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動植物園再生-02 ブログトップ

架空サークル-11 [動植物園再生-02]

日本には四季がある。
が、単に春という言葉では括れない、早春、晩春…、否、それでも括りきれない。
梅の季節が終わりを迎えつつある中で、この地方は桜の季節となる。

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学生達が進学進級と新たな一歩を踏み出す頃。

「健くんのとこはサークルの新人集まりそう?」
「う~ん、どうかな、佐々木先輩中心に動いてはいるけど、うちの参加メンバーは野郎中心だから、今一花がないんだよな。」
「そっか、こっちは乙女ばかりで…。」
「あっ、大学間の交流!」
「ふふ、有りよね。」
「市の公認サークルだから…、メンバー募集の活動も大学側にお願いし易いよな。」
「ちょいと動きますか。」
「ああ、佐々木先輩にメールするよ。」
「じゃあ私は学長に。」
「えっ? 学長?」
「ええ、うちの学長は私たちの良き理解者なの。」
「そりゃ心強いな…。」
「すでに色々動いて下さっていて、保育学部のカリキュラムにも、学長主導で東山動植物園遠足支援の実験的取り組みが反映されてるぐらいなの。」
「あっ、それ佐々木先輩から聞いた、さよりの大学だったのか。」
「ふふ、我らが学長は、広き視野を持て、学内に留まるな、ってお方なの。」
「へ~。」
「専門分野を掘り下げることも大切だけど、色々なことに興味を持つことも人としての幅を広げるために必要って。」
「そっか…、でも学長にお話しを持ちかける前にある程度、内容とかまとめておいた方が良いかも。」
「うん、私たちが何をするのか分からなかったら、先生も判断しにくいよね。」
「じゃあすぐ佐々木先輩にメール入れるから…、さよりは俺んとこ、来てくれる?」
「ふふ、喜んで。」
「じゃあ、その時の流れとか考えてよ。」
「おっけー。」


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架空サークル-12 [動植物園再生-02]

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サークル有志の花見。
準備はほぼ終わった。

「佐々木先輩、後はさより達が色々持って集まれば、お花見始められますよ。」
「はは、お花見という名の宴会がな。」
「ところで…、さよりの大学の新人勧誘サークル紹介どうなりそうです?」
「ああ、運営スタッフから何人か参加してくれそうだし、春山さんも来てくれるよ。」
「自分は何をすれば?」
「西山は全体を見ていて気付いたことがあったら動く、でいいかな、予定外のことに対応してもらうかもしれないけど。」
「了解です。」
「あと、事前にあちらの学長先生との懇談の機会をいただいたよ。」
「えっ、当日じゃなく?」
「ああ、御挨拶させていただきたかったし、前もっての方がお互い安心だからな。
まずは保育園遠足支援プロジェクトについて春山さんから、そして活動全体の進捗状況については中山か俺が説明させていただく予定だ。
セッティングしてくれた、さよりさんに感謝してるよ。」
「さより動いてるな…、にしてもお相手の学長、すごい理解者ですよね。」
「ああ、サークル紹介当日も俺たちに付き合って下さって下さることになってる。」
「へ~。」
「とにかく女子大だからな、俺たちが動きにくい所をフォローして下さるんだ。」
「うっ、下手に動いたらやばいっすよね。」
「その通り、真面目な話ししかしないから問題はないとは思うけど。」
「ですよね。」
「なあ、中山はサークルの説明、俺の方が良いって言うんだけど、西山はどう思う?」
「はは、中山先輩逃げ腰ですか?」
「やっぱ、あいつ逃げてるよな。」
「でも、自分は佐々木先輩の方が適任だと思いますよ。」
「えっ?」
「女の子対象のイベントで中山先輩じゃ…。」
その時、背後から声が…。
「えっ? 俺じゃあ? 西山健、俺に何か不満でも?」
「あっ、中山先輩、こ、こんにちは。」
「何か今、俺の悪口言ってなかったか、こいつ…、な、佐々木?」
「はは、中山は存在するだけで、人にプレッシャーを与えるんだから、許してやれよ。」
「なあ西山、女子大でのサークル説明は佐々木の方が適役だよな。」
「は、は…い…。」
その時、背後から声が…。
「健くん、どうしたの?」
「あっ、さより…。」
「あ~、中山先輩ったらまた。」
「ちょっと待て、またってなんだ?」
「私の健くん、いじめないで!」
「ちょっと待て~、お、おれは…。」
「はは、なんだ、さよりさんは、もう中山を手なずけてたのか。」
「おい、佐々木…。」
その時、背後から声が…。
「あっ、光一くん、めっけ~。」


