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五年後-01 [チーム桜-12]

佐々木達が中学校調査をしていた頃から五年の月日が流れた。
安藤隆二の自宅、隆二と佐紀との結婚を機に建てられた家には広いリビングルームが有り、そこでの金曜夜、少し仕事を兼ねた飲み会は定例行事となっている。

「佐紀、優くん達はもう寝たのか?」
「たぶんね。」
「今日の読み聞かせは?」
「フランス語よ。」
「そうか…、安藤、三歳児に外国語って実際の所どうなんだ?」
「ちゃんと相手によって使い分けてるよ、始めての人だとたまに外すらしいけど、ドイツ語で話しかけたら、イタリア語が返って来るとかね。」
「結局何か国語になりそう?」
「そうだな、英語の他はフランス語の人達が熱心だ、ドイツ語と中国語は担当の学生を気に入ったみたい、ポイントは語彙が増えた時だろうな、なあ佐紀。」
「佐々木くん、優達の能力と今後の皆さんの頑張り次第としか言えないわね、今の状態が続けば、英語、フランス語、ドイツ語、中国語、スペイン語は身に付くかも、後、可能性が高めなのがイタリア語くらいかしら、微妙なのがスワヒリ語、気に入ってるみたいなんだけど身振り手振りでコミュニケーションを取ってる感じも有って言語自体をどの程度理解してるのかは不明ね。」
「三歳児の頭は混乱してないのか?」
「大丈夫みたい、誰も言葉を無理に教えようとしてないのが良いんじゃないかしら、ベビーシッターに来て自分の母国語で母国の子どもに話す様に話しているだけだから、子ども達にとっては人によって同じ物を違った呼び方してるぐらいの感覚じゃないのかしら。」
「それにしても良くこんな実験承諾したよな、始まりは俺にも責任があるが…、言語教育を大人になってから受けるのと、幼児の頃から日本語を覚える様に覚えて行くのを比べてみるって、言語の種類は冗談だったのに。」
「冗談の割には外国語大学とか留学生とか紹介してくれたわよね。」
「まあ知的好奇心は旺盛なんで。」
「隆二は俺達の子だから大丈夫だろうって、私もベビーシッターが来てくれるお陰で仕事がはかどるし、国際交流の企画も好評で、次は優も来て欲しいって言われてるわ。」
「佐々木、優なこの前、犬と話そうとしてたんだぞ。」
「お~、犬語まで話せたらすごいな。」
「まあ会話は成立しなかったみたいだがコミュニケーションは何となく取れてて笑えたな。」
「はは、あっ日本語の方は大丈夫なのか?」
「本人も好奇心が旺盛だからな、俺も時間の有る時はとことん付き合ってるよ、日本語でな。」
「桜根が順調だから可能な事だぞ。」
「まあな、あっ、誰か来たね。」
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五年後-02 [チーム桜-12]

入って来たのはチーム桜政治部部長の水野だ。

「こんばんわ。」
「こんばんわ、早かったね。」
「佐々木、水野を呼んだという事はそろそろか?」
「チーム桜内でも色々な意見は有ったが方向は固まってきたからな。」
「じゃあ、皆にも聞いて貰うか。」

