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岩崎雄太-13 ブログトップ

121-演技 [岩崎雄太-13]

オフの日、手の空いてるスタッフが集まって譲治の話を聞いた。

「趣旨は分かったわ、じゃあ私が譲治の恋人役になれば良いのね。」
「勝手に決めないでよ、身長的には私の方がバランスがとれてるわ。」
「あらっ、お子様たちは譲治の妹にしてあげるわ、年上の魅力ってのをミステリアスに表現してあげるわよ、わ・た・し・が、ねっ、譲治。」
「だめですよ、恋人は年下じゃなきゃ、でも私は妹キャラで行きたいかも、お兄さま大好き妹キャラ。」
「年下じゃなきゃというのは歪んでるし、みんなベタよね、私は譲治の命を狙う敵国のスパイという設定で攻めるわ。」
「お前はどういう妄想を膨らませてんだ、大体、正平を置き去りにしてないか?」
「それは問題ないわよ、正平はとにかく歌の担当、ステージはみんなで作って行かないと、この先きつくなるわ。」
「だな、正平に沢山の段取りを教え込むのは無理が有る、かと言って歌だけではな、ブランドの服をアピールする必要も有るし。」
「ねえ譲治、どうまとめて行くの、このメンバーを。」
「ひとまず全員が自分のやりたいポジションについて考えてみたら良いと思うよ、あっ、命を狙っても良いがほんとに攻撃して来るなよ。」
「秘密を探るのは有り?」
「知らなきゃ良かったって秘密を用意しようか?」
「うっ…。」
「正平が歌ってる曲で、葵姉さんと譲治の絡みに合いそうなのが有るわね、場面を想定してブランドチーフと相談しようか?」
「そうか、正平が歌ってる曲からイメージして行けば良いんだ。」
「健康的な同級生。」
「別れた…、あ~、哀しいヒロインにはなりたくないかも。」
「大丈夫、あなたには似合わないから、私がやったげる。」
「そう言うあなたはもう少し体型を気にしなさい…、哀しい程イメージから遠いわよ。」
「そうね、舞台を見たお客さん達のイメージが良い形で広がる様に、私達が素人だという事は理解して頂くとしても出来る範囲でレベルを上げて行きたいわ。」
「今までは商品サンプル着て立ってるだけみたいな感じだったけど、売り上げアップを考えたら一歩踏み込んだ演出を考えるべきなのね。」
「そういう事だ、バックのメンバーも前面に、例えば元気な妹キャラならそれに合わせた衣装を着てアピールとか、まあ全員というのは大変だろうから、特に注目して貰うメンバーを選ぶ事になるが、それ以外のメンバーも、自分がどういう立場なのか意識して衣装やメイクに気を付けて欲しいかな、例えば担当がグッズ販売だったとしても、正平を支える姉とか妹とか、お客さんと会話する事が有ったら弟をよろしくお願します、みたいな感じでさ。」
「譲治先輩に頼まれたら断れません。」
「ふむ、後輩キャラなら今よりもう少し可愛さを前面に出した衣装にしようか。」
「葵姉さんはもっと、色っぽくて妖艶な感じですか?」
「譲治とのバランスが悪くならない程度にね…、デザイナーチームと相談した方が良いわね、譲治。」
「そうですね、お願いします、みんなはスタッフ全員が素敵なファミリーを演じる事を考えてくれないかな、あまり現実離れしてしまうと無理が出るから、現実から遠くならない様に気をつけて。
仲が悪いとかはイメージダウンになるから、実際に仲の悪い人達はこれから構築していくバーチャル空間では仲良しとまでは行かなくても争わない設定にしてくれないか。」
「何か楽しそう、演劇って憧れてたけど自分とは遠い世界だった、私、ここでは違う自分になっても良いのよね。」
「良いけど、演じ続けていると、それが本物になる、嫌な女を演じるなよ。」
「はい、譲治お兄さま、妹として恥ずかしくない様にします。」
「上品さに磨きを掛けろよ、黙っていればそれなりなんだから。」
「は~い。」
「ふふ、家族ごっこなのね、譲治。」
「ええ、正平に興味を持ってくれた人達は、その背景も知りたくなるでしょう、そこで演じられている世界観もひっくるめてファンになって貰おうと思います。
その世界に入りたくなれば、うちのブランド品を買う事になります、上手く行けば儲かりますよ。」
「ふふ、お主も悪よのう。」
「姉さん、そこは違いますよ、えっと…、あなたって罪な人ね、とか…。」
「それも違う、ただ、譲治兄さんは、もっとクールな感じで話してくれると…、私達の裏ボスなんだから。」
「譲治、漠然とだけど設定を思いついた、俺の方で、文章化して共有出来る様にしてみるよ。」
「拓也は売れない貧乏作家という設定なのね…、貧乏くさい登場人物は要らなくない?」
「おいおい、俺を勝手に貧乏設定にするなよ。」
「譲治先輩、私も舞台の演出に参加させて貰えませんか。」
「ああ、兎に角役割分担はみんなで考えて行こう、これからは無料ライブばかりでは無くなるから、さらに気を入れないとね、台本も必要になるだろう。」
「台本を貧乏作家に任せるの?」
「まだ全部白紙だな…、しばらくは総合演出としてみんなの案を俺の方でまとめて行くよ、みんな頼むな。」
「もちろんよ、私達の目標に向けて頑張るわ。」
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122-チケット [岩崎雄太-13]

