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転居-01 [飯山美里-01]

「美里、詩織、この町だぞ。」
「やっと着いたの…。」

とうさんの相手は詩織がしてくれてる。
あまり話したい気分でもないから助かるけど…、なんか、しっかり田舎だよ。
家も古そうなのが多い…。

「ここが小学校だ。」
「もっとぼろいかと思ってた…。」

田舎の学校でもコンクリートなのね。
あれっ、もう町は終わり?
ちっちゃい町なんだ。

「さあ、着いたぞ。」
「結構大きい家だね…。」

着いたって…、町から随分走った気がする。
家はちょっと古いけど立派ね。
えっ、私が住むの? ここに? すごく田舎なんですけど。
嘘でしょ…。
あっ、車が入って来た、この家、車が三台も置けるんだ。

「美里、詩織、この人がお世話になる横山社長だよ。」
「こんにちは。」
「こんにちは、どうだいここは、まあ環境は大きく変わるだろうが住めば都だからね。」

そう言われてもね。

「社長と言っても、会社はまだ君達のお父さんと二人だけだから気楽にな、社長なんて呼ばなくて良いからよろしく頼むよ。
私もここへ越してきたばかりでね、うちの子達はまだ小さいから、お友達とは成れないかもしれないが仲良くしてやってくれると有難い。」
「はい。」
「一度上がって部屋を見てみると良いよ、今日はゆっくりしていってね、私はこれで失礼させて貰うが。」

鍵を届けてくれたのね、ご本人も越してきたばかりで住めば都? お気楽そうな人だったなぁ。
へ~、中は結構綺麗にして有るんだ、直したばかりという感じね、私達が越してくるからかな。
畳だぁ~。
畳に寝っ転がるのも悪くないかも、ふう~、ここまで結構時間が掛かったな…。
天井の木目が不思議ね…。
引っ越しを決めた理由を、父さんは新しい会社で自分を試したくなったからだと話していた、でもね…、やっぱり私が学校へ行かなくなった事も有るんだろうな。
学校か…、真面目に、いじめられてる子をかばったら随分いじめられたな…。
先生も口先では尤もらしい事を言ってたけど、こっちの事なんて考えてないって…、みえみえだった、仕事だからって感じで…。
転校か…。
詩織ならここが気に入るかも、自然が好きだしクラスに馴染めてないみたいだし。
ここの子ってどうなんだろう?
やっぱいじめられる?
友達…、ちゃんとした友達出来るかな…、いじめられてたらかばってくれる様な…。
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転居-02 [飯山美里-01]

「お姉ちゃん何時迄寝てるの、風邪ひくよ。」
「あれっ、私そんなに寝てた?」
「そうでもないけど、寒くない?」
「確かに寒いわ、これから私達、ここで震えながら暮らすのね…、詩織はこんな田舎大丈夫?」
「分かんない、でも森が有って綺麗な川が流れていて、好きになるかも。」
「いやぁ~、遊びに来るのなら良いけど、住むのは違うんじゃない?」
「横山さんは住めば都って話してたわ、どんなとこでもそこで暮らせば自分にとって良い場所になるんだって。」
「ふふ、ちゃんと母さんに意味を教えて貰ったのね、でも友達と別れる事になるのよ。」
「そうね、うさぎのミミちゃんに会えなくなるのは寂しいかも、でもね、ここで動物飼っても良いんだって、その候補にはなんとヤギさんがあがってま~す。」
「えっ、ヤギって簡単に飼えるの? って、その前に人間の友達は?」
「私はお姉ちゃんみたいに色々出来ないから、すぐ馬鹿にされたりして…。」
「うん、まぁ私も似た様なものなのかな。」
「あっ、忘れるとこだった、自分達の部屋を決めようかって、お父さんが。
部屋が多いから一人一部屋でも良いけど、これからの季節、暖房が心配なんだって。」
「それは微妙な問題ね、でもせっかく広い家なんだから、ゆったりと暮らしたくない?」
「私達の仕事が増える事になっても良ければ、一人一部屋、それが嫌なら二人で一部屋という事にしようかなって。」
「で? その仕事は何なの?」
「薪拾い、森で落ちてる枝とか拾って来るんだって。」
「え~、それって江戸時代? うわ~、どんだけ田舎なの? 平成の日本でそんな事してる小学五年生の女の子なんていないでしょう!」
「お姉ちゃんは大袈裟だなぁ。」
「でも、まあ、詳しくは父さんから直接聞く事にする、まずはどっちにしろ私等の部屋の候補を決めておこうか。」
「うん。」
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転居-03 [飯山美里-01]