部屋で談笑していたチーム桜幹部、桜根幹部に声を掛ける安藤、皆が水野を注目する。

「五年以上掛けて準備をしてきましたが、チーム桜主体の政治団体を立ち上げる所までこぎ着けました、形式上はチーム桜と別組織になります、支持母体がチーム桜と考えて下さい。
チーム桜のメンバーにもなって下さっている、既存政党所属の国会議員、地方議会議員の方々もかなりの人数が参加を表明して下さっていますので、政党の要件をクリアしてのスタートとなります。
チーム桜佐々木代表から正式発表の後、党員募集をして党大会を開きます。
党員に制限は儲けませんが、党費として年額二千円を考えています。
党首は党員の選挙で選びます。
特徴的な事としては、すでに国政を担う事を前提に政策その他の準備をしているという事で、この部分に随分時間を掛けました、もちろん今も調査研究を続けています。
少数野党に甘んじるつもりは毛頭有りません。
理解と協力お願いします。」
「いよいよか、もっと早くてもと思ってたけど、しっかりした準備なく新党を立ち上げていつの間にか消えてく様な政党でも考え物だからな。」
「政治部の存在は誰しもが知る所だから、誰も驚かないだろうね。」
「党名はどうするの?」
「やっぱ桜党か?」
「それだと、ひねりがないな。」
「水野さん、公募にしますか?」
「新党発表の段階で公募してそこから候補を選び、党首と共に党員の投票で決める、党大会で発表という流れを考えていますが如何でしょうか。」
「党名と党首が同時に決まるという事ね、良いんじゃないかしら。」
「党首は佐々木さんが良いと思いま~す。」
「おいおい、クラス委員の選出じゃないんだぞ。」
「でも、佐々木が党首になった方がインパクトが大きいだろうな。」
「そのまま総理大臣の座へ向かってまっしぐらに進んで欲しいわ。」
「佐々木、覚悟の程は?」
「あちこちからずいぶん言われて来たから党首選挙を逃げる訳には行かなくなってる、もっと人生経験豊富な人にお願いしたい気もするが。」
「いや、バックは俺達年寄りが支えるから若手で行くべきだ、そうでなくては新党の意味がない、これからの時代を作って行くのは若者なんだというメッセージにもなる。」
「杉浦社長からそう言われては腹を括るしかないですね、でも党首選挙の結果を見ないと分かりませんよ。」
「はは、佐々木に対抗できるのは安藤社長ぐらいだろ、でも安藤社長はこっちに必要な人なんでな。」
「分かってます、桜根が杉浦社長と手を組んで更に大きくなろうとしている時ですからね。」
「佐々木君は次の衆議院選挙に出馬か?」
「はい、もうしばらく時間が有ると読んでいますので、その間にしっかり準備したいと思っています。」
「選挙する前から当選確実なんじゃないのか?」
「地元のチーム桜メンバー次第だとは思うが、これまでの福祉、教育関係の実績が評価されない筈はないだろう。」
「候補者は全選挙区に立てるんだよな。」
「もちろん政権政党を目指しますから。」
「問題は資金か?」
「政治部はすでに全国レベルで活動しています、その資金も含め寄付を頂いていますし、新党結成となれば色々な収入元が出来ると思っています。」
「党員向けにトレーナーとか売れば、かなりの売り上げになると思うな、安藤、生産能力は大丈夫か?」
「ああ、日本中で同じトレーナーを持つ人が何百万人とかになるかもしれないが、選挙までには何とかなると思う、現政権が新党設立に焦って解散しなければだけど。」
「可能性は有りますね、でも選挙の為のトレーナーでなくても良い訳ですから。」
「従業員に過酷な労働を強いてまで間に合わせようとは思わないよ、暮らし易い国作りを目指す政党なんだから、本末転倒になってもな。」
「暮らし易い国作りか、また俺達の挑戦が始まるんだな。」
「問題は山積みだろ。」
「ですね、行政組織に合わせて作成した今後の方針案を全部印刷したら、本棚が埋まりますよ。」
「すぐにでも組閣出来るとか?」
「ええ、各分野の担当責任者がそのまま大臣もしくはその補佐に付く形と考えています。」
「官僚との関係も考えての事ですか?」
「もちろんです、但し今までとは官僚の立場や仕事の内容は変えて行きます、まあ官僚の中にもチーム桜のメンバーはいますけどね。」
「現政権とはどう向き合います?」
「問題が有る所に関してはきちんと対案を出して行きますし、反対する理由のない事に関しては党利党略など考えずに協力して行きます。」
「まともな政治が実現出来るのかな。」
「下らない事で無駄に時間を潰す様な国会ではなくしたいですね。」
「それなら…。」
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五年後-03 [チーム桜-12]

