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事業展開-11 [安藤優-10]

しばらくの研修の後、島津は副社長に就任、サポート役の部下も、まず二名付けられた。
その二人に対して。

「私自身一気に動いていますので、まずはお二人に説明させて頂きながら今の状況を整理して行きたいと思います。
概要はご理解頂いていると思いますが、組織の説明からして行きます。
まず私のポジションは、株式会社つぼみ、海外展開統括リーダーとなります、副社長の肩書は私が動き易い様にと安藤社長が配慮して下さいました。
私の元には、事業展開をしていく四つのチームが有ります、この四チームも結成から間がない事も有り、まだまだ試行錯誤の段階ですが、それぞれの担当地区でまずは婦人服の製造販売を目論んでいます、ここでポイントになる事は職業訓練です、現地採用の人達に成長の機会を、という事も我々の大きな目標です。
各チームには私の知り合い、もしくはその紹介による現地アドバイサーを付けさせて貰いました。
彼らは色々な場面で仲介役も担ってくれると思っています。
現地には、既存の桜根グループ企業も有りますが、安藤社長によれば足を引っ張られるだけだそうなので、現地工場の運営も職業訓練も、つぼみが直で行い、安定したら桜根グループの会社として、つぼみから独立させます。
うちが起こす工場を現地企業のお手本にする事も目標の一つです。
この四チームの他に、映画制作チームとテレビ番組制作チームが有ります、これは桜根傘下の桜総合学園制作部が中心になって動いてくれますが、現場のチームとは私の方で調整させて頂く事になっています。
もう一つ、You&優には大きく助けて頂く事になります、近い内に片山理沙統括リーダーを紹介させて頂きます、You&優に海外展開担当をおく話が出ていますので決定したら、その方と協力し合ってとなります。
ここまでで何か有りますか?」
「安藤社長はどの様に関わって下さるのでしょうか?」
「社長から大きく任されてはいますが、要所要所でアドバイスを頂けると思っています。
映画の主役だったり、テレビ出演も有ってお忙しいのですが、桜根グループ全体に対して近々新たな提案をして下さる予定も有ります。」
「どのような?」
「姉妹都市とか有りますよね、そんな形で姉妹工場みたいなのを提案されます、国内で都会の企業と田舎の企業で姉妹関係という形を提案された上で、そこに海外の工場も加えて、特に協力して何かを、というより遠く離れた地にも知り合いがいるぞ、という感覚からのスタートだそうです、もちろん我々が関連する新設工場も、妹として見守って下さいという形にして頂けると思います。」
「緩やかな繋がりを作るという事なのですね。」
「そうです、そこから桜根グループの結束を強めて行くという事です。」
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事業展開-12 [安藤優-10]

島津達の話しは続く。

「島津さん、映画が成功するかどうかが大きいですね。」
「それは社長も気にしてみえます、ご自身が主演ですから、誰も見てくれなかったら辛いよね、なんて話しておられました。
ただ、桜根の遠藤副社長を始め、楽観視してる方も多いです。
話題性は有るし、You&優の会員や桜根グループの社員や家族が見て下さればそれなりの観客数になるでしょう、今まで社長が出演なさった番組の視聴率を考えても、余程の駄作でない限り、そこそこの興行収入が上げられると話しておられました。
さらに、皆さんは映画を単体で捉えていなくて、そこに関しては安藤社長も同様ですが、色々なタイアップを考えておられます。
テレビ番組、関連本等を通して五か国を結ぶ一つの世界観を構築、そこへ関連グッズの販売や、各地を巡るツアー、イベント企画等々、安藤社長曰く、自分のお小遣いをはたいてでも対外的に成功したと思わせるだけの事はする、と話しておられましたから、本気の社長を見せて頂けると思いますよ、失敗したら恰好悪いからだそうで。」
「天才少年社長の本気ですか…。」
「遠藤副社長始め周りの方々も本気で、他にも色々な案が出て来てます。
話題性を高める為に、実験的作品として本編とは別に五作品を各国五人の新人監督によるサイドストーリーとして制作、その監督達が安藤社長を拘束出来る時間に制限を設け、社長と監督達とのバトルとも言える状況を作り出して仕上げる、そのメイキング映像を使ってさらに一つのドキュメンタリー作品を制作、映画として公開するかテレビ番組として公開するかは状況を見ながらとか。
とにかく、中途半端にやっても仕方ない、やるからには五つの国の友好関係を深めるつもりで取り組んで、佐々木総理の外交を手助けしようという考えもお持ちの様です。
映画の中にはYou&優のファッションショーの場面を入れたり、各国の美女が登場したり、色々な仕掛けも有って、男女問わず楽しめるエンターテイメントに仕上げると、遠藤副社長は話しておられました。」
「安藤社長も大変ですね、映画にかなりの時間を取られる事になりそうですが、社長としてのお仕事も有るでしょうに…。」
「そこは色々工夫して短期間で…、撮影中に仕事してたり、論文を書いていたりも有りとの事です。」
「普段のお姿をそのまま映画にという事ですか。」
「パソコンで文章作成中でも、お母様と会話出来るそうです、他の人とはさすがに失礼になるからしないそうですが。」
「はぁ~、天才は次元が違うのですね。」
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事業展開-13 [安藤優-10]

