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新年度-01 [チーム桜-07]

年度が変わり桜根本社には緊張感がみなぎっていた。
新入社員はもちろん、ここまで桜根を支えて来た社員達もだ。

「吉田君ごめんな、もっとじっくり説明してあげたいとこなんだけど。」
「大丈夫ですよ、門田さんが関西支社設立に早く専念出来るようにがんばりますから。」
「すまんな。」
「新入社員全員で協力して先輩方の負担を減らしていかないと松野に怒られますし。」
「はは、彼女はタオル工場の立て直し関連でずいぶん実績を上げたからな、そのまま社長という選択も有ったが。」
「松野里香は副社長候補になっているそうですね。」
「ああ、あのお転婆娘に本社を任せて、俺たちは各地へ旅立つという作戦なんだ。」
「でも本社の副社長なら早瀬常務の方が適任では?」
「いやそうでもない、俺達としては佐紀さんには極力安藤社長についていて欲しいと思っているんだ、本社担当の副社長になってしまうと時間的な制約が大きくなってしまう、それと松野君は安藤社長とはずいぶんタイプが違うから面白いだろ。」
「でも本社を新卒に預けて大丈夫なんですか?」
「本社が一番安定してるということさ。」
「あっ、そうですね…、このエリアでは桜根傘下入り希望企業を桜根傘下の企業が率先して導いていると聞きました。」
「君も油断してると自分の仕事がいつの間にかなくなってるって事も。」
「よして下さいよ、そんなの寝れなくなるじゃないですか、これから頑張ろうと思ってるのに。」
「じゃあ、君にだけ特別な仕事をあげよう。」
「は、はい。」
「まずは、現時点での桜根傘下入り希望企業リストの精査だ、資料を見て疑問を感じる所が有ったらきっちり調べて報告してくれ。」
「はい、分かりました。」
「俺も調査していくから、まあ俺との勝負と考えてくれな。」
「はい。」

「山根さん、この資料うまくまとまってたわね。」
「はい、有難う御座います。」
「ただね、自分がこの部署のトップだったらって意識有るのかな。」
「えっ、私は新人ですし…。」
「桜根本社総合職の意味分かってるかな、総合職を選んだという事は、支社長を目指すくらいの気持ちが必要なんだけど、あなた安藤社長や大川支社長、長江支社長のお言葉、きちんと受け止めてる?」
「えっ、あっ…、すいません足りてなかったです、私。」
「きついこと言う様で御免ね、私も早く大阪支社設立に力をそそぎたいのよ、お願いね。」
「は、はい。」

「なあ、さすがに新人に対して支社長を目指せなんて厳し過ぎじゃないか。」
「いずれは日本中に支社を設立して行く訳でしょ、だから新人でも立派な支社長候補、場合によっては傘下企業の重役になるかもしれないしね、まあアメとムチという事で、アメ玉お願いね。」
「はは、分かったよ。」
「門田さんは明後日から大阪出張でしょ、留守中に気を付ける事は何か有る?」
「とりあえずは、吉田君と山根さんかな、他の案件は大阪にいても大丈夫なんだ。」
「OK、でも抱えてる案件は減ってるの?」
「ああ、グループ内転職で来てくれた斎藤さんが進めてくれてる、ご自身が企業再生を経験してみえるから理解も早いし、慣れたら北陸支社長ぐらい任せられるんじゃないかな。」
「それなら、何時、関西支社設立の話が有っても大丈夫ね。」
「今回の出張で目途をつけて、安藤社長と相談したいと思ってる、傘下入り希望が増えすぎる前に動き始めたいと思っているんだ、俺には長江さん程の力がないからね。」
「私も手伝える様に、まずは引継ぎをがんばるわ。」
「うん、頼むよ。」
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新年度-02 [チーム桜-07]

年度の区切りに合わせて、桜根グループ全社に労働時間、働き方についての提案がなされた。

「労働時間を五分短くするって給料が減るのか?」
「五分くらい短くなっても意味ないだろ。」
「お前らちゃんと読んでないな、給料は減らない、七時間労働を希望した場合は減るけどな、で五分短くすると休憩時間が一時間から四十五分に減らせるんだ。」
「法律の関係か?」
「ああ、休憩時間が短くなっても二十分早く帰りたい人もいるだろうし、給料が減っても労働時間を短くしたい人もいるのさ。」
「そうか、小さい子どもがいるとか事情は色々だろうな。」
「ああ、場合によっては二時間勤務とかもな。」
「パートならともかく正社員では難しくないのか?」
「そこを、これから試して行こうとなったのさ。」
「桜根傘下に入ってから出荷量が増えたのに労働時間は減ったからな、残業代が減るかと思いきや昇給したし、その流れということか。」
「職種によっては時間で区切らず、仕事を請け負うという形も提案されている、すべて労働者の不利益にならない様に、会社ごとで相談して決めるそうだ、俺は今のままで良いと思ってるけどね。」
「こちらから提案も有りだよな、もちろん。」
「だな、あと俺達には関係ないが、自宅で仕事をして出社は最低限にするという制度も広げるそうだよ。」
「工場の現場勤務では無理だわな。」
「広げるという事は、今までも有ったという事か?」
「ああ、労働時間短縮も在宅労働もグループ内で試行していた会社が有るし、他の会社でもな。」
「でも在宅だと色々ごまかしたり出来ないか?」
「その辺りは、請け負いとか色々想定しているそうだよ。」
「メリットは?」
「通勤時間ゼロだな、それと職場から離れた所に住み易くなる。
家賃の安い所に住むのも有りだし、土地の安い田舎に家を建てても良いだろ。」
「ネット社会だから出来るという事か。」
「なら、岩手に住んでいて名古屋の会社で働くという事も可能なのか?」
「職種にもよるだろうが不可能ではないだろうな。
実際、安藤社長は二週間の旅行中にも普段通りの仕事をこなしておられたそうだからな。」
「卒業旅行って名ばかりだったって事か?」
「だろうな、俺達と違って体を動かす事は少ないだろうけど、どんどんでかくなって行く企業のトップなんて…、気を使うんだろうな…、俺には想像も出来ないが。」
「副社長を増やして、社長の負担を減らそうとはしてるんだろ。」
「それでも支社が増えたら、日本中を飛び回る事になるんじゃないのか。」
「だろうな…。」