譲治が運営のメインに加わった事でスタッフは活気づいた。

「聡志、譲治に頼んで良かったね。」
「ああ、俺の負担がかなり軽くなった、裏方の仕事を落ち着いてやれそうだ、京子の負担も減ったろ。」
「ええ、譲治が皆に我儘を言えない雰囲気を作ってくれてる、でも、今まで彼がやってた作業は大丈夫なの?」
「テレビ局の紹介で手慣れた人を株式会社岩崎の従業員という形で雇う事になった、今後はスーパーでのイベントが減って、ホールでの演奏が増えるだろうと考えて、前から相談はしていたんだ。」
「当初企画してたライブは全席売れてチケット収入も嬉しいけど、追加公演のチケットは…、譲治発案のネットオークション、実現しそうなの?」
「基本的なシステムは出来てるそうで、もうすぐ売り出し開始だよ、上手く行きそうなら転売屋対策の一つとして利用して貰えないかと目論んで他へも情報を流しているそうだ。」
「転売目当ての買い占め対策か、でもチケット価格が高騰しないかしら。」
「それだけの人気が有るなら市場原理で良いだろ、正当に評価された金額が正当にコンサート運営サイドに渡るのは何ら問題ないと思う。」
「そうか、運営とは関係ない人が売る為だけにチケットを購入してる現実を考えたら…、運営サイドも予定以上の売り上げになったら、寄付するとか考えれば反発もなく実現出来そうなのにね。」
「確かにそうだな、チケットオークションシステムの営業担当に提案してみようか、うん、全部のコンサートでは難しいかもしえないけど、そういう形もファンに対して提案出来るアーティストならいると思うな。
まあ俺達の場合は正平の今の人気度がストレートに分かるというメリットが重要だけどね、広い会場でも空席が出来にくいだろうし。」
「オークションで幾らぐらいに落ち着くのかしらね。」
「これからの活動次第だろうが、譲治は赤字にはならないだろうと話してた、多少高くても来て良かったと思えるステージを続ける事が前提だけど。」
「不正対策は?」
「個人でオークションに参加出来るのは一枠のみ、つまり一人席かカップルシートのどちらか一つにしか参加出来ないというシステム…、ネットオークションとチケット販売のルールを考えて構築してるそうだ、まあ実際に運用してみないと分らない部分は有るだろうね。」
「そっか、ねえ寄付の話をするのなら、そろそろ私達の純益が児童養護施設の運営費に充てられる事を公表しても良くないかしら。」
「そうだな、次の収録分が譲治のテレビデビューになる、タイミング的には問題ないと思うよ。」
「じゃあ、譲治達と、もう一度相談しておくわね。」
「頼むよ、立場上は俺がリーダーだけど仕事は裏方、設定上は裏のボスだけど実質は表の顔である譲治、あいつの方がルックスもトークもテレビ向け、何かいい形になって来たよな。」
「そうね、でも役割分担が上手く回り始めたからって気を緩め過ぎないでね。」
「分かってるよ、馬車馬のように働くさ。」
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123-開演前 [岩崎雄太-13]

島根、鳥取、岡山、兵庫と旅は続いている。
岡山、兵庫辺りからはスポンサー企業関連の従業員やその家族を対象としたステージの割合が増えている。
当初、工場の食堂を予定していたコンサートの多くは、市民ホールなどへ切り替えての開催。