七月、株式会社つぼみの海外展開プロジェクトは試行錯誤しながらも進んでいた。

「島津さん、現時点での状況はどうです、四か国に於ける僻地と首都での二拠点での足場作り計画は。」
「安藤チーフ、正直言ってまだまだ難しい所です、衣料品工場関係は各チーム苦労しながらも、国内の姉妹工場からの支援の目途が立ち始めていますので、設備が整って現地社員の教育が順調に進めば形が整うといったところです。
ただし、ここから順調に進む確率が日本と比べてかなり低いと考えて下さい、現地のメンバーにも気を付ける様に話しています。」
「なるほど、まあ工場の方は時間が掛かる事を前提としていますから、少しずつ社員教育をしていくしかないでしょうね。」
「早く売り上げ実績を上げたいと考えて動いている直営店の方は、各国の首都に場所の確保は出来ました。
桜根本社サイドも、世界中の主要都市に店舗展開という案に乗り気になって下さいまして、四か国以外もつぼみ主導でチームを組むという方向で動き始めています。」
「島津さん、店舗展開は今までの桜根グループを考えたら遅いと思いませんか、通販が広がっているとはいえ、実店舗は桜根のシンボルとなります、充分な利益を確保出来る事業ですよね、それが今までは工場に併設の店舗のみで、各国の市場を意識したものも展開出来たと思うのですが。」
「はい、私もそう思います、そこに目を向ける部署が無かったのでしょう、でも遅れた結果として我々の事業展開が有利になりました。
これからの店舗展開で得た利益で、僻地の工場を拡充し職業訓練校を充実させるという形に持ち込めそうです。」
「確かに、その意味では楽にはなりますね、工場は初期投資の回収に時間が掛かりそうな所をあえて選びましたから。」
「それでも、長い目で見たら企業イメージアップになるだけでなく、色々な面で多くの人に喜んで頂ける事業展開だと思います、一国二拠点でのスタートはバランス良く行けると思います。
まず、直営店第一号はこの秋にも開店の方向で…、チーフ、オープニングセレモニーには出て頂けますか?」
「そうですね、行きますよ、頑張って宣伝しないといけませんからね、映画の撮影を兼ねる形に出来ると効率的なのですが。」
「では、その方向でスケジュール調整をお願いしておきます。」
「海外展開の店名、ブランド名はどうします? 統一したいと思いますが。」
「私としては、You&優が良いと思っています、安藤チーフは桜根のプリンス、それを前面に出す事は桜根のイメージ戦略に大きなプラスになると思います、&優が安藤優からという事も表に出して行きたいです。
まさに桜根グループのプリンスとして世界展開へ乗り出すという感じで、映画よりドラマチックになる様、演出も考えて行きますよ、王国のプリンセスとデートとかどうですか?」
「今まで社長の息子という立場を、真面目に演じては来ましたが…、プリンスですか…、ちょっと友達と相談かな。」
「特別に考える必要はないです、今まで通りで充分プリンスですから。」
「自分としては…、プリンスというと飾り物の様な気がしまして…。」
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事業展開-14 [安藤優-10]

