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動植物園再生-07 ブログトップ

架空サークル-61 [動植物園再生-07]

具体的な建築計画は未定ながらも、新獣舎設計プロジェクトは色々な意味で盛り上がっていた。

工学部建築系の学生達は…。

「獣舎の設計なんて、建築系だけでは絶対無理だったよな。」
「全くだ、住んで頂く動物達の生態すら分からなかったし。」
「動物達に、ただ気持ち良く暮らして頂くだけでなく、来場者の方に対する展示という視点も必要だからな、さらに種の保存に向けての観察とか。」
「俺は五重構造という案に驚かされたよ。」
「俺もだ、公園の敷地を考えた上で、動物たちの行動出来る範囲を広げてあげる事は出来ないかって、そんなこと考えたことなかったから…。」
「それに対して、行動出来る範囲が広がる事は掃除の手間が増えるという指摘、ならば掃除を機械的に補助出来ないか、その動力は最新の簡易発電システムを利用してはとか、皆色々考えてるよな。」
「小型カメラを利用しての観察システムの提案も有ったぞ。」
「動物達の健康管理システム構築を考えてる学生もいたな。」
「糞をどう処理するかなんて、言われてみればメチャ重要だ。」
「新獣舎設計って具体的な予定がないから軽めに考えていたけど…、ちょっとな…。」
「お前びびってるのか?」
「これだけの案を目の当たりにして…、それらを反映した建物設計って…、簡単とは思えない。」
「動物たちの多くは獣舎の中で一生を過ごす…。」
「う~ん、難しい分だけ、得られる物も多いかもしれない。」
「獣舎の設計を通して、人の住まいを考えるって事も可能じゃないか。」
「だよな、違った視点で捉え細部までこだわったら…、既存の住宅だって改善の余地は有るだろうな。」
「同じ家に幼児も住めばお年寄りも住むと考えたら、階段一つとっても難しい、どこかで妥協するしかないのだろうけど。」
「このプロジェクトでこれだけの案が出てきたのだから、人の住まいに関しても教えて欲しくないか。」
「調査チームと相談してみる?」
「そうだな。」


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架空サークル-62 [動植物園再生-07]

新獣舎の展示内容を検討しているグループも有る。

「同じ種を固めて展示するだけでなくてさ、食物連鎖とか絡めたら子ども達への教育効果が高まるんじゃないか?」
「悪くはないと思うが。」
「実際に、どんな展示をイメージしてるの?」
「そうだな…、観察ルートを作って、始めの方では草食動物が草を…、昆虫でも良いけど草を食べてる所から始めて…。
プランクトンを見せて、それをメダカが捕食してるとかでも良いし。
昆虫がカエルの餌になってたり、メダカが大き目の魚の餌になってたり…。」
「そのレベルだと、カマキリが餌を取る瞬間とか、蜘蛛の巣にかかった昆虫の末路とかも有りだな。
映像が中心になるかもしれないけど。」
「そんなのを見せるなんて…、残酷じゃない?」
「う~ん、女の子だとそうなるんだろうな、でもね…、アリジゴクにアリを落としてみたりなんてことをしてた奴の方が、成長してからは自然を大切に思っていたりも…、ま、全員という訳でもなさそうだけど…。」
「お肉大好きな女の子でも、刻まれた後の肉しか目にしてないでしょ、肉牛を見ておいしそうだど思う人はごく一部じゃないのかな、う~ん変な綺麗ごと言いたい訳じゃないけど…、自分たちが何を食べて生きているのか、生きた牛が肉屋に並ぶまでの過程からも目をそらさずに食物連鎖を考えることは大切なことじゃないかな。」