「なあ、俺はさ…、昼休みを二時間にしてもらって帰りを一時間遅らせて貰うって頼んでみようかな。」
「理由は?」
「昼寝をしたいし、仕事が早く終わっても仕方ないから、土日の休みだって暇なのに…。」
「仕事的には支障ないな、ただ昼寝は…、たしか三十分ぐらいが最適って聞いたことが有る。」
「それより、お前は婚活でもすればどうだ?」
「趣味の一つぐらい持てよ、パチンコ以外のな。」
「チーム桜関連でボランティアって道も有るぞ、結構良い出会いの場になってるって聞いたな。」
「う~ん、そんながらじゃないけど…。」
「桜根の婚活プログラムに参加してみろよ、思わぬ楽しみが見つかるかもしれないぞ。」
「う~ん、一度調べてみるかな。」
「鹿沼さんは、婚活プログロムで出会った相手と良い感じになってるらしいから、聞いてみれば?」
「ああ。」
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新年度-03 [チーム桜-07]

桜根、チーム桜からの発表は、チーム桜の動画サイトで発表されている。
桜根傘下企業の食堂。

「今日の発表は佐紀さまからなのね。」
「ええ、お昼休み合わせての配信開始なんでしょ、佐紀さま知的でかっこいいのよね。」
「十二時十分から食堂で見れるって事だからもうすぐじゃない。」
「あっ、始まったわよ。」

『こんにちは桜根広報の早瀬佐紀です、今日は三つのお知らせが有ります。
まずは関西支社設立の正式決定です、門田支社長が担当します。』
『安藤社長より関西支社長の任を仰せつかりました門田です、よろしくお願いします。
先々、関西支社は中国、四国地方を支えるべく活動して行きたいと思っています。
関東支社、九州支社に負けない実績をあげて行きたいと考えていますので、ご支援、ご協力の程よろしくお願いします。』
『すでに県単位の支社準備室も立ち上げの準備に入っておりますので、今後の活動を見守って頂けたらと思います。
次に桜根で新会社設立のお知らせです、今まで桜根本社直の形で桜根グループ及びサポート企業を対象に婚活とボランテア支援をして来た部署を独立した会社にする事となりました。
分社化する事でより効率的な展開を考えています。
では谷川新社長です。』
『谷川です、今までは桜根本社の一部門として活動して来ましたが、すでに婚約された方も多数いらっしゃいます、経営的にも問題ないと判断させて頂きまして今回の独立となりました、もちろん桜根の全国展開を視野に入れての事です、活動は今まで通り桜根グループとそのサポート企業の方のみを対象とさせて頂きます、拡大の勢いに婚活イベントが追いつかないぐらいです、先々は余裕が出来た段階でチーム桜のメンバーにも拡大したいとは考えています。
社名は、株式会社さくらんぼ、とさせて頂きます。
では、本日最後の発表は私からさせて頂きます、安藤社長と早瀬佐紀広報担当常務がめでたく婚約されました。
安藤社長、ちゃんと寄り添って下さいね。
では、佐紀さんどうぞ。』
『私事で照れくさいですが、安藤社長はもっと照れてますので、私から…、え~安藤社長の妻の座を射止めんとがんばって来たおかげで、社長のお許しを頂きました。
今月末に結納、秋に式と考えております。
私の活動の一つ、企業間を超えての婚活活動は、谷川社長にお任せして一歩引かさせて頂きます。
しばらくは広報部の仕事に専念させて頂きますのでよろしくお願いします。』
『おめでとうございます。
なお、お二人には新会社のイメージキャラクターとなって頂く様お願いして有ります。
近い内に、お二人を囲む形での番組も制作させて頂きますので公開日が決まりましたら公表させて頂きます。
この後は最近桜根傘下入り企業紹介などをお送りします。』

「佐紀さまの、社長の妻の座を射止めんと、とか社長のお許しを頂きました、とか、どんだけがんばったの? って感じじゃない?」
「そうよね、あれだけ才色兼備の人に言い寄られたら断れる訳ないと思うのに。」
「でも安藤社長も立ってるだけなのに緊張感みなぎってなかった?」
「はは、何時もは堂々とされてるのに、ちょっと可愛いかったわね。」
「あのお二人は何時発表するのって感じだったから、皆でおめでとうって伝えたいよね。」
「美女とじゃがいもグッズ、うちの娘も好きで集めてるから。」
「という事は、今度はウェディングドレスを着た美女とタキシードを着たじゃがいも社長になるのかな。」
「出たら記念に買わなきゃね。」
「関東、関西が成功したら桜根の規模も半端なく大きくなるのよね。」
「その社長がまだ二十二歳なんて、歴史に名を残すんじゃない。」
「私達も頑張らなきゃね。」
「ほんと、働き易くなったし給料も上がったし。」
「午後もがんばりますか。」
「ええ。」
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新年度-04 [チーム桜-07]

桜総合学園制作部オフィス。

「遠藤社長、社長交代の予定はどうなりますか?」
「時期は安藤社長に任せて有ります、社長交代しても自分は桜総合学園担当として動いていきますから特に急ぐ必要もないです、とりあえず幹部が三人増えたという事ですよ、佐藤さんの目から見て、お三方は如何です?」
「良い人を紹介して貰いましたね、三人のバランスが良くて私も動き易いです。
基本的な引継ぎはほとんど済んでいますし、細かい事はこちらに任せて頂けるそうで、余裕が出てきたら少しずつ改善の余地がないか検討して頂きます。」

「遠藤社長、一話完結のドラマなんですけど芸能部メンバーのみの出演、CMなしの代わりにスポンサー企業を登場させるという案に、二社が興味を示してくれてます、踏み込んだ話まで行きますか?」
「榊原さん、扱ってる商品は?」
「一社は秋に発売するプリンターに合わせて、もう一社はヘアーカラーで特に新商品という事ではないそうです。」
「杉原さ~ん! ちょっとよろしいですか?」
「はい。」

