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中村和音第二回定期演奏会-1 [Lento 3,演奏会]

9月15日(土) 千種ハーモニーホール
午後2時開演だが、その一時間前にはすでに受付は開始されていた。
Lentoだけでは、より多くの人に聴いていただけないという理由で始まった中村和音定期演奏会の2回目。
すでに数十人の人が入場している。
早く来ている人たちのお目当ては、ロビーの絵画、Lentoの茂根達也の新作油絵と彼がこの夏に描いた水彩スケッチ。
Lentoのサイトでも紹介されてから、実物を見たいという声が多数寄せられ、今日のお披露目の後はLentoに飾られることになっている。
そして和音のCDを予約する人も、10月1日(月)発売だ。
ちなみに柳原真子の踊りと中村和音のピアノをメインにしたDVDも少し遅れて発売予定。

開演15分前、何故かピアノの演奏が始まる、曲目は聴いた事の無い曲だ。
舞台には柳原真子も出てきて踊り始めている。
和音のピアノは、ピアノの調子を確かめるかのように。
真子の踊りも舞台を確かめるかのように。
そして…。
「今日は和音の演奏会にお越し下さいましてありがとうございます。」
柳原真子が客席に語りかける。
入ってきたばかりの人はちょっと慌ててるようだ。
「先ほど和音と話してまして、早くから来て下さってるお客様をお待たせしすぎては申し訳ないということで。」
和音が続ける。
「演奏会前の私たち、って曲を…、ねえ真子タイトルちょっとかっこよくないわよね?」
「そうね、でも私たちの舞台の前はこんな感じなんですよ。」
拍手が巻き起こる。
そこには、普段見れないものに接することができた得した気分と、これからの演奏会への期待が込められているようだった。


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中村和音第二回定期演奏会-2 [Lento 3,演奏会]

開演時間となった。
会場は、ほぼ満席、立って見てるのはLentoのスタッフたちだ。
「さて、そろそろ中村和音第二回定期演奏会、開演の時間になりました。」と真子。
「って、もう始まってるじゃない。」和音が返す。
「ふふ、今日はちょっとお客様の前で、本番前の練習をしてましたが…、遅刻した気分を味わった方、ごめんなさいね。」
「さて今回、私、和音の定演のようなタイトルになっていますが、実際は、私と柳原真子を中心としたものとなります。」
「いや~、和音が出てくれってしつこかったんですよ。」
会場から笑い声が…。
「その~、大勢のお客様の前で独りで演奏すると、コンクールで予選落ちを繰り返していた頃を思い出しそうで…。」
「そんな訳で入り口の看板には with 柳原真子 とマジックで書き足しておきました。」
会場から再び笑い声が…。
「私たちのことをご存知の方も多いとは思いますが、初めての方の為に、改めて自己紹介させていただきます。
私がピアノの中村和音です、自分でも信じられない勢いでプロの話が進んでしまって、少しとまどい気味ですが、まぁ就職活動しなくて良いからラッキーかなってとこです。
今日は、大真面目な演奏と気軽に楽しんでいただけるプログラムを用意させていただきました。
よろしくお願いします。」
拍手…。
「柳原真子と申します。
舞踊家として活動させていただいております。
和音の演奏で踊ることが多いので、今回おまけとして出させていただくことになりました。
演奏の邪魔にならないよう気をつけますので、よろしくお願いします。」
拍手…。
真子が続けて話す。
「それから一つお知らせがあります、今回の演奏会は地元のテレビ局が取材に来て下さってます。
演奏会のじゃまにならないように、と配慮していただいていますが、終了後のロビー風景なども撮影予定ですので、写るとやばい方はご注意下さいね。」
笑い声…。
「じゃあ真子、曲の紹介お願いね。」
「おっけ~。」
和音は舞台から袖へ入る。