新党設立の話で盛り上がった後は、カラオケに行く者、帰宅する者…、残ったメンバーは杉浦に興味が有る。

「杉浦社長さすがですね、ヘッドハンテイングで転職なさってからのご活躍耳にしてます。」
「はは、思ってたより順調に行ってな、予想より早く社長になれて、安藤流を大企業に取り入れても効果的だったし、何と言ってもチーム桜との協力関係を築けたのが大きかったな。」
「今後はさらなる協力関係ですか?」
「そうだね、そろそろ安藤社長との密約が見えて来たという所かな。」
「えっ、密約が有ったのですか。」
「ああ、うちの会社を桜根傘下に入れようと考えている。」
「まさか、逆なら分かりますが。」
「逆はだめだ、せっかく立ち直らせた企業が大企業の下に戻ってしまうイメージを皆が抱くだろう、それはマイナスにしかならない。
大企業が桜根傘下に入る事によってこそ、大企業と優良中小企業が対等だと示せるんだ。
トップがカリスマ社長、安藤になるのならマイナス面は少ない、人の交流によって更なる発展も期待出来る。
色々な意味で社員の逃場を広げる事にもなるからな。」
「逃場ですか?」
「ああ、自分がその部署に向いてない、もしくは人間関係がうまく行かないという時の、社内移動制度は安藤社長の発想に習って我が社でも進めたが、さらに違った職種にも可能性を見いだせる、本人にとっては逃場が増える訳だが、企業側としても人を大切にしているとアピールしつつ、貴重な人材を他社へ流す事が減るだろう、まあ貴重でない存在も残るが教育によって改善出来るかもしれない。
それと、すべての製品が順調に売り上げを伸ばす訳でもない、不採算現場も当然出てくる、そんな時はそこの従業員に別現場へ移って貰っている、前は時間が掛かってたのを安藤社長を見習って早目に研修、早目の移動でロスを減らせる様になったが、桜根の一員となればこれもさらに適材適所とし易くなるだろう。」
「しかし大企業が中小企業と同等の位置に置かれる事に反発は有りませんか?」
「色々な意見は出てるがトップが安藤社長という事で結構賛成意見が出ている、桜根での成功は誰しもが知る所だからね、元々幹部の人材が弱かったから私が社長になれた訳だからね。
今は業務提携の内容を見直して統合への準備をしている段階だよ。」
「一気に統合ですか?」
「いや、部門ごとに分社化して、作業が進んだ所から、桜根サイドの同系の会社との合併も視野に入れて再構築という感じだな。」
「現在の管理部門はどうなるのですか?」
「作業が進んだ段階で桜根と合併だ。」
「社名は?」
「桜根は消せないから、社名としてはうちのを消す、ただ製品のブランド名は残すという方向で理解を得ているよ。」
「簡単そうに話しておられますが大変な事なんですよね。」
「ゼロから桜根をここまでに成長させる事と比べたら大した事じゃないよ。」
「そ、そうなんですか…。」
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五年後-04 [チーム桜-12]

翌日、モデル地区の居酒屋では。

「おい、チーム桜の新党が決定したそうだぞ、正式な発表も来週中に有るとの事で、お祭り騒ぎにはまだ早いが準備はしてくれと言われた。」
「お祭りの準備か?」
「バカ、選挙のだろ。」
「次回の衆議院議員選挙が楽しみになる訳か。」
「ここからは誰が出るんだ?」
「そりゃ佐々木代表だろう。」
「当選確実だな。」
「たぶん、でもしっかり票を集めての当選じゃないと…、俺達が恥ずかしくないか。」
「だよな、最高の投票率、最高の得票数で俺達の底力を全国に見せつけないと。」
「自分の住む所がモデル地区になったことで、随分意識が変わった気がする。」
「だよな、でも変な遊びをしてるよりよっぽど充実感が有る、この商店街だって昔とは全く違った形で再生できたしな。」
「次は国の改革にささやかながらも俺達の力を役立てるって事だな。」
「とりあえず乾杯か?」
「はは、じゃあ新党に乾杯と行くか。」
「おお。」

「おや、こんな時間に婦人会のメンバーって珍しいね。」
「新党の話、聞いたでしょ。」
「ああ。」
「私達も乾杯しましょうってね。」
「なら俺のおごりだ、何時も有難うな。」
「お~、太っ腹、マジで御馳走になっちゃうわよ。」
「このワクワクした気持ちを皆で分かち合いたいじゃないか。」
「では遠慮なく…。」

「商店街以外は表向きすごく変わったという訳でもないけど、随分変わったんだろ。」
「ええ、街の雰囲気も変わりました、子ども達を見守る目も沢山増えて、子どもは国の宝と言って可愛がって下さるご老人も、以前はきっかけがなかったり、下手に子どもに声を掛けると通報されるんじゃないかとためらっていた人も、きちんとした形で子ども達と向き合える場を作った事によって、知らない人じゃなくなって喜んでみえます。
ワンルームマンションもチーム桜の人が増えたお陰でゴミもきちんと出してくれる様になりましたし、学区の行事に参加してくれる人も結構います。
この地域ではチーム桜メンバーの率がかなり高くなりましたからね。」
「住みたくなる町の上位だからね、固定資産税が上がるのかな。」
「それでも、多くの改革をここでしてくれての結果だから喜んで払うわ。」
「そうだよな、これで新党が政権を握ったら税金の無駄遣いも減る筈だから、沢山稼いで沢山税金を払わなきゃな。」
「そして私達におごって下さって感謝もされる。」
「はは、そう行きたいね。」
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五年後-05 [チーム桜-12]

