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はじまり-10 [シトワイヤン-01]

柚木家への訪問が楽しかったということで、愛華が是非うちへもと招待してくれた。
勿論断る理由は無く翌週は高級マンションの最上階へ…。

「皆さんゆっくりして行って下さいね。」
出迎えて下さったのは愛華のお母様、さすがに愛華の母親だけあって美人だ。
「おじゃましま~す。」
康太は柚木氏との時とは打って変わってリラックス、イケメンは女性に強いということだろうか。
俺はと言えば普通に緊張、美女は清香と愛華で多少慣れはしたものの、年上の女性と何をどう話せば良いのか全く分からない、バーベキューをする時も兄貴に任せ距離を置いてきたのだ。
「あなたが和馬くんか、愛華のことよろしくね。」
えっ、よろしくと言われましても…。
「は、はい…。」
と、まあ何とも情けない返事をしたところへ。
「柚木清香です、よろしくお願いします。」
「清香さん、お綺麗ね、でも面白いわ、雰囲気の全然違う二人が親友になるのだから、娘とは…。」
清香に助けられた、彼女が困惑している俺に気付いて声を掛けてくれたのは間違いない。
しばらくして試練の時は終わり、いつもの四人の時間。
部屋からの眺望は抜群で…。
「なあ、愛華は眼下に人を見下ろして優越感に浸ってるのか?」
「そんな訳ないでしょ、康太の辞書にデリカシーという言葉は無いの?
夜景を見る時は、一つ一つの明りにどんな営みが有るのかなって考えてるわ。」
「眼下…、多種多様な人達が愛憎入り混じる人間関係の中、幸福を求めている…、幸福を感じている人がいれば、自分を不幸だと思っている人も、そこに利害関係が入り混じる混沌が、実は平和そうに見えるこの町に存在するのです。」
「清香はそういう見方をするのか、う~ん、カオスね…。」
「足るを知ってる人がいれば、自分の欲に正直な人もいるからな。
如何に法の隙をついて金儲けするか、社会制度の盲点を突くとかと考える人達のおかげで、闇が深まってるのだろう。」
「会社経営や株式投資は、合法ギャンブルの一面が有ると父は考えています。
法に抵触さえしていなければ、人に不快な思いをさせても合法ギャンブルで、成功すれば大金が手に入ります。」
「結局は、弱肉強食なのかしら?」
「そうかもな、お金持ちは弱者を食い物にして。」
「でも、食い物にするというより、消費者の方に良い商品を提供していかないとだめだろ、単純な話ではないのさ。
柚木氏は社員の幸せを考えておられたし、提供する商品やサービスの質にこだわっておられただろ。」
「あっ、御免、視野が狭かったかも。」
「自由競争ですから弱肉強食で間違いないと思います、ただ、お肉に対する思いやりがないと行けません。」
「焼肉定食なら人を幸せに出来るのにな。」
「康太、その路線で進むと寒いおじさんになるわよ。」
「山下さんに、親父ギャグは通じるのですか?」
「まだ分からないが、多分大丈夫だよ、向こうから告って来たのだし。」
「あの~、焼肉定食辺りから話が見えなくなったのだけど、山下さんって誰?」
「えっ、康太の彼女を知らないのですか?」
「知らない。」
「結構噂になってるわよ、康太のハートを射止めるのが私達のどちらかだと思われてたみたい、それが突然可愛い系女子と親密になったって。」
「へ~、それで二人は悔しくないの?」
「どうして? 和馬は私にとって好感度の低い人を、私の美しさに嫉妬してる、と表現してくれたけど、もしかしたら康太の友人だからかもと思い至ったのよ。」
「そうです、康太たちが上手く行けば、愛華の人間関係が改善される可能性が有ります。」
「そうなんだ、清香は?」
「私の場合、康太は友人で恋愛対象では無いと公言していましたので何の問題も有りません。」
「そういうもんなんだ。」
「こいつら酷いだろ、こんな良い男を邪険に扱って、でもこれからは、和馬が心配だな?」
「えっ?」
「美女二人との関係を男子学生から問い詰められるかも知れないぞ。」
「別に本当のことを言えば良いだけだろ。」
「この写真を公開してもよろしいですか?」
清香に見せられた写真は柚木家で撮影された内の一枚、二人に挟まれ真っ赤になってる自分が写っていた。
「そ、それは…。」

この状況になると俺は無力だ、始めて出会った日から俺は二人に惚れているということになっている、まあ間違ってはいないのだが、その辺りを遊ばれてしまう。
救いは、真面目な話をしている時にはイジって来ないことと、どちらが好きなのかといった最悪の質問をしないことだ。
一人を選ぶことも一人に選ばれることもなく、ずっと友達…、康太と違って女子受けしない俺は彼女と呼べる存在無く学生生活を送るのかも知れない。
だが、二人は、それでも良いと思わせるだけの魅力的な女性なのだ。
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