「え~、今日はこの後焼肉の予定だったのに…、そんな話し聞かされると…。」
「恵美、ちゃんとあなたの体重増加に協力してくれた牛さんに感謝するのよ。」
「私、そんなに食べ…。」
「るから…、健康に悪いわよ、美容にも。」
「祥子、やめて! 私、ストレス発散で食べちゃうタイプだから。」
「あら、恵美にストレスを与えれば経済の活性化に役立ってことなのね。」
「そんなんじゃなくて!」
「今まで何頭ぐらいの牛を平らげたの?」
「え~っと…。」
「ははは。」

「はは、子どもがトラウマを受けてしまう様な内容はまずいだろうけど、弱肉強食の世界を紹介。
後、絶滅した動物のことやその後の変化も取り上げたいな。」
「そうね、絶滅危惧種のことは動物園では避けて通れないことだわ。」
「ただ動物を展示するだけでなく、系統立てて分かり易く動物達を取り巻く問題を紹介出来たら、動物園の価値が高まるよな。」
「動植物園に付加価値を付ける、佐々木先輩の企画書にもあったわね。」
「う~ん、実現化の目処が立ってない新獣舎で考えていたけど、別の所で実現出来ないかな。」
「そうだよな、新規の企画としてまとめてみようか。」
「総務部新規企画課が窓口だったよな。」
「この企画に参加したい人はこの後残ってよ、基本は今進めてる新獣舎の展示内容検討とかぶるから並行して動いても問題ないと思う。」
「あっ、焼肉行く人は良いよ、恵美。」
「そんな~、仲間はずれにしないでよ~。」
「うんうん、仲間はずれにすれば、恵美のストレス適度に増えて経済効果有りそうね。」
「あ~、私のおサイフがピンチに…。」
「恵美、どれだけ食べるつもりなの?」
「うん、牛一頭ぐらい。」
「ははは。」

「はは、恵美と祥子、面白すぎ。」
「さすがパフォーマンス部。」
「祥子、今のって台本なしなんでしょ?」
「えっ? 台本? 恵美の有りのままだから台本なんて有る訳ないでしょ。」
「そうだったのか…。」
「こら! そこ、納得しない!」
「ははは。」

「恵美、今の内容で一本ネタを作ってみるわ。」
「うん、企画紹介の要素も入れるんでしょ、祥子。」
「もちろんよ。」
「恵美、今度焼肉おごるよ。」
「え~、ほんと~、嬉しい~。」
「中村先輩、私は?」
「もちろん祥子も一緒に。」
「良いんですか先輩、祥子は私の倍は食べますよ。」
「えっ?」


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架空サークル-63 [動植物園再生-07]

「やっぱりここで最先端の技術を子ども達に見せたいよな。」

そう語るのは発電、充電関連に取り組む工学部の学生、新獣舎設計プロジェクトのメンバー。

「単に動物を展示するだけでなく、どう飼育してるかも見せて良いと思うんだ。
結構大変な舞台裏を知って貰うことって大切なことじゃないかな。
で、俺達がそれを最先端技術でフォローして行こうとして…、どんな結果が得られたかを失敗も含めて紹介して行けたら、動物園の付加価値として、意味のある活動になると思わないか?」
「教育的側面か。」
「俺達の発電とかだけでなく…、機械仕掛けって、子ども達だけでなく大人も興味を持つと思う、特に男性はね。」
「最近は外国からの観光客も多いらしいから、日本の科学力をうまく紹介出来たら…、主役は動物だとしてもさ。」
「名古屋の動物園へ行けば、最先端技術を目にすることも出来るという、そんな噂が広がるレベルまでいったら、地元の活性化にもつながるんじゃないか。」
「やっぱ東京、大阪には勝てない分野多いし、観光となると京都とかなんだろうから…、多少時間は掛かっても、うん、やって行きたいな。」
「ただ…、これが最先端技術ですと言っても、インパクトの有るものじゃなかったら弱いと思うんだ。」
「だよな~、地味な最先端技術なんていくらでも有るぞ。」
「そこは、遠藤先輩と相談してみては。」
「あっ、演出か…。」
「見せ方についてこの前、色々話して下さってたよな。」
「ただの棒だって、演出によってイメージが変わるって実演もあった。」
「俺たちが見せたいのは、ただの棒じゃない先端技術なんだから、地味とか言ってられないよな。」
「全く違う分野の人って思ってたけど…、相談してみるか?」
「パフォーマンス部の窓口って…。」
「お、俺がコンタクト取るよ。」
「上田、知り合いでもいるのか?」
「ま、まあな。」
「あ~、こいつ下心丸見えだぞ。」
「えっ、いや、その…。」


