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市民-10 [シトワイヤン-12]

その後、他の奥さんも加わり話は盛り上がったが、少し酔った愛華が甘えて来た所で切り上げる。
まだ酒の席に慣れていないので、自分なりに決めたタイミング。
人前でいちゃつくのは避けたいし、区切りを付けないとエンドレスになりかねない。
挨拶を済ませ、店を出て。

「居酒屋へ来ると本当に色々な人がいると感じさせられます。」
「清香の場合は特にそうだろうな、市民政党を立ち上げていなかったら、地方都市の住人とは会う事すらなかったと思わないか?」
「はい、でも面白いです、父の会社には不満げに二百万しか稼げなかったという人が居ますが、ここにはパチンコで二万稼いだと大喜びの人が、二万の方が価値が高いと錯覚してしまいそうです。」
「まさしく価値観の相違だな、細やかな幸せを自慢し喜べる、あの店に来る人は苗川でも生活にゆとりの有る人達だからか、幸福度の高さを感じさせられるね。」
「私は和馬とこうして居られる時間が最高に幸せです。」
「そうよね、私達の幸福度は高いわ。
今日は実在する悪役のお話を聞かせて頂いたのだけど…、悪人は悪人なりに幸せなのかも、でも、周りの幸福度を下げるのよね。
お金が絡むと醜くなる人がいるとかで、お金は大切だけど、お金に汚い人間にはなりたくないと思ったわ。
お金を沢山持っていても幸福度の低い人は大勢いそうでしょ。」
「幸福度と言えば、本間市長のオフイス移転計画が大きく前倒しになったのは、東京から環境を変えて幸福度を上げられると考えた人が多かったからとも言えるね。」
「当初は職場も住まいも全部新築でスタートする予定が、全部中古でのスタートになったのよね。
綺麗な建物でなくて良いから、早く転居して田舎のオフィスを試したいという声が多かったのでしょ。」
「ああ、廃校なった小学校の校舎をオフイスに改築という話が出たら、建物のレトロな感じに好感が持たれ、一気に話が進んだ、ある意味魅力的な社屋なのかもな。」
「都会に憧れる人が多いので過密が進んでいます、でも都会から逃げ出したい人も相当数いるのではないでしょうか。」
「だろうな、当初、本間さんとは東京と変わらない環境を苗川に作り出すことをイメージしてたのだけど、東京とは違った生活環境でも、幸福度を下げるどころか大きく上げてるみたいなんだ。
不便だから社員同士が助け合って仲間の絆が深まり、深まりすぎて結婚を考えてる人達もいるそうだよ。」
「地方都市にオフイスを移転と言う発想が無かったら、殆どの人はそのまま東京で生活していたのでしょうね、田舎暮らしに憧れの有る人でも。」
「なあ清香、転勤で地方都市へという事は普通に有るのだろ?」
「職種によります、今回のオフイス移転計画は本来転勤の必要が無い方の移動、特殊だと思います。
余り転勤のない工場勤務でもインドに工場を作るから三年ぐらい行ってきて下さいという話は普通に有ります。」
「それは大変そうだな。」
「そうかしら、転勤先にもよるけど海外生活を楽しめるかもよ。」
「本人の望まないアフリカ奥地の勤務の場合でもか?」
「和馬、ライオンが襲って来たら守って下さいね。」
「それは無理だろう、仲良くライオンの餌だな。」
「清香はともかく和馬はまずそうだわ、では転勤先が、灼熱のリビア、酷寒のアイスランドの二択だったらどっちを選ぶ?」
「勿論、アイスランド、暖房の効いた部屋だな、冷房より暖房の方が体に良いと思わないか?」
「そうね、暖房器具にもよると思うけど…、言われてみれば暖房は昔から有って自然だけど、冷房は調節が難しいし電気が無ければ…、砂漠のど真ん中では使えそうにないわね。」
「ログハウス村は薪ストーブで暖房、冷房より木陰のそよ風や綺麗な川で水遊び…。」

おばかな話が弾むのはお酒の影響も有るが、今日も俺の幸福度はとても高い。
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