真子が曲の紹介を始める。
「今日の始めはシューマンになります、まずはピアノソロで、クライスレリアーナです。
シューマンが愛するクララに捧げた曲ですが、和音がどう表現するか楽しみですね。
続いては、皆さんご存知の、子どもの情景です。
ここでは、私が和音のピアノに合わせて創作舞踊を踊らさせていただきます。
ただしこのプログロムは、和音の演奏が主になります。
私の踊りは控えめですが、決して手を抜いてる訳ではありませんので、よろしくご理解のほどお願いします。」
舞台袖を確認する真子。
「それでは、中村和音第二回定期演奏会、開幕となります、皆さんに楽しんでいただけたら幸いです。」
拍手…。
真子が舞台を降り、舞台ではピアノが一台、今日の主役を待つ。

ホロヴィッツのシューマン


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中村和音第二回定期演奏会-3 [Lento 3,演奏会]

少しの間をおいて、和音が舞台に、観客に一礼の後、ピアノへ。
一呼吸おいて、シューマンのクライスレリアーナが始まる。
柔らかく暖かく軽やかな和音の世界に観客は浸る。
単に技術的なレベルが高いだけではない、人の心に自然に入っていく音色は和音独特のものだ。

Lentoで演奏を始めた頃の和音は、即興的に弾く曲、遊びで弾く曲では卓越した力で聴く者を驚かせたものの、シューマンやモーツアルトなどを弾き始めると、その力を半減させていた。
きちんとした作品を自分のものとして演奏できてなかったのだ。
Lentoのオーナー白川は、すぐに観客の前で、即興曲、遊びで弾く曲の演奏を禁じた。
コンテストで賞を取るまでという期限つきで。
「シュ-マンを楽譜通りに弾けても、和音のシューマンになってない、楽譜と違っていてもいいから、思いっきり和音の心を込めたシューマンを聴かせて下さい。」
白川の指導はこんな感じだ。
ある日の演奏は原曲とは程遠いものになってしまっていた。
「すばらしい演奏でしたが、作曲者にも敬意を。」
次の演奏は固さが目立つ。
「今日の演奏、和音はどこにいたのですか。」
白川からの言葉をかみしめつつ、次の演奏に向かっていく和音。

そんな裏話はさりげなくLentoマネージャー佐山初音が客へも伝えたりしていた。
自然、客の聴く姿勢が違ってくる。
それまでにも学生プレイヤーは何人もいたし、それなりの技術を持っていた。
しかし、和音のレベルは、今は迷いながらの演奏でも、他の学生たちとは、大きく違うということに皆が気づき始めた頃、和音は作曲者の描いた楽譜と自分の世界とのバランスをとれる様になってきていた。
「作曲者の遺した楽譜を、作曲者と語りあいながら、自分の心で演奏する。」
これが、この頃の和音が出した結論であり、この姿勢は今も変わっていない。

クライスレリアーナも第8曲となった。
わくわくするような、はずむ旋律が軽やかに流れる。
曲調が変わる中間部、和音の演奏は激しくなりすぎることはない、力強くはあるが優しさを感じさせる。
著名なピアニストたちの演奏とは全く違う、和音独特の世界が広がる。
そして、軽やかに曲は終わる。

満場の拍手。
拍手だけでは気持ちを押さえきれない観客からは歓声も飛び交う。
日本のクラシックの演奏会ではあまりないことだ。

ホロヴィッツのシューマン


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中村和音第二回定期演奏会-4 [Lento 3,演奏会]

