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始まり-01 [俺達の挑戦-03]

桜の季節を迎える頃、一つの発表が有った。
そのテレビ報道を見ながら早瀬佐紀は弟の亮と話していた。

「これも姉さんの関係なの?」
「うん。」
「チーム桜か…、良く解らないけど、動植物園ボランティアとは違うんだよね。」
「まあね、動植物園を足ががかりにして、これから築き上げていく途中の組織、形としては動植物園ボランティアもチーム桜の一員になって行くのかな。」
「気にはなってたけど受験に集中したかったら…。」
「はは、亮が無事大学に合格してくれて嬉しいわ、御免ね私も色々忙しくて手伝ってあげられなくてさ。」
「そんなことは…、あっ、姉さんだ!」
「う~ん、ちょっと表情堅かったかな。」

「えっ! 姉さんが重役候補…?」
「遠藤くんったら盛りすぎだな…、重役見習い候補ぐらいなのに。」

「あっ、橋本裕子、滝沢桜子も…。」
「視聴者へのサービスは忘れてないのよ。」

「桜子さんがチーム桜、会員ナンバー1番か…、えっ、なんで姉さんが3番?」
「まあ成り行きって事よ。」

「う~ん、姉さんは…、知らない内に遠くへ…。」
「何言ってるのよ、もうすぐ大学生になるんだからしっかりしなさい。」
「でもさ…、実の姉がいきなりテレビに出てきて、今話題の人物達とスリーショットなんて…。」
「ということは番組の内容は理解出来てないの?」
「当たり前だろ~。」
「そりゃ残念ね、まあ気が向いたらでも良いけど、この二冊の本は読んどこうか。」
「俺たちの挑戦は読んだよ、チーム桜、花を咲かせましょう? え~、こっちは姉さんが表紙…、創刊号ってことは続くってこと?」
「色々進んでいるからね、月刊で始まるけど、状況に応じて隔週とか週刊とかになるかも、ただ内容の多くはネットでも紹介して行くから部数はあまり伸びないかも。
でも私達の写真はネットに上げないから、特集の一つに橋本裕子、滝沢桜子という時は部数も伸びるのかな。」
「創刊号は姉さんの特集からなんだね、水着姿はないんだ…。」
「はは、私はグラビアアイドルとか目指してる訳じゃないからね、お母様譲りの部分は武器にするにしても、自分の能力を試したいと思っているのよ。」
「弟だってバレたらやばくないか…、姉さんと同じ大学にしたのは間違いだったのかな…。
似てるってよく言われるし…。」
「なに言ってるの、亮は亮でしょ。」
「うん…、ねえ自分もチーム桜の会員になれるの?」
「ええ、一般会員は名前だけでOKよ。」
「会費とかは?」
「無料、ネットで簡単に登録できる、本名でなくても大丈夫。」
「ということはメリットも無いってこと?」
「心の問題だからね、チーム桜の方向性に賛同して、その一員となると決意してくれたらチームの仲間なのよ。」
「でも何か…、証というか…。」
「チーム桜のグッズを販売することになっていて準備中、グッズ購入はもちろん自由だからね。
名前と会員ナンバー入りのグッズも計画中よ。
橋本裕子、滝沢桜子のDVDやCDは、チーム桜アイドル部所属という形で本日発売、所謂インディーズだけど。
チーム桜、花を咲かせましょうも今日から地元書店に並んでいる筈よ。」
「そんな日にのんびりしてて良いの?」
「昼間は大変だったんだから、政財界の方との懇談とか色々あってね、佐々木代表、安藤社長、遠藤社長の隣でにこにこしてれば済むかと思ってたら、本の事とか聞かれたりしてね。」
「へ~、う~ん…、まずはこの本を読んでみるよ、番組は録画したんだよね。」
「ええ。」
「じゃあ後でもう一度見るよ…、姉さんは風呂入って寝るの?」
「そうも行かないのよ、これから大きく動くからね。」

始まり-02 [俺達の挑戦-03]

早瀬亮は姉から手渡された、チーム桜、花を咲かせましょうを読み始めた。

『しかし、姉の姿をこの形で見るというのは照れくさいものだな。
姉さん綺麗だ、でもこの衣装って…、そうか学生の手によるもの、ちゃんと名前付きで紹介か、撮影者や他のスタッフも学生がプロの指導の下か…。
姉さんのプロフィールも有る…、あ~弟が一人ってしっかり書かれてしまった…、やばいよな。』

その時携帯が鳴る。

「おう、どうしたメールじゃなく電話って。」
「亮、亮の姉ちゃんだろ、あれ。」
「あれって?」
「とぼけるな、テレビ見たし、チーム桜、花を咲かせましょうを買って来て少し読んだ所だ。」
「ああ、俺もさっき知ったとこだ。」
「なんだ冷静なんだな。」
「いや、驚き過ぎて訳が分からなくなってる。」
「はは、そうか、俺はチーム桜ボランティアスタッフに登録するぞ。」
「えっ? 何? それ。」
「おいおい、桜根の重役候補の弟がそのレベルで大丈夫なのか?」
「いや、ほんとにまだ全然解ってなんだ。」
「大学入ったら佐々木代表のサークル参加を考えていたけど、あっと驚くチーム桜スタートだろ。
自分の興味は動植物園とはちょっと違った所に有ったからな。
それにしても亮の姉ちゃん、一段と綺麗になったよな、よろしく伝えといてくれな。」
「あ、ああ、まだ本を読み始めたばかりだから最後まで読まさせてくれないか。」
「解ったよ、じゃあまたな。」

