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岩崎雄太-17 ブログトップ

161-地方 [岩崎雄太-17]

岩崎ファミリーは岐阜の地方都市を本拠地とする舞台チームと岩崎村を本拠地とする映像チームに別れた。

「舞台チームの総監督は結衣の知り合いだそうだが、うまくやって下さってるみたいだな。」
「ええ、今まで譲治と作って来たスタイルを尊重しつつ、発展させレベルアップを図って行くと話してみえてたけど、無理なくメンバーに受け入れられたみたい。」
「大きな実績の有る方がよく承諾して下さったものだね。」
「東京に色々集中してしまってる現状は良くないと、譲治やお父さまの考えに賛同しての事よ、でも、山に囲まれたあそこの環境が気に入ったって。
これから岩崎ファミリーの活動と並行して演劇集団を立ち上げるの、市民文化会館の大ホールで正平さん中心の公演を開いて、小ホールでは本格的に役者を目指す人たちの公演を開いて行く事になってるわ。」
「問題はお客さんが来て下さるかだな。」
「その辺りは史枝姉さんが動いて下さってね、観光に演劇鑑賞を組み込む形を提案して小ホールを満席に出来るくらいのシステムを、総監督の知名度だけでも何とか出来そうって。」
「上手く行って東京からの観光客が地方都市でお金を使ってくれる形を促進できれば親父さんも喜んでくれるだろうな。」
「秋山市長もね。」
「うん、地方都市のホールなんて空きばかりだった、お陰でスケジュールが組み易かったが、大都市と地方都市の格差を、あっ、映像チームによる取材、撮影体制は出来てるよな。」
「ええ、撮影クルーを向こうに常駐させて、地方都市の抱えている問題を探って行く体制が出来てるわ、色々並行して撮影してくれるでしょうね、秋山市長が全面的に協力して下さるそうだから。」
「どんな形で訴えて行くのか案は有るのか?」
「そうね、大都会に憧れる人も居れば、田舎暮らしに憧れる人も居る、それぞれの事情が有る訳だけど、地方への移住をテーマにしたドラマとか映画とか、メインでなくてもサブテーマでも良いでしょ。
過疎地への移住となるとハードルが高いだろうけど地方都市ならさほどでもない、東京から離れてみたらって感覚なら受け入れて貰い易くないかしら。」
「う~ん、満員電車が嫌で移住しましたとか、単純なコピーでも…、転勤で地方都市に住んでる人も普通にいるとは思うが…。」
「地方へ飛ばされたという表現を聞いた事は有るけど、お父さまの関係の会社では違うでしょうね…。」
「親父さんは、本社機能を分散させてもグループ企業間の協力体制でカバー出来て問題ない事を証明してみせた、だいたい社長が長野、岐阜、島根といった所で生活していても問題無い訳だからな。」
「そうね…、でもこれから舞台チームをクローズアップしていくとなると…、あそこは秋山市長の功績で人口が増えているのよね…、人口が減り続けている地方都市の実態も伝えないといけないのか…、ただ安定した仕事が有れば地方都市で暮らしたい人も少なくない気がするのだけど。」
「そうだな、親父さんが進めて来た事は…、はは、やっぱ視聴者のみなさんと共に俺達も学習して行かなくてはいけないな。」
「ええ、その線を強調して…、譲治さんがみんなのリーダーとして学習する姿を見せて…、ふふ、考えがまとまって来たわ、企画書を完成させたら見て下さいね、私の社長さま。」
「はは…、俺、社長じゃないし。」
「社長候補なんだから、そのままドラマでも映画でも良いと思うわ、タイトルは『社長』うんうん譲治なら素敵な社長になれる、社長になる過程で地方都市の発展に貢献するというストーリーってどう?」
「う~ん、で、君の役どころは?」
「美人秘書から妻の座を射止める、コメディの要素を入れたいから簡単には結ばれないの、でも最後は…、あ~、また花嫁衣裳を着てしまうのかしら、私ったら。」
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162-CM [岩崎雄太-17]