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架空サークル-13 [動植物園再生-02]

花の盛りは短い。
が、それ故に美しさが心に残る。

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さよりの通う大学、その会議室。
学長とサークルメンバーたち。

「先生、ほんとにご協力有難うございます。」
「う~ん、お礼は君たちの活動で示して欲しいわね。」
「は、はい。」
「はは、まあ、そんなに固くならなくていいのよ、私も嬉しくてね。」
「はい?」
「ボランテア募集のちらしを見た時にね、正直…、どれぐらいの学生が…、今時の学生がどう反応するんだろうって思ったのよ。
あのちらしって誰が考えたの?」
「内容をまとめたのは自分たちですけど、元は我々のオブザーバーをして下さってる亀田さんの考えなんです。」
「ちょっと気になるわね。」
「まだ、サークル結成が決定する前の段階で、市の方から幾つかの大学に打診が有りまして…、自分もゼミの先生からお話をいただきました。
で、その準備会に参加したのですが…、今思えば、まんまと亀田さんの口車に乗せられてしまったというか…。」
「はは、あなた方では太刀打ちできそうにないお方なのね。」
「はい。」
「でも、国井さんからの報告では素敵な感じで進んでいるみたいね。」
「はい、面白いんです、今まで出会ったことのない価値観に触れて…、大学でもバイトでも気付くことのなかった発想に触れて。」
「はは、乾杯。」
「えっ?」
「なんか嬉しくなって、この後時間のある人、飲みにいかない?
もちろん私のおごりよ。」
「は、はい、喜んで。」
「先生、飲み会も良いですけど、うちの先輩方、先生に色々真面目なお話を…。」
「あら? さよりって意外と真面目だったのね。」
「意外は余計です。」
「分かってるわよ、私だって春山さんとお話ししたかったし…、で、さよりの彼ってどの子かな?」
「教えません!」


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架空サークル-14 [動植物園再生-02]

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某大学近くの居酒屋。

「春山さんの発想っていいなって思ったのよ。」
そう語るのは某女子大の学長。
「一番身につくことはね、実際に就職してそこで働いて得られものなの、でも、出来ればその前にスキルを上げておいて欲しくてね。
だから実習とかある訳なんだけど、色々制約があるのよ、時間は限られているから…。
保育を学んでいる学生でも、就職は別という人もいるし、まあ、実際に実習に行って、現実の厳しさを目の当たりにして挫折してしまう人もいるでしょ。
下手に実習の時間を増やしてしまうと、そんな人達の負担が大きくなってしまう。
でも、実際に保育の現場を目指している学生には、より多くの実習を経験することが自信へと繋がっていくから、場を作ってあげたいとは思っていたの。
あっ、そう言えば春山さんって保育系のお人じゃないのよね?」
「はい、経済学部です。」
「そっか、で、どうして保育に?」
「昨年たまたま出会ったのが、保育を経済学の視点で捉えたらって発想です。
それと同時期にこのサークルの話を聞いて、まあ、素人学生なりに色々考えたり、保育を学んでる友人に聞いたりして調べてみました。
保育の現場が抱えている経済的問題、保育士の方々の待遇とか…、大きな問題も知りました。
そんな頃に、ふと、現場と学生を結び付けたらどうかしらって思ったのです。
保育園、大学、動植物園、そして私たちのサークルが繋がったら面白くならないかなって。
すぐ、佐々木君達に話したら皆賛成してくれて。」
「そっか、じゃあ、この話し佐々木君はどう感じたの?」
「自分の専門分野という訳でも有りませんでしたが…、新たなものって…異業種と言いますか異なる価値観に基ずく活動が繋がった時に生まれてくるのかなって…。」
「はは、佐々木君ちょっと気障。」
「えっ。」
「あっ、赤くなってかわいいな~。」
「が、学長…。」
「佐々木君もてるでしょう?」
「い、いえ、そんなことは…。」
「学長、佐々木先輩は真面目な方で…。」
「はは、さよりがフォローするか…、う~ん、でも、さよりのタイプではなさそうね。」
「えっ?」
「さよりの彼氏は、ずばり西山君でしょ。」
「えっ…。」
「どうやら図星のようね。」
「そ、その…。」

