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モデル地区-10 [チーム桜-01]

八月の始め。
広田幸三と中田理子は商店街にオープンしたばかりの居酒屋に来ていた。

「おっ広田統括リーダー今日はデートですか?」
「伊藤さん、まあそんなとこですが統括リーダーは勘弁して下さいよ。
そろそろ地元の方と交代して頂きたいところなのですけど。」
「いや、地元でない人の視点は大切だって、武先輩も話してたからな。
えっと、迷惑だろうけど、ちょっとじゃまして良いかな。
「大丈夫ですよ。」
「じゃあしばらく席を変わるよ。」
伊藤は自分の席へジョッキを取りに行く。

「商店街再生プロジェクトの方向性が固まって来たから報告しておこうと思ってね。」
「どうです、順調ですか?」
「武先輩が見ててくれるからね。
メンバーは全員チーム桜の一員な訳だし。」
「この居酒屋、オープンまで早かったですよね。」
「どうせなら、酒でも飲みながらということでね。
定年退職前後の世代が中心になって金を出し合った結果さ。
ここで飲めば家まで歩いて帰れるから気楽だし。
株主なら文句も言い易いって事で、店長も大変だろうけどな。
でね、何店舗か地域密着型の店を始めようってことになったよ、どんな店にするかは検討中だけど、店員にきちんとした給料が払える状態を前提に。」
「そこが一番のネックですね。」
「だけどはずせないだろ。」
「はい。」
「それと並行して桜工房みたいな福祉系の施設やお店を増やして行きたいと考えてる。
ただの商店街じゃ、大手資本には太刀打ち出来ないからね、一つの特徴として前面に押し出して行こうとなった。」
「社会的弱者の方にも住み易い町作りが一つの柱になるということですね。」
「ああ、そこにチーム桜のオリジナルグッズショップ、学生の実習店舗と並んでいる訳だから、チーム桜、モデル地区としての恰好がつくだろ。
維持していく事も、参加者が多いから難しくない気もしている。
もう少し形が出来たら、一つの会社にまとめ上げて、桜根の傘下に入れて頂くことも目指しているよ。
生活に余力の有り過ぎる連中が資金面を支えると言ってくれてるからね。
一度、桜根の方と話したいけどどうだろう。」
「そうですね、すぐメールを入れます。」
幸三はメールを打ち始める。

「理子ちゃんは卒業後とか考えてるの?」
「はい、桜根関連で幾つか候補が有りまして。」
「俺等のが桜根傘下に入ったら、その候補に加えてくれな。」
「はい、もちろんです。」
「幸三をうちらの社長にってどうかな?」
「そんなこと出来ますか?」
「定年退職組以外は会社務めしてるからね、若者が社長の方が面白そうだし。」
「父は中田工業の社長にって狙ってますが…。」
「はは、いずれにせよ理子ちゃんは社長夫人候補って事か。」
「そんな…。」

メール送信を終えた幸三。

「あれっ理子顔が赤いけど、そんなに飲んだっけ?」
「はは、おじゃましました。」
「伊藤さん返事が来たら知らせますからね。」
「おう。」

「幸三くん、モデル地区も思わぬ成果が出て来たね。」
「ああ、スタート時には考えもしてなかった展開になってきたよな。」
「幸三くんも社長になるの?」
「俺は、そんな器じゃないさ、佐々木代表や隆二を見てるからね。」
「でも、小規模で、隆二さんの下とかだったら。」
「まだまだ勉強中だよ、いずれそう成れる様にがんばるかな。」
「期待してます。」
「えっ?」
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