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151-象徴 [岩崎雄太-16]

番組はそれなりの視聴率を維持している、恋愛などの問題をリアルに扱っている成果だろう。

「里美、番組の方は女性に受けている様だな。」
「はい、お父さま、譲治と結衣が私生活をさらけ出して頑張ってくれているお陰です。」
「でも、あの二人だと現実離れし過ぎではないか?」
「恋愛や結婚に対して憧れを抱かせるには調度良いですよ。」
「憧れか、少子化対策に上手く繋がってくれれば良いのだがな。」
「流石に、子どもを沢山作れとは言えないです、仕事もしたいだろうし。」
「でも、結衣は私の考えを分かってくれていると思う、譲治と幸せな夫婦の象徴になりたいと、どうしようも無くなったら演じてでもと、話してくれた。」
「あの子の強い意志はどこから来るのでしょうね?」
「譲治の事は運命の人だと話していたが…、今まで女の直感が外れた事はほとんどないそうだ。」
「常人には理解できない能力を持っていそうだから、あながち冗談で無いのかもしれませんね、譲治も…、あれだけ女の子に囲まれていてもトラブル起こして来なかったし。」
「女優を選ぶ時は、結衣が第一希望だったのだろ。」
「そうなんですよ、いきなりギャラの高い女優を選んでくれたお陰で私の俳優との夢は潰えました、予算の問題も有りましたが、結衣とのバランスも悪くて、まあ最近噂に聞いた所では思ってたよりつまらない俳優だったみたいですが。」
「里美でも見抜けなかったのか?」
「ですね、外見に惑わされました。」
「考えてみると譲治も不思議な男だよな。」
「ええ、高い能力を持ちながらも大学進学とかは考えなかったそうです、島根で職業訓練を受けた後は株式会社岩崎に就職して長野で働き始め、そこから聡志に懇願され島根へ呼び戻されて、聡志は裏方のトップにと考えていたそうですが、女子からの人気の高さに表の顔へ、あっという間にチームをまとめ上げて…、彼はどこにいても能力を発揮できるタイプですね。」
「社長だって軽くこなせると思わないか?」
「もちろんです、すでに岩崎ファミーリーのトップとして業績を伸ばしている訳ですから。」
「勢いが有ると優秀な人材が自然に集まって来るのかな。」
「お父さまの魅力も有りますよ、人を大切にする為の経費を惜しまないから、下請けに負担を掛けて利益を上げる様な事は絶対禁止、胸を張って働ける職場作り、その姿勢が結局売り上げアップに繋がっています。
他の企業体がこの事実を理解するまでは、競争社会にあってもうちは安泰だと思います、もちろん維持する努力は社員一同考えていますが。」
「動き始めた頃は抵抗勢力も多かったんだぞ、まあ親父やお爺さまが理解してくれたからここまで来れたがな。」
「番組にも出て下さって…、『ご挨拶』見ましたが、お爺様方の優しさが伝わってきました。」
「周りの全員が譲治と結衣の大ファンだからな、お袋なんて舞い上がっていたぞ。」
「私達兄弟が直接お会い出来ない代わりに、二人が代表してご挨拶に伺ってくれて、みんなも喜んでいました、先回はお付き合いさせて頂いてます、というご挨拶だからプロポーズを済ませた今は、婚約のご報告ですね。」
「スケジュールの方は大丈夫か、親父達にとっても優先順位は高いから外すなよ。」
「結婚式までは密度が高めのスケジュールですが大丈夫です、でも、あの二人は新婚旅行まで仕事にしてしまいそうで、もし新婚旅行を仕事にしたら、その後、本当にプライベートな旅行をさせようと考えています。」
「彼等の新婚旅行ならみんな見たいだろうな、海外にするのか?」
「視聴者の方に新婚旅行の夢を見させて上げたいですからね。」
「それなら、長めの贅沢なスケジュールに出来ないか、その映像を編集すればテレビ番組の方が楽になるだろう、それで余裕を作ってスタッフにも休暇をあげてはどうだ?」
「そうですね、特にスケジュールに縛られてた連中は喜びそうです。
正平のCDとかもじわじわと売れてますし、Family IWASAKIも伸びてますから、余裕は有ります。
あっ、譲治の結婚式や新婚旅行の予算はどんな形が望ましいですか?」
「う~ん、二人の為ならというサイフは大きいのが沢山有るから、まとめ役が必要だな、史枝に任せてみるのはどうだ、岩崎ファミリーを取り巻く状況も掴めるだろうし、人脈も出来る、ついでに本人達の結婚も意識出来るだろう、正平も真っ直ぐアーティストの道を歩んでいるからな。」
「はい、他の仕事を減らして集中して貰います。」
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152-二人 [岩崎雄太-16]