飲み会とは得てしてこの様なものだ…、学長と学生だろうが…。


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架空サークル-15 [動植物園再生-02]

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話しは続いている。
学長が問う。

「ね、売店再生の概略は先ほど教えていただいたけど、具体的なプランはどうなの?」
それに応える佐々木。
「はい、ミニ学園祭をやりながら自分たちの本気を見せて行きたいと考えています。」
「おっ、本気なんだ。」
「お遊びじゃないんだぞって感じです。
まず、建物の補修はどうやら小規模で済みそうで、塗装がメインになりそうです。
デザイン系の連中が激論を戦わせています。」
「なるほど、デザインやってる子なら自分の作品残したいでしょうね。」
「ただ、難しいのがこの店の場所なんです。」
「場所?」
「はい、動物園と植物園の中間に位置していまして、おしゃれなロ-ズガーデンと幼児向けの遊具が目の前にあるんです。」
「あっ、それは悩みどころね…。」
「自分たちとしては、植物園サイドに売店が見当たらないこともありますし、真面目な取り組みを基礎としたいですから、落ち着いた感じにしたいのですが。」
「あっ、あそこね…、うん分かる、こども動物園があるから幼児向けを置いたのだろうけど、そう言われてみれば遊園地の方がお似合いの施設よね。」
「もちろん子ども対象の企画も行っていくつもりですが、ちょっと…。」
「そうよね…、う~ん、デザインの子たちには…、そうね木の味わいのある…、幼児向けなんてことは一切考えないデザインにって話しておいて。」
「あっ、そうよ子どもたちだって、木のログハウス的なのって嫌いじゃないと思うわ」
口を挟んだのはさより。
「幼児向けだからってカラフルな配色にすれば良いとも思えません。」
と、春山愛華。
「でしょ、ちょっと関係者に話してみるから…、でも君たちに言われるまで気付かなかったな。」
「先生、サークルのメンバーがあの場に集まったことがあるのですが、その時は皆が口々に言ってました。」
「全員の意見がほぼ一致していたし。」
「踏み込んだ意見としては、公園全体のデザインに対して問題視するものも有ります。」
「公園そのものが昔作られたものをベースにして改修されてきた背景も有りますが…、予算の関係があるとは言え…。」
「はは、私に任せなさ~い、とまではいかないけど、ちょっとがんばってみるかな。
君たちの様な視点と無縁の状態で運営されてきた面もあるみたいね。」
「えっ? 学長…、がんばるって…。」
「あら、私ががんばるってことはそれなりにね…、あっ、さよりは私をなめてたのね、学長やってこうと思ったらそれなりの人脈、押しの強さとかないと…、さより、伝授しようか?」
「ふふ、間に合ってま~す。」
「そんな逃げ腰じゃ…、春山さんどう?」
「えっ? わ、私は…、え~と…。」
「じ、自分にご伝授、ね…、願えないでしょうか…。」
「中山君か、まあ考えとくわ。」
「残念ね中山先輩。」
「えっ? さよりさん?」
「考えとくって、考えませんの社交辞令的表現らしいわよ。」
「はは、何かすっきりしました、先生、今の状態を受け入れての活動しか考えていませんでしたけど、我々からも疑問点をもっと投げかけて良いんですよね。」
「佐々木君、当たり前でしょ、あなたたちが今ある物を検証して次への形を作って行くの。
その為の、そう、私たちはそのお手伝いは出来るけど、ほんとに進めて行くのはあなたたちなのよ。」