「実験的に単話ドラマ作品を二本作成します、ストーリーは条件を提示してチーム桜から募集しますが、スポンサーの意に沿えるだけのものがなかったら、自分が書くか、他を当たります。
そこから脚本を完成させて六月くらいには試作という形でクライアントに見て頂ける所まで、一本は秋に発売の商品に合わせてですから余裕はないと思います、そのまま使えるレベルまでには仕上げておきたいのですが。」
「脚本が出来上がった段階でオーデションですか?」
「登場人物像が固まった時点で行いましょう、芸能部とその予備軍のみで行いますから簡単に行けると思います。」
「でも、作品がボツになる可能性も有るのですよね、セットとか組んでも予算的に大丈夫なんですか?」
「セットはいらないです、撮影は全部クライアントの会社中心に行い社名をそのまま出しますから小細工は最低限で済みます、小物は桜根製品で有る程度カバーできるし、エキストラが必要になったら、そこの社員の方にお願いすれば済みます。」
「なる程そういう形で撮影をするとクライアントサイドにもOKを出して貰いやすいですね。」
「後は、佐紀や佐々木、安藤、桜子にもちょい役を頼んで、主役の一人は知名度的に裕子で行きたいです。」
「放送がこのエリアなら、それなりの視聴率になりそうですよね。」
「そこまで甘いとは思ってませんが、無名の新人ばかりの実験的ドラマと宣伝すればどうでしょうか、で、もう一つの隠し玉として、ちょっと微妙ですけど、落ち目のバンドや芸人が芸能部入りを打診してきていまして。」
「あっ、埼玉の成果ですね。」
「チーム桜を利用したいという事でしょうね、オーデションをして再生の可能性が有れば受けたいと思っています、全くの素人ではないですし、うちのメンバーよりは知名度が有りますから、ドラマでは、ちょい役にしますが。」
「私は、クライアントとの調整、テレビ局との調整ということでしょうか?」
「杉原さんが直接動くのは、大きな部分で人の繋がりを築く事です、細かい事は社員がやってくれますので、上の立場から見守って下さい。」
「は、はい。」
「テレビ局サイドへの打診は、どのタイミングで行えば良いのですか?」
「今お話しした内容をスポンサーサイドに伝えてゴーサインを頂いたら、クライアントの意向に沿ってすぐにでもお願いします。」
「名古屋の局に関してはたぶん問題なく…、どこの局で放送するかで若干揉めるかもしれませんが何とかなると思います、他県の放送局に関してはクライアント次第ですが…、今までもCMを任せて頂いてる桜根サポート企業ですから…、良い作品が出来たら安藤社長にも色々…、う~ん、桜根副社長になったら自分で何とかしなくてはならないレベルですね、自分も動きますから皆さんも、お願いします。」
「ストーリーの条件は、スポンサー企業を話の舞台にする事、そこの商品をPRとなりますからハッピーエンドの明るい話が良いですよね。
でも、内容的に再放送のチャンスが少なくなるのが残念な気もします。」
「再放送時には、編集し直して紹介する商品を入れ替え易くするという指示も出して下さい。」
「それも実験的な取り組みなんですね、クライアントにも伝えます。」
「同じ作品が違った形で放送されるのも話題性が有って面白いです。」
「ただ作品の出来が良く無かったらだめだし、クライアントのイメージダウンになる様なシーンは一秒でも流したらアウトだから、現場サイドにも緊張感を持って取り組む様に指示をお願いします。」
「はい、ただ、今まで本格的なドラマは撮って来てないですから、現場のメインは誰にお願いしますか?」
「すぐに情報を流し、やりたい人は手を上げてって言えば、何本も手が上がりますよ、その連中の作品を見て決めましょう、二本作りますから、二人が競う事になって面白いかも、メイキング映像を編集してドキュメンタリー番組も作りましょう、ドキュメンタリーはうちの得意分野ですからね。
まあ、ドラマがボツになっても、社名を隠したドキュメンタリーなら問題なく放送して貰えると思います。」
「同時に撮影となると、機材やスタッフは大丈夫ですか?」
「映画じゃないし連続ドラマでもないから、撮影に長期間かける訳では有りません、プリンターを優先的に撮影してからヘアカラーで良いです、現場撮影スタッフは一チームでメイキング映像まで行けます。
編集も今後を考えたら、だらだら長時間とは行きません、将来映画制作とかになったら違って来るのでしょうが、今はテレビ向けの番組制作ですからね。」
「とりあえず経験を積む意味で、私も動いてみたいと思いますがよろしいですか?」
「はい、杉原さんお願いします、今後も制作スタート前の判断を色々経験して頂きたいですから。」
「分かりました、すぐに調整をして指示を出します。」
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新年度-05 [チーム桜-07]

桜根オフィス。

「川中さん、この二つの案件ですけど、内容と立地を考えたら桜根傘下入りのタイミングで合併する方向でも良くないですか?」
「そうね、ただ合併は社員の抵抗が有る場合も多いのよ、強引に合併させると再生初期の動きが鈍くなる可能性も有るの。」
「説明会を二社合同で開いては如何でしょうか、その時に交流の場も設けて感触を見るという事で。」
「じゃあ、松野さんこの二社担当してみる?」
「はい、お願いします。」
「但し焦らない事、強引にやらない事だけは守ってね。」
「はい、気を付けます。」

早速電話を掛ける松野、川中はさりげなく聞いている。
「株式会社桜根、御社担当になりました、松野里香と申します、担当の…。
…、はい桜根傘下入りの方向で動かさせて頂きます、近い内にお邪魔させて頂きますが、現在傘下入り希望企業が多くて、出来ればお近くの傘下入り希望企業と合同で説明会を開かさせて頂けたらと思いまして…、はいそうです、今まで傘下入りした企業も近くの企業と良い協力関係を築いていますので…、よろしいですか、日程に関しては追って連絡させて頂きます…、はいこちらこそよろしくお願いします、失礼します。」
「ふふ、慣れたものね、すぐにでも独り立ちできそうだわ。」
「でも、やはり場数を踏まないとだめだと思っています、まずはこの案件を諸先輩方の事例を参考にさせて頂きながら成功させたいです。」
「がんばってね。」

「川中さん、来週の火曜日に説明会を開きます、それまでに、似た様な規模の、そして後に合併した企業の資料に目を通しておいて頂くようにお願いしておきました、資料は送って有ります。」
「早速宿題をあげたのね。」
「はい、成功例を示すのが一番早いと思いまして。」
「どう、私のフォローは必要?」
「どうなんでしょう、おそらく相手は小娘が来たと思ってなめて来るとは思いますが。」
「まあ、うまく行かなかったら、それからのフォローでも何とかなるわね、一応説明会の内容は録音しておいてくれるかな?」
「はい。」
「でも…、そうね…、私の方からあなたのプロフィールとか送って挨拶しておくわ。」
「有難う御座います。」