結衣が岩崎ファミリーに参加してからの事は多くの人がテレビ番組を通して知っている。
ある日の女子会。

「不思議よね、結衣さんの告白はドラマチックだったけど後はカップルが自然に歩む道のりを普通に描いているだけとも言えるでしょ、それなのにドキドキしながら見守って来たというか、番組を見てると一瞬一瞬を素敵に演じているのか、素なのか分からなくて、番組の感想でも、とても身近な人に感じられるって。」
「譲治兄さまに憧れてるのは私達だけじゃないのよね、多くの人がつい見たくなる素敵なカップル、紗友里姉さんでさえ応援するって…。」
「その健気な姿に紗友里さんのファンも増えてるそうなのよ…、譲治兄さまも罪なお人だわ。」
「でも、結果的には良かったのでしょうね、姉妹の誰かではなく、私達も憧れる大女優との組み合わせだから…、二人がどうやって出会い、愛を育んで来たのかみんな知ってる訳だし。」
「ふふ、週刊誌もネタにしづらいでしょうね、これだけ公表してる芸能人いなかったでしょ。」
「それでも浮気現場とか狙ってる人が居るそうよ。」
「うわっ、お兄さまとの写真撮られたらどうしよう。」
「そんな妄想ばかりしてると彼氏出来ないわよ。」
「あなたは良いわよね、里美姉さんの後輩と仲良くなって、今後はどうなりそうなの?」
「微妙なのよね~、彼は学生でしょ、ここでの仕事は実習の一環だから、このまま上手く行っても遠距離になりかねなくて。」
「その辺りは里美姉さんと相談すれば何とかなるかもよ、でも結局は別れましたとなると悲しすぎるわね。」
「その点、譲治兄さま達は見ていて安心感が有ると思わない?」
「そうよね、無理をしてないし互いに相手を信頼している…、私達に対しても。」
「私達の不幸は譲治兄さまに出会ってしまった事かもね、お兄さまを越える様な男性に出会えるとは思えないから大きく妥協、だって私達、結衣さんほどの魅力はないもの。」
「そうよね、結衣さんは他の分野に進んでいても成功する人だと思う、能力を演技に向けたから今の結衣さんだけど。」
「記憶力だけじゃないのよね、でも二人とも高卒扱い?」
「本当に実力の有る人にとって学歴なんて関係ないと思うな。」
「そうよね、岩崎ファミリーの若手は里美姉さん以外は高卒ばかりだけど、それぞれの力を発揮して実績に繋げてきた、誰かさん以外は真面目な人ばかりで力を合わせて来たものね。」
「その誰かさんって?」
「あなた仕事中にお昼寝を試みてなかった?」
「だって~。」
「岩崎ファミリーの評判は落とさないでね、まあしっかり撮影されてたから、編集されてドラマの一部になるかもよ。」
「そんなぁ~、私のイメージが~。」
「どんな人か全国に知れ渡るかも。」
「え~、嫌だ~。」
「良いじゃない、エキストラとしてでも、憧れの譲治兄さま、結衣さんと共演出来るのだから。」
「そっか、ラッキー。」
「はぁ~、能天気過ぎる…。」
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153-映画 [岩崎雄太-16]

二人のスケジュールは一見大変な事になっている。
ブライダル関連のCM依頼が普通に来ているのは、クライアント側にとって安心出来るカップルだからだろう。
そのCM撮影は、二人の結婚までを追うミニドラマの撮影、月一ドラマの撮影、そして映画『結婚』の撮影を兼ねる形で進められている。
映画はコメディで、ほとんどフィクションとなる。