クライスレリアーナの余韻が充分落ち着いたところで、柳原真子が静かに登場、子どもの情景が始まる。
舞台には椅子が置かれていて…。
真子は椅子に座るでもなく身を寄せ…、ピアノの演奏とは無関係に、ただ演奏を聴いている少女を自然に演じ始めた。
曲のテンポを全く無視しているようでいて曲になじんだ動き…、今の真子は、ダンサーというよりはアクトレスと言ったほうが適切であろう。
一つ一つの何気ない仕草が見ている者に様々な想像を抱かせていく。
「子どもの情景を聴く少女の情景」というのが今回の真子のテーマだ。
トロイメライ…、真子はゆったりとピアノに歩み寄る。
その姿だけで見ている者たちは恋する少女をイメージしてしまう。
和音の奏でる子どもの情景の中、真子は舞台の上に一つの空間、そう一人の少女の世界を創り出していた。
真子の存在感と和音のピアノが一体となって、今まで誰もが経験したことのない「子どもの情景」が完成していた。
曲が終わり鳴り止まない拍手の中、しばらく二人は動かなかった、自分たちの創り出した空間の余韻に浸るかの様に。
先に立ち上がったのは、和音だ、自ら拍手しながら真子の元へ、彼女の手を取る。
真子は、はっと我に返った様に立ち上がる。
そこで観客は始めて、今まで見てきた自然な光景が、演じられていたものだと、気づくこととなる。
さらに高まる拍手の中、休憩時間に入る。

ホロヴィッツのシューマン


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中村和音第二回定期演奏会-5 [Lento 3,演奏会]

休憩後、観客の前に登場した和音は、真っ赤なドレスに身を包んでいた。
客席に軽く会釈して、すぐピアノへ。
ベートーヴェンのピアノ ソナタ第23番ヘ短調 「熱情」 が始まる。
透き通った緊張感がホールを支配する。
力強く伸びのある演奏が観客の心を魅了する。
一音一音に魂が込められ観客に届く。
ゆったりとした第二楽章からクライマックスの第三楽章へ…。
そして、会場からは割れんばかりの拍手が沸き起こる。

観客の声援に応える和音…。
拍手が落ち着きかけた頃、舞台袖に目をやり合図を送る。
それに応え、袖から真子が真紅のドレスで登場する、和音はピアノへ。
真子はピアノの和音からも見える位置でゆっくりと観客を見据える。
無表情で何気に立っているだけなのだが迫力すら感じさせる。

和音はまた熱情の第三楽章を弾き始めた。
真子がそれに応えて動き始める。
しばらくして曲が、ベートーヴェンのそれとは全く違った展開になっていく。
真子の創作舞踊の世界も情熱を帯びて演じられていく。
和音の演奏も力強さを増す。

曲は、ゆったりしたテンポに変わる。
曲の変化に合わせ舞う真子。
和音と真子の世界が広がっていく。
観客たちは、何かしらのドラマをイメージしているのだろうか。

曲がまた熱を帯びて来ると、真子はピアノの上に置いてあった真紅のリボンを手にした。
燃える様な舞に、ピアノもさらに情熱を帯びてくる。

真子がリボンを真紅のリボンの束に持ち替えると、一気に炎の舞と化していく。
和音の指は鍵盤上を恐るべき速さで駆け回る。
最高潮に達した時、突然演奏が終わり、二人の動きが同時に止まる。
突然ではあっても不自然な感じは全くなかった。

演奏と舞に圧倒されていた観客はしばらく静かなままだった。
我に返ったかの様に一人が拍手を始めると、拍手と歓声がホールを満たすまで時間はかからなかった。
演奏の余韻に浸ってじっとしていた和音が立ち上がり、真子の元へ。
舞を終えたままの姿で静止していた真子の手を取る。
表情をふっと和らげる真子、先ほどまでとは別人の笑顔で和音と手を取り合ったまま客席の声援に応える。
こうしてベートーヴェンのピアノ ソナタ第23番ヘ短調 「熱情」 と即興演奏「情熱」が終わり休憩時間となった。


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中村和音第二回定期演奏会-6 [Lento 3,演奏会]

「情熱」と名づけられた今回の即興演奏は、和音の力が最大限に生かされた演奏として絶賛されたのはもちろん、真子の評価を一気に高める機会ともなったのだが。
その裏にはこんな打ち合わせがあった。

