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30-隣村 [岩崎雄太-03]

岩崎村の整備と並行して隣村も建物を増やしつつ有る。
ただ同然で手に入れた土地には各種機械の整備工場や倉庫などが建てられた。
観光客の目に触れさせたく物はこの村にという事だ。
新しい建物は村から廃れた雰囲気をなくした。
そして村では、都会から実家に戻り株式会社岩崎に入社する者や社員とお見合い結婚する者も。
独身の社員はほとんどがこの村で暮らしている。
岩崎村に建てた独身寮は宿泊客向けに変更したためだが、それは社員の意思による所。
彼等はインターンシップや農村体験でやって来る学生と共に、村人と交流する事が自分達の役割だと考えている。

「町へ出たついでに買って来た酒だがどうじゃ?」
「美味しいですね、何時も有難う御座います、ご自身はあまりお飲みにならないのに。」
「はは、気にするな、遠くの親戚より近くの他人、金は墓まで持って行けんからな。
それよりな、久しぶりに蔵の整理をしとったら太鼓が出てきてな。」
「太鼓ですか。」
「昔、祭りの時に使ってた奴じゃよ。」
「そうか、俺達はイベントとして祭りをやってるけど、昔ながらのお祭りが有るのですね、次は何時なんです?」
「年寄りばかりになっちまって、今はやっとらんよ。」
「残念です、私達の岩崎村は伝統がないから…。」
「源蔵さん、俺達で復活させるのって有りですか?」
「そりゃあまあ…、だが、伝統は作ればええじゃろ、昔のを土台にしても良いが…、娯楽の少なかった頃は祭りが男と女の出会いの場だった、儂も婆さんの踊る姿に惚れてな。」
「おお~。」
「毎月やってるイベントも楽しいけど、一歩踏み込んで伝統芸能を作るって面白そうだわ。」
「そうだな…、この地を治めている殿さま、岩崎雄太に感謝の気持ちを伝える形で始まりましたとか。」
「何年続けば伝統芸能になるんだろう?」
「細かい事は気にしないの、細かい事気にしてると大物にはなれないわよ。」
「いえ、小者で充分です。」
「とりあえず、伝統芸能っぽいのを考えてみるか?」
「そうね、源蔵さん、参考になる物有りますか?」
「ああ、明日にでも蔵を見せてやろう。」
「うおっ、お宝発見となるのか!」
「うちに大した物はないぞ。」
「それでも楽しそうです、明日は仕事も休みなので集合は何時にします?」
「十一時だな、共同菜園の作業が有るのだろが、昼飯は焼肉でどうじゃ?」
「はい、掃除に草むしり何でもやります!」
「じゃあそっちは健ちゃんに任せて私達はお祭りの計画を立てましょう。」
「え~!」
「心配するな、俺が手伝ってやるよ、五分くらい。」
「せめて三十分…。」

翌日は、草むしりや掃除を皆で協力して終わらせ、蔵を見せて貰って、お祭りの相談となった。
移住して来た連中は確実に村人となりつつ有る。
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