映像チームはドラマや映画の撮影の他、情報番組のコーナーも担当しているがCMも大切な仕事だ。

「結衣、今まで、役者や映像関係の仕事に就きたいと思ったら東京を目指さないとだめだったのだろ、岩崎村や岐阜を目指す様に出来そうなのか?」
「役者もスタッフも増やして行きたいわ、企画中の三十分CM動画配信はすぐには効果を発揮しないかもだけど、続けて行けば受け入れて頂けると思うの、だからいずれ役者もスタッフも、もっと必要になるわ、役者を目指してここに来てくれる様にしないと回って行かないというレベルにしたいのよ。」
「三十分CMは結衣が主演ならテレビでも放送出来るだろう、後は無料動画配信で勢いをつけて、無名の役者を使った作品も配信して行く…、CMとしての効果を見極めながらになるだろうが、作品そのものがCMの要素を持っているから途中でCMが入る事もない、良い新人を発掘出来たら結果も付いてきそうだな。」
「再生回数で人気度も分かるでしょ、そこから判断して映画やドラマに出演して貰うという事が可能になるわ。」
「役者がここに定住してくれるだろうか?」
「短期契約とかでも良いのよ、場合によっては番組一本だけの契約も有り、オーデションをしてその人の事情とこちらの撮影スケジュールを検討しながらね。」
「外部から参加して貰う役者は社員とは違う訳か、スタッフの方はどう? 正規雇用だから仕事が有ったり無かったりとなってはまずいだろ。」
「手が空く事は無さそうだけど、もしそうなる様なら映画やドラマで使う風景とか撮り溜めして貰えば良いわ、基本、田舎を舞台にした作品が多くなるから、四季の風景とかね。
舞台チームの撮影班を手伝って貰う事も有りよ。」
「人の方に問題がないのなら後はシナリオだな。」
「皆さん頭を悩ませてるみたいね、番組として面白くなきゃだめだし、商品を買いたくなる内容で、出来れば社会問題とも向き合う、う~ん、欲張り過ぎたかしら。」
「俺も一本書いてみようかな、仕事を割り振ったから余裕は有る。」
「そうね、譲治さんがお手本を見せてあげたら、脚本家達も気合いを入れざるを得ないでしょう、私も手伝いたいな。」
「二人で取り組めば三十分番組のシナリオぐらい、そんなに時間も掛からないだろう、どの会社のにするかは任せるよ。」
「うん、担当と連絡を取ってみる、ふふ、もう案は有るのでしょ?」
「まあな。」
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163-番組 [岩崎雄太-17]

結局三十分CMの一作目は脚本、監督、主演を譲治と結衣が手掛けた。
内容は、岩崎雄太が推し進めて来た社会福祉活動と関連する会社の商品を紹介するものでショートドラマとして楽しめるものに仕上がった。

「譲治さん、CMドラマはまずまずの反響だったみたいね。」
「ああ、三十分のCMというものがどう受け止められるか心配していたが、流石に結衣の人気は強いな。」
「ふふ、幸せなカップルを演じさせたら私達の右に出る者はいないって評価も頂いてますよ。」
「問題はこれからだな。」
「ええ、脚本家達は今回の脚本を読んで焦ってたそうだけど、遊びじゃないから結果を出して貰わないと。」
「方向性は示せたと思うから大丈夫だろう。」
「そうね、それで今後の主役、私としては美沙と留美をプッシュして行きたいと思うけどどうかしら?」
「ああ、二人とも真面目に取り組んでいてくれてるし、結衣程ではないが充分可愛いと思う。」
「あら、可愛いとかそういう基準は人によって違うのよ、私達ぐらいの人は世の中に幾らでもいるわ、そこから女優やモデルを目指して評価されるのは…。」
「分かってる、演技や演出だろ、タイプの違う三人がバランス良くはまったら面白いかもな…、問題は相手役か?」
「そうなの、ピンと来る人がいなくてね、男性陣はオーデションしましょうか。」
「費用対効果がしっかり見えないとクライアントも資金を出しにくい…、今回は話題性も有ったから満足して頂けたみたいだけど。」
「登場人物少な目で脚本家と相談してみようか?」
「ああ…、そうだな…、美沙と留美で始めて、結果が良かったら共演したい俳優と交渉するから頑張れって、どうだ?」
「人参をぶら下げるのね…、でもあの子達の第一希望は譲治だから…。」
「はは、彼氏が出来たか聞いてないのか?」
「まだお兄さま大好きから卒業出来てないみたいよ。」
「撮影で忙しすぎる?」
「それはないわ、残業なしを守って貰ってるから。」
「何とか良い方向へ持って行きたいが…、兎に角…、商品の紹介だけでない、社会の色々な問題を考えて頂く為のCMでも有る、より魅力ある物にしないと、でも、普通に活躍してる俳優では一つの色がついてしまう事に抵抗を感じる人もいるかな…。」
「そうね、それは有るかも、私は逆に譲治さんとカップルって色を印象付けるつもりで動いてきたけど。」
「単発でお願いしても良いが、続きを見たくなるドラマを制作して行きたいだろ。」
「映画が完成した後は、私達、しばらくCMドラマに集中しましょうか?」
「準備の関係からもタイミング的には問題ないと思うが、次の映画とかの構想も有るのだろ?」
「ええ、でもこの形をこれから伸ばして行きたいと思うの、テレビ番組を録画してCMを飛ばして見る、CMが多いからテレビは見ないという人も増えてる、作品自体がCMだから単体で作品を売りにくいという欠点は有るけど、再放送の時は編集し直して商品の入れ替えも可能でしょ。
視聴者の気持ちとクライアントの思惑のバランスが良ければ、そうね、作品自体に魅力が有ればCMドラマという事を忘れて見て頂けると思うわ。
何度も同じCMを見て頂くのとは違った、インパクトが有る形を維持し続けていければね。
ネットでの無料配信も再生回数が伸びていて、映像文化に一つの可能性を見出したとか、以前の実験的ドラマがパワーアップしたとか、今の所は好評価を頂いてる、私としてはテレビ番組の一形態として確立させて行きたいの。」
「そうか…、親父さん関連でクライアントとの距離が近いから、色々実験的な取り組みをさせて貰えるが、グループ企業全体のイメージアップに成功してるとの評価も頂いてる、これまで応援してくれた皆さんの為にも力を入れてやって行こうか。」
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164-攻め [岩崎雄太-17]