「最初はベートーベン「熱情」の第三楽章で始まって。」と、和音。
「うん、聴いたことある。」と真子。
「それなりに熱情っぽく演奏した後、ゆったりとした部分が入るの。」
「その心は?」
「情熱を傾ける対象との幸せなひと時という感じね。」
「成る程、愛が深まっちゃうのね…。」
「まぁね~、後は微妙な波乱があってがんがん燃え上がるの。」
「がんがんって? 目一杯行く気?」
「真子も聴いたことのないようなレベルまでやっちゃいたいんだけど。」
「じゃあ私も和音の見たことのない様なレベルまでやるしかないわけね。」
「気合入れて、力一杯踊って何分ぐらい持つ?」
「う~ん、ゆったりの部分にもよるけど、内容と体力、精神力を考えたら…、20分ぐらいが質を落とさない限界かも。」
「了解、終わりは…、そう、ぴたっ、と止めたいわ、一番の盛り上がりから。」
「タイミングはどうするの?」
「ちょっと聴いてみて。」
和音はピアノを弾いてみせる。
低音部から高音部へ向けて一気に駆け上がる。
「本番は全く違うものになってると思うけど、ここで…。」
きっかけを弾いてみせる和音。
「この最後の和音からいち、にっ、さん、で、終わるわ。」
「おっけ~。」

こんな感じの打ち合わせだけでステージに上がってしまうのは、お互いの感性を充分理解し合えているからだろう。
練習? 和音と真子は二人で練習したことは一度もない。
二人で遊びに行くことは良くあるのだが…。


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中村和音第二回定期演奏会-7 [Lento 3,演奏会]

休憩時間が終わって舞台に現れたのは遠山建夫、地元オーケストラのコンサートマスターをしている。
手にはバイオリン。
続いてチェリストの矢野巧がチェロをよっこらせと抱えて登場。
遠山が話し始める。
「皆さんこんにちは、自称、屋根裏のバイオリン弾き、遠山建夫と申します、こちらがさすらいのチェリスト、矢野巧で…。」
「矢野です、我らが姫君たちは先ほどの演奏で少々お疲れ気味でして、今日最後のステージは…、なぁ遠山さんよ、あの演奏の後じゃ完全におまけだよな俺たち。」
「ですな~、我々もプロなんだけどね〜。」
「でもここに居られて幸せだし、おたくもラッキーでしたね。」
「ほんと、先崎の代役でって…。」
「若手バイオリニスト先崎ってのが、今からの演奏のいつものバイオリン奏者なんですが、コンクールの日程と重なっちゃいまして…。」
「すきをついて私が…。」
「師匠が弟子の代役って感じですか?」
「良い弟子を持ったものです…。」

遠山たちが話しをしている間に和音たちの準備が整ったようだ。
まず和音が登場する。
純白のドレス。
会場から盛大な拍手が沸き起こる。
拍手が落ち着いたところで、真子の登場。
オーストリアの民族衣装を身にまとっている。
会場からの拍手の大きさは、先ほどの舞台の結果を物語っている。

矢野が語る。
「音楽の世界で舞曲という作品は数多く存在します。
しかし、それらが演奏会で演奏されても、実際に踊りが同時に演じられるいうことは、まずありません。
初めて真子の踊りを目にした時、私自身ほんとカルチャーショックという感じでした。
和音のピアノと一体となって真子が踊る…、先ほどの舞台をご覧になった方々に説明は要りませんよね。
今からの曲はオーストリア、ザルツブルグの、とあるお城で舞う真子をイメージして作曲したものです。
実は今まで何度か真子をメインに演奏してきたのですが、毎回舞いが違ってまして…、真子ちゃん今日も違うの?」
もちろん、という表情でうなずく真子。
「今日の演奏を一番楽しみにしているのは私かもしれません。」
そして和音の方を向いて確かめる矢野。
「そろそろ始めますか?」
にっこり微笑む和音。
「姫たちの準備も整った様ですので、オーストリア風舞曲、楽しんでいただけたら幸いです。」

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中村和音第二回定期演奏会-8 [Lento 3,演奏会]