『やばいぞ、嫌な予感が…。』
その後、メールその他で現実を知る亮。
『あ~、だめだ、すでにしっかり広まってる…、俺の知り合いで知らぬ者はなしか…。』

また電話が。
「亮、俺はチーム桜アルバイトメンバーに登録するからな。」
「ああ。」
「どうした元気がないな。」
「姉がいきなり有名人になるなんて考えたことなかったから…。
しかも自分はまだチーム桜のこと全然解ってなかったりするんだ。」
「お姉さんから教えて貰ってなかったのか?」
「今日聞いた。」
「さすがだな、守秘義務ってことだろ。」
「守秘義務?」
「俺もさっき読んで知ったばかりだけど、色々大人の事情が有るんだぞ。」
「な、なあ、俺ってどうしたら良いと思う、姉には迷惑かけたくないし。」
「なに言ってんだよ、今まで通り真面目にやってればいいんだ、まずは大学が始まるまでに、チーム桜のこと調べてみたらどうだ。」
「ああ…、解った、そうするよ。」
「この件で、とりあえず明日集合かけるけど都合はどうだ?」
「明日は部屋の掃除をしてというくらいのつもりだったから行くよ。」
「じゃあ、亮も参加するという事で連絡するからな。」
「わかった。」
「また後で情報入れるよ。」

始まり-03 [俺達の挑戦-03]

翌日。

「亮はまだ来ないのか?」
「少し遅れるって連絡が入った。」
「何時もは時間に遅れる様な奴じゃないのにな。」
「昨日電話した時は、結構動揺してたからな、ほんとに何も知らなかったみたいだ。」
「俺もびっくりしたよ、彼の姉さんとはそんなに会った事なかったけど印象が強いからな、テレビで見た瞬間ドキドキした。」
「才色兼備ってああいう人の事を言うんだろうな。」
「私は苗字と顔立ちで気付いたわ、亮と似てるよね。」
「だな、亮を女装させたら美人になるということだろうか。」

「おっ、弟君の御出ましたぞ。」
「えっ、後ろは…。」
「お、お~我らがお姉さま~。」

「遅れてごめん、、えっと、俺の姉…。」
「知ってるよ。」
「何時も亮がお世話になっています。」
「き、今日は…。」
「二十人ほどでチーム桜のこととか話すと亮から聞きました、私も参加させて頂いて良いかしら?」
「も、もちろんです。」
「でも忙しくは無いんですか?」
「この場は私達にとって優先度が高いからね、少し時間調整に手間取って…、遅れてしまってごめんなさい。」
「はい、でも優先度が高いって?」
「大学新入生の生の声を聞かずして、私達の成功は有り得ないの、えっと会の進行は?」
「いえ、そんな堅苦しいものでは有りませんし、出来たら早瀬佐紀さんから色々お話しを伺えたらと、皆、それで良いだろ。」
一同頷く。
「姉さんは一時間半が限度だからよろしくな。」
「おう。」
「では、まずは昨日の発表を受けて思った事とか質問が有れば伺いましょうか。」
「組織が複雑に感じました。」
「そうね、とにかく色々な事を並行して実行して行こうとしてるからね、ただこれからはもっと複雑になると考えてね。
本当は単純な組織の方が良いのだけど、チーム桜は色々な人が色々な思いで繋がって行くものだから、やむを得ないと考えて欲しいかな。」
「学生関連の組織だけでも説明して頂けないでしょうか。」
「ええ、疑問点とか有ったら教えてね、今日じゃなくても後で亮に伝えてくれれば良いから、亮、大丈夫よね?」
「えっと、俺自身まだよく解ってないけど、とりあえず姉の手伝いをさせて貰う事にしたから、皆も協力頼むな。」
「じゃあ、まずは、チーム桜一般メンバー、これはチームの趣旨に賛同してくれた人なら誰でもなれる、会費もない代わりに、こちらから連絡をすることもない。」
「私もメンバーになりました。」
「有難うね、次に、チーム桜ボランティアスタッフ、これはチームの中でボランティア中心に動くプロジェクトの立案や運営を行っていく人、動植物園のプロジェクトスタッフもここに所属するし、新規プロジェクトも立ち上がって来てるから、非営利系の活動を支える立場、それなりに責任有るし、時間的にも拘束される。
ただ、この活動を通して学べることは大きいでしょうね。
そしてボランティアメンバー、こちらはボランティアスタッフを支える立場、年一回の活動でもOKだからスタッフよりはかなり気楽に参加できる、もちろん体験してからスタッフになるという事も有り。
この辺りは今までのサークルサイトを確認してくれたら理解出来ると思うわ。」
「ボランティア系は動植物園関連を発展させたと考えれば良いのですね。」
「そうよ、但し学生だけじゃなくなるプロジェクトも出始めてるから…。」

しばらく説明する佐紀。

始まり-04 [俺達の挑戦-03]