譲治達はCMドラマの可能性について話し合った。
そして。

「親父さん、攻めに出てみたいと思うのですが。」
「譲治、何か思いついたのか?」
「はい、CMドラマで労働関係の問題を掘り下げたいと思います。
それを受けて表向きはグループ企業の従業員に向ける形で、職場環境相談窓口の活用を訴えたいと思います。」
「はは、表向きか、確かに攻めだな。」
「今まで親父さんが頑張って来られたのに、他の企業は大した事もしてなくて、下請けいじめや雇用環境を悪化させて稼いだ金で少し社会貢献してるみたいなレベルですよね。」
「その通りだ、身近な社員は大切にしてるのだろうが末端の契約社員や派遣社員の事なんて金儲けの道具でしかないらしい、子どもが減って衰退して行く日本を自分達が作り出したと気付けてないのか、気付いているのに無視しているのか分からないが。」
「うちは売り上げが伸びてるのに純利益は少ないという企業が多いですよね。
労働環境を良くする為の支出が多いのは下請けも含めて考えての事、社会福祉関係にも大きな貢献をしている。
その辺りも、場合によってはドラマという形に囚われずに、そうですね岩崎雄太という大社長が日本をより良くしようとして来た事を分かり易く伝える事が出来たら、流石に他の企業も動かざるを得なくなる、それが叶わなかったとしても、グループ企業が人材確保をし易くなると思います。」
「そうだな岩崎ファミリーの活躍も有って、全体的に好調だ、業績が伸び悩んでいる所へは他社からの支援が有るからな。
うちの経営方針は非常識だと言われているが、ここで世に問うてみるのも良いだろう。
すでに企業イメージは随分良くなっているが更に上がれば、社員を増やせるしな。
私を使ってくれても構わないよ。」
「有難う御座います。」
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165-社員 [岩崎雄太-17]

譲治の提案を受けて、雄太は関係企業の全社員に向けて事の概要を説明し意見と協力を求めた。

「なあ、メール見たか?」
「ええ、岩崎家からのでしょ、岩崎社長夫妻と譲治結衣夫妻の連名になってたわね。」
「他社に批判的な表現をせざるを得ない部分も有りますが、バランスを考えてなんて事、遠慮なく正々堂々と批判して構わないと思わないか?」
「そうだけど、色々考えてみえるのでしょうね、私達は高い努力目標を設定される事もなくバランスの取れた職場で働かさせて頂いてる、無理してない割に岩崎ファミリーの宣伝効果もあってか業績は良い、余裕が有るから良い仕事が出来てる気もするわ、そんな環境を作りたくても作れない人達への配慮も必要でしょ。」
「それは否定出来ないが、前にいた会社では努力しろ、成果が上がらなかったら努力不足だ、みたいな教育を受けて来た、ここではコンサルタント会社の人と論理的に考察して行く過程で、より良い形を見つける訓練をさせて貰えた。
中途採用して貰って印象的だったのは、がむしゃらに働いて、働かせて、一億の純利益を上げる人より、人のバランスを考えて百万の純利益を上げる人を必要としてると言われた事だな。」
「企業だから利益を上げる事を目的としてるのは当たり前ね、でもその方法に問題が有ってはならない、その考えを徹底させつつ岩崎社長は過疎地の再開発で企業イメージを高めたわ、さらに福祉関係に力を入れて…。」
「それが更なる利益に繋がってしまうのは社長の人徳なのかな。」
「貧困に陥りかねない児童養護施設出身者を支援したら、岩崎ファミリーが出来て…、しっかり稼いでるだけでなくグループのイメージアップに貢献、広報関係から聞いた話では、譲治さまはかなりの切れ者で人望も厚いそうよ。」
「結衣ちゃんの惚れた男だもんな。」
「私達のロイヤルカップルが中心になっての所謂意見広告みたいな事だから…、あっ、総務からのメール…。」

