旨い物なし、なんて言葉が有るのかも知れません。
それでも苗川名物とするなら、そこそこ美味しくて日持ちがするのは絶対条件です。
お姉ちゃんはパッケージに私の写真を使い、合格祈願とか、縁結び、安産祈願とか入れておけば絶対売れるって言うのですよ。
私と安産がどう結び付くのか疑問に思いません?」
「何でも良いのよ、神社のご利益だって、尤もらしい故事来歴を謳っていても、今で言う演出家の創作かも知れないでしょ。
万里ちゃんが安産を願ってます、で、誤魔化せば良いのよ。」
「そうか、誤魔化すんだ、私のイメージが悪くなりそうだな~。」
「良いのよ、天から舞い降りた舞姫がパワーを分けて上げるのだから、問題は商品ね。」
「お姉ちゃんは幾つかの高校の部活とかに打診して、新しい苗川名物コンテストを進めています。」
「えっ、そこまで話が進んでいたの。」
「商品化に関しては先輩達を動かすことも考えているのですよ。」
「へー、智里さんってそんなことまで。」
「苗川って、今まで特に観光地だった訳でもなく、名物ってなかったのです、だから清香さんが勧めて下さったのです。
その製造販売会社が従業員に優しい会社であれば、苗川市民が増えることに繋がりますでしょ。」
「そうね、でも、そうなると万里ちゃんのおこずかいだけで足りるかどうかが問題ね。」
「あっ、愛華さんは、鈴木智里を軽く見てませんか?」
「ん、智里さんは…、言われてみれば本間さんの懐刀か、私には万里ちゃんの自慢話オンリーな人なんだけど。」
「私が筆頭株主となる会社立ち上げを画策しています、安定雇用の場を増やせば、若者の流出を食い止められるとか。」
「ふむ、地元での就職先はまだ十分ではないのか、あっ、バックには本間さん…。
ねえ、取材させて貰って良いかな、そうね、起業を目指す小学生達、なんてインパクトが有るわ。」
「私より、お姉ちゃんに光を当てて欲しいかな、私は何もしてないのだから。」
「うん、良いかも、万里ちゃんを溺愛する智里さんの存在もアピールして行きましょう。
ねえ、彼女、最近になってまた背が伸びてない?」
「そうなんですよ~、身長差が更に広がって、私の身長が三ミリ伸びる間に五センチくらい伸びてるみたいで、お蔭で私の小ささが目立ってしまうのです。」
「小っちゃくて可愛くて良いじゃない。」
「良くないです、身長では五年生に随分抜かされてしまって、お姉ちゃんが六年生の時は中学生に間違われるぐらいだったのですよ。」
「遺伝って面白いわね、同じ親の遺伝子を受け継いでる筈でも個性が有って。」
「でも、妹は私達と比べられて少し可哀そうなんです、他の三年生と比べても全然劣ってないのに。」
「う~ん、万里ちゃんの妹という立場か…、まあ、悩んで大きくなって行くのよ。
万里ちゃんの妹ということで得することも有るだろうし。」
「どうかしらね…。」
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