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大下穂香-01 [化け猫亭-13]

私は大下穂香、二十歳、化け猫亭で働き始めてから半年近くになります。
働き始めてすぐ加奈お嬢さまのサポート役に、お嬢さまより一学年下の後輩第一号だという事ですんなり決めて頂けました。
化け猫亭は二十歳過ぎから大学卒業までが契約期間、三月生まれの先輩と比べたら在籍出来る期間が随分長いというメリットも有り、四月生まれで本当に良かったと思っています。
今まで、加奈お嬢さまのサポート役として随分学ばせて頂き、ここのスタッフになる事を勧めてくれた父には感謝しか有りません。
お嬢さまの事業展開を間近で見る事が出来ましたし、色々な会社組織の重役さん達から得られる情報は大学で学んでいる事の斜め上を行っています。
化け猫クラブが中心になっての企業グループ、その特殊性にもよるのでしょうが。
まだ大学二年生ですが就職の心配は全くしていません、私が希望すれば即内定という優良企業が数社有るのです。
今まで加奈お嬢さまのサポート役として頑張って来た実績を認めて頂けての事で正直嬉しくて…、あっ、そろそろホールに入る時間となりました…。

「穂香ちゃん、こっちこっち。」
「は、はい。」
「なあ、入居が一段落したシェアハウスへ視察に行ってきたのだろ。」
「はい、加奈お嬢さまのお供をさせて頂きました。」
「入居者達はどうだった?」
「どうなのでしょう…、もう少し落ち着かないと問題は見えて来ないと思います。」
「そうか…、当初はシングルマザーを意識して建設を始めたシェアハウスだが、寮や社宅が増えた結果、より実験的になったじゃないか、トラブルがなければ良いと思うのだがね。」
「加奈お嬢さまは、トラブルが起きてみないと見えないものも有ると話されていました。
社会的弱者ばかりで構成するコミュニティですので、精神的に疲れている方もみえます、勿論カウンセラーの方が頑張って下さるとは思いますが。」
「心配なのは、株式会社と社会福祉法人の関係性なのだが。」
「加奈お嬢さまの下に平等、ハンディの有る人に対する心遣いが出来なかったら別の施設へお引越しです、私が行った時は、女神さまご降臨に皆さん大喜びで個人の不満に触れる状況では有りませんでしたが。」
「まあ、そうだろうな…、穂香ちゃん、生活保護世帯に対する支援と行政サイドの対応に関しての問題はどうなってる?」
「加奈お嬢さまは、子どものいる生活保護家庭を行政から離して保護する事を意識されていました、ただ、そうしてしまうと、こちらの予算が嵩み保護を広げる事にはマイナスになります。
そこで今は、生活保護世帯に対して民間が支援をし易い法整備を法学部中心に検討しています。」
「そうか、テレビ番組では加奈さん、同じ島国に住む人を仲間と考えなくなって貧富の差が加速したが、私達の保護下に有る部族では、仲間が困っていたら助け合うと話してたね。」
「今までは民間に生活保護世帯への支援という発想が有りませんでしたから、法整備の必要は有りませんでした。
でも、我らが女神さまは、せめて子どものいる世帯だけでも支援したいと話されまして、無能な国会議員も、これをスルーしたら選挙で不利になると考えているみたいです。」
「そこまで進んでいるのか。」
「通称、女神さま法案とか、加奈お嬢さま法案とか呼ばれる様になるのでしょうね。」
「穂香ちゃん、これまでの生活保護世帯への支援は評価されているのかな?」
「高校生以下の子どもがいる二十世帯程を保護下に置いて、どういう支援をしているかを公開しています。
それに対して、応援するメッセージや金品による支援を受け取っています。
加奈お嬢さまは、行政が考えるところの、健康で文化的な最低限度の生活よりワンランク上の生活を生活保護家庭の子に味わって欲しいと日頃から話されています。
それに対する議論も盛んになされていまして、例えば、生活保護家庭の子が自信を持って社会に出て自立出来る環境が有ったら、その子が先々親の面倒を見てくれる可能性が有ります。
ですが、ひどい環境のまま育ったら親を恨むかも知れません。
シェアハウスで出会った女の子は、思いっきりの笑顔で加奈お嬢さまに感謝の言葉を口にしていましたが、その笑顔の裏にこれまでの苦悩が隠されているのではないかと思うと…。」
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