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権じいの店-4 [権じいの村-6]

「おい雑誌とかないのか、ここ。」
「はは、コンビニじゃないぞ、そんなもんここでは必要ないだろ。」
「でも夜とかさ、まぁ一日だけだけどな。」
「せっかく日常とは違うところへ来たのだから、都会の生活を捨てて農村の生活を感じて欲しいって、俺はその言葉にぐっときたけどな。」

「あっ、みやげ物がある。」
「うん、でもこっちは未完成か…、おじさ~ん、これって?」
「はいよ、ああ、それは…、君たちは来たばかりかい?」
「はい、林業体験で、十日ほどの通いですけど。」
「ここでの泊まりは?」
「終わり頃に一回です。」
「じゃあ、その頃に覚えていたら、またおいで。」
「えっ? 今は買えないんですか?」
「ああ、ここは観光地じゃないからね。
商品名は見てくれたかな。」
「え~っと、権じいの村の想い出…。」
「この村に何の思いもない人には売れないんだよ。」
「このプレートにかっこいい言葉を書いて彼女へのプレゼントと思ったんですけど…。」
「それはいいな、でも、この村のことを知って考えてから書いて欲しいかな。」
「は、はい。」

「何か納得いかね~。」
「うん、でもま、時間あるし。」

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「俺は二度とこんなとこ来ないぞ。」
「はは、そうなんだ、確かに体験実習は楽じゃなかったな。」
「お前は平気なのか?」
「ああ、ある程度予想してたからね、そうだ店に行ってこよう。
どうする?」
「まぁ暇だから行くよ。」

「こんにちは~。」
「いらっしゃい。」
「え~っと、権じいの村の想い出、だったかな、買いにきました。」
「どうだった、大変だったろ。」
「はい、こいつなんか二度と来ないそうです。」
「はは、そうか、それでいい。」
「えっ。」
「林業の大変さを身を持って味わえた訳だろ。
そのことを心に残しておいてくれれば良いんだよ。
権じいの村プロジェクトの一つの目的でもあるからね。」
「そうなんですか、僕は良い体験ができたと思ってます。
できれば、また来たいです。
で、権じいの村の想い出を。」
「ああ、そうだったね。」

「プレートは自分で選んで、ペンはここにあるのを自由に使っていいよ。」
「君はどうする?」
「はい…、いいです…、見てますから…。」

「森に抱かれて、か、う~んいいね。」
「僕、作業しながら色々考えたんです。」
「どんなこと?」
「自然のこととか、例えばここに降った雨が地面にしみ込んで、川を流れ流れて下流で自分たちの飲料水になってる。
ここと僕らの日常とはつながってるんだってこととか。」
「確かにそうだな。」
「休憩中に寝っころがって、森の木々を見上げていたらなんか気持ちよくて。
忘れていた何かを思い出したような…。
それでこのプレートには、森に抱かれてって書こうと決めたんです。」
「なるほどな。」




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