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53-仲間 [岩崎雄太-06]

学生村に建物が増えた頃、遠方で就職した設立初期のメンバーが訪ねて来た。

「今日は。」
「おお、いらっしゃい、ほんとに久しぶりだね、仕事はうまく行ってる?」
「はい、生まれ故郷の株式会社岩崎と同じグループ企業で働いています、遠く離れていても先輩と仲間のままですよ。」
「そうか、君が来ていた頃のメンバーの多くは結婚して三つ目の林業チーム設立に合わせて岐阜県へ移動したんだ、君が来てくれた事は伝えておくよ。」
「大丈夫です、向こうの先輩にもメール入れて有りますから、この後、株式会社岩崎関連の土地を回る予定なんです、時間に余裕が有りますから向こうの現場まででも押しかけるつもりなんです。」
「それなら君の兄貴分達も喜ぶだろう。」
「はい、向こうは向こうでまた違った展開をしているのですね。」
「まあそうだけど、林業チームのする事はどこでも変わらないさ、もっともここは新人教育と婚活という役目も担ってるけどな。」
「河合さんは結婚の方どうなんです?」
「はは、ようやく婚約までこぎつけたよ、村長になると頼もしく思われるのか、すぐに相手が見つかるというのが学生村のジンクスになって来てね、俺がジンクスを破ってしまったらどうしようと考えていたのだがなんとかなった。」
「それはおめでとう御座います、結婚後はどうされるのですか?」
「村長を独身最年長者に引き継いで、岩崎村へ戻るか四つ目の林業チーム設立に係わるかといった所さ。
安定の岩崎村か挑戦の新チームか、まだ若いつもりだから挑戦したい気持ちは有るけどね。」
「開拓者魂を失っていないのですね、さすが河合さんです。」
「はは、当たり前だろ、君達が開拓した学生集落も随分変わったぞ。」
「ええ、進行状況はネットで見てきました、実際にログハウスがどんな形になってるか楽しみです、畑も。」
「君の後輩達も頑張ってるよ、学生の中には周辺調査の拠点として滞在する人もいてね、休日は宿泊スペースに合わせて調整をしてるけど、平日でも常に何人か来ている、はは、村って言うと年寄りのイメージが有ったけど、この村には独身の若者しかいない、しばらくは結婚したら移動という形が続いて来たからね。」
「この先もその状態が続くのですか?」
「いや、一つの集落跡を家族向け住宅にすべく開発中だよ、そこには社員だけでなく近くの研究施設の職員や大学関係者も住む方向で調整を進めている、ここの農地は大学の農学部に貸してるからな。」
「おお、まさに学生村ですね。
僕らが初めて来た時は廃村で誰も住んでなかったのが、こんなに綺麗になって、周りの森もすっきりして見違えました、嬉しいです。」
「逆に、廃村になるまでここで暮らしてた人達は悲しい思いをしたのだろうな。」
「そうでしょうね…、おっと、お忙しい所、長話をしてしまってすいません、村を一通り見学させて頂いてよろしいですか?」
「ああ、これが今の案内図だよ、何なら案内を付けようか?」
「大丈夫です、ゆっくり、じっくり村を味わって来ます。」
「はは、暗くなるまでには戻って来いよ。」
「はい。」
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