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架空サークル-16 [動植物園再生-02]

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居酒屋からの帰り道、さすがに学長との席で泥酔する者はいなかった。
タクシーに乗り込んだ学長を見送った後。

「そう言えばさ。」
「中山、どうした?」
「俺たちの大学の学長って誰だっけ?」
「はは、まあその気持ち分かるよ、うちの学長とはまだ話したことないからな。」
「な、佐々木、分かるだろ。」
「ははは、中山…、先生に惚れたのか?」
「う~ん、年上の女性も良いもんだ…。」
「おいおい、年上過ぎないか?」
「いいんだよ。」
「でも、中山先輩より佐々木先輩の方が、学長の…。」
「たく、真面目なふりしておいしいとこ持ってくんだよな、佐々木って。」
「ま、待て、俺は年上よりは年下の方が…。」
「ふふ、春山先輩は佐々木先輩より年下なんですか~?」
「えっ? 同学年だけど…。」
「佐々木先輩三月生まれなんですよ。」
「に、西山君、それが何か…?」
「微妙に気になりませんか?」
「えっ…、その…。」

微妙に赤くなった春山、酔いのためかどうか分からないが。
ま、酔っ払いの会話とはこんなものだ。

「でも、今日は良かったね、学長のお話しも、皆の話しも。」
「ですね。」
「学長のお話しを聞いてて、やる気が…、モチベーション上がりました。」

さらっと、話しの流れを変えたのは佐々木光一、この辺りも彼の魅力なんだろうか…。
単に話題を自分からそらしたかっただけなのかもしれないが…。

「私たちの活動って、なんか自由度高くないですか?」
「さよりさんはちゃんと気付いていたんだね。
公的な事に係わっているということを考えたらかなりの自由度だと思うよ。
まあ、君たちの知らない次元で多くの方々が動いて下さってる。
俺たちが動き易い様にってね。」
「あ~、何か佐々木先輩だけが知ってるって感じなんですが…。」
「はは、俺だけじゃないが、色々な方々とお話しさせていただいているからね。
動植物園の職員の方々だけでなく市役所の方、市会議員の方、機会があれば市長ともって話しがあるよ。」
「へ~。」
「桐山学長からのお話しは想定外だったけどね。」
「ですよね、うちの学長ったら…ふふ。」
「それにしても…、さよりさんは桐山学長とずいぶん親しいんだね。」
「ふふ、私たちのサークルがきっかけなんです。」
「えっ?」
「うちは大学を通してサークル登録という形だったから、申し込んだらすぐ学長の耳に入る様になってたみたいなんです。」
「確かに、どれぐらいの学生が、とか話しておられたな。」
「すぐ学長室へ呼び出された時は緊張しました。
何の話しか前もって教えて貰えなかったのです。
ドキドキしながら戸を叩きました。」
「影で悪いことやってたんじゃないの?」
「中山先輩とは違います。」
「はは。」
「ああいうお方だから、ずいぶん色々な話しをして下さって、私も自分の気持ちをお伝え出来て。
で、その後は、機会あるごとに報告させていただいています。
うちの大学からの参加者が増えるといい、とも話していたんです。」
「なるほど、それですぐ事が運んだのか。」
「ただ…、ふふ。」
「なんか意味深だね。」
「うちは女子しかいないから、たまには男子学生とも話をしてみたいなんてことを、学長おっしゃってまして。」
「で、佐々木か? 俺だって男子学生だぞ。」
「ふふ、中山先輩と佐々木先輩じゃ滲み出てくるものが随分違いますから…。」
「はは、さよりさんは中山に手厳しいな。」
「ちくしょ~、ぐれてやる。」
「すでにぐれてるだろ。」