「全面協力の為、足元の見直しか…、俺は…、攻めの番組公開に合わせて人員増加計画を前倒し出来ないかと言って来た。」
「人を一人増やすのは大変なんでしょ?」
「それなりに売り上げを増やさないと計算が合わなくなるからな、だが優秀な人材がうちへの転職を考えるだろうからチャンスでは有る…、一歩踏み込んで業界再編となれば、更に俺達の国を大きく出来るな。」
「社員とその家族を合わせると、すでにかなりの人数だものね。」
「そっちのメールは?」
「CM関連予算の見直し、具体的な事は追って調整、私としてはスポットCMを減らして結衣ちゃん達の活動に回しても問題ないと思うわ。」
「今までも社会問題を扱って来たが今回は攻めだとはっきり宣言、またも大きな注目を集めそうだ、社長が話しても効果は有るだろうが、何と言っても若手美人女優が企業グループ専属の広告塔として取り組む事だからな。」
「CM効果が大きいのよね、結衣ちゃんが普段使っていると放送しただけで売り上げがぐっと上がる、少し高めの商品でも、うちの商品は品質が良いから売り上げがそのままで落ちない、結衣ちゃんと譲治さまの経済効果は計り知れないわ。」
「そうか…、もう少し考えをまとめて結衣ちゃんに喜んで貰える様、俺も頑張るかな。」
「ふふ、岩崎大ファミリーの一員だものね。」
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166-王国 [岩崎雄太-17]

雄太の指揮する企業グループ、規模は大きく組織は強固なものになっている。
岩崎家からのメールに対して各社真摯に対応した。

「譲治、結衣、こちらの体制はほぼ整った、世に訴えるポイントの一覧とそれに付随する情報は見てくれたか?」
「はい、お父さま、改めて規模の大きさを確認させて頂きました、よくまとまっていますので、これからの作業が楽だと思います。」
「社員達の気持ちが込められていると考えてくれな、番組は一時間枠を十二回との連絡が行っていると思うが、状況によっては幾らでも延長出来る、いや延長出来るだけの番組を作って欲しいと、皆、期待してるそうだ。」
「やはり視聴率が問題ですね。」
「譲治、高いに越した事はないが、視聴率狙いで質を下げて欲しくない、お前達が気負わず普通に制作してくれれば、我々が伝えたいと思っている人には伝わるのじゃないかな。」
「親父さんにそう言って頂けると助かります、バランス良くとは考えていますが固い内容が多くなりますので。」
「お固い内容を爽やかな演出で訴えるのだろ、番組の構想は固まって来たのか?」
「比率は検討中ですが、毎回テーマを絞って、一話完結のドラマと解説やトークで構成しようかと。
バランスを取る為、外部の人にトーク参加して貰う事も考えましたが、頂いた資料から検討の結果、内輪の関係者だけで問題ないと思っています、うちのCMな訳ですから。
特別ゲストには親父さんの他、秋山市長や岩崎学園大学の関係者とかにお願い出来ないかと考えていますが如何でしょう?」
「問題ないだろう、ギャラも安く済む…、なあ譲治、テーマの優先順位はどうなってる?」
「雇用条件関連を優先しつつ、貧困や教育問題をと考えていますが、何か優先すべき事がありますか?」
「いや優先と言うより、グループ内での内需関連は対外的には控え目の方が良くないかと思ってな。」
「はい、分かっています、今回頂いた十二回の放送枠内では全く触れない予定です、岩崎家繁栄の秘密とかで雑誌にも取り上げられていますが、こちらからアピールする内容でも有りませんし。」
「今後はどうだろう、当然多くの人に知られる事になって行くとは考えているのだが。」
「これからの活動で、さらに岩崎大ファミリーが大きくなって結束も深まります、その後で解説してあげれば良いのでは有りませんか、自由競争社会に於ける企業グループ内共産主義的もしくは社会主義的状況が確立されつつ有る訳で。
でも、それは親父さんという名君有っての事ですから、タイミングを見計らって岩崎王国をアピールしても問題ないとは思っています、どんな反発が有るのかは、今回の番組に対する反響から見極められるかもしれません。」
「そうだな、どうだ譲治、次期国王を目指してみるか?」
「はは、自分より力の有る人は大勢いますよ、でもシンボル的存在なら、結衣を女王として君臨させるのも面白いかもしれません。」
「譲治、な、なに馬鹿な事言ってるのよ。」
「はは、周りの幹部が腐敗の道を歩まなければ問題ないかな、う~ん、社長でも社長夫人でもなく女王というのは面白いかもな。
譲治の言う通り、うちのシステムをまともに紹介して行こうとなると社会主義的、とか共産主義的という文言がどうしても出てしまう、だがそれは現代の日本に於いてイメージの良い言葉ではないからな。」
「お父さま、女王さまという文言も決して良いイメージとは思えませんが。」
「ではクイーンと呼ぼうか?」
「親父さん、しばらくはプリンセスと呼んでやって下さい。」
「これは失礼した、プリンセス結衣、そろそろお茶にしましょう、うちの女王さま特製のケーキも用意してますので。」
「うわっ、嬉しい、お母さまのケーキ久しぶりだわ。」
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167-町 [岩崎雄太-17]

