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Lento 1,春から初夏 ブログトップ

前奏曲 [Lento 1,春から初夏]

 軽やかに流れるピアノの調べ。
 窓の外は新緑の世界。
 ドビュッシーの旋律に満たされた空間。
 笑顔とともに運ばれるウインナーコーヒーの香り。
 オーストリアの城を模したホール。
 無口だけどにこやかな支配人。
 ホールを彩る花々。
 踊る様に働く女の子たち。
 くつろぎのひと時。
 ふと別世界へ迷い込んだ感覚になる私。
 Lentoのひと時。

 Lentoはクラシックやジャズの生演奏を聴けるちょっと豪華なお店です。


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緑川真と細沢すみれ [Lento 1,春から初夏]

Lentoの事務室にて

「緑川さん、ホール担当希望者の面接お願いしますね。」
「ああ細沢すみれさんだったね。」
「真子ちゃんの紹介よ。」
「ならたぶん大丈夫だと思うな、決まったら後で紹介するよ。」
「私はホールに居ますね。」
「よろしく。」

緑川、事務室隣の応接間へ

「こんにちは、細沢すみれと申します、よろしくお願いします。」
「こんにちは、Lento支配人の緑川です、まぁ腰掛けて下さい。」
「はい。」
「え~っと、柳原さんの紹介でしたね、ここのことは色々聞いてますか。」
「それが彼女、時給が良いしお勧めなの、というぐらいであまり教えてくれないんです。」
「はは、そうでしたか。」
「ただ今日は後に予定を入れないで、ゆっくりしていってねって、言われてます。」
「なるほど、それでは先に事務的な説明を済ませておきましょう。」
「はい。」
「その後Lentoを見学していって下さい。」
「見学させていただけるのですか?」
「もちろんです、では時間の関係も有りますから早速説明をしておきましょう…。」

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青山三郎 [Lento 1,春から初夏]

Lentoの隣には広い森がある。
公園の森だ。
庭も広々としている。
梅、桜、躑躅、紫陽花、牡丹、薔薇など、四季を通してどこかで花が咲いている。
店が森の隣に位置するのも、広い庭もオーナーのこだわりなんだそうだ。
店に入る前に自然に触れて、俗世間を少しでも忘れてから音楽に接して欲しいとのこと。

う〜ん今日は特に木々を渡る風が心地よい。
ここで鶯にお目にかかることもある。
おや、今日はひよどりのお出ましか。
あっ、躑躅が咲き始めたな。

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佐山初音と浅木啓介 [Lento 1,春から初夏]

「今日からLentoのサブマネージャー見習いね、浅木くん。」
「はい、がんばります、佐山マネージャー。」
「あら、スタッフだけの時はマネージャーなんて呼ばないでね。」
「はい、佐山さん。」
「だめだめ、初音でいいわよ。」
「いや、それはちょっと…。」
「はは、仕方ないわね、じゃあ初音さんで許してあげるわ。」
「は、はい…、は、初音さん。」
「君は、浅木くんと啓介くん、どっちがいい? 他のニックネームでも良いけど。」
「高校生の頃は、浅木、啓介、両方呼ばれてました、どちらも呼び捨てにしやすいみたいです、あっ、慣れたら呼び捨てにして欲しいです。」
「そうね、君が頼れるスタッフになる頃には自然とそうなっていると思うわ。」
「がんばります。」
「他のスタッフの呼び方も、堅苦しくならない様に気をつけてあげてね。」
「はい。」
「どうでも良いことのようで大切なことなのよ。」
「職場の雰囲気を柔らかくということですか?」
「そういうことね、オーナーの白川さんからも、よく言われてるのよ。」

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中村和音 [Lento 1,春から初夏]

私のバイト先はLentoってお店。
私はそこでピアノを弾いたりしています。

この店のオーデションに合格した時は本当に嬉しかったです。
お金を貰えて、自分の演奏を聴いて貰えるなんてサイコ~!って感じでした。
私は音大生なんですが、なかなかお客様の前で演奏する機会って少ないんですよ。
友達なんて、自分たちで手間掛けてミニコンサートを企画したりしてるけど、そんなに回数できないじゃないですか。
しかも大抵は身内とか知り合いとかがお客さんで…。
それがこの店のオーデションに合格すれば知らないお客様の前で演奏させていただけて、場数を踏むことができる。
独りでの練習では得られないものが得られると思ったんです。