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架空サークル-64 [動植物園再生-07]

「植物園なのに自分達の生活にとって一番大切な野菜の展示がないよな。」

野菜プロジェクトの発端はこんな一言だった。

「植物園が出来た頃は、わざわざ展示する必要もなかったんだろうな。」
「俺も農場実習がなかったら、葉っぱ見たってそれがジャガイモだなんて分からないままだったと思う。」
「でも、年間を通しての展示は難しくないかしら?」
「その季節ごとの展示で良いんじゃないか。」
「そうね畑を一つ…、そこから今の農業の抱える問題を提起するってどう?」
「畑の管理は植物園にとっては負担だったということかしら。」
「俺達、農学部の実習としてなら簡単そうな気もするけど、でも場所の問題が有るな…。」

企画に賛成する者は多かったが、最大の問題はどこに畑を作るかだ。
限られたスペース、必ずしも植物園内でなくとも良いと検討してみるが、答えは出なかった。
木を切り倒したくないという思いはメンバーに共通していた。
畑を作れたらという想定の元、色々な案を模索し発表して来たが野菜プロジェクトのメンバーはすっきりしない状態でいた。
そんなある日。

「なあ、屋上ってどうだ?」
「屋上?」
「新獣舎設計プロジェクトって知ってるか?」
「知ってるわ、でもまだ実現するか微妙なんでしょ。」
「それでも、乗っかって良いんじゃないか?」
「あっ、はは、文字通りか…。」
「どういうことだよ。」
「新獣舎の屋上に畑を作るのさ。」
「あっ、そうか…、なら取れたての野菜をおサルさんに食べて貰うとかも有りだな。」
「あくまでも畑を展示したいんだけどな。」
「まだ、間に合いますかね、横山リーダー。」
「連絡取ってみるよ。」
席を離れる横山。

「ね、今ある建物の屋上だって使えないかな?」
「う~ん、微妙に古い建物…、園内の施設では難しくないかしら…。」
「屋上庭園とかは都市部でこれからもっと普及して行かなきゃいけないと思うから、そのサンプル的要素も有りだろ。」
「動植物園にこだわるな、佐々木代表の言葉忘れてないよな。」
「だな、でもこいつは俺達だけじゃ荷が重くないか。」
「もう少し内容をまとめて発信してくか?」
「屋上野菜プロジェクト、自然教育的要素、都市環境改善ってことも関係するのかな。」
「食を考えるってことも。」
「なあ、ふと思ったんだけど、この企画がらみでさ、過疎地で生産された野菜を販売してってどうかな。」
「あっ、そう来たか。」
「過疎地のお年寄りって、売ることあまり考えてないから、無農薬で少量ながらもおいしいの作ってるって聞いたこと有る。」
「色々な野菜作ってということは、野菜展示の参考にもなるんじゃないか。」
「真逆の工場栽培と並べて紹介して行くのも有りかもな。」

そこへ横山が戻る。
「新獣舎屋上利用の件は、新規企画課の人も賛成してくれたよ。」
「何か今までのモヤモヤが晴れた。」
「でも、やることがメチャ増えたって気もするわ。」
「面白くなったってことだよな。」
「そうよね。」


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架空サークル-65 [動植物園再生-07]