「CMの場面がドマラに組み込まれる場合も有るし、一度に撮影して混乱しないのかしら。」
「メインのお二人はすべての進行が頭に入ってるそうだけど、撮影クルーや衣装担当は必死だそうよ、でも全体のスケジュールを考えたら別々で撮影して行くよりかなり効率的なんだとか。」
「混乱しない様に、撮影スタートの度に結衣さんが、スタッフに確認させてるのよね。」
「映画監督として始めての作品の主演が自分、ここまではイメージ通りに進んでるそうだけど。」
「私が見学させて頂いた時は、CMではただただ美しく、ドラマは素顔のままで、映画はコミカルに色々な結衣さんを見せて頂いたわ。」
「どんな感じだったの?」
「CMは宝石店でセリフなし、純白の清楚な衣装を身にまとい、表情だけで絶対的幸福感を醸し出してた、見とれてる間に終わってしまった。
普段着に着替えて、結婚指輪を選ぶシーンというか本当にその店で買ったのだけど、ふふ、譲治の月給知ってるから無理しないでね、って一言が心に滲みたな~、撮り直す事もなくあっさり撮影終了。
映画のシーンでは、ど派手な衣装に着替えて、これが良い~って、一億の指輪を指さして、本当に指にはめて譲治におねだりしてみたり、地味な衣装に着替えて一番安いのはどれって、哀れな表情してみたり、どんなコメディに仕上がるのか楽しみだわ。」
「ねえ、譲治兄さまは?」
「結婚式の主役は花嫁ですから、というのが決まり文句、う~ん、でも、場面場面で恰好良いのよね~。」
「は~、映画、早く見たいわ。」
「それには、結婚式や披露宴のシーンを撮らないとね。」
「あ~、披露宴本番も撮影なのよね、映画出演をノーギャラで引き受けてくれる人のみが披露宴に、いえノーギャラどころかお祝いを出すのよね。」
「その話はワイドショーでも取り上げられていたわ、呼ばれていそうな人達とその出欠予想、欠席者の穴埋めは兄弟なんだけどな。」
「余程ご欠席が多くないと私達まで回って来そうにないのよね。」
「実際は案内状を出す前に結衣さんが直接打診してるから、芸能人関係で欠席はないみたい。」
「財界人関係も断らないでしょうし、お父さまの親族関係…、お父様が多くの養子を持つ事に反対してらした方も、この状況ではね。」
「撮影は新婚旅行まで続くのでしょ、その後は映画の仕上げだから大変そうだなぁ~。」
「豪華な結婚式になりそうだし、新婚旅行も、映画の制作にはお金が沢山掛かると思うけど大丈夫かしら。」
「その辺りは史枝姉さんが担当になってすごく余裕が出来たって、結衣さんも感謝してるそうよ。
結衣さんは自分の貯金も使うつもりだったのが、全部スポンサー負担どころかギャラも出る状態に、特に、お父さま関連ではない企業からもお金を引き出せたのは大きいわね、映画がきっちり仕上がってそれなりの興行収入を上げる事が出来たら嬉しいけど。」
「陰ながら応援しますか、愛する譲治兄さまと、新たに加わる私達の姉妹の為に。」
「愛さずにはいられない、素敵なカップルの為にね。」
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154-シナリオ [岩崎雄太-16]

