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82-逃げ場所 [岩崎雄太-09]

福祉村で初めに建てられた施設は社会からの逃げ場所となっている。
就職しずらい経歴を持つ者は生きていくために犯罪を考える様に。
貧困にあえぐ人々。
しつこいストーカーに狙われ命の危険さえ感じて生きている人。
そんな人達が生活費の心配なく暮らせる施設。

「ここでの生活は如何ですか?」
「はい、穏やかに暮らせています、これを見て下さい、初期メンバーがここへ来たばかり頃の写真です、こちらが先週の写真。」
「皆さん表情が柔らかくなったのですね。」
「最初は、こんな田舎でという不安が大きかったですが、衣食住に困らない生活の中で仕事を始めて、仲間も出来、今は、住めば都という言葉を嚙みしめていますよ。」
「それでも都会へ帰りたがってる人はいるのでしょう?」
「ええ、います、でも金を貯めてからの事で、今は真面目に働いています。」
「そうするとアルバイトのままですか?」
「まだ株式会社岩崎の採用条件に届いてない連中です、慣れたら気が変わるかもしれません。
私は正社員にして頂けたので、再婚して施設の子の里親に成れないかと相談しています。
子育てをするのに充分な給料を頂いていますから。」
「有難う御座います、ほんとは小さな子達も養子にして行きたいのですが、大勢養育すると養護施設と同じになってしまいますので施設の支援をしています、より多くの大人が係わって下さると子ども達にとってプラスになると考えています。」
「はい、ここへ来る前の環境で、いじめられていた子ばかりです、それを知って職業訓練の子達も積極的に面倒を見てくれますし、我々もみんな自分達の子だと考えて接する様にしています。
田舎暮らしになったけど生活環境はよくなったみたいで、子ども達は喜んでいます。
高校生も諦めていた進学の夢が叶うかもしれないと嬉しそうでした。」
「大学を卒業して就職後も見守って行くシステムを考えています。
高校生は通信教育ですが、みんな挫折せずに単位を取得出来そうですか?」
「はい、小さな高校みたいな感じで、課題に取り組む時は、机を並べて教え合いながらやってます、私達も交代で指導に当たっていますが、三人は国公立を狙える力が充分に有ります。」
「国公立がだめだったら、岩崎学園大学でも構わないかしら。」
「第一希望にしたいと話してる子もいますよ、かなり難しいみたいですが。」
「特別枠を作る予定が有ります、条件は現在検討中ですが一般入試よりは楽になります、その代わり特別な課題をこなす事が必要になります。」
「課題ですか。」
「ええ、入試の為に使う時間を、入学後の学習、一般入試で入って来る子との差を埋めるべく予習に充てたり、ボランティア活動に参加して貰ったり、特別合宿に参加とか考えています。
目的は人としての成長です。」
「持っているハンディを軽減させると。」
「はい、希望が有れば私どもの養子として迎えますし、そうでなくてもグループ企業の社員やその家族同様に守って行きます。
何か問題が起きた時、ここの養護施設出身者はこの村の事務局が親代わりをします、岩崎学園大学に入学した人は大学が親代わり、グループ企業に就職したらその会社が親代わり、複数の親代わりを持った人は、その時の都合で頼る先を選べば良いと考えています。」
「手厚く支援して下さるという事ですか?」
「はい。」
「人生を転落していく前に頼れということですね。」
「訓練校でも養護施設でも、犯罪させない教育に力を入れて貰ってます、更に逃げ場を示して守って行きたいのです。」
「そうですね、私もここに逃げて来て、やっと人間らしく生活出来る様になったと思います。
ここを巣立って行く若者が自分の故郷だと思ってくれたら、逃場としてだけでなく、良い思い出の場所としてくれたら嬉しいのですが。」
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