いじられながらも嬉しそうな中山。
ま、そういうキャラなんだろう。
こんな会話は得てして果てしなく続くものなので、以下略…。


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架空サークル-17 [動植物園再生-02]

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さよりたちの大学、サークル紹介当日、さよりが案内役だ。

「これが入講許可証です。
前にお知らせした通り声を掛けられた時は、ご自身の学生証と一緒に見せて下さい。
原則本学の学生と共に行動して下さい、男性は目立ちますので。」
「だな…、ほんとに女子しかいないんだ…。」
「中山先輩は特に行動に注意して下さいね、くれぐれも単独…。」
「い、いや、こんな所で一人にされたらどうして良いか分からなくなる、西山離れるなよ。」
「はは、了解です。」
「すでに視線を感じるが…。」
「光一く~ん。
じゃなかった、光一せんぱ~い。」
「あっ、夏子さ…。」
「いらっしゃ~い、うふうふ。」
「お夏、舞い上がり過ぎ、今日は大人しく、手伝うのよ。」
「うん、分かってるって。」
「守衛さんには、話しが通ってるから会釈ぐらいで大丈夫です。
さ、行きましょう。」
「まずは、どこへ?」
「まだ時間が有りますから学長室へ行きましょう。」

学長室

「ようこそ。」
「先生、先日は有難うございました。」
「御馳走になりまして。」
「また飲みに行きましょうね、楽しかったわ。」
「お願いします。」
「今日は学内サークルの紹介時間にねじ込んでおいたからね。」
「えっ、ねじ込むって…。」
「ふふ、もちろん学長特権ですよね、学長。」
「校内に男子学生を入れるだけでも反発する人がいるぐらいですからね。
でも、それで視野が狭くなってしまっては大学の意味がないのよ。」
「ねじ込まれたという事は責任重大ですね。」
「ま、そんなに気にしなくても、あなたたちなら大丈夫。
舞台上での時間は短いから佐々木君西山君で皆を引き付けて、後の個別説明にいかに多くの学生を呼び込むかが勝負ね。」
「ちなみに今日男子学生が来ることは二年生の間でも噂を広めておきましたので、佐々木先輩がんばって下さいね。
遠藤先輩や高橋先輩もお願いしますよ。」
「おいおい、俺たち客寄せパンダか?」
「もちろんです、中山先輩だって、物好きがいるかもしれませんから、ちゃんと働いて下さいね。」
「えっ、物好き?」
「はい、動物園のゴリラだって大人気なんですから、先輩、ゴリラに負けちゃだめですよ。」
「う~ん、返す言葉が…。」
「うちでメンバーが増えたら、学内サークルとして扱ってもらう計画も有るんです。
その第一歩なのでよろしくお願いします。」
「我々としても、より多くの仲間が欲しい所だからね。」

その時、さよりにメールが届いた。

「そろそろ、移動して下さいって、行きましょうか。」


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架空サークル-18 [動植物園再生-02]

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講堂は学生でいっぱいだ。
サークル紹介の場なので参加は自由なのだが。

「では次に…。」

司会者に呼ばれメンバーが壇上に上がる、ざわつく場内。

「ね、真ん中の人ちょっと良くない。」
「うん、その右隣の人は?」
「西山くんはだめよ、さよりの彼なんだから。」
「えっ、そうなんだ、左隣の…。」

早速パンダたちの品評会となっているようだが。
まずは佐々木が話し始める。

「こんにちは、私たちはこの大学のサークルという訳では有りませんが、って入学出来ませんし。」
場内、軽く笑い声。
「市の事業に係わっているボランティアサークルということで、ここでのメンバー募集の機会をいただきました。
また動植物園の場をお借りして、保育系学生と保育園の遠足を結び付け、学生にとっては実習の場、またそれによって保育士の負担を減らせないか、という我々の実験的取り組みに、この大学が賛同して下さり、本年度より皆さんのご協力をお願いするという方向になっております。
この取り組みは保育を学ぶ方を対象とし、サークル参加を強要するものでは有りません。
多少の情報は届いていると思いますが、大きな取り組みになりますので宜しくお願します。
では、サークルの概要を説明させていただきます。」