「ねえ、父さん、部屋の候補は決めたけど、薪拾いってどういう事なの?」
「ああ、この家の暖房のメインは蒔ストーブにするつもりで、もう煙突工事のお願いもして有るんだ、
燃料の蒔は父さんの仲間たちが、先々協力してくれる事になってる、ただ、それはお金を払ってどうという事ではなくてね、ここの森を綺麗にする事と、私達のここでの生活を支えてくれるという感じなんだ。
だから、森が有るからと言って蒔が使いたい放題だとは、美里達に感じて欲しくないんだな。
まずは、お弁当食べてから森を見に行こうか。」
「うん。」

父さんは自然が好きだもんな、毎年キャンプに連れていって…、今年は私が行きたくなくて我儘通しちゃったけど…、詩織は行きたかったんだろうな、でも何も言わないでいてくれた…。
転校したら詩織がいじめられない様にしないと、そして人間の友達を作る手伝いを、ふふ、他人事じゃないわね、私もがんばんなきゃ。

「母さん、お弁当とかの荷物は?」
「まだ車よ。」
「私、取って来る、父さん、車のキーは。」
「開いてるよ。」

母さんは、ここでの生活どう考えてるんだろう、母さんも自然が好きって言ってるけど、ここからじゃあ、お友達に会うとなったら、車で片道何時間? そりゃあ北海道とかに引っ越す訳じゃない、日帰り出来るだろうけど。
う~ん、慣れたら二人でお留守番ぐらい…、出来るのかな…。

「いただきます。」
「おいし~。」
「美里、どうだ、少しは引っ越しの実感とか涌いてきたか。」
「そう言われても…、コンビニまで何分?」
「歩いていくと一時間ぐらい…、いやもっと掛かるだろうな、自転車でも坂道に阻まれるから…。」
「どうして父さんはこんなとこに住もうと思ったの?」
「もちろん、こんなとこだからさ、都会暮らしが便利過ぎて何か大切な事を見失っている気がしていたんだ。」
「でも不便過ぎるのは嫌だな。」
「そんなに不便か?」
「まだ良く分かんないけど…、学校、遠くない?」
「遠い代わりにバスという選択肢も有るし、父さんの出勤に合わせれば、車で送り迎えも有りだぞ。
気が向いたら散歩気分で帰宅なんて事も。」
「なんか微妙だな、そんな気分になるのかしら。」
「父さんの会社は小学校の近くだから、まあ会社と言っても横山社長宅の一階だけどね。
ちっちゃい弟が三人出来たと思って仲良くしてあげてな。」
「弟かぁ~、わんぱくで手に負えなかったら知らないからね。」
「はは、最初にがつんとやって子分にすれば良いのさ、良いか作戦はだな…。」

父さんは何か楽しそうだ、私にとっての弟という事は父さんにとっては息子が出来た様な事なのかな。
新しい仕事に挑戦って言ってた、それも楽しい事なのかな。
でもこんな田舎だよ、寒そうだし、随分急に決まっちゃったから私は心の準備がまだ…、怖いような楽しみなような、でも転校は嬉しいかも、あんな学校二度と行きたくない…。