「平日だと千人規模のホールでも空きが多いそうで、助かったわね。」
「ああ、食堂でやるより準備も簡単に済む、会場費はスポンサーが負担してくれるしな、今日は午後、明日は夜間の連続公演だけど、どちらも満席で協力して下さったスポンサー企業の方々からは立ち見も出そうと聞いてるよ、テレビ出演の効果だろうな。」
「先回のホールでは、譲治のトークでグッズが売れまくってたわね、今回も行けるのかな。」
「昼間の公演後は販売時間に余裕があるから一気に黒字幅を広げたいな、頑張ろうぜ。」
「今日も入場開始から、舞台上は事務室の設定なの?」
「ああ。」

ホールの扉が開けられ観客の入場が始まる頃、舞台上には机と椅子が用意され譲治達の小芝居が始まっていた。

「葵さん、正平のメイク済んだのですか?」
「もちろんよ、ま、お肌も若いから簡単に済んじゃうのよね。」
「だからって、譲治兄さまに色目を使いに来ないで下さいよ~。」
「何、僻んでるの、周りがお子ちゃまばかりじゃ譲治が可哀そうじゃない、そうでしょ、譲治。」
「葵姉さん、もう直ぐ始まるんだから、少しは緊張感を持って下さいよ。」
「う~ん、譲治はもう少しクールな感じを強調した方が良いかもね、ちょっと待ってて。」
譲治の髪を整え直し、少しメイクを施す葵。
「どう? 美沙。」
「そうね、悪くないわ。」
葵と美沙は譲治に両側からすり寄る。
「お前ら俺を玩具にしてないか?」
譲治は会場に目をやり。
「そろそろ、お客様も入り始めてるぞ、美沙、準備の確認を。」
「はい、お兄さま。」
美沙は携帯で連絡を取る、実は演技でなく実際に担当者に確認を取っていた。
「お兄さま、今日は立ち見の方が多くなりそうだとの事です、それとグッズの販売は一旦終了するそうです。」
「そうか、この会場だと…、誘導担当に立ち見の方の身長差を考慮して誘導する様に指示を出してくれるか。」
「はい。」
「グッズ販売は終了後に充分な時間が有る、大丈夫だろう。」
「譲治、コーヒー入れたわ。」
「有難う姉さん、あっ、正平は、どうでした?」
「何時も通り、馬鹿か天才か分からない感じだったわ、でも、ちょっと史枝が甘やかし過ぎてる気が…。」
「いや、皆さんのお陰で演奏会の規模が大きくなり、回数も増えている、はは、史枝は里美姉さんにしごかれてるから、正平の面倒を見る事でストレスを発散してるのですよ。」
「あの二人は良く分かんないのよね、実際。」
そこへ。
「開演十分前です、正平を連れて来ました。」
「ああ、紗友里有難うな。
正平、今日は三つの企業の方々が我々の為に尽力して下さった演奏会なんだ、もちろん俺達のお父さまもお世話になっている、何時も通りの演奏頼むな。」
正平は笑顔で頷く。
「紗友里、今日のバックは?」
「ギタリストとピアニストが一人ずつ、準備も済んでいます。」
「そうか…。」
譲治は、立ち上がり舞台中央へ、そして客席に向かって。
「本日はお忙しい中、岩崎正平のステージへお越し頂き誠に有難う御座います、総合演出担当の岩崎譲治です、宜しくお願いします。
まだまだ、経験も浅く不慣れな我々ですが、正平中心に実験的なステージにも挑戦させて頂いております。
こんな実験的な事が出来るのも、私どもの父を通して繋がりの有る皆さまだからこそです。
会の途中には会場の皆さんと共に歌うという企画も有ります。
限られた時間では有りますが、しばし岩崎ファミリーの一員となって最後まで楽しんで頂けましたら幸いです。
では、開演時間となりましたので…。」
譲治は椅子に座り。
「紗友里、伴奏ギタリストのオーデションを始めるか?」
「はい。」
ギタリストが演奏しながら入場、しばらく演奏した所で、正平が歌い出す。
シンプル故に心に滲みる二人の演奏を、舞台上の面々も聴き惚れる。
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124-ステージ [岩崎雄太-13]

曲が変わる毎に舞台上の光景も変わって行く。
舞台上のモデル達は曲に合わせた衣装で背景として動く、曲の邪魔にならない程度で自分達の人間関係がそれとなく分かる様に表現しながら。
観客は、そんな舞台からイメージを膨らませる、今まで得て来た情報通り、あの二人は仲の良いカップルなんだとか、あの二人はライバル関係なんだとか。
リアルとバーチャルの入り混じった空間を正平の歌と共に楽しんでいる訳だ。
こんな形の第一部、懐メロパートが終わると、第二部はみんなで歌おう、勝次と綾香がスーパー銭湯ホールのノリで進行、この二人の師匠は詐欺師のおっちゃんだ。
彼等のトークとバラエティに富んだ選曲が功を奏し毎回好評。
そして第三部は懐メロで始まり、途中からオリジナル曲となる。
舞台上は正平と史枝、伴奏者のみ。

