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架空サークル-23 [動植物園再生-03]

市職員、永田の話しは、事務的なもので終わった。
その話しにそってサークル発足式の役割分担が決められた。
式そのものは形式的なものだから、特に大きな問題もなく会議の終わりとなる。
が、永田が再度登壇し話し始めた。

「もうここにいる皆は分かっていると思うけど、このサークルを多くの方々が支えていこうと考えています。
市長を始め、我々市の職員、公園の職員、ガイドボランティア、大学の教授陣、佐々木君が話してくれた通り、単なる大学生のサークルじゃないということを肝に命じて下さい。
服装も態度も、外見なんて関係ないと思う人もいるかもしれませんが、全く知らない人を判断する時、まず外見からとなりませんか。
まだ実績のないサークルに熱い視線が注がれていると思って下さい。
私自身大きな期待というか、どきどきしながら働いています。
変な形で評価を下げることだけは避けて欲しいと思っていますのでよろしくお願いします。」

永田の話しは学生達の心を引き締めるのに充分すぎるものだった。

会議終了後。

「やっぱスーツだよな。」
「う~ん、リクルート用か礼服か…。」
「あ~、自分まだそういったの持ってないです。」
「そっか、西山はもうちょい先だな、でもいずれ必要になってくるからご両親とも相談したらどうだ。」
「そうですね。」
「わ~、めっちゃフォーマルな場なんですよね~、どうしよう。」
「あまり、華美にならないように、学生らしくだな。」
「高校生だったら制服で済ませたのにな。」
「間違ってもコスプレはだめだぞ。」
「入学式の時のにしようかな。」
「はは、小学校のか?」
「え~、馬鹿なこと言わないでよ、市長とかも来るんでしょ。」
「じゃあ、小学校卒業式のでよくね?」
「ちょっと~、さっきからひどい、身長はコンプレックス…、あ~ん佐々木先輩、この人いじめるんです~。」
「はは、永田さんは場にそぐわない恰好をしてくれるなって言いたかったのだと思うよ。
皆もこの為に大きな出費はして欲しくないけど、この先の就職とか考えて欲しいかもな。
でも、それより中身が大切だよ、企画書の提出頼む、俺の方でもフォローするつもりで作業を進めてるけど、皆の企画書が貧弱だと…、そうだな、自分が就職して任された仕事が自分の企画だと考えて欲しいかな。」
「うっ、手が抜けないってことか。」
「真面目に働く気があったらな。」
「もう帰って良いんですよね?」
「ああ。」
「俺、帰って仕上げます、佐々木先輩出来上がったら送ります、問題があったら指摘してもらえますか?」
「もちろん…、だけど同学年だから先輩じゃ…。」
「いえ、先輩と呼ばせて下さい、では失礼します。」
「おいおい、普通にいこうよ…。」

「はは、じゃあ自分は佐々木大先輩って呼ばなきゃ、でも大川先輩のプロジェクトってなんでしたっけ?」
「西山、大川が取り組んでいることはレベルが高いんだ。
分類学的見地からのデータベース構築、基礎を動植物において、細菌とかまで視野に入れつつ、まずは動植物園で展示されているものから整理して…、例えば植物のネームプレート、ほら、この木はネコヤナギとか示しているのが有るだろ。
そのプレートに分類番号とかQRコードとか付けて調べやすく出来ないかって、一般向けと研究者向けとか考えてるし、分類学の究極ってどう思うって真顔で話してくれた、本人も自分の生きている内に完成することはないだろうって言いつつな。」
「えっ。」

絶句したのは西山だけではない。
まあ、佐々木の話しの意味を全員が理解出来た訳ではないが、理解出来た者達は…。

「やべっ、俺自分の取り組み結構、でかいと思ってたけど…。」
「大川先輩って、外見は…。」
「私は古くなったプレートの更新とか提案しょうと…。」
「その彼が仕上げ?」
「そっか、ステップを考えてるんだ。」
「あっ、一歩ずつってことか。」
「負けてられないな。」
「ああ。」
「俺も帰って仕上げよ。」
「私も、へへ、内容はささやかだけどね。」

刺激を受け合いながら成長していく、このサークルの目標の一つは確実に学生たちの心に宿りつつあった。


花ワールド-hirata
ぷちぎふと工房 コンサルジュ
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