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11-愛華 [岩崎雄太-02]

しばらくして、新会社設立準備室は愛華をリーダーに十名となった。
メンバーは主に雄太の父親関連企業からの出向、それぞれが自分の役目を終えたら元の職場に戻る予定。
社名は株式会社岩崎、これには岩崎家の三代が責任を持つという気持ちが込められている。
本社は大鹿が手に入れてくれた隣村の一軒家。
一度現地を見ておきたいという準備室メンバーが友人を誘って訪問、綺麗にしてくれた。
だが実際に本社が機能し始めるのはまだ先の事。
準備室のメンバーは都会のビルで作業している。

「愛華、一次面接合格者の現地見学、費用はどうする、社長からは全額こちらで持っても良いと言われてるけど、入社する気の無い人が旅行気分で応募して来たら気分悪いわよ。」
「一次面接は慎重にやるけど…、そうね旅費は自己負担、但し採用させて頂いた方には後でお返しするというのも有りじゃないかしら、本気の人は気にしないと思うわ。
経済的問題の有る方は本気度を見て、その場でお返ししても良いわね。」
「そうね、その方向でまとめてみるわ。」

「愛華、役場に紹介して貰った林業関係の団体は、かなり力になってくれそうだよ、社員候補も紹介して貰えるかもしれない。
その関連で林業に携わってる会社を幾つか調べたけど、社長が考えておられる給与水準なら問題なさそうだね。」
「そうすると、団体の方とは社長との席を設けた方が良いのかしら。」
「出来ればね、オペレーターの研修に協力して頂けるし、会社を大きくして行く過程で力になって下さると思っている。」
「スケジュールを調整させて頂く方向で社長にお願いしておくわ、団体のデータは頂けますか?」
「ああ、林業系のスタッフ向けにまとめておくよ。」

「愛華、このプロジェクトの噂を聞いた知人が大工として雇って貰えないかと言って来たのだがどうだろう。」
「人物的には?」
「特に親しい訳でもないから、面接で見極めるしかないが。」
「では一次面接の日程を決めて下さい、準備室メンバーで対応します、本気の人なら隣村の住宅補修計画を作って頂きたいですね。」
「了解、住宅の確保は優先順位が高いから急ぐよ。」
「先々の事ですが、ご近所の住居補修を請け負う事も視野に入れて下さい、近くに工務店がないので遠くから来て貰っているそうです。」
「だろうな、建築部門は自社の建築物中心と考えていたけど、その視点も持っておく。」

「愛華、現状だと女性の応募が期待できないと思わない、華のない村だから。」
「華か…、商品として花ってどうかしら、温室を作っても良いし、ほら憧れの職業に花屋さんって有るでしょ。」
「う~ん、売るのと作るのとでは違うと思うけど、村のイメージ的には良いわね、愛華、調べてみるわね。」
「お願いします。」

「愛華、土地の方は現時点で大鹿さんが手に入れて下さったものも含めすべて新会社の所有という事に出来そうよ。」
「新会社は面積だけなら大地主になった訳ね、手続きの方は大変だったのでしょ、専門家に任せれば簡単なのに。」
「その分費用が嵩むわよ、でも実際にやってみたらそれ程大変でも無かったし、書類に不備が有ったら提出先の担当者が教えてくれるの、資金が無限に有る訳じゃないから、節約出来る所は節約しなきゃね。」
「さすが明香だ、今後も手放したい人の土地を引き受けて行くのよね。」
「村から車で一時間半ぐらいまでの範囲なら無条件かな。」
「新会社の任務は固定資産税を払う事なのかしら。」
「それだけでも社会に貢献してるって事でしょ。」
「そうね。」
「愛華の方はどうなの? リーダーとして。」
「メンバー全員年上という環境にも慣れて来たかな、始めは半端なくプレッシャーだったけど、皆さん気を使って下さってね。」
「問題はない?」
「色々有るけど、一つずつ皆で解決して行くしかないのよ、ただドキュメンタリー番組の撮影はね…、立場上出番が多そうでさ。」
「愛華の美貌を生かすチャンスじゃない、応募者が増えるわよ、愛華目当てで不便な田舎の会社に採用される、そして彼氏の存在を知り一同落胆、なんて構図、面白くない?」
「面白くない! 明香は良いわよ、もうすぐ婚約発表なんでしょ、祐樹は、はっきりしてくれなくてさ、ねえ、社長の愛人とかにして貰えないかな。」
「絶対だめ!」
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