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権じいの店-10 [権じいの村-6]

「いらっしゃ~い。」
「こんにちは、あの、私、町田絵里っていいます。」
「はい。」
「あの~、西川さん、私、しばらくここで働かせていただけませんか?」
「えっ? まぁ二号店のこともあって人手は欲しいから問題ないけど…。」
「自分の卒論でここのことも書きたいんです。」
「ああ、そういうことか。」
「コンビニでバイトしたこともあって…、コンビニと権じいの店との比較を中心に、他の村の商店も調べるつもりですけど。
村における商店の重要性、その役割とかも掘り下げてみたくて。
コンビニも客として行くのと、そこで働くのとではずいぶんイメージが違いましたから、できれば実際に働いてみたいと思ったのです。」
「そうか…、通いになるの?」
「いえ、農作業体験で親しくなった、芳江ばあちゃんの所から、もう、ばあちゃんの孫みたく同居させていただいてます。」
「はは、しっかりしてるな。
でも大学の方は大丈夫なの?」
「真面目に単位取ってきましたから、後は卒論だけで大丈夫なんです。
先生へはメールで報告できますから。」
「なるほどな、なら香織ちゃんの手伝いを中心にやってもらおうかな。」
「はい、よろしくお願いします。」

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「香織さん、住民の健康にまで気を使って、権じいの店は普通の店じゃないのですね。」
「そうね、でも…、私がちっちゃい頃あった店もね、ここで暮らす人たちの一つの拠り所になってたそうなのよ。」
「え?」
「普通に商売してたと思うのだけど、買い物に来た人のことをずいぶん気遣っていらしたって。」
「あっ、人間関係が今とは…。」
「子どもの頃ね、その店にお使いに行くとさ、店のおじいちゃんがお駄賃だよって飴をくれたの。
もう子どもが少なかったこともあったのかしら、とても嬉しそうにね。
おじいちゃんが亡くなってお店もなくなっちゃけど、今でもよく思いだすのよ。」
「はい、ただ商品を売っていただけではなかったのですね。」
「ええそうなの。
最近良く思うのはね、権じいの店を、ここで暮らす人たちの心の拠り所にできないかなってこと…。」
「ふふ、もう充分村の方々の拠り所になってると思いますよ。」




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