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安藤優-02 ブログトップ

小学生の頃-01 [安藤優-02]

小学校は私立に通った。
この頃には教育改革が国主導で進んでいたが、まだ公立小学校では優の才能を持て余してしまうと両親は判断した。
小学校から大学まで揃っていて、学園の関係者には両親の知り合いもいる、学園は優の為に特別な環境を用意した。
入学当初から体育などの一部教科を除いて他の子達と違う学習内容となる。
まずはテストから、例えば算数は普通の小学一年生向けのテストから始まり、九十点以上で先へ進むという形を取られた。
結果、五年生レベルまでほぼ満点という事で、五月には六年生レベルの学習に入る、教科によって多少の差は有るものの概ね六年生レベルと判断された。
学校サイドが大学生の協力も得て柔軟な対応をしてくれた事によって、優は退屈な授業を受ける事なくその知的好奇心を満足させていく。
かなりの暗算力を有する者が一足す一から学習させられたらそれは苦痛でしか無かっただろう。

朝はまず体育等を共にする一年生のクラスに行く。
「優くんおはよ。」
「みきちゃんおはよう。」
「優くん、今日は何のお勉強?」
「えっ? お勉強はもっと大きくなってからやるんだよ、今日は算数で遊んでから、皆と体育をして図工、ご飯食べたら中学で遊んで貰うんだ。」
「そっか今日は二つ一緒なのね。」
「うん。」

算数は一人遊びみたいな事で参考書を見ながら問題を解き進む、分からない事が有ると質問するが、その回数は少なかった。
中学での遊びとは英語の授業が中心、書く事はまだ遅めだったが中三の授業がレベル的に合っていた様だ。
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小学生の頃-02 [安藤優-02]

入学して間もない頃はよく女の子達に取り囲まれた。
テレビにも出ていたし、可愛かったからだ。
学校内では大学生のボランティアが付き添う、ボランティアと言っても、自分達の研究も兼ねている、そんな学生達がいつも見守っていて、こんな事が優の負担にならない様、気を配っていた。
しばらくしてその学生が気付いたのは取り囲む女の子達の変化だ。
人数は徐々に減って行ったが、残っているのは成績の良い子が中心となっている。
どうやら優の質問に有る程度応えられる子が残ったようだ。
それは中学でも同じ、さらに優が行くと英語で話すようになり中学生にとってもプラスになった様だ。
彼は基本的に小学校で過ごすが、中学、高校、大学へ行く事も有る。
どこへ行くかはボランティア大学生と教師が相談して決めていたが、徐々に優の意見を取り入れる様になっていった。
「ねえ、進さん、大学って色々な研究してるんだね。」
「そうだね、優くんはどんな事を知りたい?」
「う~ん…、色々…。」
「一度大学を全部見て回ろうか?」
「う~ん、でも機械とか研究してる所はないんだよね、お父さんが連れて行ってくれた大学は色々な機械が有って楽しかったけどな。」
「そうか、優くんは機械が好きなんだ。」
「動いてるの見てるの楽しいよ。」
「じゃあ、一度相談してみるね。」
「ほんと?! 進さん有難う。」
大人たちが色々な人脈を駆使し、優の工業大学見学の機会を作った。
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小学生の頃-03 [安藤優-02]