十月、海外一号店の開店には多くの人が詰めかけた。
優はオープニングセレモニーの後、来賓の相手をしていたが、それを店員と交代して。

「島津さん、売れてますね。」
「ええ、予想以上です、このフロアーは高級志向で、ここで買い物をする事がステータスシンボルになる事を目指していますが、この感じならこの国の富裕層に支持して頂けそうです。」
「テレビでファッションショーの様子を放送した効果も有るのでしょうか?」
「有りましたね、でも、そちらのメインは一つ下のフロアで扱っています、行ってみましょう。」

二人が階段を降り切る前にパニックになりかけた、優を見つけた女性達が騒ぎ始めたのだ。

「す、すいません、すぐ警備員を呼びます。」

島津が話し終える前に、優は客達に向かって話始めていた。
しばらく、にこやかに現地の言葉で語りかける。
階段のおかげで後ろの人にも見えた事が幸いし、落ち着いて優の話を聞く客達。
優が質問したり、優に質問が有ったりと、笑い声も上がる。
時計を見るふりをした優が締めの言葉を掛け、階段を上り始めると客達は商品の品定めに戻る、優に近づこうとする者もいたが警備員が遮った。

「すいません、油断してました、今後警護を見直します、プリンスがファッションショーの主役だったという事を忘れていました。」
「でも、まあ直接お客様とお話が出来て良かったと思います、どうやらショーは当初の目的を果たせた様です、このフロアーの商品は若い人達に受け入れて貰えました。
デザインに注意しつつ良質の商品を提案して行けば、ここへの初期投資は、短期間で回収できそうです、この勢いで店舗の世界展開が成功すれば良いですね。」
「複数店舗になれば一つの企画をより効果的に、効率的に運営出来ると思います、You&優が世界的総合ブランドとなる日も遠くないと信じています、そのプリンスには気安く近付けない体制を作りますから。」
「自分がプリンスだと、島津さんは?」
「え~っと、爺やといった所でしょうか。」
「はは、随分お若い爺やですね。」
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事業展開-15 [安藤優-10]

新店舗のオープニングセレモニーや映画撮影の間を縫って、優達は工場の視察に飛んだ。
出迎えた、工場責任者の上杉と。

「上杉さん、ここでは随分広い土地を確保したそうですが。」
「はい、土地は、新工場建設や職業訓練のお礼にと、まあ、荒れた所を押し付けられた様なものですから費用はあまりかかっていません、農業と工業のバランスを取りながら、桜根実験コロニーほどの規模までには行かないまでもこの地の拠点にすべく、ここの若者達と将来図を描いています。」
「ここの社員達はどうです?」
「真面目な人が多くて助かっています、他のチームではマイペースな人が多くて進行が遅いそうですから。」
「はは、国民性が出てる訳ですね。」
「リーダーの力量も大きく影響していると思います、ここのリーダーはとても熱心で皆に慕われています、町で働いたのにこのプロジェクトを知って戻って来てくれたそうで、近い将来、ここを任せたい人物です。」
「それは頼もしいですね、お会いしたいです。」
「もちろんです、幹部候補達とお食事の席を用意しています。」

工場では現地社員達が、優達を並んで歓迎。

「えっ、すごい歓迎ですが工場は動いているのですか?」
「尊敬する社長が来て下さるのに、それをきちんと歓迎しなくてどうするんだと言われましてね、無理に工場を動かしてもトラブルになりそうでしたので今日はあきらめました、女の子達はチーフに会える事が嬉しくて、もう何も手につかないという感じですよ。」

屋外での歓迎会は民族衣装を着た人達の踊りや歌、その合間に歓迎の言葉と続く。
優が感謝の言葉を述べると会場はさらに盛り上がる。
その後食事会、優が部屋へ入ると待っていた人達は緊張の面持ちで直立不動の姿勢をとり迎える。
優はリラックスさせる様に試みるが失敗に終わった。
それでも、現地従業員達は自分達の思いを優に伝える事が出来た。

「上杉さん、あんなに感謝されるとは思ってもいなかったですよ。」
「彼らは感謝の気持ちがチーフに届いてなかったらどうしようって話してましたよ。
ここに大きな投資をする人なんて今まで居なかったでしょうし、職業訓練だけでなく子ども達の教育環境を整えたり、工場の建設に伴って周辺環境を整理したり、そんな会社のトップな訳ですからチーフは王か神かというレベルですよ、さらにテレビでもショーにお出になるだけでなく、ここの事も話しておられましたから、連中は完全に舞い上がってました。」
「はは、確かに皆さん半端なく緊張してみえましたね。」
「彼らの今後はチーフが握っておられるようなものですから。」
「この工場はあなた方のものだと思って下さいとは話したけど、早く本当の意味で彼等の物にしたいですね、その為の社員教育よろしくお願いしますね。」
「はい、さらに広げて王国を拡大していきますよ、皆に喜んで頂ける、桜根の王国を。」
「はは、せめて共和国にしませんか。」
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事業展開-16 [安藤優-10]