「美里、どうした?」
「うん、ちょっと…、ねえ父さん、随分急に決まったよね、引っ越し。」
「ああ、早く落ち着いて仕事に取り組みたかったんだ、イベントを企画していてその準備も有る。
美里には迷惑を掛けるけど、そうだな、今まで二人には父さんの仕事の話はあまりして来なかった、まあややこしい話も色々あったからね。
でもここで横山さんと始める仕事の事は二人にも考えて欲しいと思っているんだ。
会社だからお金儲けが目的なんだけど、それだけじゃないって事をね。」
「うん。」

父さんの仕事か…、今まで考えた事なかったな。
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転居-04 [飯山美里-01]

父さんは森の写真を撮ってるけど、あまり綺麗な森じゃないわね、公園じゃないから整備されてないって事かな。

「父さん、こんな森、綺麗に撮れてるの?」
「いや記録写真だからね、美里はこの森どう見る?」
「どうって…、え~と植林だよね。」
「ああ、ヒノキの植林地、ここが父さん達の一つの挑戦の場になるんだ。」
「何か荒れた感じがするけど。」
「そうなんだ、このままだと立派な木にならない、木と木の間が狭すぎてね。
だから仲間たちと間伐という事を行う、細めの木を倒してもっとすっきりさせるんだ、で、ついでと言っては何だが、足元も綺麗にして森林浴…、ここは坂がそんなに急じゃないだろ、だからここに散歩道を整備して森林浴スポットにしようという案も出ているよ。」
「観光?」
「いや、特にそれを狙ってる訳じゃないけどね。」
「随分広いけど、何時完成するの?」
「どうかな…、手伝って下さる方次第になるのかな…、まあ完成させる、というより少しずつ綺麗な森にして行きたいのだけどね。」
「ここの枝とかをストーブで燃やすのね。」
「まあそうだね、ただ蒔としては違う種類の木の方が良いみたいでね、ゆっくり燃えてくれないと蒔をくべる手間ばかり掛かってしまうだろ。
まあ、とりあえずこの冬の分は分けて貰う事になってる、でもこの先燃料として色々な形で木を使う事を考えているんだ。」
「灯油じゃだめなの?」
「だめではないが、遠い国から燃料を使って船で運んできて、さらにここまで自動車を使って運んで来る事を考えたらどうかな。」
「木が灯油の代わりなの?」
「別な見方をすると、昔は木を燃料にしてたのを灯油に代えた、便利だからね、でも…。」
「でも?」
「そこからは美里にも考えて欲しいな。」
「なんか難しそうね。」
「すぐ答えを出す必要はない、答えは中学生になってからで良い、森の事を知って考えて…、越して来たら毎日森を見る事になるだろからね。」

森か、今まで窓から見えるのは沢山の家だった、それが森になるんだ…。
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転居-05 [飯山美里-01]

はぁ~、今日は何か疲れたな、日記書いて寝ようか…。
えっと…。

今日は今度引っ越す家を見に行った。
とても田舎で、とても不安だ。
でも、もう決まったこと。
お昼からはあちこち回ったけど、何か疲れて車にいたから良く分からない。
お母さんは体を動かしてないからだと言っていた。
たしかに学校へ行かなくなってから、あまり運動してなかった。
でも、そんなことより、転校したら、転校したら、転校したら、私、どうなるんだろう。
ぜんぜん分かんない。
でも、前の学校とは本当にさよならできる、それだけはすっきりできそうだ。

ほんとにどうなるんだろうな。

「詩織、転校って不安じゃない?」
「分かんない。」
「分かんないって自分の生活が変わるのよ。」
「今の学校は別に好きじゃないし、今度の学校の事は何も分からないもの。」
「そっか、それは私も同じだな。」
「でもね、森がさ、あんなに広い森が私達のお庭になるのよ、小川も流れているし、このマンションとは比べ物にならないわ、あの森に妖精がいたらな、そしたらお友達になってさ。」
「そうね、一緒に遊べると良いね。」