山間の町では学生達の研究実習を兼ねた家が完成の時を迎えていた。

「これでよしと、当初の予定より随分早く完成できたのは地元の方のおかげだな。」
「飯山さん、それでも、やっと完成という気分ですよ、それだけに喜びは大きいですよね。」
「うん、これからは毎年何軒かづつ完成して行くから、毎年完成の喜びを味わえるだろう、やはり一軒目は喜びが違うけどな。」
「建物の回りとかはもう少し綺麗するが、まあ今夜はここで宴会だ、う~ん、今日の宴会の為に今まで頑張って来た気がするなぁ~。」
「はは、じゃあ宴会の用意を頼むよ、俺達はその前に発電システムの確認をしておくから。」
「了解、飯山さんはどうされます?」
「この後、イベントの打ち合わせなんだ、もちろん宴会までには戻るよ、横山社長も一緒になると思う。」
「奥様方も参加ですよね。」
「ああ、もうすぐ来て準備を、娘達も手伝うとはりきってたよ。」
「ここに取り掛かった頃は小学生でしたよね。」
「うん、それがもう高校生だからな。」
「月日の経つのが早いのか、これを建てるのに時間が掛かったという事なのか…、大きなビルでもないのにね。」
「この作業を通して色々な繋がりが出来たから、この家は俺達のシンボルになると思わないか。」
「それだけに有効活用しないとな。」
「飯山さん、ここの活用に関しては色々な話が出てましたけど確定したのですか?」
「しばらくは、ここに係わって下さった方々の宴会が主になりそうだけど、それが落ち着いたらね。」
「う~ん、それじゃあ何時になるか分からないって事ですか、係わった人の人数を考えたら…。」
「宴会の合間に合宿を入れたり見学を入れたりとなるよ、二件目以降が別荘になるのかどうかはここでの反応次第かな、当面ここは宴会場とでも呼ぶか。」
「はは、宴会がメインですか、でも建築に関係した人の中には別荘とか退職後の住まいとか考えてる人もみえるんですよね。」
「ああ、その中から、この地がより活気の有る町になるよう検討という事になるのかな。」
「ここでスタートした頃よりは随分人口が増えましたけど、更にという事ですね。」
「まだまだだと思う、こんな田舎暮らしを楽しみたいという人が増えないとね。」
「ですね。」
「じゃあ行って来るよ。」
「はい、行ってらっしゃい。」

「じゃあ俺達は、小規模水力発電から行こうか。」
「ああ、ランニングコストが安いから頑張って欲しいが問題は冬場の凍結だよな。」
「一冬越してみないと何とも言えないが、小規模火力発電で何とかカバー出来るんじゃないのか?」
「火力は自動的に燃料を送り込む装置が、色々工夫はされているがうまく作動してくれるかどうかだな、極力落ちてる枝とかゴミを燃料にしたいから…、大きさを揃えた蒔ならさほど問題もないとは思うが。」
「太陽光発電も冬場は効率が落ちるからな、最後は燃料電池が有るから大丈夫だとは思うけど。」
「出来れば使わずに行きたいね。」
「ああ、上手くいけば、出来たばかりの合宿所やホール、二軒目以降の電力まで燃料電池抜きで充分に賄える筈だから、あくまでも非常用としておきたいな。」
「大停電になってもここだけは絶対大丈夫という目標をクリアして、あちこちで普及させようぜ。」
「だな、まずは実績を立証しないと。」
「おお、水力は気持ちよく回ってるな。」
「発電量も問題なしだ。」
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五年後-06 [チーム桜-12]

通称宴会場、山間の新築住宅に今日は安藤や佐々木達が来ていた。

「佐紀、優はどうしてる?」
「フランソワ達とお散歩に出かけたわ、飯山さんとこの美里ちゃんと一緒よ。」
「なら安心か…、舞香は良く寝てるな。」
「ふふ、大社長がデレデレしてて良いのかしら。」

「おっ、良く寝てるな、かわいいもんだ。」
「佐々木も子どもが欲しくなったか? 結婚どうするんだ?」
「桜子はこの先を考えて、ためらっていたけど、覚悟を決めてくれたよ。」
「そうか、発表とか日程はどうなる?」
「出来れば選挙前に挙式と考えているが…、まあ簡単に式をすませておいて、披露宴は後でとなるかもしれない。」
「選挙次第というのも微妙だな、解散するのかな。」
「こっちの情報がどれぐらい漏れているかじゃないか、総理が、こちらの準備が整う前に解散と考えるか、人気取りの政策を確定させてから勝負と考えるか。」
「与党からうちに参加して下さる方もみえるんだろ。」
「とりあえず表明は遅らせて貰う事にしたよ、まあ駆け引きって事だ。」
「議員さん達の身元調査どうだった。」
「結果何人かお断りした、不祥事を起こしかねない人物というか問題の有る人はすべてだ、オーケーだった人でも秘書に問題が有る方は調整中だ。」
「その分当初の議席は減るのか。」
「選挙でその分はすぐ穴埋め出来ると思うよ、お断りさせて頂いた方々が再当選する確率は低いと見てるんだ。」
「変な人を立候補させて後で足を引っ張られたら大きなマイナスだよな、経理とか秘書の方も党で一括管理の方向なんだろ。」
「ああ、より透明性の高い政党を目指すよ。」