その夜、優に同行して来た秘書の川北は上杉と話していた。

「上杉さん、彼らの態度は社員教育の賜物という事ですか?」
「そうですね、それも多少は有りますが、彼等にとっては好条件で雇って貰ってる訳ですからね、入社したての給料こそ地元の標準に合わせていますが、力の有る人は毎月給料が増えてます、特別な教育をしなくても彼等にとって安藤チーフは特別な存在なんですよ。
彼等はこの工場が他とは違うという事を始めから理解していますが、なぜこれだけの好条件なのかは分からない訳で、色々質問してくれます、特に幹部候補の連中は他の工場の事を知っているからか熱心です。
桜根グループの基本理念を話したら驚かれましたね、まず働く人の生活を良くする事、それが大切なんだと伝えたら、そんな会社聞いた事がないと言ってました、色々話して行く内に彼等の目の色が変わって行きましたよ。
働かされるのでは無く、自分達で会社を作って行くという事を理解してからは、それまでも真面目だったのですが、さらに熱心に動いてくれる様になりました。
その過程で、この工場にどれだけの初期投資をして、従業員の生活を向上させながら、少しづつ回収し、それを元にさらなる事業拡大をこの国で進めて行くといった経済の話もしています。」
「それが充分理解されているから、うちの社長があれだけ歓迎されたのですね。」
「はは、それも有りますが、ここでは完全にアイドルですからね。
それと彼等には安藤CEOの年収の話もしています、グループ企業の規模、利益の大きさを考えたら、何十億でもおかしく無いのに、二千万円ぐらいだと話したら、彼等でも大きな企業のCEOの年収は聞いた事が有った様で驚いていましたよ、生活して行くのに億の金はいらないとの理由でCEO自らが決めていると話したら、社長とかって金の亡者ばかりだと思っていたが、そんな人ばかりではないのかと、後は自分達でも色々調べたそうです。
食堂に安藤CEOと安藤チーフの写真を飾ったのは彼等の心の表れでしょうね。」
「安藤親子のファンがここでも着実に増えているという事ですね。」
「はい。」
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事業展開-17 [安藤優-10]

桜根グループは元々内需の拡大安定を重視していたので輸出には積極的ではなかった。
だが、若きプリンスによる海外展開は、その熱意に動かされる形で多くのグループ企業が後押しする事となる。
ある工場では。