婚約発表の後、譲治達は岩崎村にある雄太の家を訪問した。

「譲治、スケジュール通り行ってるか?」
「はい、今の所大きなアクシデントもなく、公演と撮影にゆとりは作って有りますが、狂うとスタッフの生活にも影響が出ますので、少なくともミスによるスケジュール変更が起こらない様に徹底しています。」
「人数が増えたから大変だろうが、スタッフも成長してるのかな。
ところで、しばらくは岩崎村近辺に滞在と聞いてるが。」
「はい、番組でも過疎の村を再生させた親父さんの実績にもう一度光を当てます、映画の撮影も有りますし、自分達の新居の話も進めておきたいです。」
「ああ、一般人が入れないエリアを用意させた、建物も今の内に色々決めておけば新婚旅行後に入居出来ると思うよ。」
「有難う御座います。」
「結衣の希望はさほど広くない間取りと聞いたが、いいのか?」
「ええ、お父さま、広すぎる家では掃除が大変ですから。」
「兄弟に色々手伝って貰えば良いのよ。」
「でも、お母さま、私はそういう生活に慣れてませんので…。」
「子どもが出来たら頼った方が良いの、絶対無理しちゃだめ、何もかも自分でやろうとするのじゃなく仕事と同様に分担して行くの、あなたには女優としての仕事も有るでしょ、映画監督の仕事も。」
「有難う御座います、まだ子どもが生まれてからのイメージが出来てなくて。」
「はは、結衣はまだここで新婚生活を始める頃までしかシナリオが出来てないのですよ、もちろんそこまでのシナリオだって、どう変わって行くのか分かりませんが。」
「シナリオか、そうよね、あなた方の場合は人生がそのままテレビドラマになってしまう、二人ともさらけ出してるけど、大丈夫なの?」
「私は譲治さんが中心となって作ったドラマに心動かされたのです。
CMの場面をドラマに入れるだけでも斬新なのに、その繋ぎのシーンではほとんど演技していない、CM撮影という非日常とリアルな生活がバランス良く表現されていて、その場に自分役で入りたいと思いました、もちろん譲治さんの相手役としてです、ですから今すごく楽しくて。
普通ならスポンサーとの関係で出来そうにもない事でも、お父さまのお力も有って可能になってますから。」
「譲治は?」
「憧れの女優から好きと言われてしまいましたからね、結衣は演技と現実の狭間という当初の狙いを強化してくれました、映画『女優』の路線を受け継ぐ形で制作中の『結婚』も期待して下さい。
岩崎ファミリーとしての売り上げが増えて、幼い弟や妹により多くの援助が出来るのであれば自分は何だってしますよ。」
「有難うな、譲治のその姿勢が他の連中の心も動かしているよ。」
「ねえ、あなた達、撮影と舞台と、色々有って大変じゃないの?」
「大丈夫ですよ、お母さま、まとめて撮影しているので余裕です、映画やドラマの撮影で長時間拘束された経験もありますが、その時と比べたら全然楽に進むようスケジュールを組んでいます。
例えば、デートの場面、何が起きてもNGを出さない代わりにデートの本数を多くしてます。
大好きな譲治さんとですから恋する乙女を自然に演じられます。」
「はは、週刊誌がネタにしたら、そのまま番組や映画の宣伝という事か。」
「撮影されててもデートは楽しいの?」
「もちろんです、心の底から楽しんでるから、ふふ、デートなんて少し演じてるぐらいが調度良いのかも、というのが『続デート』のテーマ、来週放送されます。」
「う~ん、明香、参考にしてたまには二人で遊びに行くか?」
「ふふ、この子達見てるとそんな気にさせられるわね。」
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155-準備 [岩崎雄太-16]

結婚式や披露宴の準備は着々と進んでいる。
普通の婚約者カップルと同様に二人で進めている部分は番組でも解説付きで公開。
だが撮影の関係も有り規模も大きいという事で、裏では多くのスタッフが分担して事に当たっている。

「聡志、二人の衣装は決まったの?」
「まだ全部とは行かないよ、なんせ新婚旅行の衣装まで…、恵子、結衣さんに同じ衣装を何度も着せる訳には行かないだろ。」
「そんな事したら、こっぴどく怒られそうよね、あちこちから。」
「衣装合わせのシーンで着たのは本番では使えない、まあ、式当日の衣装は着て欲しいと打診されてる中からスタイリストが結衣さんと一緒に選んでいるそうだけど。」
「彼女が結婚式で身に着けたら話題になるでしょうからね。」
「それだけに裏の事情も色々有るのだろうな…。
恵子の方は、披露宴の進行、大丈夫そうか?」
「台本が完成すればなんとかなると思うわ、今まで経験した事のないレベル、私にとっても大舞台だけど、こういった事も含めて呼ばれたと自覚してるから、しばらくは舞台での披露宴練習シーンでの司会役、後は実際の結婚式を見学させて頂いたり、手伝わさせて頂いたりとの研修の場を作って貰ってる、規模は違うけど参考にさせて頂いてるの。」
「テレビ番組での進行ぶりが好評だから、恵子が披露宴に現れたら大歓迎だろ。」
「まあね、番組を参考にさせて頂きました、というカップルばかりだから、ちゃんとギャラも頂いてるわよ、聡志の方はスケジュール管理とか大丈夫なの?」
「里美姉さんの先輩がメインで調整してくれていて、色々教えて頂いてるよ。
新婚旅行が終わるまで撮影クルーも含めスタッフも多いから、全体を把握出来てる人は少ないんだ、各チームリーダー間の連絡が上手く行かなかったら大きなロスが出てしまう、欲張って色々な撮影を並行して行っているからね、正平の公演も本数を減らし気味にしている代わりに舞台セットのレベルを上げてる、二人の結婚式に直接関係ない部分もスケジュール管理して行かなくてはならない訳で、でもその分、譲治達の時間的負担が抑えられるのが大きい、もちろん全体のコストを低く抑える事も大切だが、兎に角二人の負担を減らしたいというのがスタッフの総意だからな。」
「そうよね、あの二人には…、ところで京子とはどうなの?」
「譲治達の結婚式が落ち着いてからだな。」
「式とか考えてるの?」
「はは、ど派手婚の反動というか地味にやりたいとは話し合ってる、結婚を考えてる他の連中もな。
合同結婚式とかも良いかなと思い始めてるよ。」
「そうよね、親族呼べる子少ないだろうし…。」
「もしかして恵子も?」
「うふ、まずは譲治達の結婚式を成功させてからでしょ、準備不足でみっともない事にならない様に、聡志も気合い入れなさいよ。」
「もちろんだよ、で、恵子の相手は誰?」
「まだ、ひ・み・つ・。」
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156-結婚式 [岩崎雄太-16]

