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139-撮影 [岩崎雄太-14]

公演の合間を縫ってドラマの撮影は進められ、完成した。
今回は一話完結だが、反響が良ければ続編もと監督を始めスタッフ達は考えている。

そのドラマは舞台で歌う正平と彼を見つめる史枝のシーンで始まる。
正平が歌うのはドラマの主題歌。
正平と史枝は恋人同士という設定だ。
史枝は今まで人前で声を発した事はない、セリフが無いのは他に仕事を抱えていてセリフ合わせの時間が取りにくかった事も有るが、メイクの力で美少女となった彼女を、よりミステリアスな存在に見せる演出でもある。
演技は…、この二人のシーンで演技はないのかもしれない。
正平は史枝の為に歌う、史枝は忙しい中、正平とデートの時間が出来てそれがたまたま舞台の上だっただけかの様に振る舞っている。
カメラはそんな二人の様を優しく捉えていた。
続いて、主要登場人物の姿を見せて行く。
しばらくは人間関係が分かる様にドラマの背景を描いてるのだが。
実際の撮影風景は…。

「譲治兄さまは?」
「雑誌の取材が入ってもう少し待って欲しいって。」
「カメラの人達も待ってみえるのに、御免なさいね、お茶する時間有りそうだから用意しましょうか?」
「いえ、紗友里さん、それよりカメラテストをしておきたいのでお願い出来ませんか。」
「は、はい。」
「音声テストもしますのでマイクも入れますね。」
「セリフの練習しておきたいけど、譲治兄さまが来ないと分らないの、御免なさい。」
「美沙さん、セリフなんて気にしないくて良いですよ、でも適当に会話していて下さると助かります。」
「ふふ、適当が一番難しいのよね。」
「今度、島根から来る子に我々の関心は有るのですが。」
「あ~、加藤さん写真見たんだ、留美ちゃん可愛いからね、加藤さんには気を付ける様にと言っとかなくちゃ。」
「え~、気を付けるとかでなく、普通に紹介して下さいよ、美沙さん。」
「譲治兄さまに憧れて来る子なのよ、恵子姉さん一押しで、可愛いだけでなく歌やダンスも伸びしろが有るって。」
「あら大変、美沙、妹の座は大丈夫なの?」
「大丈夫よ、元々譲治兄さまを、私が独り占め出来るとは思ってないわ。」
「あらっ、良い子ぶってちゃって。」
「あ~ん、葵さんの意地悪。」
「大丈夫、譲治は美沙の事、一番大切な妹だって思ってるわよ。」
「ほんとかな、やっぱ紗友里さんは優しいや、今度兄さまと三人でデートしましょうね。」
「まあ、頑張んなさい、譲治には大人の魅力を私がたっぷりと。」
「べ~、お兄さまは、健全な女の子がタイプなの!」
「ふふ、まんまおこちゃまね。」
「うん、おこちゃまで良いもん、葵さんの事も嫌いにならない様に、譲治兄さんに頼んどいてあげるわ。」
「?」
「仲良くないのが一番だめなの、お兄さまもそう話してた、ファミリーのみんなが仲良くしてれば、施設で暮らす子達の希望にもなれるって。」
「そんな事私だって分かってるわよ、仲良し家族ごっこをするのが私達の役目、う~ん、私は隠し味ってとこかな。」
「ふふ、CMでも全然隠してなかったと思うけどな、あれが演技なら、お主腕を上げたなというしかないわよ、ね、紗友里さん。」
「うん、葵さん、ますます色っぽくなられて…。」
「美沙、私より紗友里の表情が良かったわよ、撮影中にあの表情されたら…、あ~、私はこんな可愛い子の心を弄ぶ悪役なんだって実感させられたわ。」
「悪役なのか…、でも、葵さんはそれを楽しんでないかしら。」
「もちろんよ、可愛い仲間達と演じてるのだから楽しくてしょうがないわ。」
「譲治さん遅いわね。」
「私、様子見てこようか?」
「あっ、美沙さん大丈夫ですよ、連絡が入って今日の撮影は中止になりました。」
「え~、加藤さん御免なさいね、しっかり準備してみえたのに。」
「そうですね、一コマだけお願いします、真ん中に美沙さん、両脇に紗友里さんと葵さん、イメージは譲治さんに対して、三人は仲良しなのよってアピールする感じでお願いします。」

こんな風景をしっかり撮影、編集されたものが舞台裏の設定としてドラマに使われている。
演技をしていない、素の表情が自然だが、ドラマで使えてしまうのには訳が有る。
譲治が仕切り始めてから、舞台に立つ者達は、普段から発声や活舌などに気を付ける様にして来た、カメラテストならば表情にも自然と意識が行く、緊張感は無くても微妙に演技している、それが三人の魅力を引き出す。
本人達はドラマが完成するまで知らされていなかった事で、自分達の出番は少ないと感じていたそうだ。
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