「おっ、新婚気分の抜けてない遠藤達が到着だ。」
「おう、佐々木、皆揃ってるのか?」
「ああ、予定のメンバーはだいたいな。」
「佐々木さん、桜子は?」
「合宿所の練習室で練習中だよ、もうすぐ来るだろう、裕子、新婚生活はどう?」
「まあ付き合いも長いから特にはね、あっ舞香ちゃんはおねんねか、優くんは?」
「お散歩中さ、そろそろ帰って来る頃かな。」
「安藤、どうだ語学の方は、進捗状況によって次の記録映像に取り掛かるけど。」
「そうだな、先回よりは随分語彙が増えた、好奇心旺盛でおしゃべりが好きだから、面白い映像が撮れるかもしれないぞ、この前ゼロの概念を説明したら面白がってベビーシッター達に話していたそうだ、何もない机を指さして、リンゴが有るって、ベビーシッターがリンゴはないと答えるとリンゴがゼロ個あるよ~、ってさ、五六人に話して反応を見てた可能性が有るらしい。」
「五種類の言語でそういう事をされると、末恐ろしいな。」
「いや微笑ましいだろ。」
「裕子、うちは普通に育てような。」
「でも、日本語と英語ぐらいなら試してみたい気もするわ、英才教育とかじゃなくね。」
「まあ、それくらいならな。
あっ、そうそう安藤、外国語大学が優くんをCMで起用したいそうなんだがどうだ。」
「う~ん、うちの実験に全面協力して貰ってるから断れんな、佐紀どう思う?」
「そうね、内容を教えて貰って優と相談ね。」
「遠藤、たぶんヒーロー系のかっこいいのなら大丈夫だと思う、普通の男の子だからな。」
「分かった、その線で相談するよう指示を出しておくよ。」
「人気が出ちゃったらどうしよう。」
「当分名前とかは伏せておくか?」
「子どもの頃からあまり働かせたくないんだ。」
「そりゃそうだな、気を付ける様にさせるよ。」
「将来的な話なんだが…。」
「どうした佐々木。」
「国際交流事業とかには協力して欲しいと思っているんだが。」
「う~ん、その辺りは本人と交渉してくれないか。」
「うん、分かった。」
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五年後-07 [チーム桜-12]

散歩に行っていた連中が帰って来た。

「ただいま~、あっ、だいひょ~、きてたんだ。」
「おっす、優、元気か。」
「うん。」
「散歩で何か見つけたか?」
「うん、ほらどんぐりだよ、これを土にうめて水をあげると、大きくなって木になるんだ。」
「そうか…、そうだ、優ここにどんぐりの木が有っても良いよな。」
「うん。」
「なあ安藤、植樹じゃないがどうだろう?」
「良いんじゃないのか、皆さんと相談だけど、優、どんぐりが大きな木になるまで何年も掛かるんだぞ。」
「なん年?」
「よし、色々調べてみるか。」
「うん。」

「親子で調べものか、微笑ましいと言えば微笑ましいが、安藤の事だから詳しく調べているんだろうな。」
「ふふ、優はそれが楽しいみたいなの、もちろん全部理解出来てる訳じゃないけど。」

「佐々木代表こんにちわ、お久しぶりです。」
「おお、美里ちゃん、優くんと遊んでくれたのか?」
「はい、でもびっくりしました外国の方と五人で出かけたのですけど、優くん四か国語話してましたよ。」
「驚くよな、幼児だから語彙が少ないし、文法を気にせず話せるからかもしれないが…、それより美里ちゃん高校はどう?」
「いたって平穏です、寮生達も今の所大きな問題を起こす人もいなくて、正直開校当初は不安も有ったのですがフォローに来て下さってる方々のおかげです。」
「初代生徒会長として感じてる問題点とかないのかな。」
「そうですね、やはり部活が限られる事に多少の不満を感じてる生徒もいます、後は能力別の学習が多いので若干劣等感を感じている生徒もいます。」
「乗り越えれそうかな。」
「結局社会へ出たらって話を良くしてます、勉強が苦手なら作業実習頑張れば将来役に立つのではとか。」
「確かにそうだね、かなり実験的な高校だけど…、普通の高校と比べられないか…。」
「そうですね、一生の内で二つの高校に通う事はまずないでしょうから、でも佐々木代表が色々動いて下さって開校となった私達の高校、結構気に入ってますよ。」
「有難う、でもさ最初にここに越してきた時はどうだった。」
「前の小学校から転校できるならそれだけで嬉しいって気分だったから…、正義が負けたんですよ、いじめられてる子をかばってたら、いじめられて…。
始めはこんな田舎で、とも思いましたが、横山社長のお子さん方の面倒をみたり、後から越して来た子ども達の世話をしてる内に何か頼られてしまうようになって、その流れで今は父と共に仕事をしてるという感覚になってます。」
「助かってるよ、ここの皆もそう話してくれる、美里ちゃんが子ども達のまとめ役をやってくれる事でどれだけの人が助けられて安心している事か。」
「大袈裟ですよ。」
「いや、大袈裟じゃないぞ。」
「あっ、横山社長いらしてたのですか。」
「美里ちゃんは俺達には出来ない事を色々手助けしてきてくれたからね、今更だけど有難う。」
「いえ、そんな…、私も楽しんでますから。」
「どう、大学の事とか考え始めた?」
「まだぼんやりです、私の力が社会にとって有益になる道は、とか…。」
「どんな結論になっても、美里ちゃんが自分で決めた道なら私は応援するからね。」
「有難う御座います。」