「史枝の奴、今日も絶好調だな。」
「ふふ、セリフこそないけど普段通りなのよね、着方がだらしないって怒って直してたり、正平にしがみついて甘えてみたり、見ていてドキドキさせられるというか、何かな二人に対して色んな感情が湧いて来るのよね。」
「二人を守ってあげたい…、二人の世界に対する憧れや嫉妬…。」
「演じてるのか自然なのかさえ分からないよな、歌詞に直接合わせてる訳じゃないけど、歌の世界観そのまま、二人の普段の知ってるだけに尚更不思議な感覚になるのかな。」
「正平は慣れてきたな、始めの頃は史枝しか見てなかったけど、客席へも視線が移せる様になった、史枝はずっと正平だけを見てれば良いけど、あいつはお客様にアピールする必要が有るだろ。」
「譲治が仕切り始めてから、ぐっと良くなったわね、正平も何故か譲治の言う事は素直に聞くのよ、史枝が言っても聞かない時が有るぐらいなのに。」
「正平の持つ野生の本能が逆らってはいけないと教えているんじゃないのか。」
「ふふ、史枝には甘えて良いって本能的に感じてるって事なのね。」
「でもさ、アイドルのファンって仮想の世界で自分の彼女、彼氏と描いてるのでしょ、この売り出し方ってどうなのかしら。」
「メインターゲットが中高年だから、子や孫が幸せにしてるという感じで良いんじゃないのか。」
「うん、正平単独で歌手として売ってくには無理が有るから、これからも岩崎ファミリーで色々模索して行くしかないだろうな。」
「伴奏は今のままシンプルなの?」
「本人は気にしていないみたいだな、まっ、経費が掛かんなくて良いんじゃないか。」
「知名度を上げる事に成功すれば色々変わって行くのよね。」
「でも一発屋的な成功ではなく、末永く愛して貰いたいわ、大阪が一つの勝負になるのかしら。」
「シングルCD、オリジナルアルバム、カバーアルバム、DVD、ブルーレイ、一気に作って大丈夫かな、里美姉さんの思惑も絡んでるとは聞いてるが。」
「ツアーで売れる商品を充実させる為だけではないそうだが…、始めはシングルCDだけで予定を組んでいたけど、まあ里美姉さん絡みなら損益分岐点を考えた上での事だろう、爆発的に売れなくてもコツコツ売って行けば良いのさ、テレビ出演もしばらく続くそうだから、それなりに売れるだろ。」
「でも視聴者受けしそうなネタを出し続けて行かないとだめよね。」
「譲治兄さんはまだまだ案をお持ちの様ですよ。」
「そうか、俺達も…、おっともう直ぐフィナーレだ、しっかり締めくくってグッズ販売頑張ろうぜ。」
「ええ、弟や妹が増えても大丈夫な様にね。」
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125-販売 [岩崎雄太-13]

終演後、グッズ販売のコーナーもFamily IWASAKIの試着販売コーナーも賑わっている。
それはステージに立っていたメンバーが積極的に客と触れ合っている事も大きい。

「うわ~、美沙ちゃん、近くで見ても可愛い~、ねえねえ、譲治兄さまはどんな人なの?」
「え~と、優しいけど、たまに、ずるします。」
「へ~、どんな?」
「みんなで平等に分けてる筈なのに、気付いたら好物をしっかり多めにキープしていたりとか。」
「はは、クールな感じなのにね。」
「ごまかしてるんですよ~。」
「ねえ、美沙ちゃん、私が譲治くんと美沙ちゃんのお姉ちゃんだったら、どっちが似合うと思う?」
「はは、あんたは、お姉ちゃんじゃなくお婆ちゃんでしょうが。」
「ふふ、歳の離れたお姉さんなんですね、今日の私達の衣装は普段着とそんなに違わないんです、試着して、一緒に写真撮ってみませんか。」
「えっ、良いの?」
「もちろんですよ、譲治兄さんも…、あ~ん、また葵さんがくっついてる…。」
「ライバルが多いのね、でも兄妹だから。」
「その点だけは大丈夫なんです、私達全く血の繋がりが無いので結婚の障害は…、ライバルの多さだけなんです~。」
「そっか、私も血の繋がりのない姉だから…、試着してくるわね。」
「はい。」
「ねえ、岩崎社長は父親としてどうなの?」
「お父さまですか、一緒に居る時間は短いですが心の支えです。」
「お子さんが三百人だったかしら、兄弟が多すぎてイメージ出来ないわ。」
「戸籍上はそれぐらいですが、でも何か有った時に家族として守って行こうと思ってみえる人数は数え切れませんよ。」
「あっ、忘れてたわ、私もその一人、社員や社員の家族も大切な人って話して下さってたわね。
ふふ、私は厚かましくないから美沙ちゃんの伯母かな、よろしくね。」
「はい、よろしくお願いします。」
「あら、あなたのお父上より年上で歳のうんと離れた、厚かましい自称姉が来たから私も選んで来るわね。」
「はい。」