限られた時間のこと、充分な説明とはいかないが、壇上のメンバーたちが少しずつ語っていく。
内容は事前に調整し検討されたこと、台本も頭に入れてある。
最後はちょっと反則技も。

「本学二年の国井さよりです。
サークルは随時募集です。
この後も休み時間などを利用して、サークル紹介をしていきます。
これはこのサークルだけでなく学内のサークル恒例のことですので、そんなに焦って決める必要は有りません。
また、二つ以上のサークル掛け持ちも、うちは特に緩いですから、遠藤先輩が話して下さった通り、関わり方色々です。
ただ、この後の時間ですが、他大学から参加ということはたぶん今回限りになると思います。
本学からは私を含めまだ四名の参加しかないということで、学長にお願して先輩方の応援を許していただきました。
踏み込んだ話しを聞いておきたいという方は、ぜひこの後先輩方に直接聞いていただけたらと思います、よろしくお願いします。」

「時間になりましたので次は…。」

舞台上での時間は終わった。


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架空サークル-19 [動植物園再生-02]

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彼らの紹介は終わったが他サークルの紹介は続いている。

「お疲れ~。」
「ふ~、緊張した~。」
「帰っていいかな。」
「先輩方、しっかりして下さい、これからが本番なんですから。」
「え~。」
「さよりさん、この後はどこで?」
「ふふ、佐々木先輩は残りの紹介が終わるまで、舞台そでで見ててもらえませんか。」
「ああ、まあ全部が終わるまでは次も始まらないんだよな。」

舞台上は演劇部となる。

「ちょっとそこ~! 舞台そでの男ばっか見てんじゃないよ~!」
舞台上で叫んだのはさよりの親友、橋本裕子。
「ったく、女子大に男連れてくるなんざ、反則でしょ。」
笑いに包まれる場内。
「でも…、私…、あ~、タイプなの佐々木先輩。」
表情も声もがらっと変え、しおらしく振る舞う裕子に場内はどっと沸く。
その後も裕子のペースで盛り上がる会場。

佐々木を巻き込んだ演劇部のサークル紹介が舞台での最後となる。

「裕子、良かったよ。」
「さより~、やってて楽しかったわ~。
どうでした佐々木先輩。」
「急に来るから驚いたよ、でも面白かった、うまいね。」
「有難うございます、でも先輩じゃなかったらあそこまで感情移入できなかったかも。」
「はは、でもあのレベルなら行けそうだ、応援するよ。」
「じゃあ、公園でのパフォーマンス…、もう幾つか台本考えているんですよ。」
「楽しみだね、でも客の年齢層広いからね。」
「はい、それも考えてます。」
「ちょっとここだけの話しなんだけど…。」
裕子に耳打ちする佐々木。
「うわ~、面白そ~、私もスタッフに入れて下さい。」
「了解。」
「この後は? さよりさん。」
「そのまま舞台そでにいて下さい。」
「ああ。」
「じゃ、演劇部は外へ行くから。」
「うん、ありがとうね、裕子。」
「またな。」
「はい。」

裕子を送り出した後、舞台へ上がるさより。
「え~、業務連絡です。
保育園遠足プロジェクトについて詳しく知りたいという方は、西山くんと春山先輩のところへどうぞ~。
再生ボランティアサークルについて質問などある人は佐々木先輩のところへどうぞ~。
入会等に関することは遠藤先輩…。」

このアナウンスにより場内が大きく動くこととなる。
残っていた学生の多さは、さよりの功績が大きい。
彼女は表からも裏からも色々手を回していた。
普通なら、他のサークルから批判があってもおかしくないことが、問題なく進んでいるのも彼女の根回しの成果だ。