詩織はまだメルヘンの世界にいられるから良いのよね、私は結構早く現実に気付いてしまったからな。
あ~あ、明日から引っ越し準備か、ちょっとじゃなく面倒ね。
学校行ってないから手伝うしかないし、もちろん今更あんな学校行きたくもないけど。
あっ、父さんは転校を機会に色々作戦を立ててみたらとか言ってたな。
三人のちっちゃな弟達は何とかなりそうだけど。
自分が苦手に思う様な子がいたらどうするか考えておくのか…。
でも色んな子がいるからな、簡単には…、ふわ~、眠くなってきた。

「詩織、電気消しても良い?」

あ、もう寝たんだ、そりゃあ疲れたろうな。
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転居-06 [飯山美里-01]

隼人おじさんがのんびり寄り道してたから随分時間が掛かったな…、おじさん絶対引っ越しを手伝う気ないわよね、私を送ってくれるのが唯一の役割みたいな…。
でも町まで来たから家はもうすぐ、でも、これから荷物の整理なのよね…、始める前から何か憂鬱…、引っ越しって大変だな、隼人おじさんは手伝ってくれる訳ないし…。
あれっ、何か賑やかっていうか家の周りに大勢の人が集まってる。
父さんだ。

「父さん。」
「おお美里、もう着いたのか早かったな。」
「この人達は?」
「父さんの仲間が手伝いに来てくれたんだ、すぐ済むからな。」
「うん。」

って、そりゃこの人数で運んだらすぐよね、人が余ってるんじゃない?
ほらほら、あのお姉さんなんか、先に着いてた詩織と遊んでるし。
そうか、隼人おじさんは始めから手伝いの人数に入ってなかったのね。
荷物の積み込みも手伝いの人多かったけど…。
えっ、このお姉さんは…。

「美里さんこんにちは。」
「は、はいこんにちは。」
「私は加賀美由紀、よろしくね。」
「はい。」
「どう、ここに引っ越す事になって。」
「えっと…、まだよく分からないです。」
「そりゃあそうか、実際に住んで暮らしてみないと。」
「あ、あの~。」
「なあに?」
「うちの引っ越しの手伝いの人なんですか?」
「そうよ、私はタンスとかの搬入が終わったら、美里さんのお手伝いするからね、早いとこ済ませて遊ぼうね。」
「は、はい、でもどうして手伝ってくれるの?」
「私達は、これからここで色々な事に取り組むのよ、私は大学の研究なんだけどね、それを横山さんや飯山さんに手伝って頂いたり、逆に私達が手伝わさせて頂いたりと考えているのよ。」
「へ~、そうなの…。」
「トラックが空になったみたい、一度部屋へ行ってみようか。」
「はい。」
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転居-07 [飯山美里-01]

まさか片づけを手伝って貰えるとは思ってなかった。
これは早く済みそう、ふふ、詩織も手伝って貰って何か楽しそうにしてるな。

「この服はこの引き出しか、美里さん、しっかり整理して梱包してあるから早く済みそうね。」
「一人でやってたら全然進んでないです、加賀さん有難う。」
「な~に、ちゃんとお返しを期待してますからね。」
「えっ?」
「でも大した事じゃないからね。」
「私…、何をすれば…。」
「まずは、私のお友達になってね。」
「はい。」
「これから、ここへは何度も来るつもりなんだけど、私、ここに友達も知り合いもいないのよ。」
「私も、ここの事まだ何にも分かりません。」
「それでも、ここに住むという事は私とは違った形で、この土地に係わる訳じゃない、しかも町の暮らしも知ってるから、ここの子とも違った見方が出来るでしょ。
私は、都会の暮らしとここの暮らしを、子どもの立場に立って比べてみたいと考えているの。
だから協力して欲しいのだけど。」
「大したお手伝い出来ないかもしれないけど…。」
「良いのよ、出来る範囲で。」

う~ん、こんな事も父さんの仕事に関係? 思ったより父さんの仕事って謎が多いなぁ。
でも加賀さん優しそうだし頼りになりそう…、今度の学校でいじめられたら相談するかな…。