譲治達は視聴者を飽きさせない様に、また話題性の高い企画を練っている。
その一つは。

「譲治兄さま、本当に町を作ってしまうのですか?」
「ああ、ドラマや映画のセットでも有るが、建築様式も独特な架空の国の都という設定、美沙と留美はお姫様役でも町娘役でもこなせそうか?」
「頑張ってるように見せない自然な演技を頑張るわ。」
「でも、どんな撮影になるのですか?」
「ドラマの中で主人公が頭に描く架空の国の話とか、SF作品の舞台とかだな。
町は映像作品を通して見た架空の光景が、そこには実在していて旅の途中に立ち寄る事も出来るという、テーマパークとしても集客力の有る施設にするよ。」
「建設費用をそこで回収する訳ですね。」
「さすが留美だ、分かってるじゃないか。」
「でも初期投資は半端なく…、まともな建物を沢山建設すると聞きました、ささやかながらお城もと。」
「岩崎大ファミリーの企業が費用を出す、その費用を使って岩崎大ファミリーの企業が建設する。
資金をなるべく外に出さない様にして作った施設へお客さんを呼び込んで利益を得る訳だ。」
「沢山使うけど、それで身内が沢山儲かるという事ですか?」
「うん、この形は親父さんが推し進めて来た事、高くてもグループ企業の商品を使うという方針に対して、始めの頃は抵抗も強かったそうだ。
それでも、親父さんが各方面で功績を上げるにつれ、グループ全体の協力関係が強くなって全体が安定して来た訳だ、良い製品を作っていれば確実に買ってくれる身内が増えているからね。」
「推奨されてる商品は高くても品質が良いわ、私達も充分なお給料頂いてるから無理なく買える…。
充分な給料を頂けてるは、高くても身内の商品を買ってる事が回りまわってという事なのかな。」
「ああ、そしてその事を、岩崎雄太大社長を尊敬する多くの社員が理解している訳さ。」
「偉大なるお父さま、高校生の頃は将来に不安しかなかったもんな、それが今は役者の道を…、お兄さま、大きなセットとなるとエキストラの人数も多くなるの?」
「町の一部が完成したら、大いなるお遊びを始める。」
「えっ?」
「お客さんにエキストラをして頂くが、こちらからは我儘なお願いをするつもりだ。」
「どんな?」
「入場に際しては指定された服から選んで購入して頂く、会場内に持ち込める物は、その時の設定によって制限、例えば電子機器の無い世界という設定の日を選んだお客さんは携帯電話などの持ち込みNG、入場したらその世界の旅人に成りきって頂く、カメラに写って無い所でもね。
現実離れした体験をして、そのままエキストラをして頂く。
勿論、条件を事前にお知らせして了解した人が入場料と衣装代を払ってエキストラという事だ。」
「その条件でお客さんは…。」
「その時の世界観に沿った食事、音楽、芸能を楽しんで頂きながら撮影に参加だが、撮影の無い日も普通に営業して行く予定だ、見た事もない料理だが食べると普通に美味しいというのも作り始めて貰ってる。」
「お金を払って異世界体験って…、確かに大いなるお遊びだわ。」
「食堂や宿もリアルに営業するし従業員には家族で住んで貰う事も考えている、撮影が無い日の方が楽しくなる様にしたいと相談してるよ。」
「不思議体験は徹底しないと面白くない訳ね。」
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168-誇り [岩崎雄太-17]