結婚式は四回行われた。
午前中の一回目が本番として生中継も。
午後の三回は映画撮影が目的でも有ったが、多くの兄弟に列席して貰える様にとの配慮でも有った。

「素敵だったわね~、今日の結婚式…、ねえねえ、私は一回目の人前式だったけど、神前式に列席したのでしょ、どうだった?」
「緊張感が生放送で見た人前式よりも強かったかしら、でも綺麗だったよ、結衣さん。
外見だけでなく、一つ一つの所作も綺麗でさ、the儀式って感じ、神前式列席を選んで正解だったかも。」
「いえいえ、教会での式も素敵だったわよ、映画のワンシーンを見ている様で。」
「はは、そのまんま映画のワンシーンだって忘れてたの。」
「あっ、そうだった。」
「お前が、口を開けて見とれてる姿はなかなか良かったから映画に使われるかもな。」
「え~、そんな~、お嫁に行けなくなる~。」
「大丈夫、そんなあなたの事を見守ってくれてた史郎くんがいるじゃない、美しい花嫁よりあなたの事を見てたそうだから?」
「えっ、い、いや、その…。」
「でも、あんな素敵な結婚式を見せられると私もって気になるのよね。」
「うん、私は二人だけの結婚式を少し離れた所から見させて頂いたけど、見ていてドキドキして、最後は感動して涙が出て来たわ。」
「演技とリアルの融合?」
「そうなのかな、生の映画を見てる感覚だったかしら。」
「映画の中でも一番のシーンだからな、準備は大変だったけど、こうして感動してくれる人がいたのなら俺達も頑張った甲斐が有るよ。」
「有難うね、私なんてスタッフでもないし、岩崎姓を選ばなかったのに姉妹の一人として列席のチャンスを貰えて。」
「気にするな、姉妹が遠くから来てくれただけで充分嬉しい、結衣さんもすごく喜んでくれてたそうだよ。」
「新しい我らが美人姉妹誕生に、もう一度乾杯だな。」
「かんぱ~い。」
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157-披露宴 [岩崎雄太-16]

