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調査-6 [権じいの村-2]

「山岸先生、状況はどうですか?」
「はい白川先生、大きな問題ということでもないのですが…、住民とのトラブルとかではなく調査上の問題が二件です。
一件に関してはうちの研究室から、二人出てもらいました。
もう一件に関しては、今、検討してもらっています。」
「どんな問題なのですか?」
「一人の調査員について、サポート隊から早すぎる、という報告が入りました。」
「早すぎる?」
「まぁ、こういった調査にはつきものですからサポート隊の男の子たちにも、気づいたら早目に報告してくれるようお願いしておいたのです。
調査員は素人ですから仕方のないことですけど…、ただ今回は単なる調査ではありませんから、すぐ対応しました。」
「どういうことなんです?」
「今回の調査は、その内容から、一件につき30分程度を想定していますよね、もちろん調査対象の方によって差は生じてきますが。」
「でしたね。」
「それが一人の子は一件平均10分を切っているんです。」
「そりゃ早いな。」
「ここから考えられることは誘導的な質問なんです。」
「誘導的ですか…。」
「例えば…、
この村での生活に不便を感じておられることは何か有りますか?
という設問を、
この村での生活に不便を感じておられますよね、買い物とか?
と、尋ねると…。」
「確かに回答者の答えは変わってくるでしょうね。」
「はい、訪問販売ではありませんから、誘導する必要ありませんし、調査の精度を著しく落とすことになります。
それだけでなく、ひどい場合は回答者の方に対して、私達に対する不信感を抱かせる場合もあります。
この調査員の子は本部に戻して夕食の準備にあたってもらい、その担当エリアはうちの研究室のメンバー二人で再調査することにしました。」
「了解しました、私もフォローしたいと思いますから、再調査対象世帯のリストを後でお願いします。」
「はい。」

「もう、一件は?」
「時間がかかり過ぎているんです。」
「はぁ、逆ということですか?」
「ええ。」
「担当エリアを消化しきれないのですね。」
「そうです、普通の調査だったら完全に調査員失格ですね。」
「ということは今回は。」
「ふふ、白川先生から、今回の調査はただの調査ではなく、これからの活動の足がかりだって、何回聞かされたことでしょう。」
「はは。」
「サポートからの報告では、ずいぶん時間のかかった一件目の調査対象のお宅から出てきた後も、おしゃべりが続いていたそうなんです。」
「うん、うん、いいなぁ~、突撃部隊の子たちには今回の趣旨をほとんど伏せていたからね、サポート隊もちゃんと遠くから見守ってくれているんだ。」
「ですね、ただ予定してた調査は予定通り終えたいですし…。」

「あっ、留美ちゃん、対応決めてくれた?」
「はい、先生、のんびりやさんのフォローには私が行くことにしました、本部が少し手薄になっちゃいますけど。」
「大丈夫よ、他の子たちは普通に順調にやってるみたいだから。
でも、そろそろお昼時だから…。」
「はい、サポート隊は午前中の調査結果を本部へ持ち帰ったり、昼食を突撃部隊へ届けるために動き始めてくれています。
でも、特に問題はないとの無線連絡も入っていますので、私も、昼食便に便乗させていただこうかと思ってます。」
「ふふ、のんびりやさんのサポートって誰だったかなぁ…、留美ちゃん職権乱用はだめよ。」
「先生、そんなんじゃないですよ。」
「それにしては、お顔が真っ赤よ。」
「えっと、え~と、ここに来てる人たち、みんな慶次さんの考えに賛同して一生懸命じゃないですか。
だから…、なんか、みんなかっこいいなぁ~って思って…、仲間だし…。」
「そうよね、うんうん、じゃあ彼のことは黙っててあげるわね。」
「あ~ん、慶次さん、先生たら何時も私をいぢめるんですよ~。」
「で、誰?」
「あ~、慶次さんだけは信じてたのに~!、も~、ぐれてやる。」
「はは、留美ちゃん、フォローよろしく頼むな。」
「う~ん! いってきま~す!」




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