遠藤真一は舞台とは反対側で、女学生に取り囲まれていた。

「遠藤先輩、ほんとに気軽な参加も有りなんですか?」
「ええ、もちろん何らかの仕事を担った時に無責任なことでは困りますが、人数を必要とするイベントだけの参加でも構わないです。」
「他の大学の方と知り合えることもあるのですか?」
「もちろんです、大学間の交流ということが我々の大きな目的の一つですから。」
「先輩、彼女はいるんですか?」
「えっ、いやいや、あのね、いないけど、そういう質問じゃなくてね。」
「女性のタイプは?」
「あっ、あのね、真面目なサークルなんだから、関係のない質問は控えてもらえないかな。」
「そうよ、みんな、もっと真面目な質問しなくちゃ。」
「お願いします。」
「で、今度デートしません?」
「えっ?」
「こら~、先輩をもてあそぶな~。」
「あっ、さよりが怒った。」
「先輩汗びっしょり、大丈夫ですか?」
「だめかも。」


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架空サークル-20 [動植物園再生-02]

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佐々木は舞台前に集まった女学生たちの質問に応えていた。

「私は文学部なんですけど、動植物園での活動とは関係性薄いですよね?」
「そんなことありません、万葉集でも花を詠んだもの色々有りますし、小説の中でも植物は登場しませんか?
あなたの興味のある文学と動植物との接点を考えてみるのも楽しいかもしれませんよ。
創作なら、題材を動植物にしたりとか出来ますし。」
「あっ、そうか…。」

「友達に薬学部がいるんですけど、さすがに誘いにくいです。」
「そうですか? 植物園ではずいぶん薬草の紹介をしていますけど。」
「あ~、薬草か…。」
「薬草を薬学部の視点で説明してもらえたら面白いかもしれませんね。」

「私、演劇に興味があって、なんて関係ないですよね?」
「さっき演劇部の紹介をしていた橋本裕子さんはうちのメンバーなんだよ、動物園でパフォーマンスを披露してくれる予定になってるけど。」
「えっ、そういう活動も有りなんだ。」

色々な質問、それに軽やかな笑顔で応えていく佐々木、女学生たちの眼差しは徐々に熱くなって行く。
が、どんな質問にも応じられていると、質問の内容も変わってくる。

「私バスケ好きなんですけど。」
「はい。」
「えっと、生かせますか?」
「はは、じゃあ体力はあるってことかな、う~んその体力を生かせる場はいくらでもあると思うけど…。
バスケか…、う~んイベントでシュート合戦とかやって、その時の模範…、ちょっと難しいけどゴリラとかにパスしたら彼らはどうするかって実験…、キリンの…、う~んこれはちょっと無理だな…、チンパンジーにバスケの試合を見せたら、そしてバスケのゴールを飼育スペースに設置、もちろんボールも与えてみる、これはう~ん、田中さんの許可が出ないかな…。」
「す、すいませんでした、ふざけて言ってみただけです。」
「えっ? そうだったの? いや、全然ふざけたことじゃないよ。
こんなことから、新しい発見が生まれたりするからね。」
「は、はい。」

「佐々木先輩のその柔軟な発想ってどこから出てくるのですか?」
「えっ? テーマから想像を膨らませたら普通に出てこないかな。」
「先輩…、凡人の私には無理です。」
「そんなことないと思うけど…、あっ時間の関係もあるからもう少し我々の活動について話をさせてもらっていいかな。」
「は~い。」
「今、具体的に進行してるのはね…。」

学園祭企画などを話す佐々木。
熱心に聞く女学生たち。
入学したばかりで新鮮な気持ちの一年生だけでなく上級生たちも熱い瞳を輝かせている。
終了予定時間となり彼らが学長室へ移動し始めても、その後をついて、質問が出るほどだった。
そこには満足そうな、さよりの笑顔があった。


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