ロボットを見る事は楽しい、それが人型でなくとも複雑な動きを整然とこなす装置の仕組みを知る事は優にとってこの上ない喜びだった。
この頃、つまり小学二年生の頃、優はすでに相手の立場、状況を考えて行動する様になっている。
質問をした時、その返事からもっと質問するか、質問をやめるか判断していたのだ。
説明したくてしょうがないという人の場合は質問攻めにする。
この質問も徐々に内容が深まって行く、父親に連れられて行った工場見学で知識も持っている。
結果、質問攻めに応えまくった研究者が盲点に気付かされ改善に繋がるという回数も増えて行く。
そんな、噂が広まり始めると、行き詰っていた研究者が優を呼びたがる様になってくる。
ボランティア学生、教師、父親は相談して極力その依頼に応える事にした。
学校の内容はかなり進んでいるので、この事で学習が遅れるという事はない、優も工業大学へ行くのは楽しかったそうだ。
ここでも留学生達とコミュニケーションを取ったが、ここの留学生達は優にとって嬉しい存在になった。
語学を学んでいる人と会話をしていても自分に興味の有る内容とは限らない、中身の薄い会話も多い。
優にとって言語はコミュニケーションの手段に過ぎず、学習、彼にとっては遊びの対象とはなっていなかったのだ。
それが工業大学では内容の濃い話を留学生と出来る、しかも専門用語も含めて今まで知らなかった語句に触れる事も出来て楽しかった。
留学生にとっても日本の企業に就職する事を考えたら、優の父親関連は魅力的で繋がり持てる事はプラスになる、そして愛らしい子どもと母国語で会話できる事は喜びだった。
そんな関係からか図工の時間の工作はどんどん作品のレベルを上げる事となる。
学生達からいらない物を貰って作ったおもちゃは、父の関連会社で製品化されたりもした。
この頃から大人達は綱引きを始める。
優が将来、理系か文系か、そしてどんな分野に進むのか、父親に色々進言する人達が増えたのだ。
父親の答えは何時も「本人に任せましょう。」だったのだが。
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小学生の頃-04 [安藤優-02]

四年生の頃から学校を休んで父親の出張に同行する様になる。
大好きな父との旅行であり、九州や北海道などへは飛行機を利用する、優にとっては楽しい事だ。
こんな時は必ず色々な地図と中学地理の教科書を持参する。
飛行機から見下ろしては、地図と見比べる。
当たり前の様に県名を覚え教科書の情報を確認したりする。
まさに生きた地理の学習となった。
優を連れての出張は関連企業の視察が多かった、それはもっと小さい頃から優が近場の工場で経験してきた事と同じだ、だが、この頃になると視察先の優に対する対応が随分変わっていた。
工業大学での実績を伝え聞いている者達は、優から何か良い提案を得ようとしたのだ。
そして彼は立派に応えた。
時には別工場での事例を話したり、大学の研究者を紹介する事も有った、すでに父親とは違う人脈も持っていた訳だ。
父の仕事関係で大人と話す時は敬語を使う、始めは戸惑いも有ったが一つの言語と認識していたそうだ。
だが回りも言葉に気を遣う、社長の息子であるだけでなく、時に助言を受けるからだ。
そんな時は彼から「自分はまだ子どもですから気を使わないで下さい。」と声を掛けるのだが、逆効果になる事も多い、彼にとっては悩ましい事だった。
視察の合間にはその地の名所旧跡を訪ねる。
この時は必ずそこの由来などの書かれた立て札を読み、時にはメモを残し後で調べる事もあった。
前に訊ねた所に有った名前を目にするとワクワクして二つの場所の関連なども調べたり考えたりしていた。
こうして戦国大名他、昔活躍した人達に親しんだ。
始めの頃はどこへ行くのも父と一緒だったが慣れるにつれて秘書と過ごす事も。
こういった時の秘書は多趣味な人物が選ばれ、優の世界をさらに広げる事に貢献してくれた。
写真の撮り方も秘書に教えて貰う、お小遣いで買った一眼レフは旅の友となり、出張旅行の記録を作る事が一つの楽しみとなる。
これは徐々に内容を充実させ、後に学校の補助教材として使われる事となった。
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小学生の頃-05 [安藤優-02]