「工場長、輸出向けの作業をしていて思ったのですが、同じ商品でも暑い国と寒い国、住宅の環境による湿度の差とかによって劣化の速度が違いませんか、そこにもっと配慮が有って良いかと思うのですが。」
「うん…、そうだな、確かにもっと意識するべきだ、ダイレクトにつぼみ本社へ打診するよ…、日本で質が良いと思っていても輸出先の環境に合わなかったら…、使用環境温度の上限下限は設定しているが、暑い国へマイナス十度まで耐えられますというよりは、その分高温に耐える商品にした方が喜ばれるだろうからな。」
「そのまま、北海道向けと沖縄向けとして反映出来ませんか。」
「ああ、それも付け加えておくよ。」
「ところで工場長、輸出向けは利益率が低いと聞いてますが、実際の所どうなんです。」
「う~ん、君からそういう話が出てくるという事は…、もう少し広報に力を入れなくてはいけないのかな、確かにうちの会社の取り分は少な目だ、だがそれには色々な事情が有ってね。
まず、輸出に対する依存度を上げたくないという事が有るんだ。
桜根が海外の経済的要因によって不安定になる事の無い様にと設立当初からの方針でね、あえて利益率を下げる事で業務のメインにしにくくするという面が有るのさ。
でも海外展開は国際貢献の意味合いも有って進めて行きたい所で…、というより桜根の海外展開は国際貢献を目的としていると言っても良いんだよ。
輸出で稼ぐというより、輸出で得られた利益は極力その国での事業展開に還元して行きたいと考えているんだ、もちろんこちらにとって赤字になる様な事にはしないがね。
この形は以前から取られていたけど、海外展開は日本国内の様には順調に行ってなかったんだ、そこを我らがプリンス安藤優が先頭に立って動き始めた訳だ、うちも色々お世話になってるから、彼の活動を積極的に後押しして行きたいと考えてる訳さ、うちの利益が少なくても応援して行こうってね。」
「国際貢献ですか、そういう考えとは…、すいません勉強不足でした。」
「上の連中は皆、桜根の理念を守りつつ、桜根グループをどこまで大きく出来るかと考えているんだよ。」
「大きくすると言えば、中流の拡大と聞きましたが、今一つピンと来てません。」
「うん、そうだね…、私にとっても歴史を学ぶ事で知った事なんだけど、高度経済成長期に一億総中流という言葉が有ってね、まあ経済的にまずまずの家庭が多かったという事かな、それが目先の利益に捕らわれた人達による可能な限り人件費を抑えるという風潮の結果、生活に余裕の有る層と貧困層の二極化が進んでしまった。
それに対して桜根は中小企業の安定を図りつつ貧困層を中流層に、という考え方で進んで来たんだ。
グループ企業の社員で有れば中流と呼べる暮らしが出来るだけの収入が有り、それが購買力となって桜根グループを支える、そんな形を作り上げて来たのさ、簡単な事ではなかったけどね。
貧困層が桜根グループ社員となれば暮らしぶりも良くなる、直接うちが雇用しなくても桜根が給与水準を上げれば他社も追随せざるを得ないという環境を作るためにも、桜根にとってグループの拡大は大きな目標だった、そして国内での成功を支えに海外でもという事になってる訳だ。」
「う~ん、そうでしたか…、今更ですが、自分の会社を誇りに思います、あっ、だから役員報酬が他社と比べてかなり安く。」
「ああ、安藤CEO始め、桜根関連企業の役員たちは私より少し多いくらいだよ、ちっぽけな会社じゃない、判断を誤ったら大きな損失に繋がる責任有る立場にいながらね。
役員達が、役員報酬に使うぐらいなら次への事業展開へ、という安藤CEOのお考えに賛同している人達ばかりだから、社員も皆、尊敬してついて行けてるとも思うけどな。」
「ヘッドハンティングにあったりしないのですか?」
「転職される方もみえる、安藤CEOが誘われたらどうぞと話しているぐらいだからね。」
「でもそれじゃあ優秀な人が流出してしまって…。」
「今は引退されたが、杉浦さんという方がみえてな、桜根のスタートの頃に手伝いに来て下さっていた方なんだが、結構大きい会社からのヘッドハンティングを受け入れてね、実力の有る方だったから後にそこの社長まで登りつめたんだ。」
「へ~、すごいですね。」
「いや、すごいのはそこからだ、その会社を解体して、まだまだ小さかった桜根グループの傘下に入れてしまわれたんだ、桜根の拡大路線には大き過ぎる功績だったね。」
「そんな事が…。」
「まあ、うちの役員を狙って来る企業はそれなりの覚悟が必要になったという事さ。」
「うわ~、うちの社史なんて気にしてませんでしたが。」
「もう一度俺達の会社を見つめ直してくれるかな。」
「はい。」
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事業展開-18 [安藤優-10]

株式会社つぼみの海外展開は概ね順調に進んだ、すべてが上手く行った訳ではないが、総合ブランドとしてのYou&優はその質の高さが故に、海外でも受け入れられ、大きな利益をもたらした。
少々のつまづきをカバーした上での事だ。
その資金は事業拡大に費やされ、会社の規模も大きくなっていった。
つぼみの設立から六年近くになろうかという頃、優の家には両親の友人達が集まっていた。