「これで終わりかしら?」
「はい、箱に入れた荷物全部片付きました。」
「じゃあ終了報告ね。」
「えっ? 報告ですか?」
「ええ、まずは美里さんのお母さまに、それから今日のリーダーにね。」
「リーダーがいたのですか?」
「もちろんよ、今日は大勢来てるから皆が勝手に行動してたら大変な事になってしまうわ、さあ行きましょ。」
「そっか、役割分担があったのね。」
「そういう事よ。」
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転居-08 [飯山美里-01]

リビングも随分片付いたのね。
加賀さんが話してる人が今日のリーダーか、大学生なのかな。

「美里、飲み物は?」
「う~ん、今はいい、ねえ母さん随分沢山の人に手伝って貰ったんだね。」
「ええ、皆さん私達の仲間ですからね、うちが落ち着いたら、またここへ遊びに来て下さる方ばかりなの。」
「へ~、母さんにこんなにもお友達がいたとはね。」
「ふふ、今日初めてお会いした方も多いのよ。」
「えっ? それで仲間?」
「もちろんよ、ね、加賀さん。」
「ええ、如何ですここでの暮らしに向けては。」
「心配も有るけど、ワクワクの方が大きいかしら、皆さんの注目を集めてしまってるからね。
横山さんとうちだけだったら、すごく時間が掛かっても大した事出来ないと思う、でも横山さんの所の引っ越しも、うちも、大勢の仲間が協力してくれた、この協力が有ったら前に進めない訳が無いと思うのよ。」

前に進むって…、どういう事かしら。
でも、母さん、嬉しそうに話してる、そうか、父さんだけでなく母さんもここでの暮らしを楽しみにしてるって事なのか。

「ここの取り組みで有る程度の成果を上げられない様なら、日本の過疎地に明日はないって聞いてます、そんな事にならない様、皆で頑張ろうって、私達学生も色々考えていますから、何か有ったら遠慮なさらずに連絡して下さい。」
「有難うね、プロジェクトの中に飯山家アシストなんて部門が出来るとは考えてもいなかったけど。」
「まだどうなるか怪しいものですよ、アシストして頂く事になりそうな展開を考えてる学生もいますから。」
「ふふ、まあ、色々有った方が楽しいと思うわね、私も学生の頃の事を思い出して色々思い描いているのよ、旦那とは大学のサークルがらみで知り合ったからね。」
「へ~、そうなんですか、私も良い出会いが欲しいな。」
「では、このノートの一ページ目は加賀さんにお願いしようかしら。」
「どういうノートですか?」
「うちに来てくれた人に、その記念として何か書き残して頂こうと思って用意したの、何でも良いのよ自己ピーアールでも、どんな人が来て何を感じたか、それを、後から来た人が見たら楽しいと思ってね。
ここのブログも横山さんと共同で更新して行く事になってるのよ、写真OKなら、ふふ、お見合い写真って事でもないけど、引っ越し関連でUPするわよ。」
「あっ、ブログはまだ見てませんでした、コメント書いて盛り上げに協力します、写真は…、後でこの近所の森をバックに…。」
「カメラマンなら外にいますからね。」
「あっ、そうでした、美里さん外を見に行かない?」
「良いですけど。」

母さんと加賀さんの話は良く分からない事もあったけど、加賀さんは彼氏募集中って事なのかな。
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転居-09 [飯山美里-01]

外は寒いな。
あれ、引っ越し作業はほとんど終わってると思ったけど、まだ人が大勢居るんだ。
何してるんだろう…。
あの人が手にしてるのは木を切り倒すのに使う道具かな。
あっちの人は草刈機を試してるみたい。
あのグループは森を観察?