出張の間、優が退屈する事はない、常に何かをしていたからだ。
それは自分で考えた一人遊びゲームだったり、写真撮影だったり、読書だったり、そして特徴的な事としては観察となる。
観察と言っても色々だ、列車の車窓から見える風景から、土地土地の違いを考えながら見ていて色々な発見をする事も有る、道端の草花を観察している事も有れば、町の様子を見比べる事も有った。
父の仕事関連で人と会えば相手の人を黙って観察していた。
「ねえ、お父さんさっきの人嘘をついてなかった?」
「ああ、気付いたか、分かり易い人だったな。」
「それでも気付かない振りをしていたの?」
「うん、人はね自分の心を読まれる事を好まないんだ。」
「う~ん…、そうか…、でも僕は、お父さんが何時も僕が何を考えてるか分かってくれてるから安心してるかも。」
「はは、大きくなったら見抜かれ無い様にした方が良いぞ。」
「隠し事はしたくないな。」
「おっ、なま言ってんな。」
「へへ。」
「さっきの人の事は今調べて貰ってるから安心してな、でも、優も大抵の人が何を考えてるか分かるだろ。」
「まあね。」
「それでも、この事は内緒にしておいた方が良いんだ。」
「どうして?」
「お父さんも失敗した事が有ってな。」
「お父さんでも失敗する事有るんだ。」
「そりゃ、人間だからな、失敗して学ぶ事も有るんだぞ。」
「ふ~ん。」
「学生の頃、ちょっと油断をして相手が何を考えているか話してしまった事が有るんだ。」
「それで?」
「怖がられる様になってしまったよ、あまりにも当て過ぎてしまって気味悪がられたんだ、優も気を付けた方が良いぞ。」
「そうなんだ、怖がられたくないから気を付けるよ。」
「うまくやれよ。」
「うん。」
こんな会話が有ったおかげか、優は怖がられる事なく成長した、尤も彼の能力の高さは多くの人を恐れさせる事になったが。
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小学生の頃-06 [安藤優-02]

優には二人の妹がいる。
優と同じ様に育てられた二人だが、能力も性格も随分違った。
兄妹で遊ぶ事は余り多くないが、仲は良い。
兄が妹達の行動を観察していて、極力機嫌を損ねない様にしていたからである。
たまに合奏をする、優がバイオリン、上の妹がピアノを弾いていると下の妹が踊り出すといった感じだ。
妹達は歌や踊りが好きで、算数を遊びとは思ってない、それでも小学校の成績は良かった。
言葉はやはり何か国語か話せるが兄程でない、これは大人の事情もあったが、話始めた頃の混乱が優とは比べ物にならないくらいひどかったからでもある。
それでも欧州系の言語を中心に使える様になった。
この事は優にとってプラスになったと言える、兄妹でドイツ語で会話したりフランス語で会話したり出来たからだ。
普段から使う機会が多い程、会話能力は上がるものだ。
妹達は兄の事を優兄ちゃんと呼ぶが、優兄ちゃんと呼ぶ存在は他にも何人かいる。
両親の友人の子達でその親と遊びに来たり、何家族かが合同で遊びに出かけたりもする。
そんな時は優が面倒を見る事も有った、大抵はベビーシッター同伴なので必ずしも、その必要は無かったのだが、彼にとっては遊びの一つだったのかもしれない、年下の子ども達をじっくり観察しながら楽しませていた。
優は大人達の輪に入る事も少なくない、そんな時は親達の不満を耳にする事も有る。
「うちの子は落ち着きがないのよね。」
「佐伯さん、それは色々な事に興味が有る証拠ですよ。」
「優くん、そうかしら。」
「僕も翔太くんぐらいの頃はじっとしてられませんでしたから。」
「それなら良いけど。」
「翔太君は昆虫とか生き物に興味が有って、じっくり観察してる事も有りますよね。」
「そ、そうよね。」
時に親も気付いていない事に気付いていた、そしてフォローし褒める、これは父親との時間によって培われたのだろうか。
色々な場面で彼の父の振る舞いを目にしてきた彼にとっては当たり前の事だったのかもしれない。
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小学生の頃-07 [安藤優-02]

