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97-箱舟 [キング-10]

私達が暮らしている和の国、巨大コロニーの地下に相当する部分が巨大な倉庫になっていたを知ったのは最近の事だ、まさにノアの箱舟。
そこには、様々な生物が特殊な形で保存されていた。
もちろん植物の種子も。
これらを復活させていくのは簡単ではない、数が限られているからだ。
保存数が少ない動物は、一旦蘇らせたものが死んでしまったらその種は途絶えてしまう、雌雄を上手に育て繁殖させねばならない、近親交配の悪影響も心配だ。
植物も比較的余裕が有るとはいえ失敗を繰り返したら種子はなくなってしまう。
マリアのテクノロジーなら遺伝子一つから再生出来そうなものだが、その様な考えはなさそうだ。
だが子ども達は分担して生態系をゆったり構築しようとしている。

「ねえ、愛、僕達の実験場でも牧草中心に植物が増えて来てるから、そろそろ蝶とか昆虫もどうかな?」
「そうね、種類によって餌が違ったりするしバランスが難しいけど、和の国で飼ってるのから試してみましょうか…、まずはキャベツが自生出来るか試しながらモンシロチョウでどう、翔。」
「う~ん、じゃあキャベツが全滅する前に鶏二羽かな、鶏の餌になる植物も増やして。」
「野生の鶏が増えたら狐かしら、随分先の事になるとは思うけど。」
「狐の天敵は人間だね、新しい町から惑星の反対側まで勢力を広げるにはすごく時間が掛かると思うな。」
「そうね、でも植物を全滅させない程度に草食動物を増やすと考えると難しいのよね、小動物は繁殖力が強いから。」
「牧草地が随分広がってるから、いっそ牛を放そうか、糞が土に良い影響を与えてくれるだろ。」
「いずれは、大型の草食動物も蘇らせたいものね、この惑星でなくても、野生の牛がどう成長して行くのかは楽しみだわ。」
「バッタとカマキリはどう、バッタが増え過ぎる可能性は有るけど、鶏が食べてくれないかな。」
「鶏以外の鳥はどう?」
「今試せるのはスズメとインコぐらい、二つがいずつなら、モンシロチョウとバッタが有る程度増えた時点で試して良いと思う、まだ大きな木はないけど天敵もいないから大丈夫だろう、他の実験場とも調整が必要かな、愛、報告は受けてる?」
「ええ、赤道付近は植物がすごい勢いで生長、短期間でジャングルになりそうで、箱舟倉庫から草食動物を蘇らせても餌に困る事はないって。
逆に寒い地方は植物の生長が遅いから時間が掛かりそう、それでも六ケ所の実験場では、今の所大きなトラブルは起きてないわ。」
「母さんは良くバランスの話をしてくれるけど生き物のバランスも難しいよな、一つの動物が増え過ぎたら天敵投下なんだけど、その天敵が増え過ぎたらとかね。」
「そうね、今はこの殺風景な大地を緑に変えてく事が優先だけど、和の国の様に綺麗な状態にしたいわ。」
「だよな、海の方はどう?」
「まず、一つの湾を植物プランクトンが増え易い環境にしてみた、この後は和の国の海から色々移して行く、ちっちゃい子達が海藻や蟹とか貝とか集めてくれてるからね。」
「そっちは失敗してもダメージが少ないか。」
「ええ、例えすぐ死んでしまっても微生物が分解してくれる、和の国の、ほんとはそれほどでもないのに、すごく広く見える海には沢山の生物がいるから。」
「箱舟倉庫からは?」
「大小十六有るメインコロニー全部の箱舟倉庫リストから、比較的楽そうなのをピックアップ中。
たぶんマリアさまの事だからコロニー毎で遺伝的に違う個体を保存してると思うわ。」
「なおさら失敗したくないね。」
「まずは和の国に動植物園を作って管理しようと思うの、様子を見ながら惑星へ下せば良いでしょ。」
「世話が大変じゃないのか?」
「多いと大変だから少しづつね、でもちっちゃい弟達が手伝ってくれるわ。」
「そうか、しばらくは猛獣を飼う事もないだろうからな。」
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