説明会当日、挨拶の後、松野。

「最初にお話ししておきたい事は、桜根傘下企業の成功例が多く発表されていますが、決して簡単な事ではないという事です。
私が学生社員として経験させて頂いた会社はチーム桜グッズを扱わせて頂きましたので、売り上げこそ右肩上がりでした、しかし工場の効率UP、社員の意識改革には時間がかかりました。
こちらの二社は業種的にグッズ関連とはなりませんので、簡単に売り上げが伸びるとは思っていません。
でも、桜根傘下となるからには、成功例の一つになって頂きたいと思っています。
まずは、皆さんから質問が有ればお答えさせて頂きたいと思います、如何ですか?」
しばらく質疑応答が続いた後。
「頂いた資料の企業は合併したんですね、抵抗とかなかったのですか?」
「細部までは分かりませんが、合併を言い始めたのは両社の社員だったと聞いています。
桜根傘下の企業は横の繋がりを大切にして頂いています、特にこの二社は地理的にも業種的にも近かったので合併前から交流も盛んになり、いっそ合併してさらなる効率UPを図ろうという事になったそうです。」
「そうでしたか、私達二社はお互い知らない訳でもなかったのですが、交流が有った訳でもなくて、でも昨日両社の幹部が話し合いまして、松野さんの指示が有れば合併も視野にと。」
「そうでしたか、ただ、幹部だけでなく一般の社員の方々が納得して下さらないと良い方向には進みません、改革をより迅速に進めて行くには、社員全員の理解が必要だとお考え下さい。
指示されて働くだけだった社員が、自分の考えを持って仕事に取り組める環境作りが重要なのです。」
「何か、緊張感が増してきました、でも頂いた資料の意味が実感出来た気がします。」
「いや~、最初松野さんのお声を電話で聴いた時は、えらく可愛い声で大丈夫なのかと正直思いました、川中さんから連絡を頂いても信じられなかったのですが、近い将来本社の副社長候補というのはほんとだったのですね。」
「えっ、それは川中さん話を盛りすぎてます、私はどっかの支社長クラスを狙ってますが。」
「はは、それでも頼もしい、私達の会社が松野さんの桜根本社入社後初仕事なら、私達も全力でがんばって成功させますよ。」
「まずはこの二社で社員交換的に相手の工場で働いてみて問題点を探り合う所から始めます、やはり明日からですね、所沢社長。」
「ええ、この後うちの社員とも相談します。」
「それでしたら、その報告を待ってから、私も工場見学をさせて頂きます。」
「早めでも大丈夫ですが。」
「いえ、せっかく社員が改革の糸口を見つけるチャンスを作ったのですから、私が色々指摘するより良い結果が出せると思います、まあ、見学に行って何も指摘出来ないってのは私の楽しみが減りますから、少しは残しておいて欲しいですが、後、近い業種のグループ企業やサポート企業とも交流の場を作って行きますので、そうですね幹部の方々は一度企業リストに目を通して候補を選んでおいて頂けますか。」
「分かりました、全体の進捗状況はどんなタイミングで報告すれば良いですか?」
「簡単な今後のスケジュール案を送らせて頂きますので、まずそれを完成させて下さい。
基本的に何時迄に何をどこまで進めるかというものです。
ただ、私の作った案は、サンプル的な物ですので大幅に変えて頂いて構いません。
そのスケジュールに対して順調に作業が進行していれば、報告は最低限にして下さい。
桜根が直接関係する部分については、しばらく私がすべて担当しますが、徐々に事務方に引き継いでいきますのでよろしくお願いします。」
「桜根の総合職は何件ぐらいの案件を抱えているのですか?」
「やっかいなのを抱えている人だと十件ぐらい、でも関東支社長になられた長江副社長は最大三十五件抱えておられたそうです、やっかいそうなのも含めてです。」
「彼の武勇伝はテレビでも放送されてましたね。」
「私も、せめて二十件位は責任持って担当出来る様になりたいです。」
「だから順調なら報告は要らないってことですか?」
「ええ、その分問題の有る案件に時間を使えますから。」
「では我々も松野副社長候補の武勇伝作りに協力しますか。」
「はは、桜根傘下入り希望が通るまでは、こんな雰囲気じゃなかったよな。」
「うちもですよ。」
「それが、悪循環になってたのかな。」
「でも、浮かれるにはまだ早い、スケジュール案は何時頂けますか。」
「今から、送りましょうか。」
「お願いします。」
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新年度-06 [チーム桜-07]

モデル地区プロジェクトの統括リーダー広田幸三は中田工業に就職していた。

「中田社長、プロジェクトリーダーを継続しながら働けば良いという事で就職させて頂き、二週間の桜根本社研修を受けて来ましたが…。」
「はは、不安かな、元々君には工場で働いて貰おうとは思ってないからね、現場を知っておいて欲しいから工場研修をして貰ってるけど。」
「何か自分が役立たずって思えて…。」
「気にするな、社員だって君の実績を分かってるからね、君には現場と違う視点から全体を見て欲しいんだ、うちは桜根のシンボル的存在にして貰ったおかげで、事業を拡大しつつグループ企業にも貢献させて頂いてる、当初は予想もしていなかった工場施設の改良、開発にも携わる様になったからね。
でも、うちに集まって来るのは技術屋だ、それを経営サイドがきちんと支えて行かないと、この先が見えなくなる、そこを君に任せたいのさ。」
「あっ、そうでした、ちょっと緊張の続く日々が続いて弱気になってました。」
「本社研修はきつかったのか?」
「いえ…、きついというより、他の研修生の能力の高さに圧倒されていまして…、歳も同じ女の子が桜根副社長候補だとか、支社長目指してますとか。」
「そんな連中と競わなくて良いよ、幸三はここでがんばってくれれば良いからな、ここで君の才能を生かしてくれたら、彼らに負けない成果をって、もう結果を出してるじゃないか、自信を持てよ。」
「はい、有難う御座います。」

「社長、桜根本社松野さまより電話が入っています。」
「分かった。」

「幸三くん仕事はどう?」
「どうと言われても、工場研修は分からない事ばかりだからね、理子は?」
「少しずつ覚えてる最中、でも幸三くんが本社研修に行ってる間にずいぶん慣れたわ。」
「そうか、昼休み終わったけど、どうすれば良いのかな? 今日の工場研修は午前中だけだと聞いたけど。」
「午後は社長次第だから、電話が終わるまで待っててね。」
「ああ。」