父親の海外出張に同行したのは五年生の時が初めてだ。
訪問先は東南アジアの国、父の会社はここで大きな実験的取り組みをしていた。
「お父さん、映像で見た感じよりずいぶん広いね。」
「だろ、でも、この町の規模はまだまだ大きくなる予定なんだ。」
「へ~、すごいな日本以上の規模だね。」
「いや、日本に有る全部の工場や店とかを合わせたらこんな程度じゃないぞ。」
「あっ、そうか。」
「柏木さんがおみえだ、優は初めてだったか?」
「前に一度お会いした事あるよ。」

「柏木さんこんにちは。」
「社長遠路有難う御座います、優くんも大きくなったね。」
「はい、柏木さんとは六年ぶりぐらいですからね。」
「あっ、覚えていてくれたか。」
「ええ、これからすごく大きな事を始めると話しておられて、気になったから、ここの事は父に色々教えて貰ってました。」
「まだまだこれからなんだけど、どうこのニュータウンは?」
「映像で見た感じより大きくてびっくりしました、順調に進んでいるんですね。」
「まあ、色々揉めたり冷や汗をかく事も有ったけどな。」
「やはり国民性とか生活習慣とか日本とは違いますか?」
「ああ、でもね、お金に関しては同じなんだな、誰しもが多くの収入を得たいと考えてるから、そこで揉める事も有るが、その気持ちを利用して優秀な従業員を増やしているよ。」
「他国から参加されてる方々は如何ですか?」
「よくやってくれてる、自分の国でもって気持ちが有る人ばかりだからね。」
「ならば、ここは絶対成功させたいですね、治安面は大丈夫ですか?」
「何とかね、まあこんな辺鄙な所に興味を持つのは君のお父さんぐらいだよ、おっとこんな所で立ち話もなんだからオフィスへ行きましょうか。」
「はい。」
柏木も優の事は伝え聞いていたのだが、質問の内容に頼もしさを感じたという。
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小学生の頃-08 [安藤優-02]

オフィスでも優の質問は続く。
「この町に住む人は会社関係の人とその家族、他は警察官とかの公務員と聞いてますが実際はどうですか?」
「まあ大体そうなんだけど、公務員は給料が安くてね、しかもこんな辺鄙な所、だから社員の家族がボランティア的に公務員をしてくれてるという感じになってるよ、うちで給料を負担する訳にもいかないから微妙な所なんだ。」
「でも、そうして公務員になってくださる方がみえるという事は、佐々木総理や父達の考えがここでも浸透しつつ有るという事ですね?」
「そうだな、社員達の意識も少しずつ変わって来てる…、うん、変わって来てると思う、君に言われるまで意識してなかったけど、ここを立ち上げた頃は…、皆、日本人がここで何を始めるんだって思ってたかもしれない、でも今は将来の姿を共に描ける様になってきたんだ。」
「収支はどうです?」
「そうですね、初期投資分を少しずつ返せる様になって来た所です、ただ社長から利益はこの地へ極力還元する様指示も受けていますので、より効果的な形でのこの町の拡張を考えています。」
「ここは日本で作った製品の受け入れ窓口でも有り、この国から日本への輸出の窓口でも有る訳ですがそのバランスは取れてますか?」
「まだ輸入超過です、ここから日本へ向けての物は他社が結構取り扱っていまして、うちは人件費を抑えない分若干競争力が弱めです。」
「そうですか、他社と差別化を図れる付加価値は難しいですか?」
「難しいですね。」
「具体的な商品リストを頂けませんか、一度検討してみたいと思いますので。」
「分かりました、後ほど届けさせて頂きます。」
小学生と話していた筈の柏木は知らぬ間に上司と話している気分になっていたという。
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小学生の頃-09 [安藤優-02]