正平と史枝はこの場にはいないがモデルメンバー全員で販売会場を盛り上げている。
一緒に服を選んだり、写真を写したり。
利益の一部が児童養護施設の運営予算に充てられると知られている事も有ってか、売り上げは大きい。
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126-ファンクラブ [岩崎雄太-13]

ファンクラブの名称は岩崎ファミリーとした。
メインはもちろん正平だがモデル達の人気も上がって来ている。
聡志。

「京子、ファンクラブの方はどうだ?」
「入会金や年会費を安く抑えた結果だと思うけど、順調に増えてるわ、ただね正平のファンより、譲治のファンの方が多いかもしれないのよ。」
「譲治の目論見以上ということか、ならFamily IWASAKIも売れてるという事だな。」
「ええ、カップルで写したサンプル写真や動画で譲治の相手をした人達が着ている商品中心にね。
美沙、紗友里、美里姉さん、葵姉さんの他、村から綺麗どころの姉さま方を選んで掲載した結果、幅広い層に訴えかける事に成功したわ。」
「そう言えば、お婆さんとの写真もあったな。」
「生産体制を強化して来たから何とかなってるそうだけど、総合的に考えてこのツアーは黒字になりつつあると考えて良いかもね。」
「この調子ならDVDやブルーレイも売れそうだな。」
「そのままFamily IWASAKIの宣伝になるわね、グループ企業関連だけでもかなり買って頂けそうなだけに質は落としたくない、というより上げて行きたいわね。」
「でも、正平に関しては微妙なんだよな、プロ意識が強い訳でもない、今は、馬鹿か天才か分からないを一つの売りにしているけど、ほんとに解らない。」
「ステージには喜んで立ってるし、史枝がいるから大丈夫だと思うけど…。」
「DVDの制作は岐阜のイベントチームと合同だろ、そこで何かきっかけが掴めないかな。」
「ローカルだけどプロとして活動してるのよね、上手くかみ合えば相乗効果も期待出来るとは思うけど。」
「手を組めばお互いのファンクラブで紹介し合う事にもなるからな。
彼等の衣装は岩崎村の方でFamily IWASAKIブランドの基本デザインに合わせたのを、兎に角大阪で合流するまでには完成させるそうだ。」
「Family IWASAKI直営店もイベント広場の近くに開店すべく準備中なんでしょ、大変そうね。」
「ここまでの実績から判断して、あちこちで増員を進めているそうだよ、田舎に仕事が増えているという事だな。」
「うちも職業訓練としてでなく、就職先としても児童養護施設に募集情報を流し始めたけど…、まだ収入に安定感がないのよね、正平とFamily IWASAKIが頼り、今は応援も多いけど…。」
「スタッフも多いからな、とにかく真面目にやってくしかないよ。」
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127-CM [岩崎雄太-13]

大阪での公演はDVDなどの制作期間を挟む為一時中断、一部のスタッフは一旦村へ帰った。
残ったモデル達はプロの指導を受けたり撮影に臨んだり、正平は岐阜から来たバンドマン達と打ち合わせや練習、録音と充実した日々を送っている。

