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市民-03 [シトワイヤン-12]

「苗川には市民同士が気遣い合う人間関係が残っているのですね、私は同じマンションの住人に知り合いは全くいないのですよ。」
「愛華さんの住む都会だとそういうものなんだね、まあ、俺達は付き合いが長いから。」
「これから、転入して来る人との関係はどうなるのでしょう?」
「市長からは人付き合いの苦手な人もいると聞かされてる、自分達が市民としての義務と考えることを押し付けては駄目なのかも知れないね。」
「清香、その辺りはどうなの?」
「うちの社員達は分かっていると思いますが、オフィス移転事業に伴ってという方々には難しいことかも知れません。
東京と同じ様な生活を、満員電車から解放された自然の中で送るというのが売りになっていますので。」
「そうだよな、草刈なんてしたことのない人に来て貰う計画だからな。」
「そういった事は移住が始まってからで良いでしょう。
ただ、知り合いの社長は草刈機を手に、うちの庭で楽しそうに作業して下さいます。
仕事として取り組むと大変なことでも、たまに道具を使ってというのは気分転換になるみたいですね。
人それぞれですので、その辺りの加減に気を付けて下されば大丈夫だと思います。」
「和馬代表は心配いらないと?」
「はい、大改造が進んで行く過程では様々なトラブルが発生すると思います、それを皆で解決して行くという街づくりを楽しみませんか。
早期に越して来られる方々も、新しい街づくりに参加できると期待されている様です。
街と言うのは単に建物によって出来てる訳ではなく、そこで生活する人々によって成り立っている訳で。
大改造という大実験を楽しめなかったらつまらないですよ。」
「そうだな、俺なんか小心者だから、リスクにばかり目が行ってしまうのだが。」
「実際、住み慣れた環境を変えるということで、高齢者の方々に嫌な思いをさせてしまうのは申し訳ないと思っています。」
「代表、確かに葛藤は有るみたいですが、ダムの底に村が沈むよりは何倍も良い事ですし、寂れて行く町を見ながら老後を過ごすより、他に誇れる活気ある街の方が良いです。
大人の役目は子や孫の為に働く事、町を寂れさせたのは自分達の責任だから、喜んで協力するとうちの爺さん、話していました。」
「そういう考え方で理解して下さった方が多いという事なんですね。」
「新居はバリアフリーで楽になります、実は喜んでいるのですよ。」
「もう、そこまで話が進んでいるのですか。」
「はい、三世帯共同の家を建てます、宅地造成一期目の区画に土地を確保しました。
子どもの為のスペースを広く取りますので、四人目五人目を目指せます。」
「決断が早かったのですね。」
「本間市長の話を聞いていましたからね、ここの党員達は結構前から考えていたのですよ。
宅地造成二期目の予約も直ぐに埋まると思います。
清香お嬢さまの会社も社員用に確保と聞いていますが予約されましたか?」
「はい、ただ社員達は広さの感覚に戸惑ったそうです、実家六軒分の敷地面積を持つ区画が普通に個人の予約で埋まって行くとか、取り敢えず押さえてそこに何軒建てるのか検討するそうです。」
「家の敷地に畑を作るとか考えてないのだろうな、俺達はテレビで見る狭小住宅なんて考えられないよ。」
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