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88-組織 [岩崎雄太-09]

里美は雄太や明香とも相談しながら村の形を整え始めた。
村を作り始めた段階では、村人の自主性、主体性を重視と考え組織的な事を二の次にして来た。
だが、村人が増えつつある今、組織固めは必要だ。
まず着手したのは組織の中核。
所長は村長に格上げし村全体を見て貰う。
その下に、総務、工房、農業、職業訓練、育児、児童養護などの各責任者とスタッフを置いた。
スタッフはこの地で株式会社岩崎の社員になった人が中心となる。
この組織作りの過程で、里美は部署変更の希望を受け付けた。
単なる受付だけではなく提案の形でも。
その提案が的を得ていた事も有り、里美は村人達から信頼される様になって行った。
長野の事務局で行っていた業務も、徐々に村へ移している。
その作業には、職業訓練生達も関わった。
里美は、訓練生達に、村を一つの会社と見立て収益を上げて行く事を、単に給料を貰って作業しているというレベルではなく、資金の流れをきちんと把握し理解する事が大切だと教えた。
職業訓練のカリキュラムで株式会社の仕組みを学習していたが、里美の話はより具体的で分かり易かった。

「里美姉さん、もし村の拡大を止めたら養護部門以外では黒字化出来ますよね。」
「ええ、出来ると思うわ、ただ、ここは原材料の仕入れや販売の部分で多くの協力者がいて成り立っているという事を忘れちゃだめよ。
普通の企業活動では誰もただでは協力してくれない、それが分かってるから村の大人達も気軽にはここを離れられないの、まあ理由は様々でしょうがね。
それと、今、拡大しておく事で将来の収益を上げる事に繋がるし、もちろんこの村を必要としてる人を助ける事にもなりますからね。」
「はい、投資の重要性は分かっているつもりです。
里美姉さんはここへ来る前、会社の立て直しをしていたのですよね、大学生で有りながら。」
「まあね、お父さまが天才と語られている谷川社長の指導も頂きながらですけど。」
「お母さまが教えて下さった事例では、皆が諦めかけた案件を里美姉さんが救ったってのも有りましたが。」
「あは、あれは偶然よ、たまたまタイミング良く四つの会社の技術に気が付いただけで、後のマッチングは先輩方の力だし、成功できたのは社員の方々の努力の賜物よ。」
「でも、一見全く関係ない技術だったのでしょ、私には絶対無理だわ。」
「何言ってるの、私には祥子ちゃんが作ってくれる様な、美味しいお菓子は作れないわ、祥子ちゃんはもっと自信を持ちなさい。」
「うふ、今日のおやつは特製クッキーです、好評なら商品化も考えてます。」
「それは楽しみね、お店でも出せると良いわね。」
「はい、国道沿いに出来るお店…、お客さん来て下さると良いけど。」
「この村のみんなが協力して良い店にしてくれたら、きっと大丈夫よ。」
「お店で売る商品開発の話し聞きました、里美姉さんの提案にみんな目から鱗が、なんて。
花瓶はまだ高く売れる代物じゃないけど、竹細工と布を組み合わせてみたらお洒落になったって。
組み合わせも色々選べるから、お土産を選ぶ時にセンスが問われて楽しいのではないかと。
今まで、横の繋がりの弱かった工房ががらっと変わったそうです。」
「私にとっては当たり前の事なんだけどな、そうそう料理を考える時は手に入る材料を基準に考えていると思うけど、欲しい食材を農業チームと相談しても良いのよ。」
「あっ、そうか、みんなで協力してって…、ここの環境に合った作物、特産品になりそうな物もみんなで相談して行けば良いのですね。」
「ええ、それを使ったオリジナルクッキーとかね。」
「まずは、お菓子作りチームで話し合ってみて、それから提案してみます、えっと、こんな提案は誰にすれば良いのですか?」
「そうね、まずは村長かしら、反応が弱かったら農業チームに直接でも良いわよ、その結果報告は私へお願いね。」
「はい、分かりました。」
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