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猫田小夜-07 [化け猫亭-01]

「ここで話していても何も分かりませんね、伊藤さん、ちょっとムショ暮らしを経験して探って来て下さい、現場の生の声を聞きたいなぁ~。」
「ば、馬鹿言うな、妻子有る身なんだぞ。」
「そうですね、私を強姦した事にして有罪まで持ち込む、ムショ暮らしをある程度経験した段階で、冤罪でしたと…。」
「却下だ!」
「真面目な人間には、なかなか経験出来ない事を体験出来るのですよ。」
「そうだな、伊藤なら奥さんに逃げられたとしても社会復帰は出来る、収入は減るだろうが。」
「それで、誰が得するんだ?」
「伊藤さんを囲んで、刑務所内の現状を聞く会を開きます、コソ泥の話なんて誰も聞きたがらないでしょうが、冤罪によって妻子と離れ離れになった悲劇の主人公なら…、そうね本を出しましょう、そこからテレビ局に売り込んで…。」
「はは、どれぐらい真面目に考えてるんだ?」
「えっ、良いストーリーだと思いませんか、そのまま頑張れば色々仕事が舞い込んで来ますよ、そうすれば、奥さんだって考え直してくれますって。」
「そ、そうかな…、じゃ、じゃないだろ、少しすれ違っているだけで、離婚した訳でもないし。」
「伊藤、お前、小夜ちゃんに弄ばれてるみたいだな。」
「だよな…。」
「伊藤さんは、この前いらした時、奥さんと上手く行ってないと話されてたじゃないですか。
一度、刑務所暮らしをイメージして、奥さんやお子さんの事を考えてみては如何です?」
「う~ん、そう言われるとな…。」
「勿論、イメージだけでなく実際に経験して下されば楽しいです、三年ぐらいなら待ちますよ。」
「それは却下だ。」
「え~、高い塀に囲まれた環境で自分と向き合い、ああ、自分は妻や子どもの立場に立って家族の事を考えていたのだろうか…、と呟くドラマの主人公になって下さいよ。」
「そう言えば、伊藤と奥さんとの出会いは、少しドラマチックだったのだろ?」
「ま、まあな…。」
「聞きたいなぁ~。」
「嫌だ!」
「今は仕方ないですか…、でもムショ暮らしの話は考えておいて下さいね、本を出す時は奥さんとのエピソードを入れます、伊藤さんは話をして下さるだけで良いのですよ、文は私が書きますから、こう見えて小学六年生の頃は作文で花丸を貰った事が有るのです。」
「はは、伊藤、夫婦の問題を視点を変えて見て見ろという事だぞ。」
「中村…。」

伊藤さんは頭の悪い人ではない、でも夫婦の問題は難しそうだ。
私には刺激を与えて差し上げるぐらいしか出来ないが、夫婦にとってもお子さんにとっても一番良い結論を見つけて頂けたらと思う。
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