演奏が始まる。
このオーストリア風舞曲、Lentoではバイオリンに先崎をおいて、何度か演奏されている。
この曲に合わせて踊る時、真子は常に絵をイメージしているという。
曲を演奏している3人の姿と自分の舞が一つになって…、踊りの背景に演奏家たちを配したような絵になっている様に、と考えているそうだ。

だが今回の絵はいつもとちょっと違っている。
オーソドックスなステップで遠山に近付くと、遠山のバイオリンに聴きほれる仕草をする真子。
この瞬間、3人の演奏家たちは「こんな演出聞いてないよ〜」と心の中で叫んだという…。
張り切って演奏に力を入れる遠山、和音と矢野は演奏を控えめにし遠山のサポートにまわる。
同時に真子が自分たちの演奏を聴く仕草をした時の演奏をイメージし始める。
ピアノ三重奏のバランスは真子に支配され変化することになる。
こんなことを本番でいきなりやってしまうところが真子らしい。
もちろん、それについてこれるのは3人の演奏家たちがプロだからであって…。
3人の演奏家に観客たちの目を引き付けた後は真子が中心となっての絵となり、演奏が終わる。

鳴りやまない拍手は当然アンコールへの期待でもある。

拍手にひとしきり応えたところで、和音が話し始める。
「本日は私たちの演奏会楽しんでいただけでしょうか?」
力一杯演奏した余韻か少し涙声になっている。
観客は拍手で応える。
「遠山さん、矢野さん有り難うございました…。」
拍手を受け観客に応える2人。
和音は言葉を続けようとするが…、緊張が解けたのか、感極まって、真子と抱き合う。
真子の目にも光るものが…。

拍手と歓声の中、ピアノにもどる和音。
シンプルにゆったり弾き始めたのは My Favorite Things ミュージカル映画、サウンド・オブ・ミュージックで有名な曲だが、JAZZでの名演も多い。
真子はピアノの傍らで体を揺らして聴いている。

途中から遠山、矢野も演奏に加わる。
音に厚みが増したところで真子が踊りだす…。

アンコールで3曲を演奏し演奏会は幕を下ろした。


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中村和音第二回定期演奏会-9 [Lento 3,演奏会]

演奏が終わった後のロビーではテレビ局のリポーターが帰り際の客にインタビューする姿が見られた。
演奏について興奮気味に語る年配の男性。
周りは人だかりになっている。
「普段、私たちが聴く演奏といえばCDによる名演奏家の物が多いじゃないですか。」
「たしかにそうですね。」とリポーター。
「ある意味下手な演奏を聴く機会は少ない訳で、私の耳もそれなりに肥えている思うんですよ。」
「かなりのクラシック通なんですね。」
「子どもの情景のCDだって、色々な演奏家のを5本持ってます、でも今日の演奏が最高だと思うんです、世界レベルの演奏家たち以上ですよ、中村和音は。」
拍手が起こる。
拍手はインタビューを受ける男性の言葉に対する共感の意と、今日の演奏会のひと時を共有した連帯感のような空気が生み出したものだろうか。
「その割には、知名度が低くないですか? 私も今回の取材で始めて知りました。」
「あっ、という間に知れ渡りますよ、事務所もそういう体制を整えてますから…、Lentoのサイトをチェックしなきゃだめだな。」
「あ、それ…。」
リポーターが話そうとするところに、若い女性が割り込む。
「真子ちゃん、柳原真子もサイコーだったわ!」
言わないではいられない、そんな雰囲気だ。
同感という感じで拍手がまき起こる。
周りは二人への賛辞を一言、言いたいという人たちで…。