「史枝、正平はバンドメンバーとはどうだ?」
「うん、何か馴染んでる、バンドの人達には兄の様に接して下さいとお願いしておいたのだけど、暖かく包みつつ、プロとしての心構えを仕込んでいるって感じかな。」
「良かったな、少し安心した、俺では音楽的な部分とかは手助けしてやれなくて。」
「ふふ、でも正平は譲治の事、兄ちゃんってあんな感じなのかなって話してたわよ。」
「はは、で、史枝は姉なのか恋人なのか、実際どうなんだ?」
「えっ。」
「そろそろ、結論を出しても良いんじゃないのか?」
「うん…、自分でもよく分からなくてさ、正平の事は大好きだけど自分達が結婚して子ども作ってって分からないじゃない。」
「もう少し時間が掛かるという事か、まあ結婚は兎も角、恋人である事に違和感はないのかな。」
「そうね。」
「ならば見守って行くよ、何か有ったら相談してくれな。」
「うん、あ~、譲治はこんな感じで女心をくすぐってたんだ、ふん、私には正平がいますからね。」
「おいおい、これぐらいの事でくすぐられてるんじゃないぞ。
正平のファンだって着実に増えてるが大丈夫なのか。」
「あ~ん、そこなのよ、変な女が現れたらどうしよう。」
「そうならない様に、恋人設定にしてる訳じゃないか。」
「うん…。」
「史枝、里美姉さんの動きは知ってるだろ。」
「もちろんよ、私が絡むとややこしくなるから、私はそこから離れたポジションでグループ企業間の連携を進めてるけど。」
「ああ、里美姉さんも褒めてた、異業種でも同じエリア内を地盤にしている工場とかに交流の場を作って婚活を盛り上げたり、仕事面でも協力体制を模索すべく指示を出しているのだろ。」
「里美姉さんのやってる事に比べたら大した事ないのよ。」
「それでも正平関連で時間調整しながらだからな。」
「ふっ、それぐらい出来なきゃ里美姉さんとは働けないのよ。」
「かもな、なんたってCMの仕事を決定させたそうだから。」
「えっ、成功したの? この前は、珍しく弱気なことを話してたのよ、姉さん。」
「当初の構想からすれば、まだまだなんだってさ、それでも大企業の広告塔に俺達がなる訳だ。
俺達が作り出してる世界観をベースにしてな、俺もだが正平と史枝はその中心となる。
その世界をハッピーエンドにしたいと考えてる人は少なくない、だがそれは史枝から恋愛の自由を奪いかねないのだが…、正平と別れるというストーリーの可能性は否定できないだろ。」
「やめて! そんなの嫌、もう一人は嫌なの、正平を私から盗らないで! 正平だけが私を…。」
「はは、もちろんさ、その代わり浮気は許さないぞ。」
「えっ?」
「すでに、多くの人の願望なんだ、史枝と正平が幸せになってくれる事が、そう思う人はこれからどんどん増えて行くだろうな。
そうなった頃、史枝の前に正平とは全く違うタイプだが、史枝好みの男性が現れるかもしれない、人の心に絶対はない。
結婚していなければ、心変わりを誰も非難しないさ、普通ならね。」
「ふ~、分かったわ、覚悟を決めろと言いたいのね、正直、過去のトラウマが正平への気持ちに強く係わってるのかとも思う、その辺りの気持ちに整理がついてしまった時、正平とどうなるのか自分でも怖いのは事実よ。」
「初めて聞いたな。」
「簡単に言える事ではないわ。」
「史枝には保険を掛ける権利が有るし、掛けて良いと思う。」
「保険?」
「今、話してくれた事を公表する事は酷かもしれないが、逆にすっきりするかもしれないぞ。」
「でも、今は正平の恋人役よ、いえ、本当に恋人なんだけど、大好きなのよ。」
「保険とは先の不安に対して掛けるものさ。
それと今の正平は史枝しか見えてなくて安心しきって向上心に欠けている、史枝に保険を掛けると同時に、正平には少しプレッシャーを掛けてやろうという事だ。
正平は馬鹿じゃない、能力に偏りは有るがな、でもまだ精神的には子どものままだ。
そこが魅力では有るが、何時迄もそのままでは史枝が浮気しかねないだろ。」
「も~、みんなの譲治兄さんにはかなわないわね、少し考える時間が欲しいけど…。
その…、CMのプランとかは里美姉さんから聞いてるの?」
「企画案は今から送るから検討してくれな、優先案件だぞ、ほらポチっとな。」
「もしかして、譲治が総合演出の一環として動くの?」
「当たり前だろ。」
「はぁ~、分かったわ、譲治の手のひらの上で踊る事になるのね。」
「はは、素敵に踊ってくれよ。
その案はまだ里美姉さんと史枝にしか見せないつもりの原案だから対案があったらどんどん出してくれな、みんなにはタイミングを見計らって公表し意見を求めて行くつもりだ。」
「分かったわ。」
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128-設定 [岩崎雄太-13]