実際は予想以上でした。
それは、この店のオーナー白川さんの言葉を実践できたからかもしれません。
「ミスを恐れずに、楽しい曲は思いっきり楽しく、切ない曲は思いっきり切なく、とにかく本番では心で演奏すること。」
この、ミスを恐れずにという言葉はお客様には「演奏者はまだ学生で勉強中の者です、どうか細かいミスは気にしないで心のこもった演奏かどうかを注目して下さい。」という形でフォローされてて…。

正直、最初の内は大変でした。
思いっきりやろうとし過ぎて、とんでもないことになってしまったり、反省し過ぎてつまんない演奏になってしまったり。
でも、オーナーやスタッフの皆さん、お客様にもお声をかけていただいている内にバランスというものが掴めて来て。
そう言えばこのバランスという言葉も白川さんが良く口にされる言葉です。
何となく心で演奏することがちょっと分かったかなって頃から、褒めていただけることが多くなって。
褒められると嬉しいじゃないですか。
で、もっと練習しようって気になりますよね。

実は今度コンクールの本選に出るんです。
今はコンクールに向けて、多めにコンサートタイムに出させてもらってます。
衣装は、この店のギャラで良いのが買えると思っていたら太っ腹なお客様がお祝いだと言って買って下さって…。
あら、このお客様のお腹は太くないですよ、念のため。


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山田高志&戸川大二 [Lento 1,春から初夏]

「なあ山田、昨日もピアノ聴きに行ってきたんだって?」
「まぁな。」
「しばらく前に、少しだけ聞いたけどさ、もう少し詳しく教えてくれないか?」
「Lentoのことか?」
「ああ。」
「どうしようかな…。」
「何をもったいぶっているんだよ?」
「実はな、最近会員が増えてきて予約が取りにくくなってきてんだ。」
「そんなに人気なのか?」
「ああ、お前に話した頃は、それほどでもなかったんだけどさ。」
「予約が取りにくくなったと?」
「まあな。」
「余計気になるな。」
「知りたいか?」
「だから聞いてるんだろ。」
「じゃぁ、今晩おごれよ。」

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柳原真子と横山葉子 [Lento 1,春から初夏]

「ねえ葉子、先崎くんのバイオリン、最近ぐっと良くなったと思わない?」
「良いわよね~、足が長くて甘いマスク~。」
「あらま、葉子のタイプだったんだ、で、バイオリンは?」
「真子、それより早く着替えを済ませて休憩室へ行きましょうよ。」
「そうねロッカールームで聞くより休憩室の方が音が良いもんね。」
「モニターで先崎くんチェックできるし。」
「はは、そういうことか。」
「もう一時間長いシフトだったら生で見れたのにな~。」

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プリムラ [Lento 1,春から初夏]

ふふ、今日も素敵な演奏をたっぷり聴けたな~。
ぼくは…、え~とぉ、プリムラ・ポリアンサとか呼ばれてるみたい。
何か良く分からないけど、Lentoって、お店の窓辺にいるんだよ。
ここに来てから毎日色んな音楽を聞かせてもらってるんだ。
でね、一緒に音楽を聴いていた人たちがね、ぼくのことかわいいね、きれいね、って言ってくれるんだよ。
ふふ、ぼくはお返事できないけどね。
明日もきれいな音楽聴けて、ぼくのこと、にこにこしながら見てくれる人と出会えたらいいなぁ~。


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花沢薫 [Lento 1,春から初夏]

そろそろランチタイムね。
黒沢さんのとこに行かなくっちゃ。
おっとみんな揃ってるな。
黒沢さんと目があったから、にっこりしてオーケーっと。
始めての時は、びっくりしたなぁ~。
音楽を聴かせる店だから、雑音になる言葉は厨房では使わないなんてね。
もっともそれは建前で、本当はオーナーの遊び心だったとは。
また、それを実践してしまう、チーフの黒沢さんもすごいわね。
ほんとLentoは驚かされることばかりで、奥が深そう。
早くバイトランクを上げてもっともっと働きたいな。