「理子、今日の午後の予定は特になかったよな。」
「はい、特別な予定は入っていません。」
「じゃあ、幸三と出かけて来る。」
「どちらへ?」
「守山区方面の工場を回ってくるよ、しかし噂には聞いていたが松野里香って子はすごいな。」
「ええ、彼女は本社の副社長候補としてすでに十件の案件を抱えていますから。」
「いや、十一件だそうだ、そこを私の視点でも見て欲しいという依頼でね、たまたま今日は予定が空いてるって話したら、ではお願いしますと即答だった、今日全部という訳にはいかないだろうけどな、途中で落ち合うから、幸三は運転頼む。」
「はい、えっとスマートキーは…、社長、社内で理子さんを呼ぶ時は、中田さんと呼べば良いですか?」
「いや、理子で構わんよ、中田さんでは紛らわしいし。」
「はい、理子、社長のお車のスマートキーはどこ?」
「はいどうぞ、広田さん。」
「う~ん、なんか微妙だな。」
「その内慣れるさ。」
「では社長しばらくお待ち下さい。」
「おお。」

「社長、工場は彼の専門外ですけど大丈夫ですか?」
「まあ今日一緒に行動すれば何か見えて来るだろう、それより留守番は大丈夫か?」
「たぶん大丈夫、いざとなったら母さんを呼ぶわ。」
「じゃあ行ってくるよ。」
「いってらっしゃいませ。」
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新年度-07 [チーム桜-07]

愛知、山間の町でも桜根社員研修は行われていた。

「横山社長、やはり間伐作業は大変だったのですか?」
「さすがにね、間伐体験は事故の心配も有ったし。」
「その辺りもマニュアル化で?」
「そんな単純なレベルじゃないね、本当に真面目に取り組んでくれる人しか受け入れられないという結論に達したよ。」
「これからの農業体験はどうです?」
「まあ、一工夫はしてるけど長期間安定した形で継続していけるかは未知の部分が多い。」
「そうするとここでの収入源としては何になりますか?」
「通販での木工製品販売と特産品販売が主になるのかな、それとチーム桜関連の手伝い、でも正直言って年単位で活動してみないと色々見えてこない気もしてる、下手に規模を拡大しなければ何とかなると思ってるけど、桜根拡大を経験してきた自分としては歯がゆい気分だよ。」
「難しいんですね。」
「ああ、田舎の不便さを面白いと思ってくれる人が増えたら変わるかもしれないが。」
「はは、不便は面白いのか、ってコピーどうです?」
「う~ん、結果はともあれ広報部に打診してみるか?」
「はい、自分も田舎の不便さを追求してみて良いですか?」
「そうだな遠藤君とも相談してみるから、中途半端じゃなく徹底的にやってみてくれな。」
「分かりました。」

「飯山さんログハウスから純日本式和風建築へ変更されたのは何か理由が有るのですか?」
「色々調べてみるとログハウスは日本の気候に合っていないみたいなんだ、皆で作りチーム桜の為に使う事を考えたらログハウスにこだわる必要もないし、建築系の学生の研究実習としても面白いと思ってね。」
「すごくのんびりした計画と聞きましたが。」
「規模は小さいけど継続的にここへ来てくれる人を増やす事にはなるからね、状況次第では建物を増やして行きたいとは思っているよ。
夏までに土地を平らにしてキャンピングカーの駐車スペースやテントを張れるスペースの確保、秋までに基本設計を完了させて、木材がどれだけ必要になるか算出、春までに必要な木を切り倒す。
この後は五年ぐらいかけて土地の造成と基礎作り、水道や電気の整備、六年後ぐらいから製材を始めて、建築に取り掛かるといった所かな。」
「気が遠くなりそうですが、それを全部素人の手で行うという事ですか?」
「もちろん要所要所はプロに指導をお願いするけどね。」
「でも電気なんて素人の手で大丈夫なんですか?」
「小規模水力発電と小規模火力発電の実験的な取り組みを検討していてね、うまく行けば助成金が入るかもしれない、幾つかの大学、工学部の合同チームが立ち上がりそうなんだ。
成功すれば何かのトラブルで大停電になっても、その家は普通に電気が使えるという事になるのさ。」
「面白いですね、でも助成金が入っても費用面は大変じゃないですか?」
「土地は格安、木材も格安、遊び感覚の人や実習研究目的が主になるから人件費もあまりかからない、完成後は別荘として売り出すか、他の使い方をするか未定だけど、赤字にはしないよ。
別荘の話は安藤社長からも話が来てるからね。」
「会社としての利益はどうです?」
「このプロジェクトにもスポンサーがついて下さった、じっくり一つの物を作り上げて行くというイメージをその企業にかぶせて行きたいという事でね、もちろん制作部で完成までの様子を撮影し、途中の状況もその会社のCMに使って貰えるかもしれないんだ。」
「そんな形でも協力を頂いているのですね。」
「ああ、残念な事にこういった支援がなかったらぎりぎり黒字のレベルなんだよ、ここは。」
「それでも黒字と言える所が、横山社長と飯山さんの力なんですね。」
「はは、支援のおかげで何年も先を見据えた活動に取り組める訳だけどな。」

「永田さんはここでの研修、長いのですか?」
「三か月くらいかな、ずいぶん勉強させて頂いてるよ。」
「ずっと実家からの通いですか?」
「いや、結構社長の家や飯山さんの家に泊めて頂いたりしてる、時には地元の方の家でもね。」
「そういう繋がりは田舎ならではという感じですか?」
「かもな、一緒に酒を酌み交わして語り合う中で色々発見も有る、そう言えば君がここを最初の研修地に選んだ理由は何?」
「祖父母が以前過疎地に住んでいたんです、その土地を父が持て余していて、自分が望めば家も荒れた畑も山も自分の物に出来ます、ただ、とにかく不便なんです、今は簡単に売る事も出来ないそうで固定資産税を払うだけです、そこを良い形で生かす可能性は無いかと思いまして。」
「広いの?」
「ええ、それなりに、回りも似た様な感じなので、そこも含めて再生出来たらと思っているのですが。」
「そうか…、後で社長達とも相談してみたいね、場所は?」
「長野県の南部です。」
「なら、後で具体的な場所の分かる地図とか用意してくれないか。」
「分かりました。」
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新年度-08 [チーム桜-07]