有る日の事、サークルの主要メンバーは企業側窓口担当上野と話し合っていた。

「新獣舎設計プロジェクトから、これだけの案が出て来るとはね、想定外だったよ、佐々木君。」
「このレベルなら経済波及効果も期待出来ませんか?」
「う~ん、そう来たか…。」
「まずは…、夢的プロジェクトとしてアピールをしてみても良いかと、協賛して下る企業の目処が立ったらゴーということでどうです?」
「いや、企画は良いと思うけど予算的に、各企業からの支援は難しいと思うよ。」
「はぁ~、すいません、やはりこの件は今後自分たちで進めます。」
「えっ?」
「この企画に乗りたいって企業少なくないんですよ。」
「聞いてないけど…。」
「自分達のスピード感、これ以上遅らせたくないんで、申し訳ないですが各企業の方々ともっと綿密な関係を模索中です。」
「どういうこと?」
「あまりにも進まないのでダイレクトに数社の担当者の方と交渉させて頂いた所、心強い返事を頂いた訳です。
話しはおたくの社長にも通して有りますから安心して下さい。」
「えっ? 安心してと言われても…。」
「あなたは私たちの活動規模を見誤っていると感じてます。
一人だけで企業側窓口と言われましても…、無理が有ると考えて頂けませんでしょうか。」
「う~ん…、そう言われると…、だけど、所詮学生のサークルじゃないか、君たちは。」
「はは、やはりその程度の理解でしたか…、残念です。
学生の組織は大きくなっています、ところが支援して頂く筈の企業側の組織が全く見えてこないのは何故ですか、我々が疑問に感じていた所です。
利害関係が有ったり、分野の違う企業とも調整しなくてはいけない、難しい事情は理解していますが、自分達学生でも出来るレベルでしか動いて頂けないとなると…。」
「何、学生の分際で何様きどりだ!」
「あなたの方こそ佐々木代表に無駄な時間を使わせて、反省して頂きたいのですが。」
「えっ? 待てよ! 俺だってだな…。」
「佐々木代表の企画書、きちんと把握出来てますか?」
「読んだよ、ちゃんと。」
「組織に関する所、理解出来てないですよね。」
「あんな分厚いの全部理解出来るか?」
「まあ、皆これぐらいにしとこうよ。」
「佐々木さん…、何か悔しいんですけど…。」
「まあ、一つの経験としてさ。」
「俺は何度も読み返した、だから…、だからここにいる。
佐々木、企業サイドのまとめ役俺にやらせてくれないか、今後の展開を考えたらこの人を絶対外さなきゃだめだと思う。」
「そうよね、このままじゃ次のステップへ進めないわ、私も協力する。」
「俺達の活動の根幹の一つ、組織作りを理解出来てない人とは組めないよな。」


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架空サークル-66 [動植物園再生-07]

佐々木たちは、上野との会合前にずいぶん話し合いの場を持った。
色々な意見が出たが上野をはずすことは早い段階で決定。
その後をどうするかが彼らにとって重要なことだった。

