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権じい学園にて-4 [権じいの村-SPO-01]

七月になって。
子ども達も村での生活にずいぶん馴れてきた。
馴れてくると色々はめを外す余裕も出て来る。
親に内緒で夜の冒険に出かけ、後で親にこっぴどく怒られた子、池に落ちてずぶ濡れになった子もいる。
都会では味わえない体験は、また危険とも隣り合わせで大人たちの心配は尽きない。

「洋二、ルールはあまり増やしたくないけど、夏休みに向けて安全の為のルールはちゃんとしておいた方がいいかもな。」

生徒会長、佐伯洋二に声を掛けたのは、高三の池上峻。

「うん、峻兄、安雄たちが黙って夜の冒険に出かけたり、良夫が池に落っこちたりと大人たちに心配を掛けるようなことが続いたからね。」
「俺としてはさ、先生方から話しが来る前に自分達できちんとしておきたいと思うんだ。」
「うん。」
「冒険も、水遊びもどんどんやったら良いと思うけど事故は起して欲しくないからな。」
「やっぱり、何々しちゃだめ! ってなことを決める?」
「それじゃ、権じい学園じゃなくなっちゃうから…。
まずは皆で話し合ってみるか?」
「じゃあ明日のフリーミーティングのテーマにするね。」
「ああ。」

翌日のフリーミーティング。
権じいの下に三十名程が集まる。
権じいが作る木陰に初夏の日差しを和らげてもらいながら話し合いが始まる。

「今日のテーマは遊びと安全ということなんだけど。」
「洋ちゃんごめん…。
ぼくら、ちょっと…。」
「? 安雄、気にするなよ、お前らを責める訳じゃないから、ね、峻兄。」
「ああ、安雄、夜の森はどうだった? どきどき?」
「うん、そりゃもう、どきどき。
健二なんかびびって泣きそうになって、帰ろうって言い出したけど…。
でもさ、空を見上げたら星が一杯でさ、蛍も見つけたし。
ヒメホタルかな、幼虫が道端でぼんやりと光ってたりさ…。
でも、黙って出かけたから、後で母さんたちから、ずいぶん怒られちゃった。」
「はは、俺はさ、冒険すべし、だと思うんだ。
せっかくこんな自然豊かなとこで暮らしてるのにさ、冒険しなかったらもったいないと思うよ。
でも、もう理解してると思うけど、森には危険も付き物ということだな。」
「うん、光男が途中でころんじゃって泣きだしてさ、あいつまだちっこいから連れて行きたくなかったけど、連れてけってしつこかったから。」
「安雄はちゃんと光男の面倒もみたのか?」
「仕方ないからおんぶして帰ってきた。」
「ちゃんとリーダーの役目を果たしたということだな。」
「へへ。」
「まあ、冒険はすべしなんだけど、やっぱり自分勝手にやって事故を起したら大問題だということは、ここに居る皆はもう解っていると思う。
でも、これから先も、この大切なことを忘れて冒険に出かけようとする子が出て来るかもしれない。
その時、事故が起きない様にということを今日話し合っておきたいと思うんだ。」

「峻、まずは山での危険について皆がもっと理解することも必要じゃないかしら。
私達ここに移り住んでまだ四ヶ月程度でしょ。
少しは馴れてきたけど、まだまだ…、そうね…、本当の住人にはなりきれてない気もするから。」
「うん、確かに翔子の言う通りだ、四月に一通りの安全点検はしたつもりだったけど、それはここでの暮らしを良く知らない段階でのものだったかもな。」
「峻兄、じゃあ皆で安全について見直す会を開く?」

「なあ。」
「あっ、啓吾兄ちゃん、なに?」
「全校生徒で冒険…っていうか、村内探検をやらないか?」
「えっ?」
「ふふ、安雄たちにも案内してもらったりしてさ、実際に危険な所も皆で確認しながらさ。
色々なグループに分かれて村中を、そうだな今まで皆が足を踏み入れたことのないとこへも行ってみて…、まあ調査だな。
大きいっ子ルールは定着してきてるから、調査結果を共有していけばずいぶん違うと思うし…、皆がこの村のことをもっと知ることにもなるし。」
「あっ、それ良いかも。
やろうやろう、企画は俺が進めるよ。」
「はは、高志はイベント好きだな。」

「そうだよな、大きいっ子ルール、大きい子が小さい子の面倒を見る。
今思うと、当たり前のことなんだけど、前の学校ではそんな雰囲気あまりなかった。
何かここでは自然に根付いたな。」
「はは、家では末っ子でも、学校では兄ちゃん姉ちゃんになれるって大切なことだからな。
家では経験できないことを、集団の中で経験できることは大きいと思うよ。」
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すぅ〜ちん♪

あけましておめでとうございます♪
いつも読み入ってしまい、nice!のみですが^^;
今年も楽しみにしています☆
by すぅ〜ちん♪ (2010-01-01 18:42) 

おにい

ありがとうございます。
書きたいことは沢山有るのに、余裕がなくてなかなか書けませんが、少しずつ書いていけたらと思っています。
by おにい (2010-01-02 17:28) 

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