「美里、夕食の用意手伝ってくれる。」
「はあ~い、母が呼んでますので後ほど。」
「ああ、おいしいのを頼むね。」
「はい、任せといて下さい。」

「ここに来た頃は暗くて青白かった子が…、良い子に成長してくれました。」
「ですね。」
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五年後-08 [チーム桜-12]

夕食まではまだ時間が有る。

「横山社長、ここはずいぶん変わりましたね。」
「佐々木代表、ほんとに皆さんのおかげです、スタートした頃は自分の力で何とかしようと考えていましたが、チーム桜や桜根関係の方々の助けなくしては、ここまで、このスピードでは出来なかったと思います、美里ちゃんがいなかったら越してきた子達の不安はもっと大きかったでしょうし、それが親の負担にもなったと思ます。
代表や安藤社長にも色々助けられて…、じゃがいも社長ジャガイモを作るシリーズも遠藤副社長が提案し番組作成の指示を出して下さって、あの番組ですごく大きな力を頂いたと思っています。」
「あれは、安藤達が結婚後間もない頃でしたね。」
「お二人でジャガイモ栽培を体験って、田舎体験を提唱して下さるだけでなく社長が実際に農作業をする姿に反響が大きかったですね、そこへ佐々木代表との対談を組んで下さって…、田舎を都市に暮らす人が守り支えるという提案は、ここの基礎になっているだけでなく、各地に広がり見せつつあります。」
「実際農村を守るという事を考えた時、結論として農村の自力ではもう難しいだろうという結論に達してましたからね。」
「番組収録の度に大勢の人が来て下さって、グッズも沢山売れましたし、我々の活動に興味を持って協力を申し出て下さる方も多くて、ずいぶん楽になりました、テレビの効果は大きいですね。」
「間伐も進んでいるそうで。」
「はい、大変さを理解した上で手伝って下さる方が増えまして、綺麗になった所では遊歩道整備を進めて下さっているチームも有ります。
こちらは、桜根関連会社の社員有志の方々が中心となって、森林浴スポットにしようと頑張ってくれてます。
ここは名古屋から日帰りも出来るのですが、一泊される方も多いので、我が社も潤っています、早目に小さいながらも旅館を建てたのは正解でした。」
「社員の皆さんは色々こなしてみえるそうですね。」
「はい、土日は農業体験や旅館の仕事が中心、他の曜日は田畑の作業、冬季は森の整備、合宿所とホールが完成しましたからその維持管理と仕事が増えた分社員も増やしています。
年齢的に農作業がきつくなったという方の手伝いは将来、その田畑をお借りしたり譲って頂いたりという事も視野に入れて取り組んでいます。
若者達がお年寄りと仕事する事で、地元の方々に喜んで頂いていますよ。
今年は家庭菜園ならぬ会社菜園の取り組みも有りました。
一つの会社から有志の方が交代で畑仕事にみえて、夏には自分達で作った作物をキャンプで食べたり、この前は収穫祭と称してイモ掘りとかしていかれました。
安藤社長も佐紀さんや優くん達と参加して下さいましたから、皆さん大喜びでしたよ。」
「彼も家庭サービスはまめだからね。」
「でも、そんな時間でも頭の中では会社の事を考えてる事も多いって、紹介番組で取り上げてましたから、確かに社長の仕事って、特に桜根のような会社の社長だと考え事イコール仕事なんでしょうね、私の場合だと雑用一般という部分が大きいのですが。」
「そろそろ雑用を下の連中に任せるとかは如何です?」
「そのつもりは有って引き継いではいるのですが、新規の企画が多くて、追いつかないんです。」
「発展の途中という事ですね。」
「はい、社有地も増えていますし、まあ売れなくて困っている人から、お金を出すから貰ってくれって物件が結構有りまして、活用出来ない土地に、固定資産税を払い続けるくらいならという感じです。
うちは、そこで最低でも固定資産税と管理者の給料以上の価値を生み出すべく努力をしてる訳です。」
「それで新規の企画が多いということですか、今度どんな感じか教えて頂けませんか、自分でも企画を考えてみたいです。」
「佐々木代表はこれから忙しくなるんじゃないですか?」
「まあ、忙しいというか移動時間は増えます、ただ代表が忙しい様では弱い組織になってしまいますからね、私がいなくても基本的な所は回って行く体制にして有ります、私の役目はそこにプラスアルファの価値を加えるといった所でしょうか。」
「成程、そうでしょうね、トップに余裕がないと全体が弱くなるという事ですか。」
「党としても、横山さん達が過疎地の問題をここで色々検討して下さって、改善策を実践している事の意味は大きいと思っています。
どれだけ綺麗ごとを並べても、これだけ予算を上げるから頑張ってと言われても、根源的な所の解決を目指さないと無理な訳ですから、これからもよろしくお願いします。」
「はい、この地で佐々木代表を支え応援していきますよ。」
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五年後-09 [チーム桜-12]