「じゃあ今度は、チーム桜学生アルバイトメンバーの話しをするわね。
これはまだ法律関係の問題、システム構築、運営費の事などクリアしなくてはいけない事が色々有るけど、実験的に小規模で始める予定。
学生でもアルバイトしないと生活が成り立たないって人もいるし、企業側も色々な事情でアルバイト生を必要としてるからね。
そのマッチングという感じなんだけど、ポイントは双方がチーム桜関連ということかな。
学生側のメリットとしては、ブラック企業でバイトをする確率がかなり下がる、場合によっては将来の就職後に役立つ知識が得られる、またそのまま就職という選択肢が出て来る可能性も有るということかな。
チーム桜関連企業では、学生の実習や研修を受け入れて頂いているけど、それとは違って実際に働いてその企業に貢献する事が求められるわね。
そして指示を受けて働くだけでなく真面目に働いて、現場の改善とかがきちんと提案出来たら、チーム桜学生アルバイトスタッフに昇格して昇給の可能性も有る。
スタッフに昇格出来た人は色々優遇して頂ける様に調整してるの、今は優秀なメンバーを増やしていきたいからね、先々はそうでない人達への支援も考えているけど、まずは足場を固める必要が有るからね。」
「先々は、やる気の無い連中への支援も考えているのですか?」
「チームに力を付けてからだけどね、皆は普通に高校を卒業したけど、そうでない人達も社会を構成する大切な人達でしょ。」
「私は自分の事しか考えてなかったかも…。」
「それが普通よ、でも、ちょっと世の中良くしたいって佐々木代表の言葉に賛同した人達が増えつつ有るのも事実。」
「でも正直な所、綺麗ごとに過ぎないかとも感じたのですけど。」
「それは本が発刊される前から、彼の企画書の段階で皆が思った事、でもね佐々木代表は政財界の方々と話す中で皆さんを説得して協力を引き出した。
そして、その綺麗ごとをもっと現実のものに出来ないかって考えたのが安藤隆二だったの。」
「桜根の社長ですね。」
「そう、彼は佐々木代表が描いた夢みたいなことを、どこまで実現できるかという挑戦をしてるのよ。」
「花を咲かせましょうを読んですごいと感じたけど、こうして早瀬さんから直接話を聞かさせて頂けると…、ますます私もお手伝いさせて頂きたいって気が、私も挑戦者の一員になりたいと思います。」
「有難う、私達の活動に参加する事があなたにとってもプラスになると良いな。」

佐紀の言葉は大学入学を控えた者達の心に響いた。
しばらく話しが続いた後。

「姉さん、そろそろ時間じゃない?」
「そうね、皆今日は有難うね。」
「こちらこそ有難う御座いました。」
「えっと、タクシー呼びますか?」
ちらりと確認する佐紀。
「大丈夫よ迎えが来てるから、皆さん何かあったら亮に伝えて下さいね、まだ組織の体制が固まってないから返事が遅れたり、返事が手伝ってくれてる学生からになるかもしれないけど…。
皆さんがチーム桜に参加して下さったら嬉しいと思っています、よろしくね。」
「こちらこそ。」

佐紀が去った後。

「おい、どうした?」
「綺麗だったな~、テレビや写真じゃなくあんな綺麗な人見たの始めてかも~。」
「だよな~、緊張してうまく話せなかった~。」
「お前ら大袈裟だよ。」
「亮にとっては見慣れた光景でも、俺達一般庶民はだな。」
「うちも普通だよ、そんなことよりチーム桜のことは?」
「参加するしかないでしょう、もともと興味が有ったから来たけど、中枢に位置する方のお話しを聞けて…、ほんとに私の大学生活が始まるんだって、ワクドキね。」
「ああ、で、俺達はずっと亮のお姉さんって呼ぶのか?」
「早瀬さんじゃしっくりこないよな。」
「橋本裕子、滝沢桜子だって、テレビとかでそういう感じだから何となくそう認識してたけど。」
「私の回りは裕子さま、桜子さまで呼び方が定着しつつあるわよ。
だから、もちろん佐紀さまね、裕子さまや桜子さまはニックネーム的なのが出てきても良いと思うけど。」
「ねえ亮、もっと佐紀さまのこと教えてよ、優しいの、趣味とかは?」
「はぁ~、普通に優しい姉だよ…、何か普通じゃなくなっちゃったけどね。」
「はは、有名人の弟というのも大変そうだな。」
「いきなりだからな。」

始まり-05 [俺達の挑戦-03]

「どうだった、佐紀。」

問いかけたのは、迎えに来た安藤隆二だ。

「来て良かったわ、まだ理解の個人差は大きいみたいだけど、皆素直に受け止めてくれてるみたい。」
「特に問題は?」
「今日は感じなかったわ。」
「どう、継続的に彼らの声は聞けそう?」
「弟の亮が一応、訳の分からないままだけど、とりあえず窓口にはなってくれたからね。」
「君の弟という事はやはり優秀なの?」
「どうかしら得意分野がずいぶん違うからね、まあうちの大学に受かるだけの能力は有るけど。」
「新入生をうまく組織に導きたいと思ってるんだけど、どうかな。」
「さっき会った子達は、かなりの興味を示してくれて力になってくれそうだった、力量までは計れなかったけどね。」
「しばらく様子を見てみるか。」
「そうね、彼らに対しては急ぐ必要はないわよ、気には掛け続けるけど。」
「ああ。」

