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それぞれの夏-2 [権じいの村-7]

「おしのさんよ、あの二人どうなんじゃろな?」
「う~ん、孝雄には男ならアタックせなあかん、とは言っといたんじゃが…。」
「結婚したら、結局ここから出て行ってしまうかもしれんぞ。」
「それでもええわ、孝雄が幸せになってくれりゃな。」
「はは、そんなこと心にもないんじゃろ。」
「…、養子にして、この家も畑も全部、やりたいわい。」
「はは、この村に若い衆が大勢来るようになったけどな…。」
「孝雄はその中でも特別じゃ。
この村の本当の住人になりたいって。」
「本当の住人かの…。」
「初めはこんなとこには住めないと思ったそうじゃ。」
「じゃろうな。」
「でもな、この前、話してくれたんじゃよ。」
「ふむ。」
「都会から逃げるような気持ちでここで暮らしたいと思ったけど、今は違うんだそうじゃ。」
「農村体験で来て、移住を考えてもやっぱり都会を選ぶ子たちも多いんじゃろ。」
「ああ、でも孝雄はもう逃げないって。」
「やっぱ、琴乃ちゃんの力かの。」
「はは、どうじゃろな、でも、大学関係の仕事が休みの日でも、道端の整備とか本当の住人になるためって言いながらやっておるぞ、孝雄は。」
「かなり本気なんじゃな。」
「真面目な子だ。」

「な、大学生たちが来る様になってから、ここもずいぶん良くなったと思うがの。」
「そうじゃな、うるさくなったってこぼしてのもおるがの。」
「でも、バスで診療所まで行けるようになったし、香織ちゃんのお店ができたり。」
「ほんと、思いもせんかった変わりようじゃ。」
「わしらも、お世話になるばかりでなく何かできんじゃろかな。」
「うむ、婦人会の若手とも相談してみるか…、若手と言ってもほとんどが五十を越しちまったがな。」
「はは。」
「もっと、慶次さんたちのお役に立てんかのぉ…。」
「あ~、お菊さんのタイプは慶次さんかえ。」
「ファンじゃよ。」



( cacharel )
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