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30-過去 [キング-03]

一時間後に新たなゲートから現れた八人は全員白い肌を持ち、髪や目の色の違いから明らかに違う人種と言える。
話し始めて驚いたのは彼等に対してではなく自分に対してと言うか…。

「あっ、キングは普通に話してるけど日本語じゃなく…。」
「普通に英語だね。」
「翻訳機いらないな。」
「セブンもか。」
「何年も使ってなかったし耳にもしなかったのに普通に理解出来る。」
「私はこの言語を学んでいた、御免、成績優秀だったみたい。」
「はは、俺もだ。」
「自分は留学してた…、ちょっとやばいな急速に記憶が…。」
「嫌な事も楽しかった事も…、おい、少しづつじゃないのか。」
「あっ!」
「キングの表情も強張っている。」
「何か説明してる様だが…、頭が。」

面会は事情を説明して短時間で切り上げさせて貰った。
理由は私の記憶が急速に戻って来た事による混乱。
近い内に再度連絡を取るという事で納得して貰った。
仲間達の表情も険しくなっている事を察してかあっさり引き上げてくれた。
激しい頭痛の中、垣間見た国民達は程度の差こそ有れ一様に苦しそう。
それは私達が体験した出来事によるのだろう。
思い出したのは…。
突然始まった戦争、何も分からない内に家族を失った。
それでも、何とか生き残った者達で協力しながら生きていた。
そこを隣人に襲われ仲間を何人も失う。
仲間を亡くした辛さ、やるせなさ。
その後も色々有って、仲間内で生き残ったのは自分だけになる。
絶望。
蘇った記憶の最後は大きな光の塊が自分目がけて飛んで来る所で終わる。
絶望の記憶に脳を支配されそうになった時、目に入ったのは子ども達の姿だった。
親達の異変に困り果て泣いている。
何者かが問う、否、何者かなんかじゃない。
私は誰だ。
その答えは蘇った記憶と共に有る、だがそれは過去の自分。
目の前で泣いている子にとっての自分はキングだ。
そう、今の現実の責任者。
明日を見る事がその役目。

「今を思い出せ! 過去に捕らわれるな! 我々には未来が有る! 子ども達が居る!」

そう叫んでいる自分がいた。
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