「隆二、この後は?」
「一件目はチーム桜のオリジナルグッズを企画製作して下さる会社の一つでORGU株式会社、タオルとかシャツといった布系のグッズ担当、今日はデザイン系の学生と、うちの土屋さんが行って打ち合わせをしてる。」
「私はどうすれば良い?」
「まずはご挨拶させて頂いて今後の確認だから、にこにこしながら問題ないか気にしててくれれば良いと思う、重要な所は土屋さんにお任せしてあるからね。」
「え~っと、ORGU株式会社は桜根傘下じゃなく、桜根に協力して下さる形だったわね、でもチーム桜の一員、確かに複雑な組織だわ、新入生が戸惑うのも無理ないわね。」
「だろうな、ORGU株式会社はチーム桜サポートカンパニーとも取引が有ったり、取引先で実際にタオルを作って下さる会社が桜根の傘下入りを希望してたりするからな。」
「グッズ関連の会社が、ほとんどチーム桜に参加して下さることになって良かったわね。」
「ああ、そこはORGUの鈴木社長のお陰だ、お礼もしとかないといけない、傘下入り希望の会社へも同行して下さるそうだから。」

ORGU株式会社では鈴木社長から二つの提案があった。

「早瀬さんの写真か絵をシャツかトレーナーに使ってみない?」
「えっ、私のですか? でも私はアイドル部では有りませんから。」
「なあ君たちはどう思う?」
休憩中の社員や学生達に問いかける、社長。
「良いですね~、早瀬さんはアイドル部と並んでも全然違和感ないし。」
「アイドル部の連中のと一緒に売り出すのも有りじゃないですか。」
「写真か絵かが問題だけど…。」
「絵描き達に活躍の場を与えましょうよ、動物園の似顔絵では多額の寄付を頂くことに貢献してくれましたから。」
「色々なポーズのを売り出したら、一人で複数枚買う人も出てきますよ。」
「着るのが勿体ないぐらいのとか、関取サイズとか作っても面白くないかな。」
「そ、そんなの作っても売れませんよ…。」
「早瀬さん、間違いなく売れるものに仕上げますから、そうだなマスコミへの露出は多くして下さいね。」
「安藤社長、如何です?」
「う~ん、オリジナルグッズの売り上げは重要な資金源と考えていますからね、でも早瀬さんの知名度はまだ低いだろうし。」
「なに言ってんですか、昨日の放送の後、ネットで盛り上がってますよ、あの美人は誰だって感じでね。」
「そうですよ、ローカル放送の反応だけでかなりのものですから、桜子さん達に負けてませんよ。」
「どうする?」
「ほんとに資金源になるなら承諾するしかないわね。」
「ならば、佐々木代表とかも協力してもらうか?」
「そうよね。」
「安藤社長はどうです?」
「どうって?」
「商品化。」
「俺はルックスで勝負するタイプじゃないだろ…、あ~、デフォルメされてじゃがいもか?」
「あ~、良いかも、じゃがいも社長…。」
「早瀬さんと並んで美女とじゃがいもってどう?」
「あのさ、俺はおもちゃじゃ…。」
「ほら、出来たこんな感じでどう?」
「早~い、ふふ、面白い行けるよじゃがいも社長。」
「チーム桜のマスコットキャラクターにしようよ。」
「どことなく安藤社長に似てるとこが良いわ。」
「アイドル部のグッズより売れたりして。」
「うんうん、安藤社長良いですよね?」
「はぁ~、赤字にならない様に気を付けてくれよな。」
「じゃあ、良いんですね。」
「ここんとこさ、もう少し細めにしたらどうかな?」
「ポーズのバリエーションとかさ。」
「社長ってとこを強調しても面白くないか?」

手を付けられなくなった社員と学生達を残し鈴木社長の車でタオル工場へ向かう二人。

始まり-06 [俺達の挑戦-03]

「はぁ~。」
「安藤社長、どうされました?」
「すごいパワーですね。」
「はは、そうだねうちの連中も学生が来てくれると盛り上がってしまってね。」
「でも実際のところオリジナルグッズの売り上げは伸びそうですか?」
「君たちが真面目に今の方針を守って行ったら、じゃがいも社長も美女とじゃがいもも行けると思うよ。」
「え、そっちじゃなくてアイドル部とかの話しですが。」
「アイドル部関連は間違いなく売れる、私もネットとかを見ていたんだけどね、チーム桜はかなり支持されてると感じたよ、まあこれからアンチとか出て来るだろうけど、君たちがぶれなければ大丈夫。
美女とじゃがいもってのも始めから出しておけば、君たちが仲良くしてても、そんなにマイナスにならないのさ。」
目を合わせる佐紀と隆二。

「それより安藤社長。」
「はい。」
「うちも旗艦会社ってどうかな?」
「えっ、なって頂けるなら心強いですが。」
「今回、チーム桜に参加させて頂くに当たって私なりに色々考えたんだよ。
業績は悪くはないが安定してるかっていうと微妙な部分も有るんだ。
でもチーム桜のオリジナルグッズを扱わさせて頂く事によって、ずいぶん余裕が出来ると踏んでいてね。
社員も増やせそうだし、チーム桜が伸びれば伸びる程、うちの売り上げも伸びると思ってる。」
「なる程、それならお願いし易いですね。」
「どんな形を描いておられますか?」
「うちとしては、まず経理事務を預けたい、重要な仕事なんだけど、うちの規模だと無駄が多いと感じていたんだ。
後は学生達との交流。
学生達と仕事をさせて貰えて、うちの社員達にも良い刺激になってる。
今回は実習、研修という形だけど、アルバイトや就職ということも視野に入れて行きたいよ。
それと、取引先との関係強化をチーム桜の名の下に進めて行きたいと考えている。
桜根傘下入り希望のタオル工場だけでなく、色々な形で協力関係を築けないかと思っているんだ。
私自身、実際に取引先が倒産ということもあってな、その時はうちへの影響は少なかったけど、やはり気持ちの良いものではなかった。
後は人伝に悲しい話ししか入ってこなかったからね。
まあ事前に分かっていたとしても、こっちも余力がなかったからどうすることも出来なかったけどな。
そんなこともあって、今は発注する時とか、極力工場の様子とか見る様にしてるんだ。
で、タオル工場がね、ちょっと今までと比べて整理整頓が出来なくなってきてた訳さ。
社長に聞いたら、すぐ倒産というレベルではないけど、色々きつくなってきたって正直に答えてくれた。
年齢的にもそろそろ引退したいけど、なんてかなり弱気になってたのさ。
調度、チーム桜の話しを検討してた頃だったから、少し話したら、おっと、ここだよ、後は社長の話しを聞いてやってな。」
「はい。」