夕食を前に安藤が話始める。

「佐々木が政界へ進出となりますが…、まずは佐々木から報告が有ります。」
「え~、今後を考えると桜子にとって大きなハードルが有り、随分悩ませてしまいましたが、えっと…、先日覚悟を決めてくれました、日程等はこれから調整して行く段階ですが、桜子と婚約させて頂きました、よろしくお願いします。」
「おめでと~。」
「じゃあ、かんぱ~い。」
「乾杯!」

「桜子、よく決心したな、政治の世界は大変だろうけど、佐々木を支えてやってな。」
「はい、遠藤さん、周りの方からはもしかすると総理大臣になるかもと言われて、正直不安も大きいですが、いざとなったらバイオリン弾いて胡麻化せば良いからと。」
「えっ、なんかいい加減だな。」
「私が総理になる訳でも有りませんからね。」
「桜子、うちの旦那が今、何考えてるか当ててみる?」
「私達を使ってどんな番組を作るかでしょ、裕子。」
「さすが分かってるわね。」
「はは、でもチーム桜に於ける、遠藤の功績は大きいからな、ねえ横山社長。」
「うちの今は遠藤副社長抜きでは有り得ませんよ。」
「皆さん、あまりほめ過ぎると調子に乗り過ぎてしまいますから、ほどほどに願いますね。」
「裕子ちゃんが手綱を握りしめてる感ありありだな。」
「でもこれから佐々木代表の全国遊説が始まるのでしょ、桜子ちゃんはどうするの?」
「時々応援に行くという感じです、自分のコンサートの予定も有りますし。」
「全国四十七都道府県すべて回るって、いったい何日かかるんだ?」
「今の所半年ぐらいを考えている。」
「順番は?」
「盛り上がりそうなとこからだな、そこでの盛り上がりの力を次へ繋げていく形でルート組むようお願いしてある。」
「そうか、隣の県で盛り上がっていたら気にもなるし、自分達もってなるだろうな。」
「ずっと旅行という訳ではないんだろ?」
「どこにいても仕事が出来る世の中だから、それでも構わないがさすがにな。」
「結婚したら新居はどうするんだ?」
「う~ん、どうしよう…。」
「順調に行けば、東京に一軒総理大臣のおまけとしてついてくるよな。」
「そこまで順調とは考えにくいが…。」
「うちの関東支社辺りが用意するよ、政治資金規正法とか諸々の法律に引っかからない様に考えてね。」
「良かったらここに別荘でも如何です?」
「飯山さん売り込みですか?」
「はは、まあそんなとこです、来年完成予定の一軒をセキュリティ完璧にして…、なんならヘリポートも作りましょうか?」
「えっと、安くして頂けますか?」
「それはだめだな、業者との癒着なんて有ってはならないだろう、なんならうち関連で住宅ローンを紹介しようか、いや、今まで佐々木が稼いだ金で現金払い出来るんじゃないのか。」
「安藤、政界入りは早い段階から意識してたから、その時の資金にと考えていたけど、まだ自分がどれほど負担するのか良く分かってないんだ。」
「そっちの資金は佐々木は負担しなくて良いと思う、いや、しない方が良いんじゃないのか。」
「そうですよ、代表がそんな事を気にしなくてはならない様なレベルの政党には皆がしませんよ。」
「政治と金の問題って微妙な部分もありますよね。」
「それを、総理大臣になって解決して下さい、で、佐々木代表はこの地に別荘を一軒お願いしますね。」
「飯山さんは商売熱心なんですね、佐々木、俺と共同購入ってどうだ、ヘリポートも作ってもらえると俺としても助かる、海外からの客をもてなしたりとか必要になり始めてるんだ。
ヘリを運行している会社も一つ桜根傘下入りしたからね、ヘリポートは災害時にも役立つだろうし。」
「う~ん、それなら前向きに考えるよ。」
「分かりました、窓から見える景色や、庭園も恥ずかしくないものにします。」
「飯山さんもしかして、前から考えてたとか?」
「まあ、ここの新築住宅が一番生かせる道の一つとしてですが。」
「こんな人がいたら、会社も安泰ですね、横山社長。」
「はい、次へのステップも二人で考えていますよ。」
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五年後-10 [チーム桜-12]