「優はもっとハイレベルな大学に籍を置くのかと思ってたがな。」
「杉浦さん、籍こそ近所の大学ですけど、実際の研究は色々な大学が協力してくれますからね、桜根総合研究所主任研究員という肩書をでっち上げましたから、結構自由がきくんですよ。」
「主任研究員? 肩書は所長でもよかったんじゃないのか。」
「いえいえ、所長になると雑用が多くなりそうですから、自由に飛び回れなくなると面白くないですし。」
「はは、飛び回っていてじっくり研究出来るのか?」
「自分の場合は一つの研究にずっと張り付いている訳でなく、共同研究者にアドバイスをしたりという事がメインになってますからね、正確には数えていませんが、現時点で取り組んでいる研究は三十ぐらい、論文も三件並行して執筆中です。」
「う~ん、大丈夫か? 二十歳まで後二年ぐらいだぞ。」
「えっ?」
「天才も二十歳過ぎればただの人、って知らないのか?」
「はは、僕のタイムリミットは後二年ですか、そうだな、ただの人になったら何をしようかな。」
「ちゃんと貯金してるのか?」
「まあそれなりに有りますよ、特許権や著作権…、何か色々入ってきますからね、贅沢しなければ老後の心配も要りません。」
「そうか、だから大学の名前を気にする必要も無い訳なんだな、して社長業の方はどうなんだ。」
「相変わらず順調ですよ、杉浦さんに手伝って頂いて作った基礎が大きかったです、各国での初期展開は杉浦さんの人脈がなかったら、どれだけ時間のロスをした事か分かりません。
今では日本と各国という関係だけでなく、海外拠点同士が有機的に繋がり始めています。
グループ間取引の意味が海外でも理解されて、桜根全体の成長を考える人が増えました。」
「随分花が開いたという事か、何時迄株式会社つぼみなんだ。」
「いえ、我々はまだまだ蕾なんだという事を社員に話しています、終わりなき挑戦ですからね。」
「ふむ、頼もしいな、国内は親父さんががっちり固めて、息子は海外展開の先頭に立って引っ張る、桜根は安泰だな。」
「でも同族会社ではないのですから、もっと色んな人が表に出て良いと思うのですが。」
「確かにそうだな、ちょっと喝を入れてやるかな…、まあそんな事はどうでも良い、優、儂とツーショット写真を頼めんか?」
「えっ、構いませんが。」
「行きつけの飲み屋の子が優のファンなんだ、彼女に優との写真を見せつけてやろうと思ってな。」
「はは、相変わらずですね。」
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事業展開-19 [安藤優-10]

杉浦と優が写真を撮り終えた所で、坂本絵里が話し掛ける。

「優くん、今日は呼んでくれて有難うね。」
「いやいや、おじさん連中が絵里に会いたがってさ、どう今度の映画は。」
「撮影が済んだ所よ、先輩俳優の優くんに恥ずかしくないものが出来上がれば良いけど。」
「はは、先輩俳優と言っても映画は二本だけだからね。」
「でもヒットしたし、特にアジア圏ではすごく有名になって、この前のテレビ見たわよ、株式会社つぼみが桜根グループ内で最大規模になりそうなんでしょ。」
「まあ、人数だけならね、その人達の生活の質を上げなきゃ意味ない、まだまだだよ。」
「桜根王国の若きプリンスとしては領民の事が心配なのね。」
「王国と言うのは違うんだけどなー。」
「良いのよ、絶対王政という訳じゃないのだから、社員達に尊敬されて…、そうね人々はヒーローの登場を待っていたのよ、そこに天才少年社長が現れて…、つぼみの子会社として独立した所の社長さん、あの話は印象的だったわ。」
「そうなの? 俺はまだ見てないんだ。」
「普通の企業なら工場を作っても、それは自分達の富を得る事が目的だから、労働者は低賃金で働かされるのが関の山だった、だけど我等がプリンスは自分達の生活向上を第一に考えてくれた、自分の国の偉い人達ですら考えてくれない事なのに、自分は社長にして貰ったけど、必ずプリンスの意に沿って成功させ、桜根というプリンスの国をもっと偉大な国にしたいと思ってる、大体こんな話をしていたのよ。」
「はは、彼は何時も俺の前ではリラックスしてくれなくてね。」
「忠誠心なら誰にも負けないみたいな事も話してたわ、でもそんな事を考えているのは彼だけじゃないみたいね。」
「まあな、だから順調に拡大している訳だけど、それぞれ国民性も環境も色々違うから現場チームは苦労も多いみたいだよ。」
「でしょうね、宗教だって違うでしょうし。」
「一つの工場内に対立する宗派の人を雇い入れた時は大変だったそうで、それ以来採用時から宗教、宗派に気を付ける様になった、そんな例は全体で共有して、まあ無理に仲良くさせるよりは、まず別で仕事をして貰いながら、桜根グループ、つぼみの仲間だと教え込んで行く、職業訓練より大変かもってさ、でも、生活レベルが向上して行くに従って、少しづつ歩み寄れる様になっているみたい、やはり生活の不満が自分とは違うグループに対しての過激な行動に繋がって行くみたいだね。」
「衣食足りて礼節を知るって事なのかな。」
「かもね。」
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事業展開-20 [安藤優-10]

