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山間の町-06 [チーム桜-03]

男性の問いかけに答えたのは佐紀だ。

「そこなんです、都会暮らしの人達全員がその暮らしを楽しんでる訳ではないのです。
ただ、だからと言って彼等が田舎暮らしを出来るかというとそんな簡単な話しでもなくて…、私達の体験企画はまず過疎の問題に興味が有る方々から始まりますが、都会暮らしを楽しめてない人への選択肢として田舎暮らしを提案して行こうとは思っています。
ただ、都会生活に慣れ過ぎてしまった人にとっての田舎暮らしはハードルが高いと思っています。
まずは田舎暮らしの良さってなんだろうって、私も経験ないですから一緒に考えていけたらと思っています。」
「佐紀さんはここで暮らしてみたくないの?」
「今は…、大学も卒業してないですし、仕事も広報担当で多くの人に会わなければなりませんから…、でもって言うか…、だから、隆二が別荘の話しをしてくれた時に、有りかもって思ったのです。」
「佐紀、ネットに繋がってるパソコンが一台有ればどこででも出来る仕事ってないかな。」
「色々有るわ、サイト構築とか、原稿執筆とか。」
「そんな人から希望を募って、ここに住んで貰ってここでの体験を発信してもらうってどうだろう。
農業体験とかとは切り離しても良いし、希望が有ればそれも体験した上での発信も有りだね。
ここの広報担当という事を兼ねて貰うということで。
まあ辛くなったら交代も有りかな。」
「そうなると一人じゃ無い方が良いわね。」
「調査チーム、ウエブサイト構築バイト希望の学生にも声を掛けてみます。
学生だから常駐は無理でも春休み中だけなら喜んでやってくれると思いますよ。」
「住む所が結構必要になりますね…、そうだウエブサイトと言えば、うちの通販も充実してきているから、ここ発の通販も始めませんか。
木工品とか、特産品とか…、特産品の現在の利益率と通販にした場合の利益率の比較をして欲しいですね、横山さん一度通販部とも連絡をとって下さい。
売り上げが多くなくても、きちんと利益が出るのならやる価値は有ります、体験農場の作物も通販向きを視野に入れてもいいですね。」
「一人で色々な仕事をこなして貰えれば人件費の心配が減ります、社長その方向で進めます。」
「お願いします。」
「何か横山さんの仕事がどんどん増えてるけど大丈夫ですか?」
「稲橋さん大丈夫ですよ、さっき一つ減らす許可も頂きましたから、増えた仕事も全部自分一人でやる訳でもないですし。」
「そう言えば、新会社の社長は決まったのですか?」
「今の規模だと社長と言っても雑用係りからのスタートですから、安藤社長にお願いして私が初代社長に就任する予定です。
他で抱えてる仕事もすべて先が見えて来ましたので、それを片付けてか、最悪の場合は他の社員に引き継いで貰って、会社設立の準備をして、こちらに引っ越してと考えています。」
「大変そうですが、私は嬉しいです、お住まいの話しはまだ聞いてませんでしたが、もう決まっているのですか?」
「いいえ、良い物件有りませんか、家族は妻と幼児が三人ですが。」
「こちらにはずっと?」
「将来的な事は分かりません、軌道に乗ったら二代目に引き継ぐという選択肢も有りまして。」
「何にしても社長の住まいを確保する必要は有るな、合計で何件必要になるのか…、定住促進も見直しが必要かもしれない。」
「ええ、この地へ移住して下さる方々の受け入れ体制をもっと強化したいですね。」
「将来計画も、でもまずはチーム桜関連の受け入れ体制をきちんとしないとな。」
「横山社長、今日の話でずいぶん動きましたから、住居確保に関してもう一度話し合いましょう、当座の規模や予算とかお知らせ願えますか。」
「稲橋さん、まだ社長は早いですからね、予算等に関しては今日の話を持ち帰って関係する社員と相談して返事をさせて頂きます、自分の住まいは別で。」
「あっ横山社長、社長の住まいは当初会社の事務所も兼ねますから、別ではなく予算に組み込んで下さい。」
「社長まで…、よして下さいよ、その横山社長というのは。」
「はは、それはだめですよ自分の就任前もずいぶん言われましたから。
それより利益を上げて桜根に貢献して下さい。」
「さらにプレッシャーか…。」
「横山さんは、桜根に入社してから長いのですか?」
「いえ、桜根自体が今年の春に立ち上がったばかりですから、自分は四月一日付けで入社しました。」
「それでもう社長ですか。」
「社長と言っても名ばかりですよ、でも桜根に就職する前の会社は色々ひどかったので、妻は喜んでいます。」
「給料は増えるの?」
「これから皆で相談です。」
「はは、相談して決めるってなんか面白いね。」
「実は今でも安藤社長よりずいぶん沢山頂いているのです。」
「えっ? どういう事?」
「我が社の方針として安心して子育てが出来るだけの給料ということが有りまして、うちは子どもが三人いますので、さらに安藤社長はまだ学生で見習みたいなものだからと大卒初任給以下の給料を指示されまして。」
「それはちょっと…。」
「結構反対意見も有るんです、社長の力を考えたら安すぎるとか、対外的にも問題が有るとか。」
「だろうな。」
「大学卒業したら大幅なアップを要求しますよ我々は。」
「はは、社長の給料を上げろって要求は聞いたことないな。」
「それには、自分たちがしっかり実績を上げなければなりません、皆さんのご協力お願いします。」
「分かるよ、初め大学生が社長と聞いてお遊びかと思ったけど、今までの実績を知り、こうして直に会わせて頂いたら、横山さんは当然地元商工会とも関わって下さるんですよね。」
「はい、もちろんです。」
「安藤社長、うちの会社がチーム桜に参加するとか、桜根傘下に入るとかは可能ですか?」
「もちろんOKです、法令を順守していればですけど。」
「ホームページ見ましたけど、すでに業績が改善されつつ有るとこも少なくないですね。」
「はい、企業が集まる事によってずいぶん無駄も減ってますし、お互い助け合ったり、うちの社員が助言をしたりと、またチーム桜オリジナルグッズが売れてる事も大きいですが。
何より、チーム桜に参加する事によって社員のモチベーションが上がっている事が大きいです。」
「そうか、自分で起こした会社だから息子に継いで欲しいとは思っていたけど…。」
「その辺りの事情も、決心がついたら担当者に相談して下さい、現時点では横山が承ります。」
「そうか、横山さんも社長に就任したら忙しくなる訳ですね。」
「はい、桜根でフォローするとは言え、新会社を軌道に乗せるのは簡単では有りませんから。」
「横山さん、うちの敷地にほとんど使ってない家が有るのですけど住んで貰えませんか。」
「えっ?」
「息子が帰って来るように建てたのですが、どうも東京から帰る気はなさそうでして。」
「問題がなければ前向きに…。」
「横山さん、遠慮しなくて良いよ、こいつの息子は東京で真面目にやってるから。」
「一度、連絡を取らせて頂ければと思うのですが。」
「そうだな、その方が横山さんも安心できるだろうから、後で息子に連絡入れるよ。」
「はい。」
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