「企業サイドと交渉するということは、会社で言う所の営業ということか。」
「個別の案件で営業担当を作るのか?」
「色々なパターンが想定されるよな。」
「各企業の方が負担に感じないシステムにしたいが…。」
「悲しいかな俺達は素人だ。」
「就職先として営業職を考えてる人達向けにセミナーを開いて、その実習的に取り組んで貰ってはどうだろう?」
「そうだな会社体験実習のこともあるし…、あれも進行が早く出来そうだ。」
「まず新獣舎設計プロジェクトで実践しながらでも良くないかな。
すでに進行しているプロジェクトは企業の方との交流が進んでいる訳だし。」
「上野さんに下りて頂くということが他の企業に誤解されないと良いけど。」
「そっちは俺が何とかするよ、すでに五人程の社長に相談に乗って頂いたりしてるからね。」
「さすが佐々木だ。」
「メンバーへはどういう形で発表する?」
「正直にプロジェクトの進行を早める為、新たな実習の場として、で良いんじゃないか、企業サイドへも同様でさ。」
「賛成だ、でさ…、ちょっとずるいかもだけど…。」
「意味深だな。」
「上野氏の態度によってはさ、次回の会議を録音しておいて裏で、あくまでも非公式に流すってどうだ?」
「微妙だな…。」
「彼の性格からしたらメンバーを奮い立たせる様な発言をしてくれそうなんだが。」
「はは、確かに有り得るわね、今まで結構無駄な時間を使わせて下さったのだから良いんじゃないかしら。」
「会議に参加出来る学生は僅かだけど色々秘密裡にしたくない、でも内容的に公式に出来ない、ならば、非公式、裏情報も有りかな…、違法性は?」
「そうだな…、会議中上野氏の名前を一切口にしなければ全く問題ないと思う、それでも心配なら音声に細工すれば良いけど、個人を特定し易い状態でなければ…、もっとも人に聴かれて困る様な発言はする方に問題も…、あっ、始めに録音する旨を伝えて、それを公表する了解までとっておけば公式発表の参考として使っても問題ないですね。」
「なる程、了解までとっておいて非公式なら、こちらも変な誤解を受けずに済むし、違法性もないか。」
「じゃあ録音するからね、何かあったら俺が責任取る、嫌かもしれないけど佐々木は知らなかった事にしてくれないか。」
「えっ、別にそこまで気を使うなよ。」
「いや、佐々木のイメージだけはクリーンにしておきたいんだ。」
「はは、イメージだけか。」
「正直言って、あまりかっこ良くないとは思ってるんだ、こんなやり方。
だけど形の見えてこない新獣舎設計プロジェクトに関係している連中の思いとか考えたら…、すでに佐々木の能力を疑ってる奴もいるみたいで、まずはそんな誤解を解いておきたいし、個人的にはどれぐらいの効果が有るのかに興味も有る。」
「佐々木さん、イメージって大切ですよ。」
「それは分かってるよ、テレビに映る時と言ったら…、女子たちの玩具にされてる気分だが、ちゃんと耐えてる。」
「はは、佐々木のイメージがそのまま俺達のイメージなんだからな。」


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架空サークル-67 [動植物園再生-07]

広報部が組織改変の情報を伝えた。

企業側窓口、上野の担っていた仕事も、営業部として学生主体で進めて行くことになり、各社との交渉ごとなどは、企業側からのアドバイサーがフォローしてくれることなる。
今後は協力企業ごとに担当者を置き、現場サイドとは違った形で動くことなど、現時点での方向性が示された。
そして、佐々木光一が切れた、という噂は瞬く間に学生達の間で広まって行った。
実際に切れていたのは他のメンバーだったのだが。

「聞いたか新獣舎建設が本格化しそうだって。」
「ああ、今までの企画とは事業規模の桁が違うよな。」
「それだけに、一歩踏み出す度胸がなかったんだろうな、彼…。」
「裏で広まってる会議の録音聴いたんだな。」
「佐々木代表の毅然とした態度が伝わって来る。」
「他のメンバーも熱かったぞ。」
「出所は彼らの内の一人なんだろうけど、責める気にはなれないよな、録音の冒頭で了解も得て有るし。」
「良いのを完成させられなかったら彼らに恥をかかせることになるよな。」
「彼らだけじゃない、俺達の恥だろ。」
「だよな、実際に建つなら気合が入るぞ。」
「予算はどうなんだろう?」
「大企業が動くらしいとの噂は聞いた…。」
「うちの学内には一企業が寄付してくれた講堂が有るけど。」
「あそこが動いたら…、動物園のシンボル的存在になる規模でもOKじゃないか?」
「今は好調そうだからな。」
「でも堅実なんだろ。」
「完成は何年後だろう?」
「早くても、俺たちの卒業後だろうな。」
「きちんとした発表は何時頃になるんだ?」
「待ち遠しいよな。」


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架空サークル-68 [動植物園再生-07]

