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水野鈴江-10 [化け猫亭-07]

「記憶に関して、人間の脳は凄いと思うよ、ちょっとしたきっかけで色々思い出すだろ。
まあ最近は思い出したい事がすぐには出て来なくなって来たのだが、それでも三十年前に訪れた地へ行けば先回訪問時の事が頭に浮かぶ、その時聞いていたラジオの内容とか些細な事もな。」
「そんなに前の事もですか、でも記憶というのはデータバンクであって思考とは違うのですよね…。
AIは思考をするのでしょうか?」
「将棋ソフトは膨大な量のデータを元に膨大な量の計算を繰り返して、その時点で最善と考えられる一手を導き出すと聞いた事が有る、人間の脳も多くの可能性の中から選ぶと言う作業を瞬時に行っているのかもしれないね。
今だって鈴江ちゃんに伝えたいと思う事を過去のデータから判断して口にしている訳だから。
AIと違って感情という変数の存在が人とAIの違いだと思うが、ある意味AIは思考しているのだろうね。
でもAIでも計算時間によっては迷う事が有るんだ。」
「迷う?」
「先々の可能性を計算して行く過程で最善に近い手が複数存在しても不思議では無いからな。」
「確実に一つの答えを出すという感じでは無いのですね。」
「ああ、演算速度が今より早くなったら分からないが。
そうそう、デジタルの象徴、パソコンだって使い始めた頃は結構アナログだと感じていたよ。
バグが有ったりして、同じ操作をしている筈なのに機嫌が悪くなるんだ。
困る事なのだが、それを解決するのは面白くも有った。」
「そうですね、日本語がパソコンに向いて無いからでしょうが、文章読み上げ時の誤読ミスは笑えます、入力時の変換ミスは人間側の問題ですが。」
「最強のコンピューターとAIを使えば、かなり減らせるだろうが…、昔、翻訳ソフトは辞書を鍛えれば精度が上がると聞いた事が有る。
えっと…、自分用にカスタマイズして行くという感覚なのかな。」
「手間が掛かるのですね。」
「基本的な文法が英語と日本語で違うから簡単では無いし、同じ単語や漢字に複数の意味が有る時点で、読み上げや翻訳の精度を上げるのは簡単では無いという事だな。」
「たしかにネットで簡単に使える翻訳機能はかなり雑です。」
「そうだな、AIを利用するにしても、子どもと同じで育てる必要が有る、誤読、誤訳を指摘する事でAIは学んで行くんだ。
読み上げなら、前後の文脈から正解を導き出し誤読を減らす事は可能だと思う、それなりのコンピューターと手間を掛ければね。」
「将棋ソフトに人は勝てなくなったと聞きましたが、他の分野ではどうなのでしょう?」
「初めから勝負を前提としていないからね、先の事は分からないが、今は人間がきっかけを作ってAIに学習をさせ計算をさせ、その結果に基づいて人間が判断をしている。
我が社では、高性能なコンピューターは導入してないが、コンピュータを利用してデータ分析した結果を経営に活かしている、でも、まだまだ判断を下すのは人間、だから優秀な人材が欲しいのさ。
その人達に、自分達が築き上げて来たものをきちんと引き継いで後を任せたい。
AIに支配される様な社会は考えたくないからね。」
「ですよね。」
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