桜根関東支社仮オフィス。

「長江支社長、八社合同説明会は無事終了しました。」
「どうだった?」
「何か、お爺ちゃん達が優しく見守ってくれてる様な感じで暖かでした。」
「支社長、楽な案件を選んで下さったとは思っていましたが、あそこまでとは。」
「はは、油断するなよ、狸が潜んでいるかもしれないからな。」
「はい。」
「どうする? 一人四社受け持つか?」
「今日でずいぶん進みましたから…、そうですね私達はまだ経験が浅いですから二人でこの八社を受け持ちつつ、支社長の抱えていらっしゃる案件も経験させて頂けたらと思うのですが。」
「そうか、ならば社長に問題のある案件を二件…、しばらくは二人で協力して当たって貰うが、早めにどちらがどの企業を担当するのか、十件の担当責任者を相手方にも明示してくれるか。」
「あっ、そうですね責任者を曖昧にしてはマイナスになりますね、分担を決定次第すぐに報告させて頂きます。」
「ではすぐに二件の情報に目を通してくれるか。」
「はい。」

「一件目は社長の女癖に問題有り? こんな事まで調査済みなんだな、これは俺が担当するよ。」
「そうね、挑戦してみたい気もするけど、経験を積んでからって事かな…。」
「こっちも似た様な…、う~ん、こんな社長では経営もうまく行かないだろうけど、桜根傘下に入って何とかして欲しいって事なのか?」
「それにしても、チーム桜の調査網はきっちり出来上がっているって事なのかしら。」
「どうする? 二つとも俺が担当で良いか? 遥香は綺麗だから変な事になって欲しくないんだ。」
「えっ、そ、そうね…、今回はお願いするわ、他の八社は私一人でも何とかなりそうだから。」
「分かった、何か有ったら連絡してくれな。」
「ええ。」

しばらくして遥香が、長江に。

「支社長、現時点での傘下入り希望企業に、私が担当してる企業と関係の有る会社を目にしまして、きちんと調べておきたいのですが…。」
「何か問題でも?」
「ちょっと暴力団が関係してるかもしれないとの情報を耳にしました、事実関係がはっきりしないデマかもしれないのですが。」
「分かった、調査依頼を…、調査依頼の手順を教えるから自分でやってみるか?」
「はい、お願いします。」
「気を付けて欲しいのは、調査依頼をするとすごく多くの人が動いて下さるんだ、だから安易な依頼は絶対だめだからね、まずは情報源の方と話を、絶対に内密でと断りを入れて確認を取ってくれるか?」
「は、はい。」

長江の指導を受け調査依頼を済ませた後、遥香は自分の仕事をこなしていた。
夕方になり退社時間も近づいた頃。

「遥香君、さっきの件はどうやらビンゴみたいだよ、今、本社にも連絡を入れたからね。」
「早かったですね。」
「まあ、それだけ地元では知られていたという事だろう、でもよそ者の俺達は気付かないまま桜根傘下に入れていたかもしれない、本社の対策室が対応してくれてるが…、ここは慎重に行こう、調査依頼が外に漏れてる可能性も有るからね、もうしばらく帰らずにいてくれるかな。」
「はい、仕事は色々有りますから。」

「対策室から指示が有った、しばらく今回の件に関係する二つの企業との連絡は最低限にして欲しいそうだ、それと念の為一人での行動は控える様に、外出が制限されてしまうが我慢してくれな。」
「そんなに危ないのですか?」
「ああ、警察とも相談するそうだ。」
「分かりました、担当企業にも適当な理由を作って了解を取ります、食事はデリバリー中心で何とか。」
「う~ん、しばらく関東支社は団体行動を取る事にした方が良いだろうな。
後で全員ミーティングを開くからその時に説明する、それまでここから出ないでくれ。」
「は、はい。」
「以前務めていた会社の社長は、暴力団に嵌められたんだ、絶対甘く見てはだめだからね。」
「わかりました。」

不便な生活を強いられる社員達、それは一週間続いた。
休憩時間には揃ってテレビを見ている。

「遥香、どうなんだろうね長江支社長の指示は、ほんとにここまで慎重にならなければいけないのかな?」
「たしかに、私達のトレーニング的な感じもするけど、私は素直に従うわ、関東支社のスタートを汚したくないから。」
「長江支社長の指示には絶対従った方が良い、東濃支社でもちょっと有ったんだ。」
「やはり暴力団がらみですか?」
「ああ、今も警察と協力して最大限の監視体制を敷いている、こっそりとだけど、そこの構成員が法に触れる事をしたら、すぐさま警察が駆けつけるシステムを構築してあってね。」
「プライバシー保護の問題も有るから色々工夫してるのよ。」
「東濃支社は、そんな事もしながら拡大して来たのですか…。」
「そこら辺りが長江支社長の力という事だね。」

「あっ、テレビ見て下さい、この会社が問題の…。」
「社長と専務が逮捕か。」
「ブラック企業どころか、真っ黒だったのね…。」
「だな、こんなとこと変に関わってたら…、足元すくわれたな…。」
「危なかったわね、桜根傘下入りの手続き前で良かったわ。」
「遥香ちゃん、よく気付いたね。」
「八社合同説明会後の食事会が有りまして、その時にちょっと耳にしたんです、何とか切りたいけどどうにもならない会社が有るって話を、それで事情をお伺いして…。」
「あっ、長江支社長、ニュースご覧になりましたか?」
「ああ、対策室からも連絡が入った、桜根やチーム桜の名前を表に出さない形で捜査協力したけど、完璧だったかどうかは保障出来ないから油断しないで欲しいそうだ。」
「この会社にはどんな形で断りを入れるのですか?」
「えっ? 断る必要ないだろ、勝手に潰れるか名称を変えるだろうからね、ただし残党には注意しないと、まずは被害を受けてた企業の話を聞いておこうか。」
「分かりました、すぐ連絡を取って大丈夫ですよね。」
「ああ、但し極力内密にとお願いしてくれ。」
「分かりました。」
「逮捕されていない社員が十七人いるから、その連中の情報が掴めて、こちらの安全が確認出来るまで、今しばらく不自由な生活を我慢してくれな。」
「はい、でも何か合宿生活みたいで、新人達の事も色々知れたし。」
「暇つぶしで仕事もはかどってしまったな。」
「はは、ここでも監視体制を整えるから、それが構築出来たら安全な店で宴会だ。」
「それにしても、そこまで慎重になる必要は有るのですか?」
「こちらの情報がどれだけ相手に漏れているのか分からないからね、悪事を暴いたのはチーム桜関連なんだ、相手がボンクラばかりなら問題ないが悪知恵の働く奴は勘が鋭かったりする、逆恨みされて迷惑を掛けられたくないだろ、そのまま傘下企業にも迷惑を掛ける事になるし。」
「それにしてもチーム桜の調査網ってどうなっているんですか。」
「申し訳ないが、それは知らないままでいて欲しいんだ、ただチーム桜のメンバーは犯罪を減らしたいと考えているからね。」
「はい。」
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新年度-09 [チーム桜-07]