新獣舎建設の正式発表の場は一つのイベントとなった。
もちろんスポンサー企業のイメージアップという目的もあるが、学生達へ目を向けて貰うという意味合いも有る。
パフォーマーや絵描き達はすでに目立つ活動をしているが、表に出ていない学生達の存在も知って貰う事により今後の活動にはずみを付けたいという気持ちが有った。
だがまずはパフォーマーの出番。

「イベントのスタートは滝沢桜子なんだよな。」
「い~よな~、かわいくて…、それでいて演奏になると真剣な表情、ぐっとくるよな。」
「ああ、でも最近は優しい曲を演奏する時の表情が…、すごく柔らかい笑顔でさ。」
「俺、クラシックなんて興味なかったから、遠藤からアイドルにするって聞いた時はピンとこなかったけど、今は分かるよ。」
「だよな、歌下手でアイドルダンス? トークも下手で照れ笑いしてる様な、どこにでもいる普通の子がアイドルとか名乗ってるから、アイドルには嫌悪感を覚えていたけど、彼女なら応援できる、っていうかアイドルを名乗る必要もないだろうけどさ。」
「いや、その辺りは遠藤の勝ちだと思う、クラシックに興味の無かった俺が好きになるきっかけとなったからな。」
「ああ、素人ながら彼女の演奏に余裕が出てきたのも分かるし、時には本人が満足出来なかった演奏とかも…、あれも演出だったのか微妙なとこだけど、ほら演奏の途中で中断してやり直しさせて下さいって。」
「あれはガチだったらしいぞ、ただし、以前から満足出来ない演奏はやり直して良いと遠藤から言われていたそうだ。」
「普通のクラシックの演奏会では有り得ないことだろ。」
「それを実行したことで、吹っ切れたってブログに書いてたな。」
「うん、その後一気に演奏に対する評価が上がって…、おっ、橋本裕子登場だぞ。」
「今日も綺麗だ。」
「ああ…。」
「彼女のトークは最近さらに磨きがかかって来たよな。」
「アドリブに強いからな、場数踏んでさらに安定感が増したと思う、回数少ないけど滝沢桜子の演奏に合わせての一人芝居も良いよな。」
「まだ全国的には表に出てないけど、じわじわと裏で広まりつつ有る感、なんかドキドキしないか?」
「だよな~。」
「自分が好きになって応援してる子がどんどん成長して大きくなって行く…、俺もがんばらなくちゃって気分になるよ。」
「おっ、始まるみたいだぞ。」

裕子の挨拶に始まり桜子の演奏。
そして佐々木代表の登壇となる。
型通りの挨拶の後。

「皆さんのおかげで我々の活動も順調に進んでおります。
色々な形で協力して下さっている方々に感謝しています。
先ほどバイオリンの演奏をした滝沢桜子、本日の司会進行の橋本裕子はもうすぐ全国ネットの番組に登場します。
大人の事情が有りまして、ここでは詳しくお話し出来ませんが応援よろしくお願いします。
さて本日発表させて頂きますのは、これまで皆さんの目に届いていなかった活動の中でも特に大きな事業規模となる新獣舎建設です。
我々学生が企業の方々のご指導の元、設計させて頂きます。
施工に関しても、少なくともその記録を残すという形で参加させて頂けたらと考えています。
本日は関係企業の方々にもお越し頂いております。
橋本さん、お願いします。」

佐々木に振られて裕子が来賓の紹介を始める。
始めは多額の費用を出す大企業の取締役、続いて設計会社の社長、施工を受け持つ建設会社の社長…。
揃ったところで、各自簡単な挨拶。
そして質疑応答となる。


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架空サークル-69 [動植物園再生-07]