披露宴は結婚式の翌週、盛大に執り行われた。

「思ったより二次会に残った人多いな。」
「さすがに結衣さんのお知り合いは芸達者ばかりというかプロばかりだもの、この後のプログラムを知っていたら簡単には帰れないわ、ひいお爺さまはさすがに帰られたけど、お爺さまもまだ楽しんでお見えでしょ。」
「披露宴ってもっと長いものかと思ってたがきっちり二時間で終了したな。」
「途中退席という事は失礼と考えられているそうでね、でも今回は撮影の関係も有って長くやりたいじゃない、それで一旦区切って、そこからは自由参加の二次会扱いにしたのよ、何時でも帰れるのは疲労宴にしない為の配慮でもあるの。」
「そうか、確かに宴会でも長引けば疲れるだろうな。」
「でも撮影の関係で空席は増やしたくない、という事でホールを手伝った私達が、お客様に早変わりという事情よ。」
「準備が大変でそこまで意識が回ってなかった。」
「私達が抜けた部署へは別室のモニターで披露宴の様子を見ながら食事してた人達が入ってくれたから安心してね。」
「自分はただのホール係として応援に呼ばれた形だけど、撮影も有って、この規模だと本当に大変なんだな。」
「でも、大好きな譲治兄さまと結衣さんの披露宴、みんな喜んで準備してきたの。」
「その気持ちは俺だって同じさ、来られて良かったと思ってる、留美とも久しぶりに会えたし。」
「うん、留美はしばらく見ない内に一段と綺麗になったな。」
「有難う。」
「今、付き合ってる奴とかいるのか?」
「いえ、空き時間は自分のトレーニングに充てて来たから。」
「おいおい、お前ら、留美が戸惑ってるだろ。」
「いや、俺は留美に会いたいと思って有給使ってだな。」
「君達、ここには留美だけじゃなく弘美さんもいるのよ。」
「弘美さん? 誰だっけ?」
「私よ! 訓練校で一緒だったでしょ。」
「お前…、また太ったのか…。」
「島根にいた頃は小太りのおバカだったのが…。」
「健康に気を付けろよ、悪い事は言わん。」
「う、うん、留美、心配されちった。」
「普段から言ってるでしょ、食生活を見直さないとだめって。」
「御免、弘美、俺にとっては留美との貴重な時間なんだ、なあ留美、俺と付き合ってくれないか?」
「断じて許さん、留美はお前ごときが付き合える相手ではない。」
「そうだぞ、留美は俺とだな、な。」
「ちょっと待って、三人から告白されて微妙だけど、あなた達もドラマは見てるのでしょ、あの場に私の彼氏役として加われるだけのものを持ってるの?」
「い、今はまだ…。」
「(仮)の取れたばかりの、岩崎結衣一座は甘くないの、もう素人のお芝居ではない、だから私達は必死の思いでトレーニングに励んでいるのよ、私だって大勢の方に応援して頂いてる立場なのよ。」
「という事で、留美とお付き合いするのは簡単ではないのです~。」
「まあ玉砕覚悟では有ったが、こいつらに取られなかっただけでもよしとするか、ずっと応援して行くよ、留美。」
「そうだな、留美の真剣な思いも聞かせて貰えたし。」
「では、三人でやけ酒と行くか。」
「最愛の留美にかんぱ~い。」
「かんぱ~い。」

「君達、今のシーン放送で使っても良いかな?」
「えっ、え~!」
「もちろん断れないわよね。」
「しまった~、そうと分かってればもっと恰好良いセリフ用意したのに。」
「だめよ、それじゃあリアルじゃなくなってしまうもの。」
「まあ最愛の留美ちゃんとの良い思い出になるだろ、確定したら連絡を入れるよ。」
「はい…。」
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158-新婚旅行 [岩崎雄太-16]

新婚旅行は随分異例なものとなった。
CM撮影、映画撮影、テレビ番組向け観光案内の他、各国の社会福祉の現状を日本に伝えるという固めの番組も作成、その傍ら日本から送られて来る映像をチェックして必要が有ればアドバイスも送っている。

「結衣、ファミリーの舞台チームは頑張ってるみたいだな。」
「ええ、しばらく試行錯誤してみるとは聞いてたけど、私達が外れるのは良いタイミングだったのかも、今までは譲治に頼り切ってた所もあったわ、みんなの譲治兄さまが私だけのものになったから、自立して貰わないとね。」
「はは、まあチームとしての厚みは作って行きたい所だからな、違った活動も視野に入れてね。」
「やはり社会福祉?」
「ああ、国によって随分差がある、それぞれの事情も違うが日本だってもっと充実させる事は可能だと思う、親父さんはグループ企業という枠内だがそれを実現している、それをもっと広げて行きたいと思わないか。」
「企業体と言っても人口の少ない国と比較したら国と言ってもおかしくないレベルなのよね。
国が税金使ってやってる事を、お父さまは企業の代表として推し進めてこられた、残念なのはなかなか広がらないことよね。」
「私利私欲の人が多いのだろうな、政治家だって能力が低くても人気取りがうまければ当選してしまう、能力どころか人間性に問題が有りそうな人もね、貧富の差を拡大させてきたのは経済人に依る所も大きいだろ。」
「その辺りをどう表現し訴えて行くかが問題ね。」
「親父さんも関わった、秋山史枝市長の所が実績を上げてるだろ、そんな所を広く紹介して政治経済に興味を持つ人を、もちろん社会福祉にも目を向けてくれる人を増やして行けないかな。」
「難しそうね。」
「まあ、お堅い形でなく頑張ってる地方都市にスポットライトを当てるだけでも良いのかもしれないが、何にしても俺達ももう一度学習し直すというか、外国の事情に接してみて…、う~ん、視聴者の皆さんと一緒に学習して行くという感じか…。」
「そうね、岩崎ファミリーのメンバーは公的な福祉のお陰で救われた人が多いのよね、その意味を検証しながら、お父さまの援助を必要とした事も…、ここまでドラマも映画も不幸な場面控え目の娯楽路線だったから、次の映画も暖ったかファミリーをイメージしてたけど、その前にシリアス社会派を挟む余裕は有ると思う…。」
「多くの人に見て頂ける様にバランスを考えたいな。」
「そうね、もう少し練ってから脚本とか考えて貰う様指示を出すわ。」
「秋山市長への協力要請は里美姉さんにお願いだが、シリアスな映画だと、うちのメンバーでは荷が重いかな。」
「そうね、オーデションをしましょうか、でも私の相手役は譲治よ。」
「荷が重そうだな。」
「女優だと既婚者でも他人とのラブシーンが有るけど、私は嫌なの、公私何時でも仲良し夫婦、万が一譲治に嫌われる事になっても、そんな夫婦を演じてでも…。」
「はは、俺も嫌われない様に気を付けるよ。」