事務所の戸を開ける鈴木社長。

「おい、くそ爺生きとるか。」
「ああ、まだくたばっとらんぞ、でも、ちゃんとお供えは持ってきたか。」
「爺、目は見えとるか?」
「しっかり、お前の小汚い顔が見えとるわ。」
「なら、昇天するなよ。」
「えっ?」
「始めまして、株式会社桜根、重役見習い候補の早瀬佐紀と申します、よろしくお願いします。」
「えっ、えらい別嬪さんやなぁ~、おいくそ坊主これは夢か?」
「爺なら見ただけで昇天かと思ったけど、さすがにしぶといな。
それからこちらが桜根の社長だよ。」
「始めまして安藤隆二です。」
「あっ、失礼しました、おい玲子! 玲子!」
「はい、じいちゃんどうしたの?」
「すぐお茶を用意せんか。」
「あっ、お客様でしたかすいません気付きませんで…、あっ安藤隆二さんと早瀬佐紀さん…、ですよね。
いっ、今、そこを片づけますから。」

「社長、まだ実績のない、桜根傘下入りを決意して下さいまして有難う御座います。」
「安藤社長、こちらこそだよ、こんな吹けば飛ぶような会社を仲間にしてくれてな。
今の所大した問題はない、安物にシフトせずに良いものをという考えを、このくそ坊主が支えてくれてたからな、でもな社員も年取ってきたし、ここみたいな地味な仕事をやってみたいなんて若者もいないだろうし…。」
「おい、くそ爺、どうして俺と安藤社長でそんなに態度が違うんだ?」
「はは、若くてもすぐ大社長になるお方だぞ。
まあ、俺の持ってるものすべてお前らに預ける覚悟は出来た、玲子達が暮らしてける分は除いてだがな、まあ保険って奴だ。
子会社にするもよし、くそ坊主のとこと合併でも構わんぞ。」
「社長、そんなに心配しなくて大丈夫ですよ、財務諸表他色々見させて頂きましたが、売り上げ面での不安は社長がくそ坊主と呼んでおられるこの方が解決できる範囲内ですから、私達も協力しますし。」
「お主は良い顔してるな。」
「えっ、顔はじゃがいも…らしいですけど…。」
「いや、そっちの別嬪さんは安藤社長のことどう思ってる?」
「は、はい、大好きです…。」
「よし、楽しみができた、わしが必死に守ってきたこの会社、うまく利用してくれな、安藤隆二。」
「はい心して預からせて頂きます。」

始まり-07 [俺達の挑戦-03]