桜根幹部会議、長江関東支社長が話始める。

「皆さんにご心配をお掛けしました例の件は大丈夫の様です、社長と専務以外に三人いた危険人物も傷害などで逮捕されました、ここまでの調査では、こちらの活動に気付くだけの人物は確認されていません、残った社員は普通の人達で再就職先を探しているみたいです。」
「その人達の中に情報を流して下さっていた方がみえたのですね。」
「はい、就職したら経営者がちょっと…、やめるにやめれない状態になっている時に、桜根傘下入りの話を耳にして連絡して下さったそうです、桜根を悪用しようと企んでいると。
状況によってはうちの関連に就職して頂けたらと思っています。
まあ調査依頼をお願いしたら、良くない情報が沢山来まして、叩いたら埃が出まくったということですが。」
「今回の件は表に出せませんが、ここにいる全員が気を付けるべき事です。
社員の皆さんにも、それとなく伝えて下さい、この件を具体例として提示したい所ですが、極秘事項を多くの社員で共有する事は危険ですから…、うちと関係の無い過去の事例を埼玉県警愛知県警からも情報を頂いて参考資料にしましょうか。」
「どちらにも知り合いが出来ましたから私の方で用意させて頂きます、ついでに岐阜県警にも問い合わせてみます。」
「長江さんこの件で関東支社への影響は如何です。」
「まあ、十日程の合宿生活で作業もはかどり関東支社の結束も強まりました、はは社員達は拘束から解放されて生き生きと企業を回っていますよ、それより門田さん、関西はどうです?」
「早めに立ち上げさせて頂いたおかげで、じっくりやれてます、もちろん足場が固まったら一気に広げますが。」
「安藤社長、本社はどうですか、社員をずいぶん分散させていますが。」
「大川さん、大丈夫ですよ新入社員達もがんばってくれてます。」
「松野君は?」
「しばらく経験を積んで貰ってから副社長をお願いします。
今までの事例を全部頭に入れて動いていますから、仕事が早いです、新規をいきなり合併させる事に成功出来そうですし。」
「さすがだな、では、ここまで時間が掛かってる案件は如何です?」
「赤字になる事だけは避けていますが、下請けは厳しいですね、何件か取引先の担当者とも話して来ましたが、条件の厳しい所からは撤退して、他社に吸収合併という形を取らざるを得ません。
これからこういった事例が増えると思っています。
ただ、うちが離れる事によって他の下請け先が潤うのなら、それも良い事かもしれません。」
「受け皿は充分有るからな、あまりにもひどい所はそこの下請けを一気に傘下入りさせるのも面白いかな。」
「こちらからはお誘いしてませんけど、そうなりそうな所も有りますし、自分が話した担当者の中にも、下請けをいじめている様でつらいと、桜根グループへ転職したいという方もみえました。」
「山上さん、人の方は足りてる?」
「正直微妙な部分も有る、会社間で調整したり、学生バイトで何とか繋いでいるけどね、人件費に回す余力は有るし、入社希望も多くなっているが桜根グループ拡大の勢いに充分追いつけてるとは言えないね、働き方のバリエーションを増やして何とか対応して行こうと動いているが、その分、人の配置の手間は増えてる、まあ各社色々工夫はしてくれているけどな。」
「今、人が余り気味な所はないのか?」
「まあ新規だね、ただ新規は研修に時間を取られるから余ってるとは簡単に言えない、時間が掛かってる案件もスリム化は進めているから人が余ってると言う訳ではない、ただ学生達の実習やアルバイトが今後増えて来るとは思うね、そして来年度以降社員になってくれるだろう。」
「中途採用は順調?」
「問い合わせは多くなって来てる、ただ入社希望者のレベルは徐々に下がって来てると感じるよ。」
「それは仕方ない、能力の劣る人にも仕事は必要だからな。」
「ああ、それは各社の担当者にも話してる、障害者雇用の問題も有るからね。」
「山上さんには助けられています、障害者と簡単に一括りで呼んでしまいがちですか、その能力、彼らに出来る事は人それぞれで随分違いますから。
今日の一つのテーマにしたかったのは、まず名古屋地区においては、働く事を希望しながら働く場のない障害者の人達全員を桜根傘下で引き受けるぐらいの体制を作って行きたいという事です、もちろん将来的には成長した支部も同様です。
チーム桜障害者雇用研究チームと連携して当たって行きたいと思っていますのでよろしくお願いします。」
「安藤社長、本社採用車椅子生活の平岩君はがんばっていますか?」
「ええ、他の社員以上の仕事こなしていまして、兄弟で事務方を支えてくれてます。」
「そうすると、チーム桜障害者雇用研究チームは関東や関西でも拡大の方向ですか?」
「ええ、もちろんです、彼らは新規に傘下入りする企業の情報を整理して、どんな事が出来る人ならそこで働けるだろうと、実際に就職希望の方々のリストを見ながら検討しています。」
「分かりました、安藤社長のお気持ちは分かっているつもりです、全社へ向けての発信もなさるのですね。」
「はい、もう一つ奨学金制度の事と同時にと考えています。」
「ああ、ちらりと聞いてたが。」
「資金面は佐々木も動いていますので何とか小規模ですが始める事が出来そうです、ただ内容は色々反発を受けるかもしれませんが、独特な内容にしたいと思っています。」
「はは、反発覚悟は今までの活動ではあまりなかった事ですな。」
「まず、当初は優秀な子に限定します、能力が高いのに経済的理由で進学が困難な子を想定しています。
条件としてはチーム桜奨学生サポーターの支援を受ける事と塾や予備校に通わない事です。」
「塾や予備校にお金を使って欲しくないって事なのか?」
「塾や予備校を必要としない自立型学習の出来る子を優先しようという事です、本人が戸惑う様なら奨学生サポートが考え方や学習方法の流れを指導しますが、手取り足取り問題の解き方や受験対策を教える事はしません。
簡単に言えば、次世代のリーダー養成を目的としています。」
「なる程、塾や予備校ではリーダーになる資質は伸びないな、かえってマイナスかもしれない。」
「大学卒業後も奨学生サポーターと連絡を取り合って貰おうと考えています、奨学金の額や返済に関しても最終的にサポーターの判断に任せようと思っています、アルバイトを経験する事で経験値を上げる場合も有れば、学習や研究の時間が減ってマイナスになる側面も有ります、卒業後優良企業に就職してそれなりの収入が有れば返済して頂いて次の奨学生への資金にしたいですし、半分ボランティアの様な所に就職したので有れば返済免除とかして上げたいと考えています。」
「そうか、単純にお金を貸すという形ではないという事なんだね。」
「はい、単純なものなら現行制度で色々有りますから、ある意味チーム桜の研究材料になる部分も有ると理解して頂いた上での援助になります。」
「資金面は佐々木君も動いているとはいえ、多い方が良いのだろ?」
「そうですね、ただ最初は小さく始めたいと思っています、どんな生徒、学生が応募して来るのか見たいですし、色々な状況を見極めた上でチーム桜独自の奨学制度を固めて行きたいと考えています。」
「分かりました、今は頭の隅に置いておきます。」
「よろしくお願いします、自分からはこの二点です。」