長期間の新婚旅行は仕事の場でも有ったが、二人の距離が更に近づく機会でも有った様だ。
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159-新生活 [岩崎雄太-16]

新婚旅行から帰国した二人は岩崎村に落ち着く事に、譲治にとっては島根を出てからの長い旅に一つの区切りを付ける事となる。

「譲治さんの荷物ってこれだけなの?」
「ああ、ずっとホテル暮らしだったから私物は必要最小限にしてた、結衣は実家からの荷物どうなってる?」
「そこなのよね、物が多いと片付かないし、私も最低限からにしておこうかしら。」
「衣装センターまで恥ずかしくない恰好で行ければ、後は衣装部のスタイリスト任せだからな。」
「はぁ~、気分はすっかり着せ替え人形だったのですけど。」
「うんうん、俺は簡単だったけどお嫁さんはそうもいかなかった、でも、あちこちから売り上げが上がったとの感謝の言葉を頂いてるのだろ。」
「結婚して私の商品価値ってどう変わるのかしら…。」
「まだ二十代前半、女優としても映画監督としてもこれからだと思うな。」
「どちらも多くの人の支え有っての事よね、監督と言っても実際はスタッフ代表みないな立場だから。」
「結衣にその気持ちが有るのなら次の映画も大丈夫だな、でも、欲張って映画撮影二本同時進行プラス、ドラマだけど大丈夫か?」
「台本さえしっかりしてれば大丈夫よ、一本はシリアスな映画のメイキング風景も利用してのコメディ、ドラマは、これからの生活を見て頂く事をベースに制作して行く…、岩崎結衣一座の公演はゆっくり再開だけど、一座の団員たちは正平さんの公演だけでなく活動の幅を広げつつあって、楽しみだわ。」
「そうだな、彼等にも頑張って貰わないとな。」
「ダブル主演だから譲治さんも頑張ってね。」
「ほんとに俺で良いのか? もっと経験豊富な俳優さんにお願いした方が良くないか?」
「譲治さんが良いの、力みのない演技も好評よ、私も他の人との演技よりやり易いし、私が他の人とのカップル役を演じたら、見てる人達だって私が浮気してるような感覚になるわ。
公私共にベストなカップルと思って頂けたら好感度も上がるでしょ。」
「する気はないが、絶対浮気出来ない状況か、悪くないな、親が離婚してという兄弟も少なくない。
そんな親にはなりたくない…、う~ん今は結衣の事しか見えてない、今の内からこの気持ちを死ぬまで持ち続ける事が出来るように二人で考えるというのも有りかな。」
「そうね、離婚する様な人達だって始めはラブラブだったでしょうから。」
「人それぞれだが、より強い子孫を残そうという本能的な部分で浮気したり、子どもが出来れば男は必要無くなるとか、それぞれを動かす要因は色々有るだろうが…、まあ先は長いからじっくり付き合って行こうか。」
「ええ、でも、私達って、人の目にはどんなカップルに映っているのかしら?」
「う~ん、今までの経緯は皆さんご存知だけど…、人前ではどんな夫婦なのか混乱させて上げるのも、話題作りとしても、お遊びとしても面白いかな。」
「日替わりで色々演じ分けるの?」
「ああ、亭主関白の日が有ったり、かかあ天下の日が有ったり実際の所を掴めさせず、実は普通の仲良し夫婦。」
「プライベートに関する質問に対しては、気まぐれなのです、とでも応えておきますか。」
「ドラマの演出としてはどう?」
「行けると思うわ、追求されたら夫婦円満の秘訣とか適当な事を言って誤魔化せるわよ。」
「じゃあ今日はこの後どうする?」
「亭主関白でお願いします、私の旦那様。」
「じゃあ、玄関を出たら三歩後ろから荷物を持ってついて来るって体か?」
「ふふ、私の奥ゆかしさを見せつけてさしあげますわ。」
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160-再構築 [岩崎雄太-16]