譲治達の新番組に注目が集まったのは番宣での譲治と結衣の態度に依る所が大きかった。
番組内容に対する質問に対して、結婚関連の時とは全く違う受け答えが光っていた。

「ねえ、結衣ちゃん達の番組、見てる?」
「見てるわよ、若くして七色の顔を持つ大女優と言われていたのに、譲治くんとの幸せキャラに固定、かと思いきや知性派に、最近は可愛いより綺麗という言葉が似合うとは思っていたけど、また新たな魅力を見せつけてくれて、でも譲治くん一筋だから応援するしかないのよね。」
「その通りなんだけど、番組の内容、ちゃんと把握出来てる?」
「そういう質問をしてくるという事は転職を考え始めたのかな?」
「うん、私の所はブラックというレベルまでは行ってないけど、前から愚痴ってはいたでしょ。
番組の中でグループ企業の労働環境について、我が社のCMですから多少誇張してます、とか言ってたけど実際の所はどうよ、と思って学生時代の友人に連絡を取って聞いてみたの、関係企業で働いての思い出してさ。」
「どうだったの?」
「他の企業の事は分からないけど、誇張どころか自分の所はもっと良いって、そういう労働環境を維持する為に皆で話し合って協力してるし、自分達の会社を、岩崎雄太社長を誇りに思ってるって言われたわ。」
「はは、私等会った時は会社の愚痴ばかりか…。」
「愚痴る前に改善を、という事が浸透してるんだってさ、後はプリンセスの自慢とか岩崎雄太社長の自慢話を散々聞かされたわ。」
「素敵だものね、うちのはげ社長とは大違い。」
「自分の会社の社長と言う訳でもないのよ、でもグループ企業の結束が強いから尊敬する王様なんだって。」
「感覚が私達とは随分違うのね。」
「でも、何か納得いかないから更に調べてみたの。」
「うん。」
「そしたら…、あそこの人達、まじで日本を良くしたいと考えてるのよ。」
「えっ、どう反応するのが正解なの?」
「彼等は強固な企業グループを更に発展させることで、社会的弱者を保護して行ける力を強化しようと考えてるのよ、すでに障害者雇用も進んでるし、児童養護施設関連の活動はあなたも知ってるでしょ。」
「真面目なんだ。」
「従業員を採用する時は真面目さが大きなポイントになるみたい、能力が高くても社会問題とかに興味の薄い人は他の企業で活躍して貰えば良いって考え方なのよ。
昇進は能力主義だけど、能力の低い人にも安定した職場を提供して行きたいって、どんだけ心が広いのって思ってしまったわ。」
「そう言った内容もこれからの放送で紹介されて行くのね。」
「転職希望者殺到だと思わない?」
「でしょうね、でも大都市圏には職場が少ない、ある意味上手く篩に掛けられるという事になるのかしら。」
「学生時代だったら東京に拘ったかもしれない、でも、そろそろ結婚してと考えたら…、真面目な人を見つけ易いかもだし、地方都市かいっそ田舎暮らしでも良いかなと思ってさ。」
「はは、ろくでもない男と付き合って学習した訳ね、募集状況は調べたの?」
「新規事業も有って、かなりの人数を募集してるわ、テレビ番組に合わせて攻めに出ているのか、攻めの姿勢に合わせて番組を始めたのかは不明だけど。」
「興味の有る仕事は?」
「岩崎村近辺にドラマや映画の撮影にも使うテーマパークを建設中でさ、結衣ちゃん達の撮影現場にもなるらしいの、そこで従業員大募集。」
「へ~、住む所とか大丈夫なの?」
「パーク内の居住スペースか仮設住宅に格安で入居かな。」
「仮設?」
「大地震とか起こって仮設住宅が必要になったら、簡単に分解して運べる様に工夫されているの、居住者は次の仮設住宅が完成するまで、共同生活か他の宿泊施設で生活、若手中心に全国各地で利用されているそうだけど評判は悪くないみたい。」
「そんなの一企業がやる様なことじゃないわね。」
「もし災害が起きたらと考えられる人が集まって来る、自分の事しか考えられない様な人は応募しないと思う、あっ、仮設でも四人ぐらいは住めるそうだから、転職出来て落ち着いたら遊びに来てね。」
「はは、もう決意は固まってたのか…。」
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169-方向性 [岩崎雄太-17]