夕食は社員達と共に、日本人社員が話し掛ける。
「優くんここはすごいでしょう、お金も沢山掛かってるからね。」
「でも金銭面は規模の割には、大きく見れば、実質あまり掛かっていないのですよ、ほとんど日本の工場で作って船で運んで来ましたから、掛かった費用の多くはうちの別会社の売り上げになってます、持ち株会社桜根としては、ここに投資している資金の多くが自分の会社の売り上げを押し上げているという事なんです。
土地は安かったですし、作業員の方の人件費もスタートの給料をこの国の平均程度に抑えましたから、もちろん能力に応じて昇給します、それでもまだ安いので、充分軌道に乗ったらもっと昇給する予定も有ります、この国の経済状態も考慮しながらだそうですが。」
「よく御存じですね。」
「はい、ずっと父に教えられながらデータを見て来ましたから。」
「中島、お前は来たばかりでよく分かってないから、もう少し説明して頂いた方が良いかもしれんぞ。」
「そ、そうだな、え~っと安藤さん色々教えて下さい、自分まだ良く分かってないみたいです。」
「優と気軽に呼んで下さいね、ここの特徴はこの町全部が一つの会社みたいだという事です。
病院もお店も学校も、もう直ぐ完成する映画館もすべてうちの経営下に有ります、この意味が分かりますか。」
「何でも揃っていてそれなりに便利ですが。」
「経済的側面から考えて見て下さい、例えばお店です、基本的には社員の為の施設ですが扱っている商品はほとんどうちの関連企業の製品です、簡単に言えば社員に支払った給料の何%かは会社の売り上げとして返ってくる訳です。
農場で採れた物もお店に並びますしその加工品もです。
目標は日本から船で運んでくる物とここでの産物だけでこの総合施設で必要な物の七十%以上を維持しつつ、ここで出来た商品を、この国で売ったり、輸出する事です。
それも、先ほど柏木社長にお伺いしたら目途が立ってきたそうです。」
「あっそうか、自分は工場関係なんで農場とかまで気にしてませんでした。」
「この町の特徴としては商店同士の競争が無いという事が有ります、ですから価格は適正価格という事で社員の意見を参考に店長が最終決定をしています。」
「う~ん、社会主義的なのかな…。」
「父は会社主義だと話していますが、ちょっと変わった社会の仕組みです。」
「優くんはそんな難しい事までお父さんから教えて貰ってるのですか?」
「はい、少し難しい話も有るのですが、父は教えるのが上手いんです。」
「いや、それだけでなく、君の能力が高いんだと思うな。」
「有難うございます。」
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小学生の頃-10 [安藤優-02]

父は優に自分の仕事の話をよくしていた、それは教育というより自分の考えを深めたり確認したりする彼自身の為の作業だったという。
難しい分析や考察をしてくれる部下は何人もいた、しかし単純に素直に応えてくれる存在は稀有だったのだ。
自分の視察に優を同行させたのは、その延長線、そして、そこで優が予想を上回る成果をもたらしてくれた事により、彼は「優が楽しそうに難しい話を理解しようと興味を持ってくれた事が会社とってプラスになっている。」と言い切るようになっていた。
始めは子どもを仕事の場に連れ出す事に違和感を覚えていた連中も納得せざるを得ないだけの功績を上げるにつれ、優に会社での役職をという声も出て来た。

社長特務室、室長、小学六年生の時、優に与えられた役職だ。
これは社員達にとって都合の良い事だった。
それまで、優の事をどう呼ぶかは皆の悩みどころだったのである。
小学生とはいえ助言をしてくれる存在であり社長の息子だ。
坊ちゃんという呼び方もあるが社長親子はそれを好まなかった、優くん、安藤くん、どう呼んでもしっくり来なかったというのが彼らの本音だったのだ。
「室長、名刺が出来ました。」
「有難うございます。」
「如何です、室長になられて。」
「少し緊張しています、今まで通りの事をすれば良いと言われていますが、父から、これからは遊びじゃなく仕事、勉強だ、と言われましたので。」
「えっ、今までは遊びだったのですか?」
「はい、楽しいですよね会社って。」
「は、はい。」
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