質疑応答。

「これだけの金額を負担されるということは簡単ではないと思うのですが、社内的には如何だったのですか?」
某大企業専務への質問だ。
「この施設はわが社にとっても、彼ら若者にとってもシンボルになると考えています。
ところで、あなたは佐々木代表の本をお読みになりましたか?」
「えっ? ま、まだですが…。」
「え~っと、そうか地元関係じゃないんだね、おたくは…。
そうだな、わが社ではこの施設以外でも、佐々木代表関連でかなりの額を用意してるけど、君には話せないな。」
「えっ、詳しく教えて下さらないんですか?」
「佐々木光一著、俺たちの挑戦、を読んでない人には説明しにくいんだ。」
「は、はい…。」
佐々木の本をさりげなくアピールする専務。

「学生が設計ということに関して問題は無いのですか?」
設計会社社長が答える。
「もちろん問題だらけです、とにかく色々な案が出てきてますからね、しかも住むのが人間じゃないでしょ。
さらに、一つの建物の中で色々な動物の飼育と思っていたら屋上で野菜作り、なんて発想も出てきて…、ま、私達は学生がまとめた案の検証をしつつ、設計上の強度やその他の問題がないかとのチェックが中心ですから…、学生さん達にがんばってもらいましょう、ただ動物の住まいなんてうちの連中だって設計したことないですからね、うちも色々盛り上がってますよ。」

「施工は学生抜きになるのですか?」
建設会社の社長が応じる。
「安全面とかの問題も有って簡単に学生を受け入れることは出来ません。
ただ実習、研修という形で記録を残して頂く予定です。
近い内に敷地の整地が始まりますが、ここから学生さん達に見て頂く予定です。
今まで、就職するまで現場に足を踏み入れたことの無い新入社員ばかりでしたから、学生の内に色々経験しておいて貰えるだけでも意義が有ると思っています。」

「佐々木代表の思いをお聞かせ願えますか?」
「そうですね…、皆すごくがんばっています。
動植物園をもっと魅力有るものにって思いは皆強いのに、今まではどうしてもパフォーマンス系が目立っていました。
この大きなプロジェクトは、これまで光の当たって無かったメンバーにも目を向けて頂ける機会となります。
関係企業の方々には、とても感謝しています。
完成まではずいぶん時間が掛かりますが、その途中経過にも興味を持って頂けたら幸いです。
もちろん、このプロジェクトだけでなく色々動いていますので、今時の学生の本気を見守って頂きたいです。」

「佐々木代表にとって、このプロジェクトも一つの通過点に過ぎないと思いますが、今後の具体的な展開もお聞かせ願えないでしょうか?」
「一つ一つのプロジェクトは通過点と言えるほど軽い物では有りません、ここまで動いてくれたすべてのメンバーの思いが、この大きなプロジェクトに結びついた訳ですし、通過点ではなく土台が少しづつ出来て来たという感じです。
皆さんの目にはささやかに感じるかもしれないプロジェクトでも我々にとっては大切な活動です。
メンバー同士そのことが分かってるからこそ、学部を越え大学を越えての協力が成り立っています。
これからも色々な形で、皆さんのご協力をお願いをする事も有ると思いますからよろしくお願いします。
今後の具体的な動きに関しましては順次公表させて頂きます。
ただ、大きな動きとして我々は動植物園に留まらない、こだわらない、また現時点では大学生のサークルですが、高校生にも社会人にも広げていきたい。
名古屋の公園をスタートにした我々の取り組みですが愛知県のみならず岐阜三重へ、さらにと考えています。
これは、サークル設立当初からの我々の夢で有り目標です。
この活動の根幹は、動植物園の再生をきっかけとしての地域の活性化ですが、自分の住む所さえ良ければそれで良いのか? という問いかけもさせていただいています。
現時点では夢物語ですが、学生ごときの戯言と一蹴されてもおかしくなかった新獣舎建設が動き始めたということは、私たちにとって大きな励みです。
どこまで行けるか分からないまでも、決してただの夢物語で終わらない、終わらせたくない、そんな思いで我々は動いています。
今後ともご理解とご支援よろしくお願いします。」