翌日、夜のミーティング。

「里美姉さんが頑張ってCMの仕事を取ってきてくれた。
具体的な事はこれからだけど大まかな話と注意事項を聞いてくれるか。」
一同緊張の面持ちで譲治を見つめる。
「これから俺達が出演するCMの設定は、舞台での設定と同じになる。
始めの内は極力セリフのない演出を考えているが、今までセリフの無かった連中も練習して欲しい。」
「始めの内という事は続く可能性が有ると言うことか?」
「ああ、俺達は自分達のキャラクターで視聴者に強くアピール出来る程ではない、そこを話題性でカバーしていこうと考えている。
話題性としては、応援して下さっているグループ企業のCMに複数出させて頂く、視聴者にとっては無関係に思える会社のCMに同じ設定だが場面を代えて出演とか、同じ場所での撮影も視野に入れている、その中で俺達の人間関係も視聴者に伝えて行く。」
「私、自信ないな。」
「それは考慮するよ、逆に頑張ってみたい人はいないか?」
「楽しそう、私、セリフにも挑戦したい。」
「ふふ、美沙がその気なら一番のライバルが出ない訳には行かないわね。」
「わ、私も…。」
「うん、葵姉さんも美沙や紗友里も、化粧品や高級品のイメージCMでも使って頂ける様、更に自分を磨いて欲しいかな。」
「譲治を取り巻く人間関係もそのままなのね。」
「始めはな、そこから色々変化させドラマが進行して行く、美沙に新しい恋人が出来たり、葵姉さんが突然告白されたりとかね。」
「でもCMって地方によって違ったりしないの?」
「その辺りは考慮して行くさ。」
「新人も必要になりそうだな。」
「ああ、企画に応じてな、居残り組の恵子や詐欺師のおっちゃん達も参加して欲しいと考えているし、子役も出来れば身内で何とかしたい。」
「そうね子ども達にとっても良い経験になるわね。」
「ただ、すごく重要な事なのだが、俺達が広告塔になるという事はそれだけの責任が発生するという事だ。
企業イメージを良くするも悪くするも、俺達次第、日ごろの行いが悪かったら即座にストップが掛かる、色々制約が有る事は理解出来るだろ?」
「でも、私が譲治兄さんと買い物に出かけても問題ないのよね?」
「ああ、問題ない。」
「カップルが別れたり、浮気とかはイメージ悪いよな。」
「今の内に別れておくのか?」
「ちょっと待て、そんなつもりは全くない、逆に結婚とか良いのか?」
「もちろんだ、そういうCM依頼が来るかもしれないしな、幸せな集団を演じて行きたいが、それが現実ならもっと良いだろ。」
「ねえ、譲治の本命は誰なの?」
「さあねどうなんだろう…、という設定だったかな。」
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129-演出 [岩崎雄太-13]

譲治は里美にCM関連の説明に対するみんなの反応を報告した。

「ふふ、みんな戸惑いつつもという事なのね、紗友里の性格考えるとマジで譲治の事が好きなんじゃないの? ちょっと無理してでも美沙と張り合う気になって。」
「それを言われると結構きついんですよ、美沙や他の子達も平気でしがみついて来たりするし、みんな可愛くて、でも設定上も立場上も今は特定の子を選べませんから。」
「高校生の頃もモテたのでしょ。」
「まあ、それなりに、でもあの頃は相手の気持ちとか考える必要も無かったですから。
今は問題を先送りしつつ、落としどころを考えている最中です。
里美姉さんの方はどうなんです、仕事に情熱を傾けて男に媚びは売らないという設定でも、俺達程設定に縛られる必要は有りませんよ。」
「そうね、今はお父さま以上の人に出会えていないかな、なんて考えてたら一生独身になってしまうのかしら。」
「はは、有り得ますね。」
「で、譲治の本命は?」
「ダメですよ、最重要機密に属する事ですから里美姉さんでも話せません。」
「想像にお任せ路線か…、確かにそれも悪くないわね、上手にやるのよ。」
「はい。」
「アイドルとしてはどうなの?」
「そうですね、自分をアイドル路線に乗せる事は思ってた以上に簡単でした、まあ女の子達が演出に協力してくれた事が大きいですが。」
「演出の成果なのね。」
「ええ、アイドルとか俳優やってる男性でも、男の目から見ても凄く恰好良いと思う人は多くないですよ、どこにでもいる様な人がアイドルのレッテルだけでモテていると思いませんか?
要は演出なので、モデル系メンバーをもう少し充実させ、その中からお客さんの反応を見ながら育てて行こうかと考えています、人数が増えればそれだけ自分好みを見つけ易くなりますから。」
「岩崎ファミリーを充実させて行くのね。」
「はい、表向きは正平のファンクラブとして発足させたのが、面白い事になってますから。」
「そうね、岩崎ファミリーの一員になりたい人増加中、譲治の目論見は当たっているわね。」
「正平だけが頼り、という訳には行きませんから。
それと自分達の様な境遇でも芸能活動が出来るという夢を、みんなに見させたいと思っています。」
「ここまで譲治が引っ張ってくれたお陰で、そんな弟や妹を増やせそうよ。」
「あっ、CMに、お父さまやお母さまが出演というのは難しいですか? 家族写真の形ぐらいでも出演して頂けたらと思っているのですが。」
「そうね、CMによっては…、出演交渉は私に任せなさい。」
「ではこちらで作る台本は出演も有りというつもりでも書いてみます、普段は遠くで想いを馳せるという形をメインに考えていますが。」
「今まで受け取った分は、各会社の担当者にも見て頂いて概ね好評よ。
スケジュール的には名古屋で撮影かな、撮影に向けて練習時間は確保できてるのよね、あっ、練習風景の映像も残しておいてね。」
「はい。」
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130-再開 [岩崎雄太-13]