譲治達が岩崎村に落ち着いた頃、村にスタジオが完成した。

「お父さま、素敵なスタジオですね。」
「だろ、ここは結衣の為に作った様な物だから好きに使ってくれな、屋外で映画のセットを組む場所も将来観光名所にしたいと考えてる連中が確保したからな。」
「親父さんは結衣に甘いから。」
「譲治、これから娯楽作品だけでなく社会問題ともしっかり向き合って行くのだろ、そうなると収益的には難しくなるかもしれない、だが、今必要なのは国民の意識改革だと考えている、お前達二人なら私利私欲に走る事無く、ゲスな話題を提供する事もなく、真面目に取り組んでくれると思っている。
私と明香だって最高のカップルさ、でも国民にとって今最高に幸せそうなカップルと言えばお前達の他にはいないだろ。
そのカップルが幸せな人を増やす取り組みのシンボルとなって動き始めてくれる、父としてこんなに嬉しい事はないぞ。」
「う~ん…、目先のコストではなく、将来へ向けての啓蒙活動に価値を見出して下さったという事ですね。」
「ああ、社会問題と言われている事は幅も広く単純な事ではない、相互に問題が絡み合っている分野も有る、大学の社会問題研究所も利用してくれな。」
「それで、スタジオは研究所の近くに建てたのですか。」
「まあ、研究所の連中に違った刺激を与えたかったという事も有るがな。」
「ふふ、譲治さんとのいちゃいちゃを見せつけてあげましょうか。」
「はは、これからは研究所の連中も必要が有ればどんどん使ってやってくれ、彼等もより良い日本を、政治的宗教的に偏らない形で模索してる真面目な連中なんだ。」
「そうなると…、今後の取り組みに向けてうちのメンバーとも交流の場を設けないといけないですね。」
「その辺りは恵子が中心になって進めている筈だ、パリからのメールに対して、動かねばと思ったそうだぞ、詳しい返事を受け取ってなかったのなら、それは彼女なりの気遣いだろう、新婚旅行のじゃまをしない様にとな。」
「里美姉さんからは、組織を組み直し今後の方針や流れの案を作ってから相談しようと、それまではゆっくりしてて良いからと言われてます、映画監督は色々構想を練っておられますが。」
「それまでとは言わず、ゆっくりしてて良い、譲治がトップなのだから全部任せてな、里美もそのつもりだから心配しなくて良いぞ。」
「親父さん同様のスタンスを自分がとっても問題はないですか?」
「大丈夫だろう、対外的には株式会社岩崎常務取締役に就任して貰いたいが、岩崎ファミリーの長男として皆をまとめて行って欲しいと考えている。」
「取締役ですか…。」
「まあ、名前だけだよ、他の企業ほどの高給取りにはならない、その分ゆったり、じっくり取り組んで欲しいかな。
組織の再構築が進んだら、株式会社岩崎から芸能関係を独立させ新会社の社長には譲治をと、里美達は画策してる。」
「分社化のメリットとデメリット…、確かに組織の再構築は必要でしょうね、自分も考えてみます。」
「この機会に株式会社岩崎全体の業務に関しても見直してくれないか、そのまま次期社長を目指してくれても全く構わない、というより支えるから譲治にお願いしたいという声も多くてな。」
「はは、自分みたいな若造でなくても力の有る人は少なくないでしょうに。」
「佐藤社長も優秀な方だが、その彼が会社のシンボルとして譲治が適任だと話してくれてね、ご本人は副社長になりたいと。」
「私も譲治が社長になる事に賛成よ、会社のイメージアップに繋がるだけでなく、それだけの魅力も力も有るもの。」
「という事だ、優秀なスタッフがいるから心配いらない、情報は小出しにして世間の注目を集め続けていこう。」
「分かりました、じっくり考えてみます。」
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