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東沢健二と西園寺優子 [Lento 1,春から初夏]

Lentoの休憩室
健二はノートに何か書いている、そこへ仕事を上がった優子が

「健二お疲れ。」
「あ、優子かお疲れ。」
「また企画の演出考えているの?」
「うん、今度はドイツのビアホールでバイオリン弾きが客とからみながら演奏するってイメージでさ、Lento夜の企画第一弾とは少し違うけどね。」
「夜企画第一弾は大成功だったんでしょ?」
「まぁ俺もがんばったからな。」
「オープンからの硬めのイメージを一新したって聞いてるわ。」
「はは、あの時はちょっと時間がかかったけどね。」
「どんな感じだったの?」
「白川オーナーが俺たちに話を持ちかけて、そのまんま盛り上がっちゃったから、緑川支配人や佐山マネージャーは、ちょっととまどったわけさ。」
「もめたわけね。」
「それが、そうでもなくて、う~ん、そんなところが支配人やマネージャーのすごい所かも、その後のデスカッションで話がまとまって色々決まって行ったな。」
「緑川さんたちが妥協したってこと?」
「そんな感じじゃなくて支配人たちも色々検討してたってことかな。」
「へえ~。」
「デスカッションを繰り返して、Lento夜の企画の基本を作ったって感じだね。」
「スタッフがエキストラするとか?」
「うんそうだよ、あの時に時間をかけた分、その後の企画は楽になったと言えるね。」

「今度はどんな感じになるの?」
「メインは遠山さん、ビアホールのバイオリン弾きのイメージにぴったりだろう?」
「気さくな人だもんね、でもあの人コンサートマスターやってるのよね、よくこんな企画に乗ってくれたわね。」
「それが逆だったりしてね。」
「どういうこと。」
「遠山さんから支配人にやりたいって、前からお客様のすぐそばで演奏してみたかったんだってさ、Lento夜の企画第一弾の噂を聞いてのことらしいよ。」
「へ~。」
「で弟子みたいな役どころで、先崎にも出てもらうことになってる。」
「彼も最近伸びてきてるわね。」
「ああ、どうやらその辺を見込んで遠山さんからの指名さ。」
「スタッフエキストラはどうなってるの?」
「遠山さんト-クもうまいし、真子さんの踊りも途中に入れて欲しいって言われててさ、今回はそんなに必要ないかな。」
「え~、じゃあ私は入れないの?」
「掃除のおばさんなんて役どころなら…。」
「え~、何それ!」

「待てよ、優子なら遠山さんの娘って設定もありかもな。」
「む、娘って何するの?」
「あんなことや、こんなこと…。」
「ちょっと~。」
「バイオリン演奏の合間に娘が入って来て父にささやく、お客さまに聞こえる台詞でも聞こえなくてもいい。」
「すると?」
「どうなんだるんだろう?」
「え~?」
「企画ものは大きな設定はしておくけど後はアドリブなんだぜ。」
「ということは…。」
「君が何を言ったかで後が変わって行くのさ、お客さまに聞こえるセリフだったら、部屋にいるスタッフはそれに合わせて動く、遠山さんにささやくという場合、お客さまもスタッフも何を言ったか想像することになる。」
「責任重大なんだ!」
「いやそれほどでもないんだ、前もって何を言うか俺や遠山さんに教えておいてくれればね。」
「アドリブじゃないの?」
「全部アドリブにすると曲が組めないだろ。」
「それも、そうね。」
「じゃあ遠山さんの娘になりたかったら、明日までに台詞を考えてきてね、オーデションはこの休憩室でやるから。」
「オーデションがあるの?」
「当然だろ、遠山さんの演奏をお金を貰って聴けるんだぜ、皆出たがってるよ。」
「それもそうね…。」
「でも優子はバイトランク高いから優先はしてもらえるよ、ただ…。」
「ただ?」
「下手すぎたらボツ、自然な感じでやれよ。」
「うん、わかったわ。」


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