夜、家の離れで佐々木と安藤。

「のんびり出来て、何かチーム桜スタートの頃が嘘みたいだな、安藤。」
「ああ、あれから何年だ、あの頃は自分達がとにかく動かなくては行けなかったな、でも佐々木が政界入りすると、また忙しくなって、今までみたいには会えなくなるのか。」
「毎週金曜日とはいかなくなるな、でもあまりあくせくしてては良い仕事が出来ないと思うから時間は作るよ、俺達の仕事って、一人で考え事してる時なんか、傍から見たら、ただぼーっとしてるだけだろ。」
「まあな、俺は優と遊びながら仕事してる時も有るし…、どうだ新党の感触は。」
「安藤が財界へ一石投じたから、今度は俺の番、何としても結果を出したいと思っているが、皆よくやってくれてる、油断は禁物だが最低でも野党第一党にはなると思う、今までの積み重ねが有るし、チーム桜の規模を考えたらな、それだけに期待と不安で…。」
「佐々木でも不安に思う事有るんだ。」
「はは、当たり前だろ。」
「チーム桜も巨大なボランティアサークルみたいな形で固まってきたから選挙もかなり手伝って頂けるんじゃないか。」
「まあな、社会福祉、教育といった分野はチーム桜が支えてくれる、経済活動は…、桜根はどうだ?」
「俺は恨まれてるだろうな、給料が良くて働きやすい職場を作ってるから、当然優秀な人が集まってくる、その分業績も上がる、今まで人件費を押さえる事に気を取られて貧富の格差を生み出してきた様な企業ではついてこれないみたいだ、下請けに無理を押し付けていた会社の中には、下請けの多くがうちの傘下に入って別会社と契約を結んだら、会社が回らなくなってきてる所も有るそうだ。」
「杉浦社長のとことの合併話が広がったらさらに恨まれるぞ。」
「はは。」
「でも、今後も中小企業を傘下に入れていくんだろ?」
「ああ、もちろんだ、従業員十人の会社も一万人の会社も桜根の傘下なら同等だよ。」
「今も増え続けているのか…。」
「世代交代がうまく行かなかったり、今まで作ってきた物が売れなくなったり、理由は様々だがな、最近はぎりぎりまで粘らずに桜根傘下入りを打診してくるケースも増えている、まあ今の所は順調だ、海外からの問い合わせも有って検討中さ、杉浦社長の所の海外営業所を中核に据えての事業展開となるかもしれない、で、輸出と輸入の額のバランスを考えている。」
「円高時と円安時に対応する訳だな。」
「ああ、一つの部門が落ち込んでも他でカバーして行く体制なら安心感が有るだろ。」
「海外からもチーム桜に登録する人が増え始めているから、桜根の海外事業と絡めていけると面白いかもしれないな。」
「優が大人になる頃にチーム桜がどうなっているかだ。」
「彼を国際交流のシンボルにしたいけど、もう少し大きくなってからお願いしてみるかな。」
「全然違う分野に興味を持ったらそれはそれで面白いとは思っているのだが。」
「例えば?」
「理系で研究者とか芸術家とか。」
「本人の意思を尊重という事なんだな。」
「ちょっと変わった環境で育てているから、どの道を選んでも平凡には生きられないだろうが。」
「俺にも責任が有るからどんな道を選んでも後押しするよ。」
「おお、頼む、まあ優だけでなく俺達の後継者も育てて行く必要は有るがな。」
「そうだな、俺達の挑戦に終わりはない、というより、また新たな挑戦が始まるんだよな。」
「もう一度気合いを入れ直すか。」
「そうだな、初心に返って挨拶回りをしてた頃を思い出してか…。」
「チーム桜に。」
「チーム桜に、乾杯。」
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