「おおっ、皆さん動き始めましたね。」
「加賀さん、動き始めたって?」
「町から来た人たちが、実際に山の仕事を体験してみるという事も私達の取り組みの一つなの。
今日はまだ、その為の準備なんだけどね、お父さまは作業風景を撮影中ね。」
「記録写真かな。」

加賀さんはブログ用でとか写真の注文している…、私も一緒に映るという事かしら。

「美里、ちょっと皆さんの様子を見てるなんて感じで加賀さんと並んでくれるか…。
うん、じゃあ今度は加賀さんの説明を聞いてるみたいな…。
じゃあ家をバックに一枚…。
この周りも写真で紹介したいから、協力してくれるかな。」
「詩織は良いの?」
「ああ、詩織には別のミッションが有るからね。」
「どんな?」
「ここで何を飼うか、何が飼えるかと言った方が正確かもしれないが、どうせなら犬や猫ではなくヤギとかね。」
「あっ、ヤギって冗談じゃなかったんだ。」
「まだ、飼えたらというレベルなんだけど、世話が大変だったら飼えないだろ。」
「そうよね、私は自信ないわ。」
「大丈夫、詩織一人で飼えるという事を前提に考えてるからね、今頃パソコンで担当のお姉さんと色々調べていると思うよ、さ、美里のミッションは写真のモデルだからね。」
「はいはい。」
「まずは、物置から。」
「物置か…。」
「あっ、美里はこの物置を馬鹿にしたな。」
「えっ、ただの物置でしょ。」
「いや、全然違うんだ、ここは色々な人が使う事を前提にしているからね、初めて来た人がはさみを使いたくなった、さあ、どこに有るか分かるかな。」
「そりゃあ初めての人が探すのは大変ね。」
「でもこの物置ではすぐ探せるんだ、この物置システムへのアクセス権が有ればね、大きな倉庫で使ってる管理システムの小型版をこの物置で試しているんだ、端末で検索すれば、必要とする物が置いてある棚番号が表示される訳さ。」
「へ~、でもちゃんと戻さないとだめよね。」
「そこは、きちんとしたシステムになってるからね、美里も端末の使い方を覚えて利用出来る様になって欲しいかな。」
「難しくないの?」
「ああ、色々な人が利用する事を前提にしてるからね。」
「この家って私達だけのものでは無いということなの?」
「まあ、そういう事だな。」
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転居-10 [飯山美里-01]

うん、この部屋、悪くない。
カーテン締めれば、田舎も都会も関係ないし、部屋が広くなってちょっと贅沢な気分ね。
今日は何か慌ただしい一日だったな…、引っ越したんだ、私達。
父さんは隼人おじさん達と、まだお酒を飲みながら話してるのか…。
これからお客さんが泊まってく事、多くなるのかな。
ここは私達の為だけの家じゃないみたいだけど…、何か良く分からないのよね。
謎だらけ…、もっと勉強しなさいって事なのかな?
お風呂はガスじゃなくて灯油…、横山さんちはガスらしいけど都市ガスじゃないって、隼人おじさんが説明してくれたけど、よく分かんなかった。
うちには蒔を燃料とするお風呂も実験的に作るとか言ってたけど、不便な事を試してみるのかな…。
あっ、詩織か…。

「ねえ、お姉ちゃん、朝、鶏の声で起こされるのって、嫌?」
「鶏が候補になったのね、う~ん微妙、目覚ましが鳴っても起きない詩織には問題ないだろうけど。」
「新鮮な卵が食べられる事と草むしりの手間が少し減るかも、ということが良い事、悪い事は鳴き声と糞のにおいかな。」
「ヤギはどうなったの?」
「ちょっと大変みたい、種類によるのかもしれないけど、それより番犬を飼った方が良いかもって、猪を追っ払ってくれる様な。」
「という事は、猪がいる訳か…。」
「熊、鹿、猿とかと出会うかもって。」
「え~、私達とんでもない所へ越してきたって事なの!」
「何かワクワクするね。」
「違~う、ドキドキでしょ、襲われたらどうするのよ。」
「明日、ご近所の人に色々教えて貰うんだって。」
「明日か、ご近所のお宅へ挨拶しに行くって父さん言ってたわね、その時なのかな。
でもさ、隣のお宅まで歩いて十分…、近所じゃないよね。」
「ご近所付き合いは大切って、母さん言ってたよ。」
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