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27-記憶 [キング-03]

子ども達の為の学習プログラム作成に向けて国民の声を聞いた事から思わぬ話が出て来た。

「三丁目の連中からサッカーをしたいと言われた時は驚いたな。」
「ええ、スポーツの事なんて全く頭に無かったわ、言われて思い出しビックリするパターンだったわね。」
「今までの娯楽といえば海水浴と釣り、後は音楽鑑賞と歌を歌う事ぐらいだったからね、ボールさえ有れば城の芝生広場でやれる、子ども達の遊びとしても良いと思うけど。」
「ボールが問題ね、ルールも王国特別ルールにすれば良い訳だから正式なボールでなくても良いとはいえ…。」
「大人達全員に相談かな。」

大人全員に相談をしたところ、六丁目の住人が作れるかもしれないと名乗りを上げてくれた。

「なあ、俺達の知らない事を六丁目の住人二人が記憶していたという事は、他の知識も誰かの脳に有るという可能性を秘めているよな。」
「そうよね、元々六十四人はそれぞれ違った情報を持ってここに集められたかもしれない、そう考えると二人の死は私達にとって損失だったのかもしれないわね。」
「まあ、何を失ったのかすら分からないがな、残ってる記憶、蘇った記憶を出し合う作業はすべきだと思うな。」
「早急に進めたいところだ。」
「ああ、それによって分担を見直すべきかも。」

我々の意に反して、この作業には時間を要した、否、あまり成果が上がらなかったと言うのが本当の所だ。
私達の記憶は何かしらのきっかけが有って初めて蘇って来る。
きっかけがないと自分が何を知っているのかさえ分からない、それがここでの特性なのか人間本来のものなのかも分からないが。
それでも…。

「何かね、昨日音楽村メンバーの演奏を聴いてたら踊りたくなってさ。」
「踊り…、うん、そういうの有った…、でも良くは覚えていないな。」
「難しく考えなくて良い気がする、曲に合わせて体を動かす…、キングに相談してみようかな。」

食生活は安定している、だが私達はただ生きている存在では無い様だ。
音楽を愛し踊りを愛しスポーツを愛する心。
僅かながらに蘇る記憶によって、少しづつ生活が豊になって来ていると感じる。
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