遅めの昼食を取りながら。

「安藤社長は今の工場どう立て直すんだい?」
「まずは大掃除ですね、いらない物が作業効率を下げていると感じましたから。」
「だな、それは私も感じていたよ。」
「それから、社長候補も含めて社員募集をします。
現社長には会長となって目を光らせて頂きます。
社員も高齢の方が多いですから、退職される前に新人教育をして貰いましょう。
入社希望が少なかったら学生の実習やアルバイトで繋ぎますが、極力正規雇用で行きたいですね。
質が良くて、うちのオリジナルグッズとなりましたから、利益率も上げることが出来ると思っています。」
「そうだな、売り上げも伸びるだろうし、生産が追いつかなくなる可能性も有るけど。」
「工場で使ってる機械はうちのサポート企業の製品が主でしたから、ちょっと相談に乗って頂いて、古すぎて全く使われてない機械は新製品と入れ替えます。
古い機械ばかりでは若い人にとって魅力ある職場とは言えないでしょうし、先を見据えたら機械の更新は必要ですからね。
資金は銀行と相談しますが、社長は借入に消極的ですから控え目にしたいです。
全株式を桜根が持つと言っても、社長は桜根の株主になる訳ですからね。
不足分は空地の有効利用を考えています。
規模を縮小してきた工場ですから結構な遊休地を所有しています。
きちんと整地して土地を貸せば良い収入源になると思います。
チーム桜関連の小規模な倉庫、工場を誘致するのも有りですね。
こういった事を踏まえて、うちの杉野が学生スタッフと協力して事を進めて行きます。
学生のリーダー松野も新社長の候補です。
杉野と松野は近い内に、そうですね今日の話を整理してから工場見学をお願いします。
松野は、今の所大学卒業までの予定ですが、優秀な子なので短期間でも活躍してくれると思っています。」
「優秀な男たちが集まってる訳なんだな。」
「いえ、松野里香はかわいい女の子ですよ。」
「そうなのか…、あの爺のとこでは勿体ないな。」
「はは、気をつけてないと社長のとこを吸収合併なんて言いだしかねませんよ。
彼女は結構先を見てますからね。」
「やり手なんだ、やはり卒業後は大手か…。」
「いえ、行けると思ったら、そのまま就職という事も考えているそうです。
だめだったとしても桜根関連で働きたいと、大企業よりチーム桜関連で働く方が面白そうだと話してくれました。
自分は桜根の社長を勧めているのですけど、今の所は断られています。」
「桜根の社長って、君はどうするの?」
「自分は特に社長にこだわってる訳じゃないんです、チーム桜がより良い方向に動いてくれるように働ければ良いんで。」
「そういう感覚だから、見栄を張らずに軽自動車か? あれは自分の?」
「母と姉と自分の三人で使ってます、社長になってからは母と姉が気を使ってくれて優先的に使わせて貰ってますが。」
「社長なんだから社有車とかじゃないの?」
「検討中なんです、自分は軽で良いと言ってるのですが、高級車乗ってる方々と同じ立場だったり、時には上の立場になるのだから軽ではだめだそうで、じゃあどんな車が良いかとか、車好きの社員達が色々…、楽しんでるみたいです。」
「はは、決まるまでは時間が掛かりそうだね。」
「桜根が配当を出せるようになったら、ポケットマネーで高級車をプレゼントすると言って下さる方もいるのですが。」
「へ~、太っ腹だね。」
「うちの社員達は、配当を出せないと思って軽い気持ちで言ってるのだろうけど、すぐにでも出してやろうぜって感じで燃えてますよ。」
「短期間で配当が出せたら、爺もびっくりだろうな。」
「社長もグッズ関連で協力お願いしますね。」
「分かってるって、良いものしか出さないを貫けば、売り上げは伸びると思ってるからね。
あっ、もうこんな時間か、次が有るんだったね。」
「はい、今日はほんとに有難う御座いました。」
「送って行かなくて良いの?」
「大丈夫です間もなく迎えが到着しますから、安藤の車は夕方取りに伺います、申し訳ありませんがそれまではお邪魔でしょうがお願いします。」
「早瀬さんからお願いされたら断れないよ。」
「ふふ。」

会計は佐紀が済ませる。
鈴木社長は自分が払うと粘ったが、自分で会社の接待費を使うのが始めてだという隆二の言葉に折れた形だ。

始まり-08 [俺達の挑戦-03]

隆二達を迎えに来たのは広田幸三、モデル地区プロジェクトの統括リーダーだ。

「有難うな幸三、色々忙しいだろうに。」
「はは、社長と違って今はそれほどでもないのさ、広すぎる分野の総まとめ役になったけど、まだ動き始めたばかりだからな、隆二に言われた通り人の繋がりを構築しながら様子を見守っているって感じさ。」
「どうだ、地区内の中小企業は。」
「多くはないが桜根傘下に入りたいような話しは耳にしてるよ。
ただ、今の所はまだ様子見って感じだな、どうなんだ、現時点で桜根はどれぐらいの数の企業をこなせると思ってる?」
「まさに人次第だ、さっきまで一緒だった方も旗艦会社になる事を表明して下さって、その関連する企業のまとめ役までお願いできそうだが、当然うちの社員や学生スタッフの力も必要だ。
社員を増やして行きたいとは思っているがその研修も必要だろ。」
「社長も大変だな。」
「はは、幸三もここが本格的に動き始めたら大変だと思うぞ。」
「だろうな、かなり緊張してるよ。」
「福祉系、非営利系はどう?」
「皆頑張ってるよ、そして昨日の隆二の熱弁に感激してた。」
「ちょっと熱くなり過ぎたかな?」
「いや、あれで良かったと思うよ、なんか美形ばっかじゃ現実感がないっていう声も出てたしな。」
「う~ん…。」
「佐紀ちゃんはどう思ってるの、隆二のこと。」
「隆二は顔だって素敵よ。」
「はいはい。」
「それより幸三くんの方は組織作り、うまく行きそうなの?」
「一つの小学校の学区内に、思ってた以上の団体やサークルが存在してるけど、組織的には武さんが動いて下さっているから、今の所スムーズだ。
活動的な人達は幾つかの会を掛け持ちしてみえて、武さんを信頼してみえる方も多いみたい。
皆さん協力を申し出て下さってるよ。」
「やはり人を動かすのは武さんなんだな。」
「ああ、聞いてた以上だった、自分も武さんを目標にしようと思ってるよ。
隆二や佐々木じゃ、でかすぎて目標にも出来ないからな。」
「おいおい、買いかぶりすぎだぞ。」
「さあ着いた。」

