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鹿丘小学校-05 [シトワイヤン-16]

翔太君は第一印象通り頭の良い人で、戸惑ってる転校生の手助けをしながら、クラスに溶け込み、私達には分からない、他の小学校との違いを指摘してくれる。
彼は口癖の様に鹿丘小学校は最高だと話すから、みんなも嬉しくて、転校生を迎えたクラスがまとまるのに時間は掛からなかった。

「翔太君が鹿丘小学校を褒めるのって少し大袈裟じゃない?」
「大袈裟じゃないさ、小さな喧嘩は有ってもいじめはないだろ?」
「えっ、いじめ?」
「五年生の優香ちゃんは前の学校で辛い目に遭ってたそうだよ。」
「少し暗い表情をしていたのはそのせいだったの?」
「うん、今のクラスに馴染んで明るくなったね、って話し掛けたら告白してくれたんだ、不登校になっていたからお父さんが移住を決意されたとか。」
「いじめってお話の世界のことだと思ってた…。」
「だろうな、悩み無さそうだし。」
「それって、私を馬鹿にしてない?」
「悩みが無いのが一番だよ。」
「翔太君には悩みが有るの?」
「はは、鹿丘小学校の一員になってスッキリしたかな。
まあ、引っ掛かっているのは、いまだに万里さんが俺の事を君付けってこと、みんなは翔太って呼んでくれるのに。」
「えっ、何となく…。」
「転校生組も呼び捨てにしてくれよ。」
「御免なさい、転校生という新鮮さを味わっていたけど、もう同じクラスの仲間だものね。
えっと、翔太の前の学校ではどうだったの?」
「小さなグループでは気軽に話していたけど、全然話さない人が少なからずいたし、他の学年の子と話すのは弟の友達ぐらい、鹿丘小学校みたいに全校児童を縦割りにして交流ということに先生は積極的ではなかったよ。」
「ふふ、弟さん達は率先して動いてくれて助かったわ。」
「はは、あいつら素敵なお姉さんに構って貰えて喜んでいたよ、うちは男ばかりだからね。」
「そっか、四年生の圭太君はお兄さん役もこなしてくれたの、兄の指導の成果かしら?」
「いや、転校したからだと思う、俺達は学校に来るのが楽しくてね、兄弟の話題も学校のことばかりになってる、自分から取り組む学習が多いだろ、そこで色々な発見が有る、前の学校は先生のつまんない話を聞かされるだけの時間が長かったんだ、俺達にとってね。」
「本間市長が聞いたら大喜びしそうな話だわ。
日本で一番素敵な町に素敵な小学校、実感はあまり無いのだけどね。」
「まあ、万里は恰好良いのが当たり前になってるからな。
でも…、東京の学校に転校したらいじめられると思うよ。」
「えっ、どうして?」
「可愛くて真面目だけど都会のことは知らない、嫉妬心や田舎を馬鹿にする気持ちとか奴らはマイナスの感情を色々持っているのさ。」
「そ、そんなに怖いの?」
「ああ、他の学校の事は分からないけど、少なくとも前の学校には戻りたくないんだ。」

翔太君…、翔太にも何か有ったのかも…、でも可愛いって、私のこと…、東京の男子って誰にでも可愛いって言うのかな…。
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