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高松加奈-47 [化け猫亭-12]

「安川さん、これから、うちのスタッフが増えますので、一度、合宿所周辺の方にご挨拶しておきたいと思うのですが如何でしょうか?」
「加奈さんが訪問してくれたら皆さん大喜びだろう、私達も助かるよ、さすがに出所者を受け入れるという話には諸手を挙げて賛成とは成ってないからね。」
「やはり難しそうですか?」
「まあ、何をやらかしてどれだけの期間塀の中で規則正しい生活を送って来たとかの情報と共に各自の意気込みを住民に対して公開して行くから、いずれ理解して貰えるとは思う、個人情報の公開に同意し、それなりに覚悟を決めた人を送り込むつもりなんだ。
まあ、シングルマザーに前科者、児童養護施設出身者と共に中小企業の社長や役員などをセットにして彼の地に関わって行く訳だから、普通に戸惑いが有るだろう。
加奈さんには…、そうだな小学校にでも人を集めて貰って、ピアノ演奏とトークで良いかな、テレビ取材付きでどうだ?」
「構いませんが、出所者支援はどの様な形で進んでいるのです?」
「出所後、支援さえ有れば再び罪を犯さないであろう人を見極めながら、受け入れて研修を進めている。
店での仕事だけでは雇える人数に限りがあって、君のとこに受け皿となって貰っているが、これからは田舎で農業にチャレンジとかも考えているんだ。
採れた野菜は君んとこの店でも使って欲しいかな。
合宿所の周辺は果樹や花を中心に野菜畑は別で確保して有って、大学の農学部に協力を要請しているよ。」
「住居は充分に確保出来るのですか?」
「空家の補修が進んでいるが、状況によっては新築のワンルームも考えているよ、土地は安いから、すでにかなりの面積を確保済、区画整理も考えていてそっちの調整は桜さんの会社がやってくれてる。
施設面は桜さん、人に関しては加奈さん、資金の流れは小夜ちゃんにお任せという形で落ち着きそうだな。」
「私は直接関わっていませんので…。」
「それでも君の所の社員達は女神さまに救われたと感じていて、君が心の支えになっているんだ、だから店が増えても大丈夫さ、でも、急に店舗拡大をスピードアップするのは何か訳が有るのか?」
「はい、生活保護家庭の子に対して食事の支援を出来ないかと考えていまして。
今調べて貰っているのですが、一つの店で対応出来る人数は地理的な問題も有って限られます、店を増やす事で活動を広げられないかと。」
「利益を圧迫という事にはならないのか?」
「そこまでの人数にはならないですが、早い段階で私たちの保護下に置く事が出来れば、ささやかながら不幸を軽減出来ると思いません?」
「ああ、そうだな、野菜に関しては産地直送で安く供給出来る様にするよ、でも社員達の反応はどうなんだ?」
「自分も一つ間違っていたら生活保護に頼るしか無かったかも、という人がいまして、せめて子どもだけでも守ってあげたいと。」
「そうか、そうだよな、痛みを知る人達か…。」
「スタッフになった当初は自分の事で精一杯だった人にも、心の余裕が出来たみたいです。」
「今、うちで研修中の男に元料理人がいるんだ、店で働く事を打診しても良いかな?」
「はい、プロのアドバイスはこれからの店舗展開に必要だと思います。」
「では、本人にも話してみるよ。」
「安川さんは、一人一人と向かい合っているのですか?」
「まあな、きちんと向かい合わないと社会復帰の道しるべを示せないだろ。
君の所と違って人数が少ないし、最近は先輩が後輩の面倒を見てくれてるから可能なんだ。」
「それでも…、本業の方は大丈夫なのですか?」
「そっちは、ほかって置いた方が良くてね、今は伸び伸びと業績を伸ばしてくれてるよ、私ら夫婦が安心して社会の落ちこぼれと向き合える様に気を遣ってくれてるんだ。
少なからず女神さまの影響を受けていてね。
保護の対象を広げると知ったら、喜んで売り上げアップを考えてくれるよ、女神さまが労働の意味を高めて下さったと考えているからね。」
「えっ?」
「以前は自社の為自分の為の労働でしか無かったのが、今は、君の活動を通して社会貢献してると力説する奴がいてね、皆を納得させ、労働意欲を引き出してくれたんだ。」
「労働に対する付加価値なのでしょうか…。」
「モチベーションは上がってるよ、皆、女神さまに喜んで頂きたいからね。」
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