集会所には地元の主婦が二十名ほど集まっていた。
二人を拍手で迎え入れる。

「昨日の放送見たわよ、実物も頼もしそう。」
「早瀬さんお綺麗ね~。」
「有難う御座います。」
「今、花を咲かせましょうを読みながら勉強会をしてたのよ、私達がまず関係するのは、団体やサークルがどうチーム桜に関わって行くかでしょ。」
「そうですね、理想を言えば会の参加者全員がチーム桜に賛同して下さってたら問題はないのですが、それには時間が掛かるでしょうし、賛同は強制できるものでは有りませんから。」
「そうでもないのよ、すでに幾つかのサークルでは全員がチーム桜に登録済、事前に幸三くんや武さんから色々教えて貰ってたからね。」
「私の参加してるバドミントンサークルは、全員登録済だからチーム桜をサークル名の上に付けても良いのよね。」
「嬉しいですね、非営利の活動についてはチーム桜の名称利用を制限しませんからOKです。
ただ、登録という形は取らさせて頂きます。
登録料とかは必要有りませんが、そうですね先々他のバトミントンサークルの方と交流して頂いたり、会員募集の時に利用して頂いたりとか。」
「登録料を取っても良いと思うわよ。」
「そうよ、事務の手数とかも有るでしょうし。」
「そうなんですが、色々なサークルの方々に気軽に参加して頂きたいですから。
ただ、出来ればチーム桜のオリジナルグッズを買って頂けると嬉しいです。
スポーツタオルとかはもうすぐ販売開始できそうです。
ご希望が有れば、それに沿って色々作って行きますよ。」
「ユニフォームとかも?」
「はい、デザインの相談にも乗ります、割高になりますが。」
「そりゃそうでしょうね。」
「今、地元の中小企業の参加が増えています。
小規模ならではの特性を生かして、良いものを作ろうがモットーです。」
「それで地元の活性化なんですよね、そして内需拡大で地元経済の安定化でしょ、安藤社長、応援するからがんばってね。」
「有難う御座います。」
「私は、この地域内の横の繋がりも、モデル地区として恥ずかしくない結果を出したいと思ってるの、お婆ちゃんの戯言と思うかもしれないけど、私が学生だった頃は学生運動が盛んでね、今にして思うと方向性とかどうだったんだろうって考えてしまうけど。
そう考えると、あなた達のやってる事は正しい学生運動だと思うの、嬉しい事にこんなお婆ちゃんでも参加させて貰えるしね。」
「はい、まだ学生の総数から考えたら小さい始まりですが、高校生からも参加協力したいという声が届いています、でも自分たちは所詮若造です、間違った方向へ進まない様にご指導お願いします。」
「謙虚過ぎるわよ、安藤社長が俺について来いって言って下さったら、一生ついていきますよ。」
「はは、お婆ちゃんに言われも、ね~社長。」
「い、いえ、その…。」

始まり-09 [俺達の挑戦-03]

しばらくの談笑の後。
話題は老人介護の問題に移る。

「介護関係で気になってるのは、介護職員の待遇なんですけど皆さんはどう思われます?」
「隆二さん、現場は良くないと思いますよ、ただ楽して金儲けに励んでらっしゃる方もお見えで…、法律の狭間ってことですかね。」
「正直言って介護老人福祉施設とかのお金の流れを全部見てみたいです、全部が適正なのに職員の労働条件が良くないとしたら根本的な所に問題が有るのではないかと思います、問題が有るのならどう改善していくべきなのか考えていくべきかと。」
「う~ん、簡単じゃないわね。」
「そうね、でもこういう事…、問題点を探るのは学生より私達の方が適任じゃないかしら、お金の流れまでは難しいと思うけど。」
「サービスの現場が低くみられていると感じるわ、サービスに対する価値観に問題が有るんじゃないかしら。」
「あたしゃ介護なんぞされたかないから、色々気を付けてるけどな、だいたい食事とか嫁まかせにしてたらだめだわ。
自分のすることなくなったら、ぼけるしかないわな。
年寄りばかりの世の中で、若い子達がその世話ばかりなんて、国が老いて滅ぶぞ。」
「そうか、予防的な取り組みも必要なんですね。」
「それは有るかも、私の叔母は田舎ぐらしなんだけど九十過ぎても畑仕事とかしてしてるわ。」
「はは元気な年寄りの力で、チーム桜を盛り立てて行きますか。」
「あら、私はまだ若いから一緒にしないでくださいね。」
「はは、でも仲間ですよね。」
「そうなんだ~、安藤社長も早瀬さん、幸三くん達も仲間なのよね、この年になってこんなに素敵な方の仲間になれるなんて考えてもなかったわ。」
「介護とかの問題点は私、探ってみるわ、連絡は幸三くんで良いのかしら?」
「とりあえずはOKです、ただ大きな問題ですので…、いずれは…、複雑な組織になってしまいますが、この地区で介護系担当リーダーと、チーム桜全体で介護を考えるプロジェクトのリーダーを想定しています。」
「大丈夫よその感覚は充分理解出来てるから、やはりリーダーは学生さんなの?」
「今は学生にこだわっていません、ただ非営利となりますから…、大学教授とかになるかもしれません。」
「少し心配なのは、考え方の違う方が同じグループだと、やりにくくなると思うのだけど…。」
「その場合は一つの事を二つのグループで違った視点から掘り下げることも有りだと考えています。
問題解決への方向性が同じであれば、そこに到達する道筋が違っても、どこかで協力し合えると考えています。」
「そうか、一つのグループにこだわる必要はないわね、さすが幸三くんだ。」
「いえいえ、安藤社長の受け売りですよ。」
「へ~。」
「佐々木代表と安藤社長は自分たちの先生みたいなものなんです。」
「おいおい、幸三、話を盛り過ぎだぞ。」
「はは、安藤社長がどうして社長に任命された分かる気がするな。」
「えっと、商店街の方はどうですか?」
「あっ、逃げた。」
「ははは。」