「では、私から…。」
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新年度-10 [チーム桜-07]

チーム桜オフィス。

「佐々木代表、チーム桜の学生向け説明会ですけど県内の会場はどこも満席になりました。」
「矢沢さん、満席になるまでのペースはどうでしたか?」
「交通の便の良い所、大学が集中しているエリアの会場は即日でしたが、最後に埋まった所は受付から六日後です。」
「まあ良い感じですね、説明会風景はネットで閲覧できる様にしてくれるのですね。」
「はい、六会場とも、内容は重複する部分も有りますとのアナウンス付きで告知して有ります、チーム桜動画サイトの無料の方です。」
「大勢閲覧して下さると良いですね、株式会社桜運営としても。」
「はい広告収入にも繋がりますから。」
「オリジナルグッズの売上でしばらくは大丈夫でしょうが、色々な収入源を確保出来るに越した事は有りません、まあ、安藤も色々考えてくれてますから安心して下さいね。
桜運営をあえて株式会社にして桜根傘下に入れたのは矢沢さん達の給料を保障したいからです、しっかりチーム桜を支えて下さい。」
「はい、でも業務内容を考えると、株式会社というのも変な気分です、収入はしっかり有りますが…。」
「財団法人とか色々検討はしましたが、先々どうなるか不透明な部分も有ります、将来的には違った形になるかも知れませんが、とりあえずは社長としてお願いしますね。」
「はい、当座の社員はチーム桜事務局メンバーで…、佐々木代表、幾つか地方本部の事務所を名古屋に置くって大丈夫ですか?」
「まあ、実験的な事で先方も了承の上です、チーム桜は桜根以外、営利目的では有りませんから極力コストを低く押さえたいという事で御理解を頂いています、福岡や金沢みたいに資産家の協力を得られる事は簡単では有りませんから。」
「そうですね、でも現場が遠いと担当者が不安になりませんか?」
「かもしれません、でもまずは動き始めて様子を見てみませんか、無理なのか工夫すれば何とかなるのかを見極めるくらいの時間は有ります、いざとなったら桜根の支社に動いて貰います。」
「あっそうでしたね、自分もしばらく様子を見てから検討したいと思います。」

「佐々木代表、今回の研究サイト参加登録申請で三件の虚偽データが発見されました、二件は単純なミスだと思いますので本人確認で済ませますが、一件は申請者の申し出た大学に本人が登録されてないというものでした。」
「自分の在籍する大学を間違えるものなのか?」
「怪しいですよね。」
「住所とかは?」
「現住所に住んでいるかどうかは確認出来ませんでした、ただ住民票を移動してないケースも有りますから何とも言えません。」
「他の項目に問題は?」
「まだ確認してません。」
「確認して下さい、問い合わせ先にはこちらの素性を全て明かした上で、問い合わせの理由も明示して、まずは高校からだね。」
「はい、でも問題が無かった人の中にも他人に成り済ましている人がいたら嫌ですね。」
「登録後、各大学にもデータを送っているから、そこで不正が見つかる可能性も有るけど、すべての大学がうちに協力的と言う訳でもないし。
まあ、いきなり専門家が集まるエリアまでのアクセス権を与える訳じゃないからね。
でも不正を考える様な連中は排除して行かないと参加者に迷惑を掛ける事になりかねない、しっかりチェックを頼むよ。」
「ですよね、取り合えず調査してみます。」
「結果によっては別で動くから報告頼むよ。」
「はい。」

「佐々木くん新体制はどう?」
「おっ、佐紀か、まあ少しづつ形になって来てるよ、桜運営正社員や学生ボランティア入り混じってという形だけど、四年生から副代表も何人か選出して貰ってる。」
「近い内に、株式会社桜運営の存在を広く理解して頂く事を考えているけど。」
「頼むな、ボランティア組織を運営して行く時に正規雇用の社員が必要だという事が充分理解されていない気もしてるから。」
「そうよね、募金でお金を集める事には目が行っても、その先まではなかなか目が行かないから、そこもポイントとして押さえて行くわね。」
「ああ、頼むよ。」
「正社員は増やさなくて大丈夫なの?」
「今の所はボランティアスタッフの力で回ってるけど、将来的な事を考えたら増やしていかないとね。」
「チーム桜関連グッズ以外からも桜運営に資金が流れるシステムを構築して行きたいって考えているけど、佐々木くん的にはどう?」
「そうだな、それは助かる、良い案が有ったらどんどん公表して皆さんの意見を求めたいね。」
「やはり寄付金集めを前面には出したくないの?」
「寄付に依存するスタイルは弱いからね、寄付して下さるならオリジナルグッズを買って下さいって姿勢は崩したくないと思っているよ。」
「基金ってどうかしら?」
「半端な金額では基金として成立しないと思うんだ、考えてはみたけど今の段階では微妙だね。」
「奨学金関係で試してみるのはどうかしら、小規模で始めるから…、うちの奨学制度に賛同して下さる方から寄付を募って、始めの内は基金に充てるお金と、そのまま直接奨学金に充てるお金としたらどうかしら。」
「そうだね、元々安藤が寄付すると言って始まった企画だからな、その方向で検討してみるよ、あっ、そうそう安藤は軽い気持ちで寄付するって言ってたけど、社長には社長なりの出費が多いんじゃないのか?」
「ふふ、大丈夫よ、私達何気に副収入も有るから、税金を気にしなきゃいけないレベルでね。」
「それなら良いけど。」
「佐々木くんは代表に関しては無給なんでしょ、そのままだと次の代表が大変なんじゃない?」
「そうなんだ、ただね、それぐらいの余裕の有る人物でないと次を任せられないとも思っていてね。」
「これからの展開も有るから難しい所ね。」
「ああ。」
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