大阪での録音や録画が済み、再開されたツアーは随分様変わりした。
スタッフに新人が加わり岐阜からのバンドが同行、スーパーなどでのイベントはなくなりホールでの演奏ばかりに、地方都市のホールは平日の空きが多く確保が楽だったので追加公演も余裕を持たせて組み込まれている。
ステージの無い日はCM撮影に向けての練習も有る。

「聡志、追加公演のチケットオークションはどうだ?」
「好調だよ、取り敢えず全席がすぐ安値で埋まった、そこから三千円台まではすぐだったから、俺達のステージにそれだけの価値を見出して貰えているという事だろう、譲治の最低予想ラインを越えたな。
そんな中、前の方の良い席は一万、二万とかまで上がってる、より安くではなく良い席を確保したいという事だろう。」
「最高は?」
「今の所五万だ、チャリティー的な気持ちが有るのかもな。」
「知名度が上がって来てるとは言え、こちらで料金設定してたら有り得ない額だな。」
「明日のテレビ放送は譲治と美沙が中心だから、更に値上がりするんじゃないのか。」
「はは、美沙は妹キャラ全開なのが受けて応援メッセージが多い、可愛さを強調して演出してるからな。」
「お前の何処までが現実でどこからが演技なのか、俺達も解らないのだが。」
「まあ、徐々に素顔を見せて行くよ、俺だって何時までも彼女を作れないままでいたくはない、変化に合わせてFamily IWASAKIにも新作を発注して行くつもりだ。」
「それに合わせて女性向けも変化だな、新人モデルの方はどうなんだ?」
「一人は美沙を姉の様に慕いつつも俺の事が好きという悩み多き少女、もう一人は紗友里に恋い焦がれる男の子という設定、細部はこれからだ。」
「その設定ってどうやって決めてるんだ?」
「もちろん本人の希望というか、多分本心だろう。」
「どろどろした物に成りはしないのか?」
「そうならない為の設定という設定さ。
あくまでも演じているので有って、まあその前提が有るから結構本心を語ってくれたりする訳だがね。」
「その辺りが素人の割には演技が上手いと評されている理由なのか。」
「ああ、始めからそのつもりでやってきた、CMの台本もその延長に有る、下手に演技するより自分の心に忠実であれば素人感が漂っていてもリアルで人の心に届くのさ。」
「練習を兼ねて作ってるサンプルCMがクライアントに好評とは聞いたが、そういう事なのか…。」
「仕上げはプロにお任せとなるがな。」
「岐阜から来て貰っているバンドの人達はどうなんだ。」
「舞台の方は問題ないだろうが、CMやこれからのCDに関してはプロの判断を仰ぐ事になりそうだ、彼等がオーデションに通らなければ、プロのスタジオミュージシャンにお願いとなる。
大阪で録音した物が売れたとしても、CMは妥協が許されないからな、もちろん演技も。」
「それで演技指導は厳しくという事か。」
「まあな、みんなも責任を自覚しているから、互いにダメ出しし合ってもいる、CMが続けは収入も安定して楽になるだろ。」
「そうだな、スタッフも増やしたいからな。」
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