ロビーの片隅では、そんな光景を横目に見ながら、テレビ局の取材責任者、桜庭康平が、和音のマネージャー長井祥子と話をしていた。
「今日は…、実は…、スポンサー関連の紹介で…、上司からの命令で、夕方の情報番組で軽く流すだけのつもりで取材にきたのですが…。」
「すいません、Lentoの常連客がご迷惑をおかけしたのですね。」
「と、とんでもありません、こんなにハイレベルとは思ってもいませんでした。」
少し興奮ぎみに話す、彼もまた、演奏の余韻を引きずっているようだ。
「上司にも話を通して…、どんな形になるか分かりませんが、二人のことを、きちんとした番組の形でも視聴者の方々に紹介させていただけたらと思っています。」
「本当ですか! 有難うございます!」
「つきましては中村和音さんの、今後の取材スケジュールの調整やギャランティのことなど…、長井さんに連絡させていただけばよろしいですよね。」
「は、はい、よろしくお願いします。」
「柳原真子さんに関しては、どなたに?」
「今の所、Lento事務所のマネージャー佐山初音が担当ですが、私で構いません、特に和音と二人での活動に関しては一任されていますので、佐山の方へは私から報告します。」
「分かりました、あと…、プロジェクト和音、プロジェクト真子という言葉を耳にしたのですが…。」
「若い才能ある芸術家たちを、最高の状態で世に送り出したいというプロジェクトです。」
「あの~、そのプロジェクトに私が参加することも可能なのでしょうか?」
「は、はい…、えっ? 本気ですか?」
「本当の力を持っている人をバックアップしていく喜び、それを私も味わいたのですが。」
「もちろん大歓迎だと思います、ちょっと話をしてきますので、また後ほど。」
「はいよろしくお願いします。」

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中村和音第二回定期演奏会-10 [Lento 3,演奏会]

演奏を終えた和音と真子は楽屋でその余韻に浸っていた。

楽屋に戻って、すぐ片づけをしようとしたのは真子だった。
しかし、そこをスタッフの女の子が止める。
「今日の真子さんの仕事は舞い踊ることだったんですから、しばらく休んでいて下さい。」
そう言いながら、彼女たちに飲み物や果物を用意している。
もう一人、衣装の片づけをし始めた子が続ける。
「Lento主催の演奏会では、必ずお世話係りが付くことになったんですよ、お姫様。」
「その、お姫様っての何とかならないのかなぁ~。」真子が照れくさそうに言う。
Lentoスタッフの一人、東沢健二が「俺の姫」と和音のことを表現したのが…、あっという間にスタッフ中に広まってしまった。
ゲスト演奏者、矢野たちも「我らが姫君たち」と観客の前で言っていたから、真子も覚悟するしかなさそうだ。

その東沢は今回、全体の総指揮を担当している。
第一回演奏会に引き続いてだ。
今回も、ロビーの準備、受付などの仕事はすべてLentoのスタッフで行われた。
もちろんLentoは休みではないから、店で働くメンバーと演奏会で働くメンバーとに分かれた訳だが、結局、店のシフトに入ってないスタッフは、ほとんど演奏会を手伝いに来ていたようだ。
多すぎるのでは、という声もあったが「今後のこともある」との一声で、多目のスタッフとなった。
三回目以降の定期演奏会のことや二千人規模のホールでの演奏会との構想も具体化しつつあるからだ。
次回はCDの販売もある、間に合えばDVDもだ、また二千人規模のホールになったら受付の混雑も考えられる。
演奏中も、東沢中心に次回以降へ向けての打ち合わせが、各部署の担当責任者、サブ責任者との間でなされていた。
何らかの都合で責任者が不在になってもサブが確実に仕事をこなせる様にというのが、この打ち合わせの目的でもある。
机上でやるより、実際の場でやった方が分かりやすいだろうという考えから、ロビーに人の少ない演奏中に、こっそりと打ち合わせをしていたのだ。

演奏が終わった今は客の相手をしているスタッフも多い。
Lentoの常連客たちは、会場に見慣れたスタッフの顔を見かけては声をかける。
スタッフたちはそれに気軽に応えている。
真子や和音に会いたいという客もいるが「我らが姫たちは少々お疲れ気味で、奥で休んでおります。」と、スタッフから返されている。
真子も和音もまだ慣れていない、特に今回の様に目一杯の演奏をした後で、客に気を使いながら話すのは酷というものだ。

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