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100-思い [岩崎雄太-10]

夜。

「亮、里美姉さんが漁業に乗り出すと聞いてるがどんな感じなんだ。」
「新しい漁船の建造を始めるそうだ、コストと相談しつつではあるが、作業が楽になるシステムを導入して漁業従事者の負担を減らし、きついイメージを軽減させようと考えている。
費用対効果の検証をここの港を基地にして行っていく、釣り客や観光客向けの船も検討して行くそうだ。
もう一つは、養殖、ローリスク、ローリターンな魚種とハイリスク、ハイリターンな魚種を組み合わせてバランスを考えている。
スーパー銭湯に絡めて、高めの水温を好む魚を養殖したり、水槽で客に見せたり、釣り堀とかもイメージしているそうだ。」
「なるほど、案は色々有るんだな、でも勝算はあるのか、一からのスタートで。」
「大学や、グループ企業がバックにつくからな、我らが親父さまの長女が立ち上がるんだぞ。」
「でも、世の中の人はどう考えてるのかしら、養子という存在を。」
「微妙な所も有るとは思うけど、里美姉さまはバックを頼らない形でも実績をあげてる、私は小さくてもお姉さまを支える一人になりたいわ。」
「世間がどう思おうが関係ないだろ、俺の親父は岩崎雄太だ。」
「そうよ、就職で出てった連中も堂々と岩崎を名乗ってるってさ。」
「ちょっと申し訳ないのは実のお子さん達だよな、親父さん達、こっちに来ると平気でニ三か月滞在して下さるし、養護施設の子に配慮してか一度もお連れになられない。」
「私達にとっては可愛い弟、妹なんだけどな。」
「岩崎村で就職した奴は兄と認めて貰えたと喜んでいたよ、そういう教育をされているのだろうな。」
「養子と言っても、里美姉さんは漁業に対して十億円を自由に投資して良いと言われているそうだぞ。」
「お~、すっげ~、本当か、まだ二十二だろ、ちょっと俺らじゃ考えられないよな。」
「それだけの人なのよ、だからバックも付くのね。」
「俺達もここを盛り立てて貢献しようぜ。」
「そうだな、スーパー銭湯が完成したら客も増えるだろうし、次にオープンさせる店は観光客を意識して内容を充実させているのだろ、そうなったら土産物の売れ行きも良くなるんじゃないのか。」
「みんなはここでずっと暮らす事考えてるの?」
「俺は町に良い思い出がないからな…。」
「お父さまは土地に余裕が有るから無理して出て行く必要は無いと話して下さったわ。」
「都会暮らしを考えてた連中はもう残ってないだろ。」
「そっか、ちょっと安心したな、みんな出て行っちゃったらどうしようって思ってた。」
「出てける訳ないだろ、二期生はまだまだだし、俺達の故郷がこれからって時だぞ。」
「私は施設の子達から離れたくないわ、子ども達と過ごす時間は私にとっても大切な時間だもの。」
「ここへ来てみんな変わったよな。」
「うん、お父さまが話して下さったよね、今の日本はバランスが悪くて褒められた状態ではないけど、辛い思いをして来た養護施設の子達が、少しでも幸せになれたら、少しはましにならないかなって、施設の子が幸せに近付ける事は私達の幸せでもあると思うわ。」
「やばいな、海に出ているうちに取り残されてたのかな、俺。」
「亮は取り残されたというより、小百合を残して出て行ったという感じでしょ、仲が良いと思ってたのに相談もなく漁村へ移って行って。」
「えっ。」
「お前が出てってから、随分落ち込んでたんだぞ、次に小百合を泣かせたら村八分だからな。」
「え~、えっと…、みんなに誓うよ小百合を大切にするって…。」
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