株式会社つぼみは設立から六年、それを記念してのパーティーが開かれていた。

「うわ、安藤CEOのご家族が勢揃いなんてすごく珍しいんじゃない?」
「だよな、まさに桜根のロイヤルファミリーだからな。」
「これだけでも、今回抽選に漏れて参加出来なかった人に申し訳ないわね。」
「はは、俺達はボスにお仕えして長いんだから胸をはって良いんじゃないのか。」
「そうね、初めてお会いした時はびっくりの連続だったけど。」
「だな、世の中に天才がいるという事を初めて知って、絶対守らねばと思ったな。」
「私もよ、だってお姿は可愛らしい小学六年生でしたからね。」
「俺は自分の力量に悩んだ事も有った。」
「ふふ、そんなとこも見透かされて焦ってたわね。」
「あれには参ったな、小学生に慰められて…、でも、その後は色々任せて下さった、おかげで充実した日々を今まで送らせて貰ってきたよ。」
「桜根のプリンスという呼ばれ方をする事が増えたけど、ほんとに王子様にお仕えしてるという気分になるのよね。」
「確かにボスでは違和感が有ったかも、でもこれからもっと貫禄が出て…、おっとボスのスピーチが始まるぞ。」

「こんにちは、安藤優です。
株式会社つぼみも設立から六年、多くの方々のお力添えのお陰で随分大きくなりました。
有難う御座います。
さて、実は最近、株式会社つぼみは、もう開花したのではないかと言われる事が多くなっています。
確かにYou&優の成功も有ります、でも私は、まだまだ蕾だと思っています。
それは私達が考えている海外展開が有る程度の完成をみるまでには長い年月が掛かると考えているからです。
今はまだ、私が描く株式会社つぼみ、桜根グループの将来に向けてのきっかけを、ようやく作れたに過ぎないと考えています。
これも最近の事ですが桜根王国という言葉を耳にする様になりました。
誤解されては困るのですが、父は国王では有りませんし、私もプリンスではなくただの経済人です。
でも、桜根グループを国境を超えた一つの集合体として見るならば、小さな国と言える規模にまで成長しつつ有る事も事実です。
もちろん巨大企業は幾つも有り国境を超えて経済活動を行っています。
でも、桜根グループの様な理念を持った企業グループは、他には存在していない様です。
従業員の生活を第一に考える、従業員とその家族に幸せな暮らし送って頂く、という事を最優先に考える、従業員以外の方々がどうなろうが構わないと考えている訳では有りませんが、私どもに出来る第一歩は、まず従業員の方々の幸せを考える事だと思っています。
それは手広く社会貢献を試みても、効果が分散してしまって効果的ではないと考えているからでも有ります。
私達は常に社会に対してより貢献できる企業体で有りたいと願っています。
では我々が、さらに社会の為に貢献出来る、一番手っ取り早く取れる方法は何でしょう。
やはり、桜根グループを安定企業として発展させ事業を広げ社員を増やしていく、もちろん基本理念を忘れずにです。
特に経済的に豊かでない国々に於いて、我々の事業展開により、安定した生活を送れる人を増やす事が出来れば、国際社会に対しての大きな貢献になると考えています。
と、考えたら、株式会社つぼみは、まだまだ固い蕾な訳です。
この固い蕾を開いて行くには、グループ内企業の方々のご理解とご協力が欠かせないと思っています。
私は、国境を超えた一集合体として、世界のお役に立てる企業、今までの企業、国家の枠組みを超える存在へと桜根グループを発展させたいと考えています。
例え国同士が対立していたとしても、その両国の桜根グループ企業で働く人達が仲間同士だと考えてくれる、そんな海外展開を目指しているのです。
皆さん、今後ともよろしくお願いします。」

安藤優はまた一歩。
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