「明香、みんなのお母さまにもテレビ出演して欲しいという声が届いているがどうだ?」
「そうね、子ども達の事をほったらかしにしてる駄目な母親だけど、テレビで顔を見せれば喜んでくれる子もいるのかしら。」
「心の支えにしてるという子も結構いるみたいだぞ、十八歳以上ばかりだから諸事情を理解して我儘は言って来ない、みんな約束を守ってくれて真面目に生活してる子がほとんどだ。」
「あっ、この間、警察の御厄介になった子は大丈夫だったの?」
「更生プログロムを受けさせているよ、今後に向けての良いサンプルになってくれるだろう。」
「真っ直ぐに生きて欲しいけど…、でも思ってたよりはトラブル起こす子少なかったわね。」
「まあな、虐待経験の有る子は特に周りが気を付けたりしてくれてるからかな。
トラブルと言えば、譲治達が頑張ってくれてる番組も、大きな反響を得てるが、思ってたより抵抗が弱かった。」
「反発も大きいだろう、あら探しして来る連中もいるだろうって話してたわね。」
「小さな問題は表に出たが、はは、結構腹を括ってたのに肩透かしを食らった形だ、まだこの先は分からないが、うちの社員はみんな真面目だよ。」
「社員じゃなく国民でしょ、普段から王様らしくって結衣ちゃんに言われなかった?」
「それこそ大きな反発を受けそうな事なのだがな。」
「常識を超えた社長、ワンマン社長という訳でもないし、企業という枠を利用しつつ新たな社会の仕組みを確立しようとしてる、国民から尊敬される存在でしょ。」
「たまたま、親や環境に恵まれてたからだと思うが。」
「私利私欲しか考えない人も多い世の中よ…、ねえ、政党の方はどうなってるの?」
「大いなる準備段階だが譲治達も協力したいと話してくれた、人選さえ間違えなければ国政でも野党第一党を狙えると大学関連の連中は分析している。」
「譲治を党首にするの?」
「まだそこまで踏み込んだ話はしていないが、彼はうちのプリンスで定着しつつある、岩崎王国のプリンスが総理大臣にとか考えただけでも楽しいが、さすがに反発が大きいのかな。
能力的には問題ない、すでに岩崎王国は多くの日本国民からの支持を得ている、応援したくなる企業グループに譲治と結衣がしてくれたからな。」
「譲治は、雄太の後を継がせるか総理大臣を目指させるかなの?」
「まだ検討中だ、うちには優秀な人間、少なからずいるからな、ただ、彼のルックスと生い立ちは冷徹に考えて大きな武器だとは思ってる。」
「そうね、結婚した事によって人気が落ちる事もなく、最近は知識人としてテレビ出演する機会も増えて、高卒でも力が有れば人に認めて貰えるという事のお手本にもなってくれてる、本人はどう考えてるのかしら。」
「そうだな、まだ時間が有るとはいえ方向性はそろそろ固めたい、近い内に食事に呼ぶか?」
「それは嬉しいけど彼等の時間は大丈夫なの?」
「はは、親の我儘を聞いてくれる子達だよ。」
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170-明日へ [岩崎雄太-17]