その後しばらく商店街の話しとなり、予定時刻を迎える。

「今日は有難う御座いました。」
「いえいえ、こちらこそです。」
「あの~、お写真よろしいですか。」
「ええ、大丈夫ですよ、早瀬さんいいでしょ。」
「安藤社長も一緒にお願いしますよ。」
「は、はい…、。」

始まり-10 [俺達の挑戦-03]

隆二たちが集会所を後にし、徒歩で向かったのは商店街、ただ旧商店街と言ってもおかしくないレベルで閑散としている。

「ここがオリジナルグッズ販売店になるのね。」
「ああ、佐紀ちゃん、内装工事はもうすぐ終わるからね。」
その時、中から一人の学生が出て来る。
「あっ! 佐紀さん? ですよね…、安藤社長も…。」
学生はすぐ店の中へ知らせに入った。
すぐに安藤達の前に現れた学生たちは。

「佐紀さんに会えるなんて超ラッキー!」
「安藤社長、昨日のお話し良かったですよ、チーム桜の仲間についてのお話し感動しました。」
「自分にも沢山の仲間が出来るんですよね。」
「桜子さんなんて遠い存在だと思ってたのに、私の仲間でも有るなんて嬉しくて…。」
「はは、皆ちょっと落ち着いて。」
「幸三先輩、前もって教えてくれても良いじゃないですか。」
「い、いや変に今日の参加者が増え過ぎてしまってもだな…。」
「どうです佐紀さん、なかなかの仕上がり具合でしょ。」
「そうね桜色基調のバランス良い内装ね。」
「安藤社長、オリジナルグッズの製造は順調ですか?」
「第一弾はまだ種類少な目だけど、当初の予定通りには進んでる、問題は当初の予想以上に売れる可能性が出て来てるということだ、ここに来る前にチーム桜一般メンバーのネット申し込み数を確認したら、予測の最大値を軽く越えてしまってるんだ。
すぐ、増産体制への指示は出したけど品薄状態になるかもしれない。
緊急告知の形で、オリジナルグッズが当初手に入りにくくなる事と、今後の販売方法やその事情まできちんと告知するように指示を出しておいた、でも、この一号店への負担が大きくなると思う。
君達、大丈夫かな?」
「だめですとは言えませんよ、私達の実習の場が動植物園の売店じゃ狭すぎるからという声に佐々木代表が応えて下さって、安藤社長からは寂れた商店街の活用というお話しを頂いてのことですから。」
「有難う、ここでは学生主体の三店舗が同時スタート予定だけど、他の店舗はどう?」
「準備は進んでいます、食品を扱うので保健所の方にも相談に乗って頂いたりしてます。
食中毒とかは有ってはならないことですから。」
「特に問題はないのかな。」
「はい、動物園の売店での経験が生かされまして、春休みの内に準備をしっかり進める事が出来ました。」
「じゃあ祭りの方も盛り上がりそうかな。」
「はい、私達実行委員会もしっかり準備を進めています。」
「地元の方々とはうまく行ってる?」
「もちろんです、午前中にも打ち合わせをしたんですけど、私達仲間なんだよね~、って盛り上がりました。」
「店のオープン時やお祭りの日って、どれくらいの仲間が集まってくれるかと思うとドキドキですよね。」
「春休みが終わると時間的な制約が出て来るけど大丈夫かな?」
「何も分からない新入生じゃないですからね、単位をきちんと取ってかないと、チーム桜のメンバーとして恥ずかしいじゃないですか。」
「うん、皆がんばってくれてるんだね安心したよ。」
「ねえ隆二、私も新入生の頃は色々戸惑う事有ったの、チーム桜として新入生のフォローって出来ないかな。」
「そうだな…、タイミング的に今年の新入生には充分な事をして上げられないかもしれないけど…、ちょっと連絡入れるよ、失礼。」

すこし離れた所へ移動して電話をかけ始める安藤。
他のメンバーは。
「佐紀さん安藤社長は、あの一言で動き始めたのですか?」
「何時もの事よ。」
「誰に電話してるんだろう。」
「新入生のフォローをチーム桜でやれば、う~ん、新入生が仲間になってくれるかな。」

安藤が電話を終え戻ってくる。
「佐紀、佐々木が動いてくれるよ、学生の組織はこの一年でかなりのものになったからね。
必要なら学長達へも提案するってさ。
大いなる社会実験、チーム桜の説明会を各大学で実施して貰う話しもしておいたよ。」
「佐々木代表は何か言ってました?」
「最近社会人の方に目が行っていて、ちょっと学生の方が疎かになってたって反省してた。」
「彼も忙しいから。」
「まあ秘書達が頑張ってくれるだろう。」
「そうね。」
「安藤社長に秘書は付かないんですか?」
「今の所はね、込み入った話しも有るから学生では難しい面があってね、重役候補に手伝って貰ってるけど。」
「学生組織を再編してのチーム桜ですけど、今は佐々木代表と安藤社長の二本柱なんですよね。」
「そうだね、でもこれからは柱が増えて行くと思うよ、その辺りは佐々木に任せて有るけど。」
「昨日の放送見てて思ったのですけど、核になって下さってる方々、皆さん信頼し合ってるって感じで安心感が有りますよね。」
「実は仲が悪いとか有るんですか?」
「はは、仲間だから信頼してるし…、今は余計な事考えてる暇はないからね。
余裕を作って、皆で遊びに行きたいとは話してるけど…、大学卒業までは無理かな。」
「そうなんですね、私達と同じ大学生なのに…。」
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