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47-心理 [岩崎雄太-05]

雄太は三十代半ばで父の会社、グループ企業の中核をなす総合商社の社長の座を引き継いだ。
とは言っても、それまでの改革は親子でやって来た事、祖父が引退し父が会長になり対外的立場が若干変わったに過ぎない。
この十年で企業グループは随分大きくなった。
雄太達がまず取り組んだのは子会社の廃止など組織改革、合併や分社化によって各企業を適正なサイズにした、それによって状況変化に素早く対応出来る体制とした。
子会社の廃止にはイメージの問題も有った、親会社、子会社というと社員の立場に上下関係の意識が伴い兼ねない。
どのグループ会社の社員も基本的に平等、但し働きに応じてボーナスに差は出来る、といういう意識の徹底によりグループ企業全体の結束を高めた。
この過程で幾つかの下請け企業を吸収合併したが、その段階で新たに社員となった人達の給料も、グループ全体の水準にすぐ合わせた、新たにグループ会社の社員になった人達は、当然の様にそれに見合った働きをしようとする。
そんな改革と並行して行われて来たのが、過疎地の再生、地方の再生。
自分の所属する会社が社会貢献として行っている事が毎週テレビで放送される。
それは社員にとっても誇らしい事だ。
自分の属する集団が誇れるものか否かは小さい事ではない。
各企業が株式会社岩崎から積極的に木材や木工製品を仕入れる事に繋がり、過疎化を食い止める資金源となった。
そんな状況下でも、雄太は月に何度か岩崎学園大学へ出向き経営学部生達との時間持っている。

「すごく大変な改革を岩崎理事が先頭に立って成果を上げて来られた訳ですけど、そのポイントはどこに有るのですか?」
「逆に聞くが、君達はどう思う?」
「やはり資金力だと思います、半端な投資ではなく思い切った投資有ればこそです。」
「ふふ、一年生はまだまだ勉強不足ね、会社が十年間何をして来たか追って行けば答えはすぐ分かるわよ、岩崎理事にお伺いするまでもなくね。
あなたに莫大な資金が有ったとしても、それを減らすだけで終わりそうだわ。」
「自分が今まで調べて来て思ったのは、人がどう思うか…、岩崎理事は人の心理を常に考えて来られたと思います、消費者の心理、社員の心理、皆が会社にとってプラスになる思考をしてくれる様に方向づけをして来られた、その結果では有りませんか。」
「良かった、まともな後輩がいてくれて。」
「はは、まともな後輩くんは恵梨香くんのチームに入れて貰ってはどうかな、彼女はその心理戦を実践して成果を上げつつ有るからね。」
「お願いします!」
「良いけど甘くはないわよ、一年生は時間的な余裕がないと言って泣いても知らないから。」
「でも先輩はコンサルタント会社を在学中に立ち上げた伝説の先輩が、新たな伝説の始まりだと評価されてる方なのですよね、学生ながらすでに社員としても成果を上げておられると聞いています。」
「その通りさ、伝説を作ってく連中はひたすら人の心理と向き合って行く作業をしている。
時には狡猾なまでにね、気が付いたら恵梨香くんにすべてコントロールされてるかもしれないぞ。」
「え~、岩崎理事に言われたく有りませんわ、ふふ、理事は君達の事何もかもお見通しなのよ~。」
「え~!」
「まあ、冗談はこれぐらいにして、恵梨香くん、今回再生に取り組む企業の概要をみんなに説明してくれるかな。」
「はい、小さいながらも伝統工芸を扱っている会社で…。」
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