「二人とも、忙しいのに悪かったな。」
「親父さん何を改まってるのですか、夕食ぐらいで、もっと気軽に呼んで下さいよ。」
「ふふ、みんなから羨ましがられてしまいますけどね。」
「テレビ出演も増えて大変だろ。」
「大丈夫ですよ、地方を活性化させたいのに東京へ行って仕事をするなんておかしい、を貫かさせて貰ってますから、ここにスタジオを建てて下さった事や、それが大学の社会問題研究所の近くだったのも助かってます。」
「嬉しいよ、譲治がここまで研究所を活用してくれるとは思ってなかったからな。」
「多岐に渡る社会問題を自力で学習しようと思ったら大変です、大学とかに通うのは色々制約が有りますからね。」
「ねえ譲治、番組では研究所のメンバーに気を使った発言をしているけど、遠慮なく自分の意見として話して良いのよ、みんなの事はあなたのブレーンだと考えて。」
「母さん、でも、それでは…。」
「研究所の所員が自分の意見として発信しても、受け手の心には届きにくいの、でも同じ事を譲治の口から聞かされたら人の心に響き届く、伝える事、それがあなた達の役割なの。
研究所の人達が目指してる事を実現させるには、譲治達の様な魅力的な存在が必要なのよ、あなたが政治家の道を選ぶにしても、社長の道を選ぶにしても優秀なブレーンとなってくれる人ばかりだと考えて間違いないわ。」
「どんな道を選ぼうが、岩崎王国はお前達を全力でバックアップする、それに異を唱える者はいないと思ってくれて構わない。」
「でも、政治家を目指した場合、企業との癒着を問題視する人も少なくないと思いませんか。」
「それにも挑戦する実験的な取り組みだよ。
これまで我々が国を変えようと成果を上げて来た、と言っても国全体から考えたら微々たるものだろう、だが企業活動で培ってきたノウハウを岩崎王国の国民と共に政治の場で活かせたら、国の為に活かせたら、目標へのスピード感は全く違うものになると思わないか?」
「そうですけど…、親父さんから政治に関する話を頂いて、色々考えています、母さんが話して下さったブレーンを、まともに機能する規模にしようと考えるとそれに掛かる経費は…、岩崎王国と切り離して確立させようと思うと無理があります、岩崎王国全体に協力を求めれば余裕が出来ますが、法的な問題と人材を企業活動から政治活動へ振り分ける事によって王国の基盤が緩ぎかねないか心配でも有ります、それでは本末転倒ですから、一応、研究所の人には検討すべきポイントを話し、色々試算して貰らってる所ですが。」
「はは、頼もしいな、政治家を目指す気になったのか?」
「微妙です、既存の政党に属する事は考えられませんが、政党を立ち上げたとしても弱小政党では意味がないと思います、秋山市長と地域政党を盛り立てて行く事も有りですが…、もう少し考えたいです、親父さんが目指して来た壮大な夢を息子として受け継いで進めて行ける道を、より効果的にですが。」
「譲治、私はお前を誇りに思う、改めて私の子ども達がお前を慕う訳が分かった気がするよ、その気持ちが王国の国民に伝わって、日本の国民に伝わって行けばきっと…。」
「お父さま。」
「どうした、結衣?」
「できもしない事を公約に掲げ失敗した恥ずかしい政党も有ったのですよね、逆に私達は論理的に公約を作成して…、実現が難しそうな事はどうして難しいのか、でもどうやったら実現出来る可能性が有るのか、全部正直に、まずは王国の皆さんに見て考えて頂いてから日本国民の皆さんに問う、という所から始めてみるのは如何でしょうか、私達がこの国をどうしたいのか明確に示した上で。」
「政党を作るかどうかも皆さんの意見を聞きながらが一番かもな…。」
「はは、私は少し順番を間違えていたのかもしれないね。」
「結衣の言う通りだわ、譲治、まずは私達で日本を変えるきっかけを作りましょ。」
「社会問題研究所の職員を増強するよ、譲治の立場を研究所所長にしても構わないから組織を検討してみてくれないか。」
「はい、ただ、将来的に政治に係わって行くとなると自分達は外交面が特に弱いと考えています。
人口問題が有ったり国家間の格差の問題が有ったり、宗教対立が有ったり…、大変だと思いますが既存の政治家や国家公務員とは違った視点で外交を考える事も大切だと考えています。
岩崎王国は内需重視で輸出に対する依存度は高く有りませんが…。
日本の繁栄は貿易によって外国を食い物にして来た一面も有ります、岩崎王国としては貿易で得た黒字を、すべて相手国での投資に充てるというのはどうでしょう?
将来、日本以上に岩崎王国を信頼して頂ける様に出来るかもしれません。」
「分かった、次の岩崎王国戦略会議でも取り上げるよ、お前達も出席してくれるのだろう?」
「はい、最優先でスケジュールを組んで貰っています。」
「よし、王国の未来と日本の将来、世界の明日をみんなで考えるとするか。」
「岩崎雄太国王の名をどこまで広められるかですね。」
「プリンセス結衣の名もね。」
「お母さまったら、私はお父さまと並べられる様なレベルではありません。」
「いや、映画を通して海外でも岩崎結衣の名を知ってる人はすごく多い、私はその父として…、娘の七光りってなかったか?」
「有りません。」
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