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架空サークル-70 [動植物園再生-07]

新獣舎建設の正式発表の様子はテレビでも紹介された。
佐伯明香はそれを両親と見ていた。

「あそこも動いたのか。」
「父さん、当たり前でしょ、ある意味地元企業なんだし。」
「いや、そういうレベルじゃない、明香には分からないだろうが大企業というのはだな…。」
「それが企業側窓口の怠慢で遅れてたらしくて…。」
「どういうことなんだ?」
「先方だって、私たちのサークルのことご存じだったのよ、そりゃマスコミでも色々取り上げて頂いてましたからね。」
「だな。」
「この地方を代表する大企業に対して、うまくコンタクトが取れてなかったのは、企業側窓口担当者の力量不足だって先輩方は思っていたそうなの。
その担当者を切って佐々木先輩が直接交渉したら一発でOK、背景には今後の活動にも関係する色々な事情があるみたいだけど…。
さっきの専務が、この施設以外でも佐々木代表関連でかなりの額を用意してるなんて話してみえたけど、あれは結構マジみたい。」
「えっ? 何億とか?」
「結果次第ではさらに、父さんも佐々木先輩の、俺たちの挑戦、読んだでしょ?」
「ああ、だけどあれだけ論理的に説明されても現実とのギャップを考えると…、なあ母さんも読んだんだろ?」
「佐々木さんのパワーなら、そのギャップを埋められるかもってワクワクしてますけど、明香からも色々聞いていますからね。」
「…、で…、どうなんだ実際の所、順調なのか?」
「概ね順調ってとこかな、もちろん全く問題がないって訳じゃないけど、この規模で問題がなかったら逆に危ないって言ってる先輩もいるわ。」
「そりゃそうだな、で、どんな問題?」
「宗教や政治関連が大きな課題みたい。」
「そうか、組織を利用して布教活動する奴とかいそうだな。」
「ただ宗教活動を全面否定するのもどうかって、例えばクリスマスだって元はキリスト教の関連行事でしょ、でも日本人の多くにとっては単なるイベントと化してるじゃない。」
「だな、うちは仏教の中でも特に緩い宗派だから気にもしないでクリスマスを楽しんできたけど。」
「公的組織に於ける宗教活動の制限をどこまでにするかって、宗教学的見地から検討してる人たちもいるのよ、組織内に於ける宗教の位置づけとか。
怪しげな新興宗教の布教活動を排除しつつ、でも信仰心は否定しないってことの落とし所を探ってるんだって。」
「そうか…、政治活動も似た様なことなんだろうな。」
「それがね、大変なの、桁違いに。」
「どの政党の支援も受けないし、どの政党にも直接協力しませんって、佐々木代表の本に書いてなかったか?」
「うん、その部分はぶれてないけど、メンバーの中には、いずれ私達の政党を立ち上げる時が来るかもしれない、方向性として考えて行きたいう人もいるの。」
「新党か…、う~ん…、佐々木党首の本気を見てみたい気もするな…、あの本の内容がまともに動いたら…、何年後かには…、やはり政治学的観点から動き始めてる連中もいるってことか?」
「みたいね。」
「佐々木代表ってまだ二十歳そこそこだよな。」
「うん、学年は私のいっこ上、でも日本で飛び級制度が充実してたらとっくに大学卒業してたって。
本の内容だって高校生の頃にはかなり出来上がってたそうだから。」
「う~ん天才なのか…、だから彼に多くの大人達が…、代表は否定してたけど、やはりこの程度のプロジェクトは通過点になるんじゃないのか。」
「でも今は土台作りの時で…、これからは動植物園から離れた企画も表に出てくる…、だから表向きには通過点と思われてしまうかもしれないけど、この新獣舎建設プロジェクトは組織作りに成功するかどうかの、とても重要なものなのよ。」
「そうか…、確かにそうだ…、俺たちの挑戦か…。」


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